仙台~福島線
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仙台~福島線(せんだい~ふくしません)は、宮城県仙台市と福島県福島市を結ぶ高速バスである。ここでは「福島競馬場線」も記載する。
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[編集] 概要
仙台市と福島市との間の移動は、長らく東北新幹線の独壇場であった。競争相手としては、車による国道4号(県境を中心に片側1車線区間あり)または東北自動車道(仙台市近辺は常時80km制限)を利用した経路、鉄道では東北本線または並行する阿武隈急行(第三セクター)があったが、「安価」と「便利」の両方を満たす移動手段は少なかった。
まず、秋田新幹線が1997年3月22日に開業すると、速達性を上げるために福島駅に停まる新幹線の数が減少した。ここに「安価」と「便利」の両方を満たす高速バス仙台~福島線(福島~郡山線も)が1999年開設されると、無風だった両都市間の交通機関の競争は一気に激化し、これが他の都市間高速バス路線にも飛び火して、のちに東北地方全体を巻き込む陸上交通の再編へと繋がっていくことになる。
仙台~福島線がドル箱路線として定着すると、2001年の規制緩和を受け、富士交通(当時)が2002年に同じ経路で約20%割安な運賃で新規参入した。これ以降、両者で運賃の値下げ合戦や増便競争が始まり、乗客が奪われた東北新幹線や東北本線でも格安な往復割引切符やダイヤ改正で対抗する、という乗客争奪戦にもつれ込んだ。しかし、2002年12月1日の東北新幹線八戸駅延伸にかけて、さらに福島駅に停まる新幹線が減少し、白石蔵王駅に停車する新幹線が増加するという仙台駅~福島駅間でのサービスダウンがなされた。これははやての登場のためだが、結果的に高速バス側に有利に働く。
2003年12月には、富士交通が桜交通と共同運行を開始し、競争力をさらに強化させた。2004年になると仙台~山形線でも仙台~福島線と同様な図式(新幹線はない)で乗客争奪戦が行われ、他方、仙台~福島線では回数券利用で片道500円という破格の状態になり、両路線での消耗戦を強いられた富士交通と桜交通が耐え切れずに2005年に撤退。公共交通機関同士の乗客争奪戦は、一先ず幕を下ろした。
しかし、2005年1月からETC割引制度の通勤割引が実施され、100km圏内が朝夕に半額の通行料となると、首都高速並みに安くなった仙台~福島間は、マイカー利用も大きな競争相手となってしまう。ただし、イラク戦争以降の原油価格の上昇により、マイカー利用は大きな流れにならず、仙台~福島間は高速バス優位で以後推移することになった。
高速バスの優位はあるものの、原油高騰を口実に運賃値上げがその後繰り返されている。JR在来線はWきっぷで750円(新幹線は新幹線Wきっぷで2250円)なのに対し、高速バスは2枚回数券で1回700円(10枚回数券で1回650円)と、運賃格差は縮まりつつある(福島飯坂IC~仙台宮城ICはETC通勤割引で950円)。
この数年間の公共交通機関の価格競争によって人の移動も活発化したため、付随して情報流通も活発化し、仙台市と福島市は約90km(仙台市と山形市は約70km)も離れているにも関わらず、隣町であるかのような意識が市民の中に醸成された。仙台~福島線の開設は、結果として短期間に南東北三県都の一体化を促進した。
[編集] 運行会社
[編集] 運行経路
- 仙台~福島線
仙台駅 - 広瀬通一番町 - (仙台西道路) - (仙台宮城IC) - (東北自動車道) - (福島飯坂IC) - 天王下 - 原田東 - 稲荷田 - 福島中央郵便局 - 福島駅東口 - 福島県庁前
- 福島市民の利用が多いため、福島方の停留所が多めに設定されている(仙台方2箇所、福島方6箇所)。
- 福島競馬場線
仙台駅 - 広瀬通一番町 - (仙台西道路) - (仙台宮城IC) - (東北自動車道) - (福島飯坂IC) - 福島競馬場
- 福島競馬開催日と場外馬券発売日に運行される(宮城県には競馬場もJRAの場外馬券売場もない)。
- 往復2便の運行であるが、仙台市民の利便性を考えて、福島競馬場行きが朝2便、仙台行きが夕方2便の運行となっている。
[編集] 運行頻度
- 仙台~福島線:福島行48本、仙台行48本の48往復(2005年12月20日改正)
- 福島競馬場線:福島競馬場行2本、仙台行2本の2往復
[編集] 料金
- 大人片道900円(子供半額)
- 回数券2枚綴り1400円・10枚綴り6500円
[編集] 歴史
- 1999年(平成11年)
- 2000年(平成12年)
- 4月 - 休日を16.5往復に増便。
- 2001年(平成13年)
- 2002年(平成14年)
- 2003年(平成15年)
- 2004年(平成16年)
- 2005年(平成17年)
- 2006年(平成18年)
- 2月11日 - 運賃を値上げ。
[編集] 備考
- 福島市民の利用者が多い。特に土日祝日は若者を中心に年配のカップルも含め福島駅東口バス停には大行列が出来る。
- 福島県庁前バス停の近くには、福島県庁駐車場がある。この駐車場が、土日祝日は終日、平日は17:30頃~翌日8:00頃まで無料開放となるため、実質的なパークアンドライドとなっている。そのため、土日祝日は特に県庁前からの乗降客が多い。
- 無料の駐車場併設の福島高速バスターミナルへの乗り入れを期待する声がある。
- 以前は福島~仙台空港線(2003年12月1日~200x年x月x日)も運行されていたが、仙台~福島線よりも運賃が高く、高速道路区間が福島飯坂IC~白石ICで、白石から仙台空港までは国道4号を走るため、1時間30分ほどの乗車時間となり、不振から結局撤退した。福島県内には福島空港があり、仙台空港では2007年3月に空港連絡鉄道の仙台空港線が開業したため、福島~仙台空港線が再開される見通しは今のところない。
- 仙台~福島線と比べ、福島~郡山線は約半分の距離であるのに、所要時間がほぼ同じで運賃もほぼ同等である(高速バスの運賃は、運行距離より、運転手の拘束時間の方と相関が強い)。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 富士交通の仙台~福島間高速バス路線参入による変化について(個人のサイト)
- 富士交通の新規参入から民事再生法申請までを追う(個人のサイト)
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