健康食品
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健康食品(けんこうしょくひん)とは、健康に役立つとされ、何らかの特徴を宣伝された食品のこと。
中には「科学的根拠のない物」、「科学的検証が不十分な物」も存在するため、消費者は慎重に見極める必要がある。
同じような名前には、健康靴下、健康サンダル、健康パンツ、健康ベルト、健康磁石などがある。
靴下、サンダルの場合は健康と宣伝しても大きな被害は起こることは少ないが、健康食品の場合は健康被害や、詐欺が大きな社会問題になっている。 薬事法や健康増進法、食品衛生法などに違反したものも存在し、これらへの対策が求められる。
アメリカでは栄養補助食品健康教育法によって厳しく管理され、安全性や効果について正確な情報が公開されているといわれる。
日本でも平成13年より保健機能食品制度がスタートした。
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[編集] 定義
「健康食品」という名称自体には法令上の定義は存在しない。 あくまで『製造販売業者が「健康食品」と宣伝した食品』=『健康食品』 である。
「健康食品」には「保健機能食品」であるものと、そうでないものがある。
[編集] 保健機能食品
保健機能食品は、健康食品のうち安全性や有効性等が国の設定した一定の基準を満たした食品である。
健康食品の品質を見極める時、評価基準の一つとすることが出来る。
健康増進法及び食品衛生法により定義され、特定保健用食品と栄養機能食品の二つに分けられる。
[編集] 特定保健用食品
特定の保健目的により摂取した時、その効果が期待できる旨を表示することを国が認めた食品。
通称「トクホ」「特保」。一商品ごとに厚生労働省による審査をうけ、認可をうける必要がある。(個別許可型)
形態としては、いかにも健康食品然とした錠剤や粉末ではなく、通常の飲食物(ヨーグルト、乳酸菌飲料、納豆、緑茶など)や調味料(オリゴ糖など)の形態をしたものが多い。
[編集] 栄養機能食品
食生活等の理由により、不足しがちな栄養成分(後述)の補給を目的とした食品。
厚生労働省の設定した基準を満たせば、表示が許可される。(規格基準型)
(許可の対象となる栄養成分)
ビタミン(A,B1,B2,B6,B12,C,D,E)、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、葉酸、カルシウム、鉄、亜鉛、銅、マグネシウム
[編集] 分類
薬事法及び食品衛生法によれば、全ての口に入るものは、薬と食品に二区分される。
医薬品 | 医薬部外品 | 特定保健用食品 | 栄養機能食品 | その他の健康食品 | |
---|---|---|---|---|---|
定義している法律 | 薬事法 | 健康増進法・食品衛生法 | × | ||
効果効能の表示 | 国の認可により表示可能 | 定められている栄養機能表示のみ可能 | できない(違法となる) | ||
販売の規制 | 薬局・薬店のみ(例外事項あり) | 一般小売店で販売可能 |
詳しい分類法は記事 食薬区分を参照
[編集] 現状と問題点
一般的に「健康食品」と呼ばれるものは、健康ブームによりビタミンやカルシウムなど特定の栄養素を補給する「サプリメント」や、ニンニクやスッポンなど、滋養強壮に良いとされるか、痩身や体調の向上に役立つことを間接的に表現する方法で、効果があるといわれている特定の動物や植物のエキスや粉末、抽出物質(食物繊維など)を錠剤にしたり、カプセル化したりして、医薬品と似た形態で販売されているものも多い。
販路としては、ドラッグストアやスーパーマーケットを中心とした一般店舗で販売されるほか、訪問販売、通信販売、連鎖販売取引などの商材に使われることもある。
販売時に、ガンなどの病気に効くなどといった薬事法に抵触するようなバイブル商法が使われることもある。このような販売方法によって購入した人が健康食品のみ偏食するフードファディズムや、医師の治療をやめたりして健康被害を起こすことがある。中には提唱しているような健康効果について何の根拠も無い製品もあり、効果を得られずに終わってしまう事もある。また、21世紀に入ってからは、インターネットを通して中国で製造された中国・日本の薬事法において食品への使用が認められていない向精神薬・医薬品(日本において未認可の物も含む)の成分が含まれるダイエット食品を購入し食べたりした人が腹痛・下痢・死亡するなどの健康被害を起こす事件もおきている。
「有名人がテレビで言ったから」と報道内容及び宣伝内容をそのまま鵜呑みにしてしまう例も多い。テレビ番組で「健康によい」と取り上げられたとたんに需要が増加し、コンビニエンスストアやスーパーマーケットの棚から商品がなくなる、というのは近年でもよく見られる現象である。
健康食品に限った話ではないが購入前、使用前に自己で商品を客観的に評価、検証することが大切である。自己で判断できない場合、医師や薬剤師、栄養士等の専門家に助言を求めることも重要となる。
健康食品被害にあわないよう、厚生労働省、国立健康・栄養研究所、食品安全委員会、各自治体は注意を喚起している。
[編集] 健康食品に関わる資格
現在、こうした健康食品のみを専門に司る国家資格は存在していない。医師、薬剤師、管理栄養士、栄養士が、それぞれ医学、薬学、栄養学の専門家として助言、管理を行うことが望ましいと考えられる。
民間資格としてはサプリメントアドバイザーやサプリメント管理士、フードコーディネーターなどがある。前者を取得するために必要な資格には、理容師、美容師なども含まれる。所定の講習会に参加し、そこが学習した内容についての試験に合格すれば取得できる。
より専門的な資格としては健康食品管理士認定協会が認定する健康食品管理士があり、これは受験資格が厳しく設定されている。
公的資格としては独立行政法人 国立健康・栄養研究所が認定する栄養情報担当者 (NR) がある。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 保健機能食品・健康食品関連情報(厚生労働省)
- 健康食品ナビ(東京都)
- 「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所)
- 新開発食品専門調査会(食品安全委員会)
[1] 都道府県等から報告されたいわゆる健康食品に係る 健康被害事例について(お知らせ)(厚生労働省)