交響曲第41番 (モーツァルト)
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交響曲第41番(こうきょうきょくだい41ばん)ハ長調 K.551は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが作曲した交響曲。『ジュピター』のニックネームを持つ。モーツァルトが作った最後の交響曲である。
1788年8月10日に完成された。同年に作曲された交響曲第39番(6月26日)、交響曲第40番(7月25日)とともに「3大交響曲」と呼ばれる。3曲とも作曲の目的や初演の日時は不明であるが、モーツァルトの生存中には演奏されていたと見られる。
ローマ神話の神ジュピターにちなんだニックネームは、同時代のヨハン・ペーター・ザーロモン(1745年-1815年)が名付けたとヴィンセント・ノヴェロ(1781年-1861年)の『モーツァルト巡礼』(1955)に紹介されている。本作品のスケールの大きさ、輝かしく荘厳な曲想を的確に表現しており、19世紀中葉にはすでに人口に膾炙していたとされる。
目次 |
[編集] 楽器編成
フルート1、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、ヴァイオリン2部、ヴィオラ、チェロ、コントラバス
[編集] 曲の構成
- 第1楽章 Allegro Vivace ハ長調 4/4拍子 ソナタ形式
- 序奏なしで、力強い「ド」の音の連打と優しい旋律が組み合わされた第1主題で始まる。展開部では、第2主題の後半に登場するコミカルな旋律が使われたのち、第1主題が展開される。
- 第2楽章 Andante Cantabile ヘ長調 3/4拍子 ソナタ形式
- 歌うように優美な曲。展開部では、第1主題と第2主題の間に現れた短調の旋律が使われる。再現部は提示部に装飾を加えたものになり、最後にもう一度第1主題が現れて終わる。
- 第3楽章 Menuetto (Allegretto) ハ長調 3/4拍子
- ゆるやかに下降する主題で始まる堂々としたメヌエット。トリオでは、第4楽章のジュピター音型が先取りされる。
- 第4楽章 Molto Allegro ハ長調 2/2拍子 ソナタ形式
- ジュピター音型で始まり、さまざまな素材を投入しながら、提示部、展開部、再現部を通じて対位法の技巧が繰り広げられる。コーダは輝かしいフーガ(フーガ形式の要件を満たしているわけではないので正確にはフガートである)となり、ジュピター音型とさまざまな素材が同時に響き合って曲を締めくくる。
[編集] ジュピター音型
第4楽章で使われる「ジュピター音型」(CDFE、ドレファミ)は、モーツァルトがたいへん好んだモチーフで、8歳で作曲された交響曲第1番をはじめ、次のようにさまざまな楽曲に使われている。これは、古くから多くの作曲家に使われていたモチーフでもある。
- 交響曲第1番変ホ長調K.16の第2楽章
- ミサ・プレヴィスヘ長調K.192のクレド
- ミサ曲ハ長調K.257のサンクトゥス
- 交響曲第33番変ロ長調K.319の第1楽章
- ヴァイオリンソナタ第41番変ホ長調K.481の第1楽章
[編集] 関連項目
- モーツァルトの楽曲一覧
- クラシック音楽の曲名一覧
- 「ジュピター」という題名の曲
[編集] 参考文献
- 『作曲家別名曲解説ライブラリー14 モーツァルトI』音楽の友社、1993年
- 小林秀雄の評論「モオツァルト」で41番が取り上げられている(『モオツァルト・無常ということ』新潮社)
カテゴリ: モーツァルトの交響曲 | ハ長調