京阪宇治線
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宇治線(うじせん)は、京都府京都市伏見区の中書島駅から京都府宇治市の宇治駅までを結ぶ京阪電気鉄道の鉄道路線。
京都・大阪から宇治周辺の名所への行楽路線。ほぼ全線がJR奈良線と並行している。
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[編集] 路線データ
[編集] 運行形態
現行ダイヤでは、平日の日中と土休日の朝昼は4両編成が、土休日の深夜は一部5両編成の普通列車が線内折返し運転されているのみ。全線ラッシュ時は5分から8分間隔でデータイムは10分間隔である。朝ラッシュ時は5本が、その他の時間は4本が運用に入っている。
かつては毎日多数の列車が京阪本線の三条方面と直通運転されていたが、2000年7月1日のダイヤ改正で大半が廃止された後、2003年9月6日のダイヤ改正までは平日午前中2本のみ残り、全線ラッシュ時は5分~8分間隔で昼間時間帯は15分間隔の運行であった。2003年9月6日のダイヤ改正から京都三条方面の直通運転が廃止され、車両も5両編成と4両編成で運用されていたが、5両編成の宇治線定期運用は一時廃止された。だが、2006年4月16日のダイヤ改正で土休日の深夜に限り、5両編成での定期運用が復活することになった。なお、8月開催の宇治川花火大会等の多客時や運用の都合で5両編成が使用されることがある。
1989年9月26日までは三条方面直通で急行も走っていたが、宇治線内は各駅停車だった。また、1998年から1999年までの行楽シーズンに大阪方面直通の臨時快速「宇治快速」が運転されることがあった(後述)。
また、1947年(昭和22年)4月1日から1968年(昭和43年)12月20日までは、宇治線の一部の電車が奈良電気鉄道(1963年(昭和38年)10月1日以降は近鉄京都線)の京都駅まで乗り入れていた。丹波橋駅で京阪と奈良電(のち近鉄)が接続して直通運転を行っていた。
2007年1月21日に2006年7月29日から運転されていた「きかんしゃトーマス」ラッピング電車のラストランの臨時列車として宇治→天満橋間に10000系を使用した臨時特急が運転された。宇治線で特急列車が運転されるのはこれが初めてである。宇治線内では全駅に停車した。
[編集] 使用車両
※以下は以前運用されていた車両(宇治川花火大会の日は輸送力確保のため5両編成が大量に使用される。また車両運用の都合でも入る場合がある)
[編集] 歴史
- 1913年(大正2年)6月1日 中書島~宇治間が開業。
- 1917年(大正6年)2月1日 三室戸駅開業。
- 1926年(大正15年) 黄檗山駅を黄檗駅に改称。
- 1943年(昭和18年)10月1日 会社合併により京阪神急行電鉄(阪急電鉄)の路線となる。
- 1943年(昭和18年)11月1日 三室戸駅廃止。
- 1945年(昭和20年)9月15日 観月橋駅、御陵前駅休止。
- 1945年(昭和20年)11月8日 観月橋駅営業再開。
- 1946年(昭和21年)2月15日 御陵前駅営業再開。
- 1947年(昭和22年)4月1日 三室戸駅開業。
- 1949年(昭和24年)11月25日 御陵前駅を桃山南口駅に改称。
- 1949年(昭和24年)12月1日 会社分離により京阪電気鉄道宇治線となる。
- 1978年(昭和53年)3月10日 全線を軌道法に基づく軌道から地方鉄道法に基づく鉄道に変更。
- 1983年(昭和58年)12月4日 架線電圧を600Vから1500Vに昇圧。
- 1995年(平成7年)6月17日 宇治駅が移転し、0.2km短縮。これにより、一部の駅間で運賃改定。
- 2000年(平成12年)7月1日 三条駅直通列車を平日朝の三条行きの2本を残して廃止。
- 2003年(平成15年)9月6日 三条駅直通列車を完全廃止。
- 2004年(平成16年)8月1日 PiTaPa導入。
- 2007年(平成19年)1月21日 「きかんしゃトーマス」のラッピングが施された10000系第3編成で、宇治→天満橋間に『特急』を運転。同区間直通運転は後述の「宇治快速」以来のことであり、『特急』の運転は宇治線史上初。
[編集] 宇治快速
「宇治快速」は、京阪本線淀屋橋駅~宇治線宇治駅間に1998年11月~1999年11月までの行楽シーズンの休日ダイヤ(当時は日曜日と祝日)のみ運行していた臨時列車である。列車種別は臨時列車とは言え、新たな種別名「快速」を設定した。これは停車駅が特急並みであったことによる。なお同社の快速は急行より上位の位置付けとなっている。
運行期間は年間4シーズンあり、春休みは「宇治快速さくらSpecial」、ゴールデンウイークは「宇治快速わかばSpecial」、6月には「宇治快速あじさいSpecial」、秋のシーズンは「宇治快速もみじSpecial」と季節により列車名を変えていた。
特記以外は「宇治快速」に統一して述べる。
[編集] 概要
1998年11月1日、「宇治快速」は運行を開始した。この列車の設定理由は1998年当時宇治地区が「源氏物語の街」として観光に力を入れていたこと、同年秋に宇治駅付近に「源氏物語ミュージアム」が完成したことによるものである。また1996年に10haの敷地を誇る、宇治市植物公園が開園し、1997年に京阪宇治交サービスの経営する地ビールレストラン「ガーデンズ天ヶ瀬」がオープン(不振により現在閉鎖)するなど、新名所が相次いで誕生しており、大阪方面から乗り換えなしで宇治地区への観光客を誘致する目的もあった。1986年までは行楽シーズンに淀屋橋駅~宇治駅間の臨時急行も運転されていたが廃止されたので京阪本線との直通列車は12年振りであった。なお阪急電鉄の「嵯峨野エクスプレス」と違い、支線である宇治線内も急行運転された。ただし宇治線内の通過駅では列車選別装置がないため、駅構内の踏切動作の関係上、15km/h程度で通過していた。
運行開始当初、「もみじSpecial」の運行に合わせて、秋の企画乗車券「もみじきっぷ」の一つとして、「宇治フリーきっぷ」を設定した。列車車内では、ボランティアガイドによる、観光案内放送や、茶摘み娘によるPRもあり、「ガーデンズ天ヶ瀬」では「源氏物語ミュージアム」開館記念地ビール「源氏物語」を販売した。これらの活性化策により、宇治市では前年比約30%の増客となった。
「宇治快速」は1999年の「もみじSpecial」を持って運行を終了した。これは大阪方面からの直通客が予想以下であったことと、宇治地区の観光人気が下火になったからだと言われている(詳細は不明)。
その後、2000年7月1日の京阪線ダイヤ改正で中書島駅が特急終日停車駅となり、乗り換えが必要とは言え、従来の急行電車利用と比べて大阪方面への利便性が向上した事もあって、今後「宇治快速」の運行再開の予定はない。
[編集] 運行記録
- 運転区間
- 往路 宇治方面行 淀屋橋→宇治 2列車
- 復路 大阪方面行 宇治→天満橋 1列車
- 当時の発時刻(始発駅のみ)
- 淀屋橋 9:04、10:34発
- 宇治 15:30発
- 使用車両
- 淀屋橋9:04発 1900系
- 淀屋橋10:34発、宇治15:30発 7200系
- 特筆されるのは「宇治快速」運用のためだけに7200系は早朝に寝屋川車庫内で8連を5連に組み替え、運転終了後の夕方過ぎに再度8連に戻すということをしていた。
- なお、7200系の特徴であるLED式車内案内表示器は全く使用されなかった。
- 1999年4月11日の「宇治快速さくらSpecial」の淀屋橋発9:04のみ2600系を使用した(基本的には2600系は車外スピーカー未取付のため「宇治快速」では運用されない)。
- ヘッドマーク
- 当時の車両には「快速」表示幕が無く、「臨時」表示幕を提示し、前面に「宇治快速」と「~Special」の合計2枚の表示板を用意して取り付けた。
- 回送
- 淀屋橋発は2本とも寝屋川車庫から回送。
- 淀屋橋発9:04は宇治到着後に寝屋川車庫に回送。10:34発は宇治到着後中書島の引き上げ線に回送し一旦留置後、再び宇治まで回送し天満橋行となり、到着後寝屋川車庫まで回送。
[編集] 駅一覧
- 普通列車のみ運転、全列車が各駅に停車。
駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|
中書島駅 | 0.0 | 京阪電気鉄道:京阪本線 | 京都府 | 京都市伏見区 |
観月橋駅 | 0.7 | |||
桃山南口駅 | 2.3 | |||
六地蔵駅 | 3.1 | 京都市営地下鉄:東西線 西日本旅客鉄道:奈良線 |
||
木幡駅 | 3.9 | 宇治市 | ||
黄檗駅 | 5.4 | 西日本旅客鉄道:奈良線 | ||
三室戸駅 | 7.2 | |||
宇治駅 | 7.6 |
なお、京阪では、六地蔵駅と黄檗駅で乗り換えを知らせるアナウンスを流さない。また、路線図を見ても、(黄檗駅の場合は)乗換駅と正式には書かれていない。
[編集] その他
- 中書島駅では、京阪本線との誤乗を防ぐために宇治線ホームでは発車案内放送を「3番線の各駅停車が発車します」ではなく「3番線の宇治行きが発車します」としている(枚方市駅でも発車案内放送は京阪本線と交野線で区別されているほか、京橋駅と天満橋駅でも似た措置がとられている)。
- 方向板を正面に掲出していた頃、宇治発の三条行きの方向板は大阪方面からのそれと区別するため、「三」と「条」の間が開いたものを使用していた。