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京阪1900系電車 - Wikipedia

京阪1900系電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

1900系(交野線沿線で撮影)
1900系(交野線沿線で撮影)
1900系PiTaPa塗装(1919F)(萱島駅にて撮影)
1900系PiTaPa塗装(1919F)(萱島駅にて撮影)
2006年春に大量引退した編成の1つ(1917F) この編成は2006年5月18日に引退した (枚方市駅にて撮影)
2006年春に大量引退した編成の1つ(1917F) この編成は2006年5月18日に引退した (枚方市駅にて撮影)

京阪1900系電車(けいはん1900けいでんしゃ)は、1963年製造開始の京阪電気鉄道通勤形電車(元・特急形電車)である。

本来は京阪として4代目の京阪特急専用車であり、一部に3代目である1810系からの編入車が含まれる。以下の記述には1810系の来歴もあわせて記す。

目次

[編集] 概要

1963年昭和38年)3月の淀屋橋延長線開通に伴う特急増発に備えて新造、および1800系のマイナーチェンジ車である1810系の改造編入によって登場した4代目特急専用車である。旧1810系編入車の製造初年は1956年であり、長くとも車齢40年程度で淘汰されるのが一般的な鉄道車輌にあって、これらは新造以来およそ50年という、現在の水準からは驚くべき長期間に渡り本線運用に充当され続けた。

[編集] 1810系

1810系は、1956年~1958年に1800系の増備車として川崎車輌(→川崎重工業)及びナニワ工機(→アルナ工機アルナ車両)で19両が製造された。

その内訳は以下の通りである。

  • 1810形:制御電動車 1811~1820 10両(1815・1816の2両のみ両運転台)
  • 1880形(1):制御車 1888~1891 4両
  • 1880形(2):中間付随車 1884~1887・1892 5両

竣工は1811~1816・1884・1885が1956年4月、1817~1819・1886~1889が1957年8月、1820・1890~1892が1958年12月である。

これらは1800系の3~5次車という性格が強く、特に1880形は完全な連番となっている。運用面でも1800系と共通運用に充当されていた。

[編集] 車体

車体設計は1800系のそれを踏襲しており、車体長が1m延長されて18m級となり、貫通路が原則的に狭幅で統一された[1]以外は、ほぼ同一仕様とされていた。内装についてもピンク色の塗り潰しで、第2次車以降、天井の蛍光灯が20W管32本から40W管16本に変更された以外は、座席仕様も含めて1800系と同一仕様であった。

京阪特急の代名詞となったテレビは、当初中間付随車である1880形の第2次車である1886・1887に設置され、これと前後して1884・1885に設置し、さらに1958年には増結用の1815・1816にも追加設置された。

1815・1816の2両は当初両運転台車として製造されたが、これは1両単位での機動的な増解結運用を目的として計画されたものであって特急の単行運転は企図しておらず、増結運用終了後の車庫への単車回送の必要性から、特に両運転台とされたものであった。実際にも、単行での営業運転は実施されていないが、1815が独立回転式車輪台車(後述)の試験に充てられた際には、この単行運転可能な仕様が有効に活用された。

[編集] 主要機器

[編集] 台車

1956年製造の第1次車は1811-1815が汽車製造製シンドラー式円筒案内式台車[2]であるKS-15、それ以外は住友金属工業製アルストーム・リンク式台車であるFS310を装着し、ともに金属バネ台車であった。

これに対し、1957年製の第2次車は、空気バネ台車開発で出遅れた住友金属工業担当分で前年度と同じFS310を履いた1887以外の全車が、KS-15の枕バネをベローズ式空気バネで置き換えた形の汽車製造製シンドラー式空気バネ台車であるKS-51を装着して竣工した。

続く1958年製の第3次車では全車の空気バネ台車化が実現し、FS310の枕バネを空気バネに変更した住友金属工業製FS327アルストーム・リンク式台車[3]と、前年のKS-51の改良型に当たる汽車製造製KS-56シンドラー式台車[4]とが採用された。

1800系編成に組み込まれていた1884・1887の2両を除く1810系第1次車の金属バネ台車は、第2次車就役後、順次全て空気バネ台車に交換されていった。1811~1815はKS-51へ、1816はFS327へ、それぞれ新製交換が実施され、残る1885については、1957年になって日本初の実用空気バネ式台車である汽車製造製KS-50を1759から転用し装着した。KS-50は特殊構造の試作台車であり、保守面などに幾つかの問題点が見られたものの、その乗り心地は非常に優秀であったと伝えられており、1973年3000系増備に伴う1900系の普通車格下げ時に、2000系用予備品であった汽車会社製KS-58シンドラー式空気バネ台車へ振り替えられるまで、好評裏に営業運転に使用された。

なお、このKS-50は技術発達史における価値を認められ、1973年の振り替え後は貴重な技術資料として一方は大阪市港区弁天町の交通科学館(→交通科学博物館)に、もう一方は寝屋川工場に、それぞれ保存・展示されている。また、この空気バネ台車への交換で第1・2次車から捻出されたKS-15とFS310は7両分全てが1650形の新造時に転用されたが、これらはその後1650形の電装による630形への改造と関連して600系1700系・1800系の間で転用を重ね、中日本重工製MD-7リンク式台車(1700系用)を筆頭とする初期の特殊な試作台車の淘汰に貢献している。

[編集] 主電動機・駆動装置

第1次車の1810形6両の中で唯一FS-310を装着した1816は1800系の前例に倣い、三菱電機製MB-3005-D+WNドライブとされ、これ以外は東洋電機製造製TDK-808+中空軸カルダン駆動で、いずれの電動機も同一仕様[5]であった。

[編集] 制御器

制御器は1800系同様に東洋電機製造製で統一されており、2軸電動カム軸式のES-569が搭載された。

[編集] ブレーキ

ブレーキも1800系と同仕様の、A動作弁による自動空気ブレーキに発電制動機能を付加したAMAR-D(付随車はATAR)ブレーキである。

[編集] 特殊台車の試験

「台車の京阪」の呼び名に相応しく、1810系は2つの新型試作台車の実用試験に際し、テストベッドとして供されている。

[編集] KS-57

KS-50台車の試験時に得た経験から、空気バネ台車の開発で主導的立場にあった高田隆雄技師(当時)の発案により、汽車製造は空気バネを枕バネに用いることで軸バネ部分の構造を極端に簡略化した台車の開発を進めていた。

軸受に防振ゴムを巻いて台車枠に固定し、左右の側枠はつなぎ梁で結合して線路の変位に追従可能とする、軸箱梁式で1自由度系の極めてシンプルな構造のこの台車は、空気バネ台車の乗り心地を低コストに提供することを目的として開発されたものであり、その低廉な製作コストを強調して「エコノミカルトラック」と命名された。1959年に完成しKS-57と付番された、この新型台車の試作第1号の実用試験車として京阪1810系が選ばれたのは、既に最新の汽車製造製シンドラー式空気バネ台車が装着されており、乗り心地の比較が容易に行えたためである。そして同時に、開発中の2000系やそれ以後の通勤車において本格採用することを京阪側が真剣に検討しており、自社線の軌道への適合を確かめる必要があったためでもあった。

この実用試験においては、特に高速運転時にビビリ振動が発生しやすいという問題が判明したが、それでも通勤車については従来の金属バネ台車に比して充分なメリットがあると判断され、正式採用となった。

こうして量産が開始されたエコノミカルトラックは、1960年に竣工した2000系第2次車に装着されたKS-63以降、1978年竣工の1000系第6編成の川崎重工業KS-77Aまで、順次改良を加えつつ18年に渡り歴代の京阪通勤車用として大量に製作され、現在も使用され続けている。なお、京阪以外での採用例は京阪神急行電鉄(現・阪急電鉄)が若干数を使用したにとどまり、その意味でも京阪を特徴づける台車といえる。

[編集] KS-68

1900系の登場前に、1815を用いて汽車製造製のKS-68と呼ばれる試作台車の試験が行われた。この台車は独立回転車輪式と呼ばれるもので、上述の「エコノミカルトラック」軸箱梁式台車を基本としており、その名の通り左右輪が別々に回転できる構造となっている。これは曲線通過時の内・外輪の回転差を吸収し、横圧や競り上がり、フランジきしり音の低減を図るもので、原理上蛇行動が発生しないという特徴もあり、線形の良くない京阪は当時計画中の次期特急車[6]の曲線通過速度の向上に対する多大な期待を込めて試験に臨んだ。

この台車は4つある車輪のうち、各軸各一輪が通常通り車軸と固定され、もう一方がベアリング支持によって車軸とは独立して自由に回転できる仕組みになっていた。これにより、曲線区間において外周・内周の回転数差を吸収することで車輪の摩耗軽減や蛇行動の解消等が実現するものと期待されていた。その車輪は固定側がプレート車輪で外側軸受け、自由側はスポーク車輪で内側軸受けとなっており、さらに重量バランスをとるため点対称の平面レイアウトとされたため、大変に特異な外観であった。

この台車は、構造上全輪を駆動するには主電動機の動力伝達機構が複雑になるという問題があり、特に自由回転車輪側は曲線区間で異なった回転数となり、自動車と同様にディファレンシャルギアを介する必要があった。このため、主電動機を通常より小型化する必要があり、この台車を採用した場合、出力低下を補うために全電動車化が必須と見なされた。また、この構造では車輪間のバックゲージを正しく維持することを保証できない点が関係方面から指摘されたためもあって、最終的に計画中止となっている。

現在、この台車は寝屋川工場に保管されている。

同様の試験は、台車の蛇行動の防止を目指した国鉄の他、振り子式との組み合わせも視野に入れた小田急でも試験されたが、曲線部でのメリットは確認されたものの、直線部では片方のレールに寄りっ放しになるなどの欠点もあり、いずれも本採用とはならなかった。

[編集] 1900系(新)

1963年の淀屋橋延長に際して、輸送力増強とサービス向上を目的として、特急を18m車体・転換クロスシート・空気バネ台車に統一することとなり、そのために一挙に28両が製造されたのが1900系(新)である。

新造車の内訳は以下の通り。

  • 1900形:制御電動車 1913・1915~1931 18両(1925・1926の2両のみ両運転台)
  • 1980形:中間電動車 1981~1986 6両
  • 1950形:中間付随車 1954~1957 4両
1925・1926は、1815・1816と同様に増結用を目的として両運転台で製造されたものである。

[編集] 車体

車体の基本レイアウトは1810系のそれと酷似しているものの、前面は2000系と同様のデザインになり、さらに銀色の飾りバンパーが取り付けられている点が異なる。車体は軽量形鋼を用いた準張殻構造に進化し、更なる軽量化が図られた。外観上は雨樋の位置が上がり張り上げ屋根となり、ウインドシル(窓下の補強帯)が廃止されたため、すっきりしたスタイルとなった。窓枠にはアルミサッシが採用され、隅には丸み(R)が付けられた。淀屋橋地下線乗り入れを前提として設計されたため、当初より窓の外に保護棒が設置されている。

内装については、1810系のピンク色塗り潰しから薄茶色のメラミン樹脂化粧板貼り付けに変更され、座席もエンジ色から橙色・白色・黒色の3色で縦縞が織り込まれたものにグレードアップされた。座席配置は主電動機を装架しない中間付随車のみオール転換クロスシート、それ以外は扉間が転換クロス・車端部はロングシートであった。これは車端部の主電動機点検蓋と座席が干渉するのを回避することを目的としており、当時の2扉クロスシート車の定番レイアウトであった。

伝統のテレビカーは、白黒テレビであったがサイズが23型となり、アンテナに改良が加えられ、1923・1927・1929・1954~1957に各2基ずつ向きが直角になるように設置されていた。

混雑対策として、車内には補助いすが置かれることになった。これは折り畳み式のパイプいすであるが、座面と背ずりには茶色のモケットが張られた特注品であった。

[編集] 主要機器

[編集] 主電動機・駆動装置

主電動機及び駆動装置は1810系のそれを継承し、東洋電機製造製TDK-808+中空軸カルダンを主体として、慣例通り住友製台車を装着する1915・1916のみ三菱電機MB-3005D+WNドライブが採用された。いずれの主電動機も1810系用と同仕様[7]であった。

[編集] 制御器・ブレーキ

主制御器は東洋電機製造製ES569-A(2軸式)で統一されており、空制系は日本エヤーブレーキ(→ナブテスコ)製AMAR-D(付随車はATAR)が引き続き採用された。

[編集] 台車

台車は前述の通り全車空気バネ式で、汽車会社製KS-70シンドラー式台車をメインとしつつ、住友金属工業製FS327アルストーム・リンク式台車[8]及びFS347ミンデンドイツ式台車[9]を採用している。製造は、1810系と同様に川崎車輌とナニワ工機が分担して担当した。

[編集] 1810系の1900系への編入

1810系からは旧1811~1820[10]が新1901~1909・1911に、旧1885・1886・1892が新1951~1953に、旧1888~1891が新1950・1910・1912・1914へ改番の上で順次編入された[11]

1810系編入車も内装は新造車に準じた形で変更され、窓をアルミサッシに交換の上、保護棒の設置も行われた。なお、1810系のうち、1800系編成に組み込まれていたために金属バネ台車で残っていた2両は座席のロングシート化と3扉化を実施の上で1800系に編入された。テレビカーは1901・1907・1951~1953に変更された。

淀屋橋延長線の開業にあたっては、1900系の新造車から1917~1920の2両編成2本を抽出して地下区間に先に搬入し、試運転列車としてこの区間を往復させていた。

こうして、京阪特急は全車が空気バネ台車装備の1900系による6連[12]で運行されることとなった。

この1900系の就役と、淀屋橋開業による大阪方の飛躍的な利便性向上は、京阪間における京阪特急の地位を大きく向上させるものであった。この結果、これまでロングシート車の2300系などを京都本線の特急に充当していた並行路線の阪急電鉄は、この京阪の淀屋橋開業で京阪間直通乗客の多くを奪われるという事態に直面し、特急のサービス改善と河原町延長による所要本数増加を名目として、翌1964年に急遽2300系をベースとして2扉セミクロスシート化した2800系を登場させざるを得なくなった程であった。

[編集] 一般車格下げまで

1900系は登場後、細部の改修が相次いで実施された。

  • 1966年に電動車の不足していた1800系へ主要機器を供出すべく、中間電動車の1980形1985・1986の2両を電装解除し、中間付随車の1950形1958・1959とした。
  • 編入車と新造車にそれぞれ2両ずつあった増結用の両運転台車は、ATSの導入に伴い、高価なATS機器購入コストの節約のために1両単位の機動的な増・解結運用を断念したことから、1967年に片方の運転台を簡易撤去した。また、ただ1両の制御車となっていた1950もこの時運転台を撤去している。
  • 1968年から1810系編入車の前照灯を照度アップによる保安性向上を目的としてシールドビームに変更している。これは元の砲弾型ケースを横長のものに取り替え、そこにシールドビームを2つ内蔵したものであった。これは京阪初のシールドビーム式前照灯である。ただし、同様の前照灯を備えていた1700・1800系などの他系列にはこの改造は波及しなかった。
  • 正面の貫通幌は当初車体色と同じオレンジに塗られていたが、後に塗装簡略化のため一般車と同じくグレーの地色のまま使用されるようになった。さらに1971年に3000系が登場すると、緊急時にそれとの併結を可能にするため、基本編成の先頭車の運転台側貫通幌は3000系と同じ成田型リコ式に変更されたが、実際には併結は一度も行われなかった。
  • 1971年、編成を組み替え、7両編成化が実施された。この編成替えと、8月の全面ダイヤ改正における特急の日中15分ヘッド化(それ以前は20分ヘッド)による特急車不足を補う目的で製造されたのが3000系である。また、同年4月30日からカセットテープによる自動案内放送装置の使用が開始された。
  • 1972年から全特急車を3000系へ置き換えることとなり、1900系は1973年7月を最後に定期特急運用から離脱した。

[編集] 一般車格下げ後

3000系特急車の就役開始に伴い、1972年(昭和47年)から順次格下げ改造工事[13]が実施された。座席のモケットは一般車と同じ緑色に、また車体塗装も一般車と同じグリーンの濃淡2色塗り分けに変更されている。増設された扉は片開きが原則であるが、扉間の窓の枚数が少ない元両運転台車(1905・1906・1925・1926)は扉位置を揃えるために両開き扉となっている。この際に1905・1906の2両は残った運転台も撤去して完全な中間電動車となり、1980形1991・1992へ改番された。また、片運転台車からも1931の運転台が同様に撤去されて1985に変更されている。

格下げ後の1900系は普通列車を中心に運用されたが、ブレーキ装置が特急時代のままのAMAR-D発電制動付自動空気ブレーキであったため、以後の高性能車に採用されたHSC系の電磁直通ブレーキあるいはHRD系の電気指令式ブレーキの応答性能に慣れた乗務員から扱いづらいという苦情が出た。そこで、1979年から昇圧対応改造が実施された際にブレーキもあわせて改修されてHSCへ変更されたが、主回路の複雑化を避けるためか、停止用発電制動は設置されなかった。また正面にスカートが取り付けられ、側面には種別表示幕が設置されている。なお、新造車グループの先頭車については、この時に前照灯ケースはそのままで電球のみをシールドビームに取り替えている。

この昇圧に当たっては、制御器については2両の電動車を高圧・低圧の直列ペアとする親子方式[14]が採用されたが、支線区運用の機会が多いことを考慮して一部については1両の電動車内で回路が完結する1C4M方式による単車昇圧方式[15]が選択され、いずれもオリジナルのES-569を改修して対応した。

また、主電動機の絶縁強化が実施され、これにより端子電圧600V時定格出力90kWM[16]と20%の出力アップが実現した。

架線電圧が1,500Vに昇圧されるまでは、1900系は3000系をも上回る心地の良さと走行特性故に、正月をはじめとする多客期の臨時特急に多用された。

架線電圧昇圧後の1985年(昭和60年)からは、冷房改造を伴う車体更新工事が順次施行された。

この際、1810系編入の運転台付き車両は1914を除いて全車運転台を撤去され、中間電動車[17]となった。先頭車の必要数の問題から、旧1810系グループで唯一運転台付きのまま残された1914も前照灯を移設してシールドビームを前面左右の窓上に埋め込み、先頭部でやや垂れ下がった独特の雨樋取り付け位置を変更して前頭部を張り上げ屋根化するなど、1900系新造車グループに準じた造形に修正されたため、1700系以来長らく続いた古風ながら印象的な前面デザインは失われた。

また、新造車グループについてもこの更新工事に際して正面貫通路を2200系と同様に外開きの非常口へ変更し、方向幕・種別表示幕を取り付け、さらに標識灯が横並びの2灯式となって2分割されたバンパーの間に組み込まれるなど、1900系のイメージを極力崩さないように配慮しつつ、他の通勤車との仕様統一が図られている。

この工事で搭載された冷房装置は冷凍能力10,500kcal/hの三菱電機CU-197で、これは6000系初期車の冷房出力強化による発生品を再利用したものである。但し、6000系時代は1両あたり3基搭載であったものが4基搭載に強化されており、冷房能力に不足はない。この冷房化に伴い側窓の下段が固定され、保護棒が撤去されている。

1930と1997は改造当時4両編成化の計画があったため、冷房化に際してパンタグラフを撤去した。また、中間付随車の1959を1800系からの発生品を用いて電装し、1998に改番している。上述の通り、本車は旧1986であるから、約20年ぶりの再電装である。元両運転台車の1925はパンタグラフを大阪方から京都方に移設し、これにより1930を除く1900形はパンタグラフが運転台寄りに統一されることになった。

なお、この工事コストが会社側の予想を超えたことが、後に1900系より車齢が若い3000系の廃車を促進する原因の一つとなり、皮肉にも3000系の登場で特急運用から早々と撤退に追い込まれた1900系の方が長寿となる結果となった。

その後は主に宇治線・交野線の普通列車用として21世紀初頭まで1両の廃車も出さずに長く運用が続けられてきたが、車体のみならず台車や制御器などの主要機器の老朽化と、これに伴うメンテナンスコストの増大が著しくなったため、支線区用新型車として2002年から10000系を新製投入し、これと順次置き換えてゆく方針が決定された。これにより、10000系第1次車が同年4月15日に就役したことによって老朽化が深刻な車両から淘汰が開始されたものの、予算面の制約から置き換えはままならず、この時点では2編成10両が淘汰されたにとどまった。以後、10000系の新造は4年後の2006年まで中断されたため、同年初頭の時点でも本系列は5両編成7本の合計35両が引き続き在籍していた。

2003年のダイヤ改正で宇治線が通常4両編成限定運用とされたため、宇治線から1900系による定期運用が消滅した。ただし、8月10日宇治川花火大会開催日に限り、輸送力確保のために5両編成の本系列が宇治線運用に充当され、これに代わって通常本系列が運用されていた交野線や準急「ひこぼし」では、4両編成の2600系などが代走として充当された。

2003年9月6日のダイヤ改正で京都方の一部を除き7・8両編成に統一されたため、5両編成の本系列による昼間時間帯の本線運用が一旦は廃止された。しかしながら、2年半後の2006年4月16日のダイヤ改正で運用の見直しが実施された結果、5両編成による昼間の本線区間急行・普通(当時は全線通しの5連普通は平日のみ。2007年1月27日のダイヤ修正により土曜・休日にも再び設定)運用が復活し、同様に5両編成を組む2600系との共通運用として再度充当されるようになり、平日夕方に運転される準急「ひこぼし」(天満橋→私市)の一部列車にも共通運用の一環として充当されるようになった。K特急「おりひめ」については本系列の列車種別表示幕に特急表示が用意されていないため、原則的には定期運用は設定されていないが、稀に運用変更などで運用されることがある。

なお、廃車となった車両が使用していたKS-70台車は一部が主電動機ごと叡山電鉄に譲渡され、同社のデオ720形の高性能化に活用されている。

[編集] 特別塗装

1900系誕生50周年記念特別塗装(宮之阪駅にて撮影)
1900系誕生50周年記念特別塗装(宮之阪駅にて撮影)
1900系誕生50周年記念特別塗装(丹波橋駅にて撮影)
1900系誕生50周年記念特別塗装(丹波橋駅にて撮影)

2003年平成15年)4月には、淀屋橋延伸40周年記念として、開業時に記念祝賀電車として使用された1919・1920の2両が含まれる1919Fに2004年3月まで1年間限定で特急塗装が施され、各種イベントに用いられた。2007年現在も同編成の先頭車の貫通扉には「特急」を表す鳩マーク掲出ステー(台座)が取り外されずに残っており、塗装が一般塗装に戻ってからの2004年7月7日に臨時の交野線直通K特急「おりひめ」と定期の同直通準急「ひこぼし」が私市駅で出会う「七夕の日イベント」を行った。また2005年からは1917Fにも、2006年からは1929Fにも鳩マーク掲出ステーが取り付けられた。

また、その後この1919Fは2004年7月下旬から、ICカードPiTaPa」のラッピング列車e-kenet PiTaPa trainとして10000系10001Fや7200系7203Fと共に使用され、2004年8月1日に京橋三条間で運行された、この日から始まったPiTaPaサービス開始を記念しておけいはんを演じる江本理恵(当時。現在は神農幸)が一日車掌を務めたPiTaPa特別列車にもこの1919Fが使用された。その後2年間運行され、2006年6月中旬頃に通常塗装に戻された。ただし依然として鳩マーク掲出ステーは前述の通り残されている。

また、2006年7月に今度は1929Fが運用開始50周年を記念して特急塗装となり、7日のイベントにおいて公開された。特急塗装の復活は前述の1919F以来、2年ぶりである。また通常塗装に戻った1919Fにも2006年7月から1929Fに取り付けられているものと同じ運用開始50周年を記念したヘッドマークを取り付けて運転している。

[編集] 世代交代へ

2006年3月末から5月18日にかけて、しばらく中断されていた10000系の投入再開や、車両運用の見直しにより、1919Fと中扉が両開きの旧両運転台車を編成中に含む1929Fの2編成を除く5編成25輌の廃車が決定され、同年3月23日から順次引退が始まり、その対象編成には特製のヘッドマークとステッカーが掲出されていた。5月18日の1917Fを最後に[18]対象全編成が定期運用から外された。

現在も残る2編成については、中之島新線開業まで運用を続けると言われているが、本系列は淀屋橋開業時に製造された1900系(新)でも車齢44年、1919Fに組み込まれた1810系第1次車の残存する最後の1両である1991に至っては車齢51年、と途中で徹底的な更新工事が実施されたとは言え、準張殻構造の軽量車体を備える鉄道車両としては異例の長寿命となっており、同型車の大量廃車で故障時に必要となる予備機器の確保は可能となったものの、その将来については予断を許さない状況にある。

[編集] その他

  • 1950形は、京阪では唯一「形式・車番の両方が0起番」(通常車番は1起番)の形式となっている。
  • 高松琴平電気鉄道1990年代後半に1900系の購入を検討していたが、同社の財政事情から取り止めとなった。

[編集] 脚注

  1. ^ 1887のみは広幅貫通路を備える1801+1802の中間に増結する車両として製造されたため、例外的に「広幅貫通路の中間車」とされた。
  2. ^ 近鉄などで使われているシュリーレン式台車と同系の機構で、その外観も酷似しているが、軸受を案内する円筒の内部構造に相違がある。
  3. ^ 1891にのみ採用。
  4. ^ 1820・1890・1892の3両に採用。
  5. ^ 端子電圧600V時定格出力75kW。
  6. ^ 後に1900系新造車グループとして実現したものとは全く異なる、様々な新機軸を投入した7車体連接車が検討されていた。
  7. ^ 端子電圧600V時定格出力75kW。
  8. ^ 1957にのみ採用。
  9. ^ 1915・1916に採用。後に1984~1986にも装着された。
  10. ^ 1820のみ偶数車ながら京都向きであった。
  11. ^ 1950は編入時点では制御車のままであった。
  12. ^ 基本となる3両編成を2本を組み合わせて編成。ただし22時以降は分割して3連で運行された。
  13. ^ 車体中央への客用扉の増設・ロングシート化など。
  14. ^ 各部に印加される電圧は600Vから750Vに25%アップするため絶縁強化の必要があるが、主回路の直並列組み合わせ自体には手を入れなくとも済み、この種の主制御器の改造で最もコストのかかるカム軸・抵抗器周りの改修を最小限にとどめることが可能となるというメリットがある。なお、この方式の場合は2両それぞれの制御器が同期動作を行う必要があるため、完全に同一仕様の制御器同士でペアを組む必要があり、本系列の場合もこのことに配慮して編成が決定されている。
  15. ^ 架線電圧が2.5倍となるため、従来の並列制御段を直列に組み替える必要があり、抵抗の値もこれに応じて変更せねばならないなど、1両単位で増結が可能な反面、昇圧工事のコストは親子方式に比して大きく、本系列では運用上どうしても必要な車両に限って施工された。
  16. ^ 昇圧後は端子電圧750V時定格出力108kWとなった。
  17. ^ 1986~1998に改番された。
  18. ^ 同編成はその最終日に交野線直通K特急「おりひめ」の運用に充当された

[編集] 関連商品

[編集] 関連項目

京阪電気鉄道車両
現用車両
京阪線 特急車: 8000系, 3000系
通勤車: 10000系, 9000系, 7200系, 7000系, 6000系, 5000系, 2600系, 2400系, 2200系, 1900系, 1000系(3代)
鋼索線1・2号(2代)
京津線・石山坂本線: 800系(2代), 700形(3代), 600形(3代)
過去の車両
京阪線: 1形, 16号貴賓車), 100形, 200形, 300形(初代、初代1000形), 500形(初代、旧1500形), 600形(初代、旧1550形), 700形(初代、旧1580形), 1000系(2代), 250形, 1300系, 1700系, 1800系(初代、元特急用), 1810系(元特急用), 1650形, 2000系(スーパーカー), 600系(2代), 700系(2代), 1800系(2代), 1・2号(初代)
鋼索線: 1・2号(初代)
京津線・石山坂本線: 20形, 30形, 50形, 60形(びわこ号), 70形, 80形, 800形(初代), 260形, 300形(2代), 350形, 500形(2代)

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