京阪本線
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京阪本線(けいはんほんせん)は、大阪府大阪市中央区の淀屋橋駅から京都府京都市東山区の三条駅までを結ぶ京阪電気鉄道の鉄道路線。
「本線」という路線名ではなく、京都と大阪を結ぶという意味の社名略称を冠した「京阪本線」が正式な路線名である。京阪本線に接続する各路線(鴨東線・宇治線・交野線)と併せて京阪線と総称される。
目次 |
[編集] 路線データ
- 路線距離(営業キロ):淀屋橋~三条間 49.3km
- 軌間:1435mm
- 駅数:40駅(起終点駅含む)、1信号所
- 複線区間:
- 複々線:天満橋~寝屋川信号所間
- 複線:淀屋橋~天満橋間、寝屋川信号所~三条間
- 電化区間:全線電化(直流1500V)
- 閉塞方式:自動閉塞式
- 最高速度:110km/h
[編集] 概要
路線名の通り、大阪と京都を結ぶ路線であるが、並行するJR京都線や阪急京都本線とは異なり、淀川の南側を通る。大阪市内の淀屋橋~天満橋間と京都市内の七条~三条間は地下線となっている。東福寺~三条間は軌道法に基づく軌道となっている。天満橋~寝屋川信号所間12.6kmの複々線は1980年以来日本の私鉄最長だったが、1997年に東武伊勢崎線にその座を譲った。普通列車と一部の区間急行は外側線(B線)、その他の列車は内側線(A線)を走る。
大阪市の天満橋駅から分岐して同市北区の中之島地区を通る中之島線が建設中で(2008年度末開業予定)、同線開業後は京阪本線と一体的に運行される予定となっている。
淀屋橋駅(1面3線だが1番線と4番線が同じ線を使う)のホーム構造が災いして、全体的に余裕のないダイヤになっている。そのため淀屋橋駅や出町柳駅での折り返し時間が僅少な列車も多く存在する。
[編集] 運行形態
三条駅に発着する大半の列車が鴨東線の出町柳駅まで直通運転している。
[編集] K特急
京阪本線の最優等種別。2003年9月6日のダイヤ改正で新設(運転開始は8日から)され、淀屋橋~出町柳間で運転される。朝の淀屋橋行は枚方市にも停車する。平日の昼間以外の時間帯のみの運転で、通勤特急の役割を果たす。朝の下り以外は事実上の京阪間ノンストップ列車である。朝の一部の列車は3ドア車で運転される。土曜・休日は運転しない。また、朝ラッシュ時には交野線私市から淀屋橋行K特急「おりひめ」が運転されている。 平日朝ラッシュ時下りの列車は枚方市から非常に混雑し一部車両には押し屋が必要なほどである。 朝ラッシュ時には出町柳側の1両目が女性専用車両として運用されている。
[編集] 特急
京阪本線の主力優等種別。K特急の運転がない平日昼間と土曜・休日の終日に淀屋橋~出町柳間で運転される。
2006年4月16日のダイヤ改正から運転時間が拡大され、平日朝9時台前半の特急にK特急と同様に女性専用車両が設定された。現行のダイヤでは枚方市以東の先着列車・優等列車となるので、昼間でも激しく混雑する場合がある。
K特急・特急は利用客に「京阪特急」の通称で親しまれている。車両はテレビが設置されているテレビカーと2階建車両(ダブルデッカー)が連結されている特急用の3000系・8000系電車の運用が中心だが、2003年9月6日のダイヤ改正で車両数の関係から昼間時間帯の特急のうち約1/3の列車に3ドアの車両が使用されることとなった。3ドアの特急には主にセミクロスシートの9000系が運用されるが、一部の列車で7200系や6000系電車などのオールロングシート車が使用されるものもある。なお、駅の時刻表には発車時刻の横に小さく2ドア車か3ドア車を表すマークが付けられている。
今でこそ枚方市駅・樟葉駅に停車しているが、2003年までは基本的には通過(枚方市駅は朝のみ停車)だったが、毎年8月の最終日曜日に行われていた『くらわんか花火大会』の開催時には枚方市駅(1998年以前は樟葉駅)に臨時停車していた。
[編集] 急行
ほぼ終日運転されている。昼間は淀屋橋~枚方市間での運転(一部は準急)が主体となり、それ以外の時間帯は淀屋橋~出町柳間の運転が主体となる。運用はラッシュ時には天満橋折り返し列車や樟葉始発・終着の列車がある。昼間運行の急行(準急)は守口市で必ず普通に連絡し、香里園で特急の通過待ちを行う。平日の昼間時と土曜・休日の11~15時台以外は淀屋橋~出町柳間で運転され、土曜・休日は一部を除き淀屋橋・三条まで先着する(平日の場合京阪間の通し列車は早朝・朝ラッシュ時上り・深夜の一部列車を除き途中駅でK特急に追い抜かれる)。守口市と枚方公園は朝ラッシュ時と深夜は通過する。7両編成の運用もあるが、大阪口(特にK特急運転時間帯)での混雑が激しいため8両編成での運転が中心である。京阪本線の約半数の駅に停車しており、そのために2003年9月のダイヤ改正までは特急と急行の所要時間の差が大きかった(東急東横線の急行も同様に約半数の駅に停車している)。
時間帯によっては入出庫・間合い運用の都合上、特急用の3000系・8000系電車が運用に入ることもある。特急車の急行は平日朝下りの通勤時間帯が終了する9時~10時台に枚方市駅始発の下り急行として運用に入ることが多く、淀屋橋駅での折り返し時に通勤車両で運転される特急と運用を入れ替えるダイヤパターンとなっている。さらに早朝・深夜を中心に準急・区間急行・普通の運用もある。
京都競馬場での競馬開催時(場外馬券の時期も含む)は淀駅に臨時停車する。淀駅の大阪寄りに淀車庫があるため、早朝と深夜の同駅発着の急行と競馬開催時の同駅始発天満橋・出町柳行の臨時急行に限り客扱いを行う(通常通過する車庫最寄り駅を始発・終着駅として入出庫する急行が停車するのは過去に東急東横線の元住吉駅で行っていた方式と同様)。なお早朝・深夜の出町柳駅~淀駅の急行は2003年9月までは準急として運転されていた。2007年1月27日のダイヤ一部変更で平日15時台に淀屋橋・枚方市発着にする急行が準急に格下げされた。
[編集] 準急
原則として昼間時間帯以外で運転されている。基本的には淀屋橋~樟葉間の運行が主体だが、ラッシュ時には京阪間通しの列車が、早朝・深夜や淀発着列車もある。昼間の一部時間帯に急行に変わって枚方市発着列車も運転される。その列車は必ず守口市で普通に接続する。平日昼間の枚方市発の準急は萱島で区間急行に接続する。8両編成の運転もあるが、京阪間通しの列車は7両編成での運転である(中書島以遠の普通(準急)停車駅が7両編成までの対応のため)。大阪近郊の中距離優等種別という位置づけで、守口市は早朝から朝ラッシュ時は通過する。1989年9月27日から2003年9月6日のダイヤ改正までは京都口にも通過駅のある準急(運転区間:樟葉・淀~出町柳)が走っていた(2003年改正以前の停車駅は樟葉~中書島間の各駅・丹波橋・伏見稲荷・七条~出町柳間の各駅)。これは三条から宇治線に直通していた急行を変更したものであった。現在では萱島以東では各駅に停車する1989年以前の形に戻っている。
また、平日夕方のラッシュ時には交野線直通の準急「ひこぼし」が運転されている。この列車は交野線のホーム有効長の関係で5両編成で運転される。毎年7月7日には七夕伝説に因み、臨時K特急の「おりひめ」を夕方に走らせ、私市駅で1年に一度だけ「おりひめ」と「ひこぼし」を出会わせるイベントが行われる。
[編集] 区間急行
昼間時間帯は天満橋(一部は淀屋橋行き)~萱島間で運転される。昼間運行の区間急行は淀屋橋行きを除き京橋で淀屋橋行きの普通に接続する。ただ昼間運行の列車は平日と休日とでは利用客に大きな差がある。そのために平日には8両編成の運用がある一方で、土休日は5両編成の運用が大半を占めるようになる。 朝ラッシュ時は急行と準急が停車しない守口市を補完する役割を持ち、萱島発着を中心に枚方市・香里園・樟葉発着も運転される。なお夕方以降は、以前は多く設定されていたが、ほとんどの列車が準急に格上げされ、かつ守口市駅への急行停車時間帯が拡大されたために、現行のダイヤでは少ない。また、平日の22時以降の下りに関しては準急がなくなるために樟葉発着を中心に比較的多く運転される。急行線の容量の関係上、朝ラッシュ時には全線外側線(緩行線)を走行する列車もある。前を走行する普通列車の速度に合わせて走るため守口市~京橋間の所要時間は急行線を走る区間急行より2~3分遅い。運転士が使用する時刻表には淀駅まで記載されている。
なお、南海電鉄や近鉄南大阪線では区間急行が準急よりも上位の種別になっているが、京阪では区間急行が準急よりも下位の種別になっている。これは種別設定時以来の伝統である。後に東武伊勢崎線にも区間急行が登場したが、停車駅パターンは準急と千鳥停車になっておりどちらが上位とも言えない状態である。
[編集] 普通
昼間時間帯の普通列車は淀屋橋~出町柳間の運転で、それ以外は淀屋橋~萱島・三条間・淀~三条・出町柳間の運転が基本である。昼間時は守口市で必ず急行(一部は準急)に、枚方市・丹波橋・三条で特急に連絡する。朝夕は京都府側の区間列車も運転されている。京都口の区間列車や京阪間通しの列車は7両か5両での運転である。2006年4月16日に3年ぶりに昼間の出町柳直通(一部は三条発着・天満橋発着も運転)運転が復活した。その一方で平日の夕方ラッシュ時の京都口の樟葉駅折り返しの区間列車が消滅し、一部列車は準急に系統統合されている。また、2000年のダイヤ改正までは宇治線に直通する普通列車も存在していた。この列車は配線の都合上、中書島で進行方向が変わっていた。
- 平日と土曜の朝ラッシュ時の上り列車の枚方市行の1本は、後部2両を女学生・児童優先車両としている。
[編集] まとめ
昼間時の1時間毎の運転本数をまとめると、以下の通りになる。
- 淀屋橋~天満橋:特急6本、急行(準急)6本、普通6本
- 天満橋~萱島:特急6本、急行(準急)6本、区間急行6本、普通6本
- 萱島~枚方市:特急6本、急行(準急)6本、普通6本
- 枚方市~出町柳: 特急6本、普通6本
2006年4月16日に京阪線のダイヤ改正が実施された。平日の場合、朝のK特急の一部を特急に変更、区間急行が26年ぶりに昼間時に運転されるようになったほか、43年ぶりに昼間時の天満橋止まりが復活するなど、大幅に変わったが、枚方市・丹波橋・三条での緩急連絡は従来通りである。一方で改正前後には、朝ラッシュ時に天満橋で折り返す急行・準急が増えたことや、昼間時の準急の廃止により萱島駅及び光善寺駅の利便性が低下したことに対する不満も上がったようで、2007年1月27日にはこれらの問題点に対応したダイヤ変更が実施された(朝ラッシュ時の天満橋折返し列車と淀屋橋発着列車の配分の見直し、平日15時台の急行を準急に格下げ、など)。
[編集] 臨時列車・ダイヤ
- 京都競馬開催時の臨時列車
- 京都競馬場での競馬開催時には最寄駅となる淀まで準急(基本的に淀屋橋~樟葉間定期列車)が延長運転される。2006年4月16日のダイヤ改正までは枚方市~淀間を延長される列車のうち枚方市~淀間で急行運転するものは「Gallop」(ギャロップ)として運転され、ヘッドマークも掲げられていた。過去には「淀快速ターフィー号」として運転されていた(停車駅は淀屋橋、北浜、天満橋、京橋、守口市、淀)。また京都方面へも三条行の臨時急行が運転されることもあった。この臨時急行は「馬急(うまきゅう)」とも呼ばれ、行き先サボを使用していた時代には蹄鉄が描かれたサボを使用していた。なお、2006年4月16日のダイヤ改正以降は臨時列車の本数は大幅に減ったものの、レースの規模によって復路のみ天満橋行・三条行の急行が運転されることがある。過去には淀駅ホームに観戦帰りの客が殺到し、安全性確保のために通常は通過する特急が急遽臨時停車した例もあった。
- 宇治快速
- 京阪宇治線の項を参照のこと。
- 年末年始
- 正月三が日の初詣輸送には特に力を入れており、元日(厳密に言えば大晦日の夜間以降)から1月3日(年により5日)までは通常ダイヤとは全く異なる「正月ダイヤ」を組む。年末から年始にかけて全列車とも京阪ホームページ上や広報誌「K-press」で公表されている。
- 大晦日の深夜から元日の朝にかけては、急行を10~20分間隔(普通列車は20分間隔で淀屋橋~三条間で運転。交野線、宇治線でも20分間隔で運転)で終夜運転(大みそかダイヤ)を実施する。なお急行は昼間時の運転と同じ停車駅パターンとなる(守口市・枚方公園に停車)。京阪線の終夜運転は関西圏でも運転頻度が多い部類に当たる。それでも急行を中心に激しく混雑し、利用客から終夜運転の運転時間帯にも特急を走らせて欲しいという要望もある。
- 一方正月三が日では、昼間時のみ特急・急行・普通が10分間隔で運転される。2006年度での実績は昼間は特急、急行が淀屋橋~出町柳間で運転され、普通列車は淀屋橋~三条間で運転された。なお急行は枚方市駅で特急の待避を行っている。 なお朝間、夜間では特急の運転がなくなり通常時と比べると本数がやや少なくなるのも特色である。過去に2003年以前は特急用の車両は予備車を含めてフル運用に入り、賄いきれなくなった運用に9000系電車が入る程度だった。さらに9000系登場以前は一般車が特急の運用に入ることもあった。一般車(6000系・7000系・7200系を除く)の運用の中には1983年までは真正面に特急のシンボルマーク(鳩マーク)を掲げて運転していたこともあった。また増発の増発で特急が運転されることもあった。
他にも祇園祭、大文字送り火、宇治川花火大会、天神祭など沿線で大きな催し物がある場合は特に夜間を中心に臨時列車が運転される。また行楽シーズンには淀屋橋・天満橋~三条・出町柳間に臨時特急が運転されることがある。他線に比べて比較的臨時列車が多い路線だが近年臨時列車は減便傾向にある。以前は名称が無い臨時列車にも「臨」のヘッドマークが掲げられいたが2003年9月改正以降はこのマークは臨時特急のみにしか掲げられていない。
[編集] 乗務員
- 京阪電鉄では、全線全列車とも停止状態から動き出す時、前方の鉄道信号(種類を問わず)を必ず指差し喚呼する。また、全停車駅において、運転士が後方監視を行い、客扱い終了を確認すると車掌に対して手か電鈴1打か2打による閉扉良しの合図を送る。
- 京阪電鉄では、一般列車の乗務を半年以上経験した者が、特急乗務員となる。
[編集] 歴史
開業当初は多くの併用軌道区間とカーブのある路線であった。線路の移設などによる改良が重ねられたが、今もカーブは随所に残り、「京阪電気鉄道カーブ式会社」と揶揄されることもある。
京都・大阪側ともに開業時は中心部に駅を設けることができず、後に延伸を行っている。このうち京都側の五条~三条間は京都市が市電用に取得した特許を利用して建設され、市から京阪が借り入れる形を取っていた(詳細は京阪60形電車の項目を参照)。また、大阪側は本来高麗橋を起点とする予定が天満橋に変更を余儀なくされ、それ以来中心部への乗り入れは京阪の悲願となる。建設当初は阪神電気鉄道と共に大阪市電への乗り入れも計画していたが、車体規格の問題でお流れとなった。その後、戦前には新京阪線(後述)との総合ターミナル駅建設による梅田への乗り入れ計画も作られたが果たせず(京阪梅田線を参照)、開業から半世紀余りを経た1963年にようやく地下線で淀屋橋への乗り入れを果たした。
1910年4月1日が開業日となるはずであったが、守口変電所の故障などで開業が15日延期された。ようやく開業にこぎつけた4月15日当日も車両故障が発生して始発電車から立ち往生する事態となり、当時の新聞にも酷評されるなど散々な目に遭った。このため、18日までの3日間は運賃を半額にするという、今では考えられないサービスで汚名返上に努めた。
天満橋~五条(当時は現在の場所ではなく京都駅近くの塩小路)間の所要時間は開業当初1時間40分で、7月から1時間30分に、大正時代に入った1912年には1時間20分まで短縮した。さらなる所要時間の短縮を狙い1914年には日本初となる急行電車の運転を開始した。当初は深夜の運転で天満橋~五条間をノンストップで走り1時間で結ぶことに成功。翌年からは日本で初めて自動閉塞信号機を導入し、日中にも運転時間帯を拡大した。三条延伸開業後は途中四条駅のみ停車となったが天満橋~三条間の所要時間は1時間で変わらなかった。1916年からはこの急行を最急行に格上げし、主要駅停車の急行を新設した。但し、最急行は改称後4ヶ月で廃止されている。京阪電気鉄道の急行創始の項目も参照のこと。
1927年にはロマンスカーと称した初代600形電車を登場させ急行に使用した。このため、「ロマンスカー」という名称を使用したのは、小田急電鉄ではなく京阪電鉄が最初となる。
京阪電鉄はその後、淀川右岸に京阪間を結ぶ高速鉄道を建設する計画を立てて、1922年に新京阪鉄道を設立した。1928年に新京阪線(今の阪急京都本線)天神橋~西院間が開通すると、京阪間の直通客は新京阪線に任せて京阪本線は沿線利用中心という方針を採った。このため昭和初期において同線には「びわこ号」を除いて特急と名の付く列車は設定されなかった。だが、戦中に京阪電気鉄道が京阪神急行電鉄(1973年に阪急電鉄と改称)に統合され、戦後の1949年にその京阪電気鉄道が新京阪線を京都本線と改称して阪急に残した形で再発足すると、それらとも争う形で再び京阪間直通客の獲得に乗り出し、特急が運転されるようになる。
なお終戦直後の1945年から1968年まで、奈良電気鉄道線(現在の近鉄京都線)との相互直通運転も行っていた。
1978年に東福寺以南が軌道法に基づく軌道から当時の地方鉄道法に基づく地方鉄道に変更されたが、地下化工事が計画されていた東福寺~三条間は手続き上の便宜から軌道のままで残され、現在に至っている。鴨川と琵琶湖疏水に挟まれていた場所を走っていた同区間は1987年に地下化された。また、京都市電・大阪市電との平面交差が4ヶ所(京都の四条・七条・伏見稲荷と大阪の片町)に残っていたが、大阪市電とは1968年12月、京都市電とは1978年10月までにそれぞれ市電路線が廃止されたことによって解消した。架線電圧1500Vへの昇圧は1983年と大手私鉄の中でもかなり遅い部類に入る。これは、上記の通り路面電車(いずれも架線電圧600V)との平面交差が残っていたことも影響している。
深草駅~藤森駅間にある、道路が京阪本線の線路を跨ぐ形の立体交差は、戦前の陸軍の演習の支障を防ぐためのものであった(現在の陸上自衛隊の演習所は、郊外の宇治線木幡駅周辺や近鉄京都線大久保駅周辺に移転している)。
[編集] 年表
- 1910年(明治43年)4月15日 天満橋~五条間が開業。
- 1910年(明治43年)6月20日 桃山駅開業。
- 1910年(明治43年)12月15日 光善寺駅開業。京橋駅(初代、実際の京橋付近にあった)廃止。
- 1910年(明治43年)12月16日 稲荷駅を深草駅に、稲荷新道駅を稲荷駅に改称。
- 1913年(大正2年)4月26日 大仏前駅廃止。
- 1913年(大正2年)4月27日 七条駅開業。
- 1913年(大正2年)7月29日 桃山駅を丹波橋駅に改称。
- 1914年(大正3年)5月15日 最終列車としてノンストップの急行を運行開始。
- 1915年(大正4年)10月27日 五条駅~三条駅間延伸開業。急行は四条駅に停車とする。
- 1915年(大正4年)11月11日 伏見駅を伏見桃山駅に改称。
- 1916年(大正5年)4月1日 従来の急行を最急行に改称、主要駅停車の急行を24分ヘッドで運行開始。
- 1916年(大正5年)8月1日 最急行を廃止。
- 1918年(大正7年)3月1日 守口車庫開設。網島車庫から移転。
- 1918年(大正7年)12月1日 塩小路駅を廃止。
- 1922年(大正11年)3月23日 寝屋川~香里間に運動場前駅開業。当初は京阪グラウンドの催事のみ開設の臨時駅だった。
- 1922年(大正11年)11月12日 運動場前駅を常時開設の普通駅とする。
- 1929年(昭和4年)5月25日 御殿山駅開業。
- 1931年(昭和6年)10月14日 蒲生(現在の京橋)~守口(現在の守口市)間が専用軌道化。野江駅、関目駅、新森小路駅、森小路駅、滝井駅開業。旧線の野江駅、森小路駅廃止。現在の野江~土居付近高架化。
- 1931年(昭和6年)12月28日 森小路駅を森小路千林駅に改称。
- 1932年(昭和7年)6月14日 土居駅開業。
- 1932年(昭和7年)10月4日 大和田駅開業。
- 1932年(昭和7年)10月 蒲生駅を京橋駅近くに移転。
- 1933年(昭和8年)12月29日 蒲生信号所~守口間複々線化。当時私鉄最長。
- 1934年(昭和9年)4月 京津線との直通列車「びわこ号」運転開始(戦時中消滅)。
- 1936年(昭和11年)4月1日 準急の運行を開始。当時の停車駅は急行停車駅と守口・枚方・橋本・淀。
- 1938年(昭和13年)1月11日 夕方ラッシュ時に区間急行の運行を開始。
- 1938年(昭和13年)4月1日 香里駅を香里園駅に改称。
- 1939年(昭和14年)12月25日 八幡駅を石清水八幡宮前駅に、稲荷駅を稲荷神社前駅に改称。
- 1941年(昭和16年)9月1日 師団前駅を藤森駅に改称。
- 1942年(昭和17年)4月1日 新森小路駅を森小路駅に、森小路千林駅を千林駅に改称。
- 1943年(昭和18年)1月20日 運動場前駅を豊野駅に改称。
- 1943年(昭和18年)10月1日 会社合併により京阪神急行電鉄(阪急電鉄)の路線となる。
- 1945年(昭和20年)9月15日 土居駅、鳥羽街道駅、五条駅休止。
- 1945年(昭和20年)12月21日 奈良電気鉄道(現在の近鉄京都線)の電車が丹波橋駅から三条駅まで乗り入れ開始。
- 1946年(昭和21年)2月15日 戦争末期に運行を中止した急行の運行を再開。20分間隔で三条~天満橋間82分。
- 1946年(昭和21年)5月3日 五条駅営業再開。
- 1946年(昭和21年)5月11日 鳥羽街道駅営業再開。
- 1947年(昭和22年)4月1日 京阪線の電車も丹波橋駅から奈良電気鉄道京都駅まで乗り入れ開始。宇治~奈良電京都間1両編成で30分毎。
- 1947年(昭和22年)4月12日 土居駅営業再開。
- 1948年(昭和23年)1月1日 石清水八幡宮前駅を八幡町駅に、稲荷神社前駅を伏見稲荷駅に改称。
- 1949年(昭和24年)10月1日 蒲生駅を京橋駅に、枚方駅を枚方公園駅に、枚方東口駅を枚方市駅に改称。
- 1949年(昭和24年)12月1日 会社分離により京阪電気鉄道京阪本線となる。
- 1950年(昭和25年)9月1日 天満橋~三条間で特急の運転を開始、所要時間53分、朝の下り2本と夕方の上り2本のみ(日曜・祝日は運休)。京橋、七条、四条に停車。この停車駅は約50年間変わらず。
- 1951年(昭和26年)8月20日 寝屋川駅を寝屋川市駅に改称。
- 1952年(昭和27年)5月 大和田駅待避線新設、線路改良の完成や、新型車投入などにより、特急の所要時間を48分に短縮。併せて増発も実施し、特急は昼間は30分間隔での運転となる。
- 1953年(昭和28年)5月 特急は昼間は20分間隔での運転となる。
- 1954年(昭和29年)11月30日 天満橋~野田橋間の線路を専用軌道に移設。京阪本線が全線専用軌道となる。
- 1955年(昭和30年)1月1日 野田橋駅を片町駅に改称。
- 1956年(昭和31年)3月21日 特急の所要時間を42分に短縮。
- 1958年(昭和33年)12月1日 萱島~寝屋川市間に寝屋川信号所開設。萱島車庫(現・寝屋川車庫)開設に伴う入出庫線が分岐。
- 1960年(昭和35年)3月28日 ダイヤ改正。スーパーカー2000系電車による区間急行の運転を開始(天満橋~枚方市間、昼間20分間隔)。
- 1963年(昭和38年)4月16日 淀屋橋~天満橋間が地下線で延伸開業。特急は淀屋橋~三条間45分運転。
- 1963年(昭和38年)5月15日 寝屋川市駅を現在地に移設。香里園駅の橋上駅舎と待避線完成。寝屋川市~香里園間の豊野駅廃止。
- 1964年(昭和39年)6月1日 萱島車庫を寝屋川車庫に改称。
- 1966年(昭和41年)8月3日 蒲生信号所で淀屋橋行き普通列車に淀屋橋行き急行列車が追突する事故が発生。51名負傷。急行列車運転士の赤信号見落としが原因。これをきっかけにATS導入が図られた。
- 1968年(昭和43年)12月20日 丹波橋駅での近鉄京都線との相互乗り入れを廃止。近鉄京都線の1500V昇圧化(1969年(昭和44年)実施)などのため。
- 1969年(昭和44年)11月26日 牧野駅南側の線路を高架化、移設。
- 1969年(昭和44年)11月30日 天満橋~野江間経路変更。京橋駅移転・高架化。天満橋~京橋間の片町駅廃止。
- 1970年(昭和45年)10月1日 蒲生信号所廃止。
- 1970年(昭和45年)11月1日 天満橋~(旧)蒲生信号所間が複々線化。
- 1971年(昭和46年)6月20日 新門真駅開業。守口駅を守口市駅に改称。樟葉駅付近経路変更・高架化。
- 1971年(昭和46年)8月15日 白紙ダイヤ改正。昼間の運転間隔を20分から15分に変更(昼間15分間隔ダイヤは2003年まで32年間続いた)。新門真駅の開業(待避線あり)や樟葉駅付近(待避線新設)などの改良工事完成により、昼間の特急の運転間隔を20分から15分に短縮。
- 1972年(昭和47年)2月2日 守口工場の設備を寝屋川車庫構内に移転、寝屋川工場とする。守口工場は廃止。
- 1975年(昭和50年)3月23日 新門真駅を門真市駅に改称。守口市~門真市間の門真駅を廃止し西三荘駅開業。
- 1976年(昭和51年)9月12日 守口市~門真市間が高架・複々線化。
- 1977年(昭和52年)11月1日 八幡町駅を八幡市駅に改称。
- 1978年(昭和53年)3月10日 淀屋橋~東福寺間を軌道法に基づく軌道から地方鉄道法に基づく鉄道に変更。
- 1978年(昭和53年)7月30日 門真市~寝屋川信号所間が高架化。
- 1980年(昭和55年)2月20日 枚方市~御殿山間で三条行き急行列車(5554F)のうち先頭3両が脱線転覆し線路脇の民家に突っ込む。104名負傷。原因は中学生5人による置石。以後、沿線にフェンスが張られるようになる(鉄道事故を参照)。
- 1980年(昭和55年)3月16日 門真市~寝屋川信号所間が複々線化。再び複々線区間が日本の私鉄最長に。
- 1980年(昭和55年)3月23日 複々線化に伴うダイヤ改正実施。急行が寝屋川市に、準急が萱島に終日停車。急行・準急が守口市に昼間時停車。深草車庫廃止、淀車庫開設。
- 1982年(昭和57年)3月29日 守口市駅付近高架化。
- 1983年(昭和58年)12月4日 架線電圧を600Vから1500Vに昇圧。
- 1985年(昭和60年)4月22日 ラッシュ時に淀屋橋~樟葉間で8両編成の急行が運転開始。
- 1987年(昭和62年)5月24日 七条(※)~三条間が地下化。8両編成での運転区間が全線に拡大
- 1990年(平成2年)3月24日 枚方市駅付近高架化(交野線含めた全面完成は1993年(平成5年))。
- 1996年(平成8年)11月16日 八幡市~淀間の淀車庫付近高架化(車庫は地上のまま)。
- 1999年(平成11年)11月20日 寝屋川市駅付近高架化完成。
- 2000年(平成12年)7月1日 宇治線宇治~京阪本線三条間直通列車を平日朝の三条行きの2本を残して廃止。
- 2003年(平成15年)9月6日 白紙ダイヤ改正。昼間の運転間隔を15分から10分に変更し、大阪側では昼間に特急6本・準急12本・普通6本の運転体系とする。宇治線宇治~京阪本線三条間直通列車を完全廃止。平日に交野線直通のK特急「おりひめ」(朝の下りのみ)、準急「ひこぼし」(夕方の上りのみ)が運転開始。
- 2004年(平成16年)8月1日 PiTaPa導入。
- 2006年(平成18年)4月16日 中之島線建設工事に伴い天満橋駅の線路を切り替え。淀駅が一部移転。昼間の天満橋駅始終着の列車が復活。
※地下区間始点は東福寺~七条間・京都市東山区一橋野本町付近
[編集] 駅一覧
- ●:停車、▲:一部の列車が停車、|:通過
- K特急:平日朝の淀屋橋行きが枚方市駅に停車。
- 急行:早朝・朝ラッシュ時・深夜は守口市駅・枚方公園駅通過。
- 淀駅は京都方面への始発・京都方面からの終着列車と競馬開催日に一部の列車が停車。
- 準急:早朝・朝ラッシュ時は守口市駅通過。
- 普通列車は省略:各駅に停車。
駅名 | 営業キロ | 区間急行 | 準急 | 急行 | 特急 | K特急 | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
京阪本線 | |||||||||
淀屋橋駅 | 0.0 | ● | ● | ● | ● | ● | 京阪電気鉄道:中之島線(大江橋駅・2008年度末開業予定) 大阪市営地下鉄:御堂筋線 |
大阪府 | 大阪市中央区 |
北浜駅 | 0.5 | ● | ● | ● | ● | ● | 京阪電気鉄道:中之島線(なにわ橋駅・2008年度末開業予定) 大阪市営地下鉄:堺筋線 |
||
天満橋駅 | 1.3 | ● | ● | ● | ● | ● | 京阪電気鉄道:中之島線(2008年度末開業予定) 大阪市営地下鉄:谷町線 |
||
京橋駅 (京阪モール前) |
3.0 | ● | ● | ● | ● | ● | 西日本旅客鉄道:大阪環状線・片町線(学研都市線)・JR東西線 大阪市営地下鉄:長堀鶴見緑地線 |
大阪市都島区 | |
野江駅 | 4.6 | | | | | | | | | | | 西日本旅客鉄道:大阪外環状線(2012年春開業予定) | 大阪市城東区 | |
関目駅 | 5.3 | | | | | | | | | | | 大阪市営地下鉄:今里筋線(関目成育駅) | ||
森小路駅 | 6.2 | | | | | | | | | | | 大阪市旭区 | ||
千林駅 | 6.8 | | | | | | | | | | | |||
滝井駅 | 7.2 | | | | | | | | | | | 守口市 | ||
土居駅 | 7.6 | | | | | | | | | | | |||
守口市駅 (京阪百貨店前) |
8.3 | ● | ▲ | ▲ | | | | | |||
西三荘駅 | 9.4 | ● | | | | | | | | | 門真市 | ||
門真市駅 | 10.1 | ● | | | | | | | | | 大阪高速鉄道:大阪モノレール線 | ||
古川橋駅 | 10.8 | ● | | | | | | | | | |||
大和田駅 | 12.0 | ● | | | | | | | | | |||
萱島駅 | 12.8 | ● | ● | | | | | | | 寝屋川市 | ||
寝屋川信号所 | (13.9) | | | | | | | | | | | |||
寝屋川市駅 | 15.0 | ● | ● | ● | | | | | |||
香里園駅 | 17.6 | ● | ● | ● | | | | | |||
光善寺駅 | 19.1 | ● | ● | | | | | | | 枚方市 | ||
枚方公園駅 | 20.8 | ● | ● | ▲ | | | | | |||
枚方市駅 | 21.8 | ● | ● | ● | ● | ▲ | 京阪電気鉄道:交野線 | ||
御殿山駅 | 23.4 | ● | ● | | | | | | | |||
牧野駅 | 25.5 | ● | ● | | | | | | | |||
樟葉駅 | 27.7 | ● | ● | ● | ● | | | |||
橋本駅 | 30.1 | ● | | | | | | | 京都府 | 八幡市 | ||
八幡市駅 | 31.8 | ● | ● | | | | | 京阪電気鉄道:鋼索線(男山ケーブル) | |||
淀駅 | 35.0 | ● | ▲ | | | | | 京都市伏見区 | |||
中書島駅 | 39.7 | ● | ● | ● | ● | 京阪電気鉄道:宇治線 | |||
伏見桃山駅 | 40.6 | ● | | | | | | | 近畿日本鉄道:京都線(桃山御陵前駅) | |||
丹波橋駅 | 41.3 | ● | ● | ● | ● | 近畿日本鉄道:京都線(近鉄丹波橋駅) | |||
墨染駅 | 42.3 | ● | | | | | | | ||||
藤森駅 | 43.3 | ● | | | | | | | ||||
深草駅 | 44.1 | ● | | | | | | | ||||
伏見稲荷駅 | 44.6 | ● | ● | | | | | ||||
鳥羽街道駅 | 45.2 | ● | | | | | | | 京都市東山区 | |||
東福寺駅 | 46.1 | ● | | | | | | | 西日本旅客鉄道:奈良線 | |||
七条駅 | 47.0 | ● | ● | ● | ● | ||||
五条駅 | 47.7 | ● | ● | | | | | ||||
四条駅 | 48.6 | ● | ● | ● | ● | 阪急電鉄:京都本線(河原町駅) | |||
三条駅 | 49.3 | ● | ● | ● | ● | 京都市営地下鉄:東西線(三条京阪駅) | |||
鴨東線 | |||||||||
丸太町駅 | 50.3 | ● | ● | | | | | 京都府 | 京都市左京区 | ||
出町柳駅 | 51.6 | ● | ● | ● | ● | 叡山電鉄:叡山本線 |
[編集] 主要駅の乗降客数
- 淀屋橋 132,034人
- 北浜 38,549人
- 天満橋 60,986人
- 京橋 197,809人
- 守口市 49,564人
- 萱島 29,714人
- 寝屋川市 74,408人
- 香里園 64,509人
- 枚方市 89,964人
- 樟葉 60,504人
- 八幡市 13,268人
- 中書島 12,541人
- 丹波橋 56,986人
- 四条 52,096人
- 三条 42,985人
大阪府内の駅は大阪府統計年鑑(平成17年)による。