京浜急行バス大森営業所
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京浜急行バス大森営業所(けいひんきゅうこうばすおおもりえいぎょうしょ)は京浜急行バスの路線のうち、大井町駅・大森駅を発着するバス路線を主に所管している営業所である。営業所のある東京都大田区平和島に車庫と工場を持つほか、大森操車所(JR大森駅前)と森ヶ崎操車所(東京都大田区森ヶ崎)を持ち、営業所記号はMである。
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[編集] 沿革
営業所の開設は1970年(昭和45年)6月16日である(5月27日とする資料もある)。従来大森地区の路線は羽田営業所が担当していたが、運行管理の合理化から羽田営業所を分割して新たに大森営業所を新設した。開設当初は17系統を所管していたが、1973年(昭和48年)3月16日には六郷営業所の廃止に伴い、同営業所の所管していた一部路線を新たに所管することとなった。2007年3月18日にPASMO導入開始。
[編集] 現行路線
[編集] 鬼足袋線
- 森50 大森駅~八幡通り~沢田通り~東邦医大~蒲田駅
鬼足袋線は、JR大森駅と蒲田駅とを結ぶ路線である。路線名である鬼足袋は、大森第八中学校の辺りに鬼足袋という地下足袋工場があったことに由来する(1935年に閉鎖)。
この路線は、1931年(昭和6年)12月28日に大森乗合自動車が大森駅~梅屋敷通り間の免許を取得し、翌1932年(昭和7年)4月25日に開業させたのが始まりである。国鉄と京浜電車に挟まれた市街地を走るため当初より営業成績は良く、開業当初は8人乗りフォード2両での運行だったものが、1933年(昭和8年)には新たに8両を増備している。しかしながら、開業前の1932年初頭に大森乗合は目黒蒲田電鉄(現在の東京急行電鉄の前身)の買収にあい、1933年6月1日に同電鉄の系列会社である目蒲乗合に吸収合併され、池上営業所大森支所の所管となった。また同年9月には路線を蒲田花園(蒲田御園(=国鉄蒲田駅)の誤植の可能性あり)まで延長しているが、1941年頃の終点は大森五丁目だったようだ。なお目蒲乗合は、1937年(昭和12年)に目黒蒲田電鉄にすべての路線を譲渡したため、目黒蒲田電鉄(1939年に東京横浜電鉄、1942年に東京急行電鉄へ社名・商号を変更)の直営となった。
戦後、東京急行電鉄の解体時には既に営業が休止されており、鬼足袋線の路線免許は京浜急行電鉄に引き継がれた。これは営業エリアの境を国鉄東海道本線としたためである。その後、1951年(昭和26年)4月1日に営業を再開した。1992年(平成4年)3月16日には深夜バスの運行を開始し、現在に至る。
[編集] 森ヶ崎線
- 森26 大森駅~大森海岸駅~平和島駅~大森警察~北糀谷~森ヶ崎
- 森56 大森駅~八幡通り~大森福祉事務所~平和島駅~大森警察~北糀谷~森ヶ崎
- 蒲36 蒲田駅~京急蒲田~日ノ出通り~大鳥居~北糀谷~森ヶ崎
森ヶ崎線は、JR大森駅および蒲田駅と森ヶ崎を結ぶ路線である。
森ヶ崎へバスが開通したのは大正13年7月のことである。森ヶ崎は明治時代より湯治場としてさかえており、平林吉蔵が京浜電鉄(現在の京浜急行電鉄)の山谷駅と森ヶ崎間で人力車の運行を行っていた。1917年(大正6年)頃には、森ヶ崎~梅屋敷駅間に道路が開通したので、平林は梅屋敷からの人力車の運行も開始した。1924年(大正13年)7月、酒匂呑吉が地元の有志と計って都南自動車商会を設立し、森ヶ崎への乗合自動車の運行を開始した。これに対向して、平林も同年11月に森ヶ崎人力自動車株式会社を設立し、人力車と乗合自動車を併用して運行にあたった。その後、両者の競争が激しくなったため、1928年(昭和3年)11月24日、両社を解散して新たに梅森自動車が設立された。梅森自動車は1933年(昭和8年)6月1日、梅屋敷~省線蒲田駅間を延長して、路線を蒲田駅~森ヶ崎とした。その後、梅森自動車は京浜電鉄の傘下となり、1939年(昭和14年)には同じく京浜の傘下となった蒲田乗合と合併し梅森蒲田自動車となった。また1942年(昭和17年)12月に東京急行電鉄に吸収され、路線は同社の渋谷営業局の管理となった。
戦後、1948年(昭和23年)の東急からの分離独立時には大森駅~森ヶ崎が存在しており、同年11月1日には蒲田駅~森ヶ崎間の運行も再開されている。1977年(昭和52年)4月1日、大森駅~大森福祉事務所~森ヶ崎間の運行が開始され、また1992年(平成4年)3月16日より蒲田駅~森ヶ崎間に深夜バスの運行が開始された。
[編集] 大森東5丁目線
- 森27 大森駅~八幡通り~平和島駅~大森警察~大森東5丁目
[編集] 大井町線
- 井19 大井町駅~青物横丁駅~立会川~鈴ヶ森~大森駅~大森海岸駅~レジャーランド平和島
大井町線はJR大井町駅からJR大森駅を経由してレジャーランド平和島に至る路線である。大井町発の便は、途中の鈴ヶ森付近で第一京浜国道から桜新道方面へ右折するが、この交叉点は路線バス以外右折禁止である。路線は、1960年(昭和35年)5月16日に大井町駅~大森駅で運行を開始し、同年9月21日に平和島まで延長されているが、大半が大井町駅~大森駅間の運行である。
[編集] 大森駅~八潮線
- 森22 大森駅~大森海岸駅~八潮パークタウン循環
大森駅~八潮線は、JR大森駅と品川区八潮にある八潮パークタウンを結ぶ路線である。1983年(昭和58年)3月25日、団地の入居開始に合わせて運行を開始し、同時に八潮南小学校始発、および八潮南止まりの出入庫便も設定された。なお都営バスも同日付で品91系統を開通させている。
[編集] 大井町駅~八潮線
- 井12 大井町駅東口~青物横丁駅~立会川~八潮パークタウン循環
大井町駅~八潮線は、JR大井町駅と品川区八潮にある八潮パークタウンを結ぶ路線である。1985年(昭和60年)4月1日に運行を開始し、大森駅~八潮線と同様に八潮南小学校始発、および八潮南止まりの出入庫便も設定されている。京急線立会川駅への利便性向上のために新設された路線のため、大井町駅に出るには同区間を走る都営バス井92系統に比べてやや時間がかかる。
[編集] 船の科学館線
- 井30 大井町駅→青物横丁駅→台場駅→東京テレポート駅→船の科学館→台場駅→東京テレポート駅→青物横丁駅→大井町駅
- 井32 大井町駅→青物横丁駅→台場駅→東京テレポート駅→青物横丁駅→大井町駅
- 森30 大森駅→大森海岸駅→台場駅→東京テレポート駅→船の科学館→台場駅→東京テレポート駅→大森海岸駅→大森駅
- 森40 大森駅→平和島駅→台場駅→東京テレポート駅→船の科学館→台場駅→東京テレポート駅→平和島駅→大森駅
- 1978年7月16日: 宇宙科学博覧会輸送のため、大井町駅~船の科学館・大森駅~大森海岸駅~船の科学館・大森駅~平和島駅~船の科学館を臨時運行。
- 1979年1月16日: 宇宙科学博覧会終了に伴い、上記3路線を定期路線化。
途中で井30から森30に変わる便と森30から井30に変わる便がある。
[編集] 京浜島・昭和島循環線
- 森24 大森駅~大森海岸駅~平和島駅~流通センター~京浜島循環
- 森25 大森駅~大森海岸駅~平和島駅~流通センター~昭和島循環
- 森36 大森駅~大森海岸駅~平和島駅~流通センター~京浜島・昭和島循環
- 森37 大森駅→八幡通り→平和島→流通センター→京浜島・昭和島循環→大森車庫→大森海岸駅→大森駅
- 森38 大森駅→八幡通り→平和島→流通センター→京浜島・昭和島循環→平和島駅→レジャーランド平和島
- 森39 大森駅→八幡通り→平和島→流通センター→京浜島・昭和島循環→平和島駅→大森海岸駅→大森駅
- 森41 大森車庫~レジャーランド平和島~平和島駅~流通センター~京浜島・昭和島循環
- 平和54 レジャーランド平和島~平和島駅~流通センター~京浜島循環
- 1978年9月25日: 大森駅~平和島~京浜島循環(森34)の運行を開始。
- 1982年4月16日: レジャーランド平和島~京浜島循環の運行を開始。
- 1983年6月22日: 大森駅~平和島駅~京浜島循環(森24)の運行を開始。
- 1983年12月26日: 大森駅~昭和島循環の運行を開始。
- 1985年頃: 大森駅~平和島~京浜島循環(森34)を廃止。
[編集] 流通センター循環線
- 森31 大森駅~大森海岸駅~平和島駅~流通センター循環
- 平和41 レジャーランド平和島~平和島駅~流通センター循環
[編集] 城南島循環線
- 森32 大森駅~大森海岸駅~平和島駅~流通センター~大田市場~城南島循環
- 森32 大森駅~大森海岸駅~平和島駅~流通センター~城南島循環
- 1988年4月1日: 大森駅~城南島循環・大森駅~城南島循環~レジャーランド平和島の運行を開始。
[編集] 平和島循環線
- 森28 大森駅~大森海岸駅~レジャーランド平和島~平和島循環
- 森33 大森駅~(八幡通り→/←大森海岸駅)~レジャーランド平和島~平和島循環
- 1968年11月1日: 大森駅~トラックターミナル間の運行を開始。
- 1972年4月1日: 大森駅~トラックターミナルを大森駅~平和島循環に変更延長。
[編集] 大田市場線
- 森43 大森駅~大森海岸駅~平和島駅~流通センター~大田市場循環
大田市場線は、JR大森駅と大田区にある大田市場を結ぶ路線である。1989年(平成元年)5月6日、大田市場の業務開始にあわせて大森駅~大田市場間の運行を開始し、1993年(平成5年)7月22日には深夜バスの運行も開始しした。
[編集] 大田スタジアム線
- 森43 大森駅~大森海岸駅~レジャーランド平和島~大田スタジアム
[編集] しながわ水族館線(契約輸送)
- 直行 大井町駅~(直行)~しながわ水族館(東急バスと共同運行)
[編集] 参考文献
- 京浜急行電鉄株式会社 『京浜電気鉄道沿革史』 京浜急行電鉄、1949年。
- 京浜急行電鉄株式会社 『京浜急行最近の10年』 京浜急行電鉄、1958年。
- 京浜急行電鉄株式会社 『会社要覧’68 京浜急行』 京浜急行電鉄、1968年。
- 京浜急行電鉄株式会社 『最近の10年の歩み』 京浜急行電鉄、1968年。
- 京浜急行電鉄株式会社 『京浜急行八十年史』 京浜急行電鉄、1980年。
- 京浜急行電鉄株式会社 『京浜急行百年史』 京浜急行電鉄、1999年。
- 東京急行電鉄社史編纂事務局 『東京急行電鉄50年史』 東京急行電鉄、1973年。
- 山県智 『京浜急行バス案内書1』 東京乗合自動車愛好組合戸山支部、1992年。
- 『都市交通年報』 運輸経済研究センター、各年度版。
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