大相撲中継
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『大相撲中継』(おおずもうちゅうけい)は、大相撲の取組の模様を中継するテレビ・ラジオの番組である。
ここでは特に断りの無い限り、NHKがNHK総合テレビジョン(NHKデジタル総合テレビジョンを含む)、NHK衛星第2テレビジョン、NHKデジタル衛星ハイビジョン、ラジオ第1放送および海外向けのNHKワールド・プレミアム(テレビ番組配信)、NHKワールド・ラジオ日本で生放送している番組について記述する。
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[編集] 概要
毎年、奇数月(1・3・5・7・9・11月)に開催される大相撲取組の模様をNHKで連日、開催会場から中継している。
- 放送場所
- 1月・5月・9月場所の初場所/夏場所/秋場所は東京・両国国技館
- 3月場所の春場所は大阪・大阪府立体育会館
- 7月場所の名古屋場所は愛知・愛知県体育館
- 11月場所の九州場所は福岡・福岡国際センター
- 放送時間
- 総合テレビ=平日は15:12-18:00、週末は15:05-18:00。(18:00以降になっても、結びの一番が終了しない場合は、延長される)主に十両・幕内の相撲を中継する。国会、その他のスポーツイベントの中継、その他特別番組などのため時間帯が短縮される場合があるが、17時台は必ず放送される。但しやむを得ず総合テレビで放送できない場合は教育テレビに振り替えることもある。以前は中継開始時に取組が行われていた場合はオープニングを省略し、右下に「大相撲○○場所○日目」のテロップを表示して取組の模様を流し、終了後にオープニング映像を流していた。しかし、2006年3月場所からオープニング映像がリニューアルされたのに伴い、取組中であっても強制的にオープニングが挿入されるようになった。
- ラジオ第1放送=16:05-18:00。平日は国会中継により17時台のみ放送の場合もある。やむを得ず放送できない場合はFM放送(音声はモノラル放送)で振り替えて放送する場合もある。
- 過去に教育テレビ・FMで放送した主な事例
- 1991年1月場所=湾岸戦争報道のため(当時、教育テレビのステレオ放送は関東・東海・近畿地方のみ実施でほかの地域はモノラル放送だった)
- 1995年1月場所=阪神・淡路大震災報道のため。近畿地方は震災報道(安否情報を放送)のため休止
- 2002年9月場所=日朝首脳会談のため
- 2003年3月場所=イラク戦争報道のため
- 2007年1月場所七日目=北西太平洋を震源とする地震で津波警報・津波注意報発令による緊急報道のため
- 衛星第2テレビ=13:00-18:00に放送(2006年九州場所よりデジタル放送では16:9のサイズで放送されるようになった。デジタル衛星第1で振り替え放送される場合も同様。)。三段目中位から結びの一番まで中継。国会中継がある場合は衛星第1テレビに振り替える場合もある(但し、土曜日に囲碁・将棋ジャーナルがある時は13:28から放送される)。前述の総合テレビオープニングのリニューアルに伴い、総合テレビの中継開始と重なった取組は途中で中断されるようになった。リニューアル当初は取組をVTRで流すこともなかったが、衛星放送視聴者からの苦情があったためか現在はVTRを流している。
- 衛星ハイビジョンテレビ=16:00-18:00
- NHKワールド・プレミアムは16時台から(時差放送あり) NHKワールドラジオ日本は17時台から放送される。ただし、津波関連などの緊急報道がある場合は休止されることがある。
※取組の進行状況によっては18:00を過ぎてもすべての取組が終了しない場合(千秋楽は表彰式が始まらない場合)はすべての取組が終わるまで(千秋楽は表彰式の優勝インタビューまで)中継放送を継続。その際、18時台の番組の開始時刻が変更されるが(大幅な延長時間があった場合は予定していた収録番組を後日振り替え放送されることがある)、ニュース7の始まる19:00以降は通常編成に戻る。
[編集] テレビ中継
テレビの中継放送では幕下、十両、幕内の3部構成であり、実況アナウンサー、解説者はその都度入れ替わる。ラジオは幕内のみの中継であるためアナウンサー、解説者は交代しない。但し、平日の一部日程では、アナウンサーの交代を行う場合があるが実況とリポーターを半々で務める形で担当する。
[編集] 幕下
衛星第2テレビの中継開始から十両土俵入り前まで(三段目上位と幕下中位までの取組)を担当する。
正面に実況アナウンサーと解説者、向正面にリポーターとしてNHKのアナウンサーが座る。解説は概ね若手の年寄・準年寄が担当するが八角親方(元横綱北勝海)、友綱親方(元関脇魁輝)、熊ヶ谷親方(元幕内竹葉山)など幕内の取り組みで解説を務めた経験のある親方も座る事がある。
その他まれに向正面にゲストが招かれることや若者頭が解説を務めることがある。
[編集] 十両
十両土俵入りと幕下上位、十両の取組を担当する。
正面に実況アナウンサーと解説者(年寄)、向正面にリポーターとしてNHKのアナウンサーという構成は同じで、十両土俵入り前にアナウンサーの交代時間を利用して、過去の場所の思い出の取組などが放送される。
[編集] 幕内
幕内土俵入りから結びの一番までを担当する。
正面に実況アナウンサーと解説者、向正面にも解説者が座り、リポーターにNHKのアナウンサーが東西に配置される。
解説には、年寄のほかにNHK専属の解説者(協会を退職した元力士・年寄)も加わる。ここ数年は、初日と千秋楽は解説が北の富士勝昭と舞の海秀平、実況が藤井康生アナウンサー、刈屋富士雄アナウンサー、吉田賢アナウンサーのいずれかが務めるという形が恒例である。
中日(8日目)や祝日には、好角家の著名人がゲストに招かれることが多い。ゲストが招かれた場合は向正面には解説者は入らず、アナウンサーが座る。
千秋楽(15日目)の最後にはその場所のエンディングとして1分30秒のダイジェストを流す。1分30秒が基本であるが、名力士の引退などがあると2分を超える場合もある。平成15年初場所の横綱貴乃花の引退時には2分30秒であった。また平成18年名古屋場所では30秒の短縮バージョンであった。エンディングに使われる曲はNHKがこのために作ったオリジナルのものである(一部グスターヴ・ホルストのJupiterを使った例もある)。ダイジェストの傾向としては、その場所の活躍力士、好取組を中心とし、最後は優勝力士が賜杯を受け取るシーンで終わる。
一時期、放送時間が17:59までとなり、17:59~18:00までの間は番組のお知らせを放送していた時期があったが、不評だったためか、現在は時間が余っても18:00まで放送している。
総合テレビ(デジタル・アナログともに)、衛星第2テレビ(デジタル・アナログともに)、デジタル衛星ハイビジョンでリアルタイム字幕放送を実施。当初は一部の日程のみで実施されていたが、現在は総合テレビの中継開始時に実施されている。なお、放送画面に字幕を起こす場合、会場の歓声や拍手などの雑音が入ってしまうことから、NHK放送センターのスタジオで改めて別のアナウンサーがその内容を改めてアナウンスした上で字幕に起こす。これは大相撲以外のスポーツ中継や、NHK紅白歌合戦などのステージイベントの中継でも同様に行われている。
総合テレビ(デジタル・アナログともに)では16時台(17時台のみ放送の場合は17時台)の取組の合間に、放送地域(都道府県別)の幕下以下の出身力士の「今日の勝敗」が字幕テロップで伝えられる。
また、長年大相撲中継に携わっている内藤勝人アナウンサーも2005年九州場所まで本場所期間中テレビで1回(2002年九州場所までは初日と千秋楽を中心に3回程度)ラジオで2・3回幕内実況を担当(内藤勝人アナウンサーが番組に出るのはこの番組のほか、「大相撲・幕内の全取組」の案内役とラジオ第2放送・FM放送で放送されているクラシック音楽番組「名曲の小箱」の曲目紹介のアナウンスで出ている程度である)。内藤勝人アナウンサーは2005年の九州場所〔十一月場所〕もって実況の担当は退いている。
[編集] 副音声
2か国語放送では、東関親方、武蔵丸親方や好角家の外国人がゲストに招かれることがある。収録は毎場所東京のスタジオで行われている為、地方場所では親方がゲストとして招かれる事は無い。
衛星第2テレビジョン、2001年初場所から衛星ハイビジョン、2004年九月場所からデジタル総合テレビジョンで16:00から2か国語放送(英語による実況)を実施している。また、NHKワールド・プレミアムでも実施。なお、衛星ハイビジョンとデジタル総合テレビはステレオ2音声での放送である。また、2006年九州場所からデジタル衛星第2テレビも16:9のワイド放送化により2か国語放送はステレオ2音声での放送となった。
[編集] 地方局・デジタル総合テレビの放送
日曜日における総合テレビジョンの放送は北海道のみ他地域よりも放送開始時間が遅く始まる飛び乗りのかたちで放送することがある。これは、「北海道スペシャル」放送の関係で時差放送となっている「あなたも挑戦!ことばゲーム」などを放送するためである(現在は終了)。また、デジタル総合テレビでも日曜日昼の時間帯が別のスポーツ中継の編成があるときは「大河ドラマ」の先行放送をアナログ総合テレビの大相撲中継の時間帯の一部を割いて放送するために北海道地方と同様飛び乗りのかたちで放送される。(現在は先行放送の番組がないため行われなくなった)
[編集] ラジオ
- ラジオ中継は幕内の取組を16:05-18:00(途中17時台冒頭に2-3分程度ニュースが挟まれる。千秋楽のみ幕内の取組が早まるので15:30開始)に放送する。
- 基本的に解説者は2時間通しで1人のみが出演し、実況アナウンサーはテレビとは異なり幕内前半戦と後半戦とで交代となる。
[編集] 出演者一覧
[編集] NHK大相撲中継解説者一覧
[編集] NHK専属解説者
- 過去のNHK専属解説者
[編集] 日本相撲協会評議員
- 幕内・正面放送席
- 幕内・向正面放送席のみ
- 幕下のみ
※ 五十音順
※ 十両・幕下の解説と幕内の向正面解説は審判部に所属していない年寄・準年寄が交代で務める(具体名は省略する)。ただし、北陣は幕内中継の向正面解説のみで十両・幕下の解説には入らず、八角は幕下中継の解説のみで十両・幕内の解説には入らない。
[編集] NHK大相撲中継アナウンサー一覧
- 藤井康生 (1957年1月7日生) 東京アナウンス室
- 刈屋富士雄 (1960年4月3日生) 福岡
- 吉田賢 (1960年5月2日生) 広島
- 山口達也 (1963年9月7日生) 鹿児島 ※1月場所で数年ぶりの中継登場
- 岩佐英治 (1964年6月7日生) 東京アナウンス室
- 白崎義彦 (1965年8月29日生) 高松
- 福田光男 (1967年6月30日生) 東京アナウンス室
- 三瓶宏志 (1969年5月6日生) 東京アナウンス室
- 山田賢治 (1973年7月16日生) 松江
- 和田政宗 (1974年10月14日生) 大阪
- 佐藤洋之 (1975年1月4日生) 東京アナウンス室
- 大坂敏久 (1975年1月6日生) 大阪
- 太田雅英 (1975年10月12日生) 大阪
- 船岡久嗣 (1975年11月20日生) 名古屋
- 高橋康輔 (1976年4月12日生) 鳥取
- 沢田石和樹 (1976年5月31日生) 釧路
- 厚井大樹 (1978年8月12日生) 熊本
- 過去のNHK大相撲中継アナウンサー
- 和田信賢(故人)
- 北出清五郎(故人)
- 杉山邦博
- 向坂松彦(故人)
- 土門正夫
- 石橋省三
- 阿部宏
- 山田康夫(故人)
- 小高正嗣
- 内藤勝人
- 藤沢武
- 兼本泰興
- 緒方喜治
- 上原康樹
- 田代賢
- 青沼郁夫
- 山田重光
- 久保田茂
- 政野光伯
- 小原茂
- 内美登志
- 田中秀喜
- 藤本憲司
※ 2007年1月場所現在。生年月日の後は所属局。
※ 解説者及びアナウンサーは場所によっては登場しない事もある。
[編集] 民間放送における大相撲中継
[編集] 本場所中継
民間放送開設初期の1950年代から1960年代までにかけては、民間放送テレビ・ラジオ共に競って大相撲の中継を行っていたが、1970年頃までに撤退した。
テレビ放送は一時在京4局が同時間帯で中継放送を行い、世間の顰蹙を買った。日本教育テレビ(現在のテレビ朝日)は一場所限りで撤退し、深夜の「大相撲ダイジェスト」に切り替えた。次にフジテレビが撤退。TBSテレビ、日本テレビの順に撤退した。最後まで中継した日本テレビ系は分解写真(いわゆるスローモーション技術の原点とも言える装置)を導入するなど中継に意欲的であったが、肝心のスポンサーが付かなくなったため打ち切らざるを得なくなった。
以降、生中継がNHKの独占状態となった後も残っていたテレビ朝日の「大相撲ダイジェスト」も、相撲人気が落ち込んだ2003年で遂に打ち切られた。
現在はCS放送のJ Sports ESPNが、「劇戦!大相撲」のタイトルで当日の夜にダイジェスト版が放送されている。
ラジオ放送は、ラジオ東京(現在のTBSラジオ)と新日本放送(現在の毎日放送)の共同制作で開始され、これに文化放送が朝日放送と組んで追従した。のち相撲中継は日本相撲協会の意向で某代理店に一任され、保全経済会がスポンサーに付いたため、ラジオ東京は撤退。文化放送が新日本放送と組んで放送を継続した。保全経済会事件の発生でこの契約が無くなると、再びラジオ東京が朝日放送と組んで放送を再開。以降、ラジオ東京系は中部日本放送、九州朝日放送と、文化放送系は東海ラジオ放送、九州朝日放送(二重製作の裏送り)とそれぞれ共同制作を行ったが、1960年代半ばには聴取率が落ち込み、両系列とも撤退した。
1973年、文化放送が中入り後十番に絞り込んで放送を復活。1980年代前半にかけて「大相撲熱戦十番」がラジオ大阪と共同制作されていた。
1990年代半ば、いわゆる「若貴人気」に伴いTBSラジオが中継(初日・中日・千秋楽)を復活。夜間にJRNネットでダイジェスト番組「まった無し!大相撲」が放送されたが、現在は撤退している。
[編集] 本場所以外の大相撲中継
現在放送しているものを挙げる。相撲協会での主催部門は巡業部。
- 「日本大相撲トーナメント」(2月、両国国技館)
- 「大相撲勝抜優勝戦」(4月、両国国技館または大阪城ホール)
- 「明治神宮例祭奉祝全日本力士選士権大会」(10月、両国国技館)
- 主催:明治神宮、テレビ東京系列で録画放映。
- 「大相撲王座決定戦」(10月、レインボーホール)
- CBCテレビ制作、全国ネット(2005年以降は実施せず)
[編集] テレビ中継の歴代高視聴率
# | 場所 | 放送日 | 視聴率 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1. | 1981年初場所・千秋楽 | 1981年1月25日 | 52.2% | 千代の富士、初優勝 |
2. | 1975年春場所・千秋楽 | 1975年3月23日 | 50.6% | 貴ノ花、初優勝 |
3. | 1978年九州場所・千秋楽 | 1978年11月26日 | 42.1% | 2代目若乃花、全勝優勝 |
4. | 1982年秋場所・初日 | 1982年9月12日 | 42.0% | 北の湖、全休明け。黒星スタート |
5. | 1983年初場所・千秋楽 | 1983年1月23日 | 41.0% | 琴風、2度目の優勝 |
6. | 1992年九州場所・初日 | 1992年11月8日 | 40.9% | 貴花田、この場所大関を狙うも黒星スタート |
7. | 1992年初場所・千秋楽 | 1992年1月26日 | 40.3% | 貴花田、史上最年少の初優勝 名古屋地区では視聴率51.1% |
8. | 1979年初場所・9日目 | 1979年1月15日 | 39.1% | 2代目若乃花、24連勝 |
9. | 1991年秋場所・初日 | 1991年9月8日 | 39.0% | 貴花田、史上最年少の関脇昇進。白星スタート |
10. | 1984年九州場所・13日目 | 1984年11月23日 | 38.9% | 千代の富士、10回目の優勝 |
[編集] 特記事項
- 『大相撲中継』(おおずもうちゅうけい)は、NHKサービスセンターが発行する雑誌『NHK大相撲中継』の通称でもある。『NHKウィークリーステラ』の別冊版として隔月刊行されている。
[編集] 歴史
大相撲中継は、昭和3年(1928年)1月12日から日本放送協会のラジオ放送によりはじまった。またこのとき、放送時間内に勝負を納めるため幕内10分、十両7分の制限時間設定とともに土俵に仕切り線を設けた。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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