安馬公平
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安馬 公平 | |
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四股名 | 安馬 公平 |
本名 | Davaanyam Byambadorj |
生年月日 | 1984年4月14日 |
出身 | モンゴル・ウランバートル |
身長 | 185cm |
体重 | 115kg |
所属部屋 | 安治川部屋 |
成績 | |
現在の番付 | 前頭4枚目 |
最高位 | 小結 |
生涯戦歴 | 214勝166敗1休(36場所) |
幕内戦歴 | 99勝95敗1休(13場所) |
優勝 | 十両優勝1回 三段目優勝1回 序ノ口優勝1回 |
賞 | 敢闘賞1回、技能賞2回 |
データ | |
初土俵 | 2001年1月場所 |
入幕 | 2004年11月場所 |
備考 | |
安馬 公平(あま こうへい、1984年4月14日 - )は、モンゴル国ウランバートル市出身(呼び出しではモンゴル・ゴビアルタイ出身、父の出身地)で安治川部屋所属の現役大相撲力士。本名 Даваанямын Бямбадорж (Davaanyam Byambadorj:ダワーニャム ビャンバドルジ)。身長185cm、体重115kg。最高位は東小結(2007年3月場所)。得意手は突っ張り、右四つ、寄り、突き出し。
目次 |
[編集] 来歴
現在、幕内最軽量の力士だが、正統派で真っ向勝負の相撲を心がけており、稽古熱心な力士として一般には知られる。しかしインタビュー等における発言は対戦相手の変化に対する警戒心を薄れさせ変化の成功率を上げるための手段であり、実際には2005年9月場所の露鵬、琴奨菊戦(後述)、2006年9月場所の稀勢の里戦など、立ち会いの変化も得意技の一つとしている。尊敬している力士は初代貴ノ花。ビデオでその相撲を研究している。ちなみに、貴ノ花も横綱北の湖を立ち会いの変化で破り、「他の力士なら変化もあるだろうと警戒するが、貴ノ花関は今まで一度も変化したことがないから、全く無防備だった」と言わしめたことで知られる。
インタビューの際の口癖は、「お客さんを喜ばせる激しい相撲をとりたい」。愛称はアマ。好きな言葉は「なんでやねん」。父はブフ(モンゴル相撲)の国家ザーン(大相撲での関脇に相当)。
2005年9月場所、初日に立ち合いで変化し露鵬に送り出しで勝った。さらに千秋楽には立ち合いで右に変わり、7勝7敗の琴奨菊に上手投げで勝った。ちなみに琴奨菊は東前頭6枚目で11日目を終わり7勝4敗としていたが、上位力士の休場により12日目から横綱、大関陣と対戦し3連敗。この敗戦で4連敗となり負け越しとなった。ただし翌11月場所9日目の琴欧州戦で、負けたものの「変化はしたくなかった。これからも対戦する相手だから」と語ったように、元来は真っ向勝負の力士であり、琴奨菊戦に珍しく見せた立合いの変化も、大きく見て今後の幅を広げるためではないかと思われた。翌11月場所、安馬は琴奨菊に一方的な相撲で敗れ、借りを返された(琴奨菊は6勝9敗で2場所連続の負け越し)。
その後2007年1月場所6日目にまたも琴奨菊戦で立ち合い変化し敗れた。その際「まわしを取りたいから変化は最初から決めていた。」とコメント。さらに中日の琴欧洲戦では立ち合いの変化で勝ち、インタビュー時にこの日大相撲中継のゲストであったデーモン小暮閣下に変化について問われると「あれは横にくっつこうと思ってて…変わったワケじゃ無いス」と苦し紛れに弁明した。
[編集] エピソード
- 趣味のひとつでもある絵画はセミプロの腕前。13歳頃から始め、美術の専門学校であるイレドゥチョボル高校在学中に、個展を開いた。
- 2005年9月場所9日目、NHK大相撲中継の中入りの時間帯で、憧れの富士山を油絵で描く様子が紹介された。取材日前日までの台風の影響で、少し雲がかかっていた富士山を見て、「負けたり寂しいときに見る感じ」を表現したと言い、スタッフと相談して「孤高」というタイトルをつけた。次は「沖縄のきれいな海を描きたい」とのこと。
- モンゴルの先輩である朝青龍とは違う部屋でありながら、場所中に何度も夜の街へ繰り出す程の仲である。
- 2006年末に、父ダワーニャムさんと親族が交通事故により急死、次兄のラグバドルジさんも重傷を負った。この事故のため一旦帰国したが、1月場所出場のため2007年1月6日に日本に戻り、悲しみを押し殺して場所を勤めた。同年3月場所からは、取組前の場内アナウンスの際読み上げられる出身地を、父の出身地であるゴビアルタイに変更した。
- 尊敬する貴ノ花と同様、喫煙者である。
- 初代若乃花(若乃花幹士)が相撲雑誌内で、注目している、と名を挙げる。また「現役時代の自分に似ている」とも話している。
[編集] 略歴
- 2001年1月場所 - 初土俵
- 2001年3月場所 - 序ノ口優勝(西29枚目・7勝0敗)
- 2002年3月場所 - 三段目優勝(西14枚目・7勝0敗)
- 2004年3月場所 - 新十両
- 2004年9月場所 - 十両優勝(東4枚目・11勝4敗)
- 2004年11月場所 - 新入幕
- 2005年1月場所 - 13日目(21日)に勝ち越しを決めていたものの、翌14日目(22日)に、前半戦の取組で痛めた尾骶骨部分の「臀部膿瘍(でんぶのうよう)」と診断され、初めて休場届を出す(勝ち越しを決めた13日目の対戦相手は同じモンゴル出身の朝赤龍)。
- 2005年3月場所 - 西前頭11枚目で復帰。成績は9勝6敗と2桁勝利には及ばなかったものの、その相撲内容を高く評価され技能賞初受賞。
- 2005年7月場所 - 幕内で初の負け越し(6勝9敗)。
- 2005年11月場所 - 3日目(13日)の横綱土俵入りで、初めて露払いを務める(この日、露払いの北勝力と太刀持ちの高見盛の対戦が組まれたため)。この場所は7勝8敗と負け越し。
- 2006年1月場所 - 13日目(20日)の朝青龍戦で初めての金星。ちなみにこの金星は、朝青龍にとって幕内戦績100敗目だった。
- 2006年5月場所 - 新小結。4勝11敗と負け越した。
- 2006年10月 -全日本力士選士権-優勝。平幕力士の優勝は25年振り、3回目。
- 2007年1月場所 -14日目に朝青龍を星1つの差で追っていた豊ノ島を小褄取りの決まり手で破り「援護射撃」を果たし、朝青龍の20回目の優勝に貢献した。取組後支度部屋に戻り朝青龍に最敬礼。部屋・一門を超えたモンゴル人同士の繋がりの深さを見せた。千秋楽も稀勢の里を破り10勝目を挙げ、翌場所に小結復帰を果たす。
- 2007年3月場所 -小結復活の場所で8勝7敗と勝ち越し。新関脇の琴奨菊が7勝8敗で負け越し、関脇のポストが空いたため、翌場所の新関脇が有望視されている。
[編集] 安馬対時天空
モンゴルでは同じ柔道クラブに所属、2004年3月場所でともに十両に昇進した時天空との対決は、毎回観客の期待するところとなる(以下は幕内での対戦成績)。
- 2004年11月場所 - 7日目(20日)● 両前まわしを引いた安馬の首を時天空が右腕で極め、五輪砕きの形になりながら3分を越える長い相撲となり、投げの打ち合いの結果上手投げで負け。
- 2005年1月場所 - 3日目(11日)○ 寄り倒しで勝ち。
- 2005年5月場所 - 10日目(17日)● 足取り(モンゴル相撲のホンゴトフという技)で負けた。
- 2005年7月場所 - 12日目(21日)○ 右足を取られた時天空が片足のまま1分も耐えたものの、寄り切りで勝った。
- 2005年9月場所 - 14日目(24日)○ 水入りとなる6分42秒の熱戦を、寄り切りで勝った。実はこの前日、安馬は朝青龍とその知人の3人で、13日目(23日)の優勝をかけた直接対決で朝青龍が琴欧州を破った祝杯として、ワイン3本、ウォッカ2本を空けていた。
- 2005年11月場所 - 2日目(14日)○ 早い相撲に徹しながら、土俵際で飛びつくように体重を預けて寄り切りで勝ち。
- 2006年3月場所 - 11日目(22日)● 突き放し、引き技の応酬の末、引き落としで負け。
- 2006年5月場所 - 12日目(18日)○ お互いに突っ張りあいいなしあった後、組んでから安馬が内掛けを狙い、最後は下手投げで勝った。
- 2006年7月場所 - 9日目(17日)前日定時の発表では時天空と組まれていたが、その直後露鵬の3日間の出場停止が決まり、割返しがあり流れた。
- 2007年3月場所 - 11日目(21日)○ 久々の顔合わせだったが、安馬の速攻による寄り切りで早々に勝負が決まり、いささかあっけない結果となった。
[編集] 幕内での場所別成績
場所 | 地位 | 勝数 | 敗数 | 休場 | その他 |
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平成16年(2004年)11月 | 西前頭14枚目 | 8 | 7 | 0 | - |
平成17年(2005年)1月 | 東前頭13枚目 | 8 | 6 | 1 | - |
平成17年(2005年)3月 | 西前頭11枚目 | 9 | 6 | 0 | 技能賞 |
平成17年(2005年)5月 | 東前頭9枚目 | 8 | 7 | 0 | - |
平成17年(2005年)7月 | 東前頭8枚目 | 6 | 9 | 0 | - |
平成17年(2005年)9月 | 東前頭11枚目 | 9 | 6 | 0 | - |
平成17年(2005年)11月 | 西前頭5枚目 | 7 | 8 | 0 | - |
平成18年(2006年)1月 | 東前頭6枚目 | 9 | 6 | 0 | 金星(朝青龍) |
平成18年(2006年)3月 | 東前頭2枚目 | 8 | 7 | 0 | 技能賞 |
平成18年(2006年)5月 | 西小結 | 4 | 11 | 0 | - |
平成18年(2006年)7月 | 東前頭4枚目 | 6 | 9 | 0 | - |
平成18年(2006年)9月 | 東前頭6枚目 | 11 | 4 | 0 | 敢闘賞 |
平成18年(2006年)11月 | 東前頭筆頭 | 6 | 9 | 0 | - |
平成19年(2007年)1月 | 東前頭4枚目 | 10 | 5 | 0 | - |
平成19年(2007年)3月 | 東小結 | 8 | 7 | 0 | - |
通算 | 117 | 107 | 1 | 敢闘賞1回、技能賞2回、金星1個 |
[編集] 主な成績
2007年3月場所終了現在
- 通算成績:232勝178敗1休(38場所)
- 幕内成績:117勝107敗1休
- 幕内在位:15場所
- 三役在位:2場所(小結2場所)
[編集] 各段優勝
- 十両優勝:1回
- 三段目優勝:1回
- 序ノ口優勝:1回
[編集] 三賞・金星
- 三賞:3回
- 敢闘賞:1回(2006年9月場所)
- 技能賞:2回(2005年3月場所、2006年3月場所)
- 金星:1個(朝青龍1個)
[編集] TV出演
- 2006年10月20日 幸せって何だっけ~カズカズの宝話~
- 2006年10月29日 Music Lovers 白鵬とゲスト出演