薬膳
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生薬の原料や材料として用いられる海松子、金針菜、枸杞、紅花、山査子、銀、大棗、蜂花粉、百合、竜眼肉等を用いた料理のみならず自然界にあるもの全てを食物と考え、日本語の造語である医食同源のもとに個々人ごとに異なる体質や臓器に適した食物をどのように摂ることが効果的かを予防医学の見地に立つ中国医学による帰経(きけい)効果がある料理。
目次 |
[編集] 起源
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[編集] 生薬
薬膳に用いられることの多い食品のうち代表的なものを列記する。
- 海松子(かいしょうし): 松の実
- 金針菜(きんしんさい): ユリ科のホンカンゾウの花のつぼみ
- 銀耳(ぎんじ): 白木耳(しろきくらげ)
- 枸杞子(くこし): 一般にクコの実と呼ばれ、ナス科植物のクコまたはナカバクコの果実を干したもの。
- 紅花(こうか、べにばな)
- 山査子(さんざし): バラ科のサンザシの実
- 大棗(たいそう): クロウメモドキ科サネブトナツメの実
- 蜂花粉
- 百合(びゃくごう): ユリの根
- 竜眼肉(りゅうがんにく)ムクロジ科リュウガンの仮種皮
- 甘草(かんぞう): マメ科のカンゾウの根
[編集] 五行
医食同源における五行の考えを取り入れ、食品を「熱、温、平、涼、寒」に分け、摂取した際に体内が「熱、温」、「涼、寒」、いずれでもない「平」に分類する。医学的見地においてこれら五行の体感は自律神経によるもので、例えば冷え性は血管の収縮や弛緩を調整する働きの不調から起こるため、これらを改善する成分を含む食品を摂ることが薬膳の考えかたになる。
- 熱温性食品(温性食品)
- 一般に成長がゆっくりで水分が少なく小さくて硬い食品と言われ、緑黄色野菜や血行を良くするビタミンEや、糖質の分解を助けるビタミンB1等が含まれる食品。
カボチャ、栗、クルミ、ニンニク、ニラ、葱、玉ネギ、ラッキョウ、 山椒、胡椒、唐辛子、芥子、生姜、シソ、パセリ、人参、春菊、 蕗、山菜、鰻、ナマコ、鮪、鯛、蜂蜜、牡蠣、牛肉、羊肉、鶏肉、餅、味噌、酒、ビール
- 涼寒性食品(涼性食品)
- 一般に成長が早く水分が多く大きく柔らかい食品と言われ、腎機能を高め利尿作用を助ける成分が含まれる食品。
茄子、 トマト、胡瓜、セロリ、牛蒡、ホウレン草、柿、キウイフルーツ、バナナ、枇杷、豚肉、レモン、ミカン、梨、林檎、西瓜、パイナップル、柚子、アスパラガス、チシャ、苦瓜、 蕪、モヤシ、冬瓜、そば、 緑豆、アサリ、シジミ、鮑、蛤、雲丹、蛸、蟹、牛乳、緑茶、醤油、塩、味噌、豆腐 、小麦、ハトムギ、キンカン、夏ミカン、ポンカン、いよかん、イチゴ、ザボン、干し柿、メロン、マンゴー、サトウキビ、マクワウリ、冬瓜、苦瓜、キュウリ、空心菜、ナズナ、クワイ、たけのこ、ユリネ、蓮根、マッシュルーム、緑豆、小豆、おから、白身、ワカメ、テングサ、海苔、コンブ、ひじき、鰯、タニシ、蜂蜜、日本茶、ジャスミン茶、ウーロン茶、胡麻油、サフラン、アロエ、ハッカ、ドクダミ、葛、粟、ツルムラサキ - 平性食品
- レモン、大根、納豆、玄米、ジャガイモ、大豆、サンマ、里芋、鶏卵
[編集] 主な薬膳料理
台湾では、十全大補の材料を煮込み、スープベースにする料理が存在する。薬膳スープと呼ばれるこのスープには、排骨、鳥、なまず、羊などの肉をいれた各メニューがある。「十全○○」とメニューにかかれてあり、この○○部分に、中身の具が鳥なのか羊なのかを指し示す漢字が入っている。