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平成18年豪雪(へいせい18ねんごうせつ)とは、2005年(平成17年)12月から2006年(平成18年)2月にかけて日本で発生した大雪の名称。通称「〇六豪雪」・「平18豪雪」・「H18年豪雪」・「ゼロロク豪雪」などと呼ばれている。2006年3月1日に気象庁が命名した。気象庁の命名以前は特に名称がなく、単に「豪雪」「今冬の大雪」といった名称で呼ばれていた。
気象庁による豪雪の命名は、昭和38年1月豪雪(三八豪雪)以来2度目。「五六豪雪」、「五九豪雪」、「六一豪雪」はマスコミによる命名。
[編集] 概要
気象庁の「暖冬」との予想に反して2005年12月から寒気がたびたび流れ込むようになり、低気圧の異常な発達と重なって、日本に大雪と低温、暴風をもたらした。そのため12月は殆ど毎日が冬型の気圧配置であった。平年の「寒気が南下してくる限界」よりも南に寒気が流れ込んだため、九州や太平洋側でも大雪となった。ただし、新潟市や仙台市などでの積雪量は平年並みからやや少なく、簡単に一般論では語れない。2006年1月半ばから次第に寒気の流れ込みが弱まり、その後は気温が平年並かやや高めで推移したが、代わりに雪崩の被害が増加した。
原因については、北極振動の発生により北極と日本付近との気圧の差が小さくなり、北極付近の寒気が南下しやすくなったことが考えられている。日本の豪雪と同時にヨーロッパ北部でも大雪が降ったが、そのヨーロッパ北部も日本と同様に北極との気圧の差が小さくなっていた。さらに北アメリカ大陸西部やユーラシア大陸中部では、逆に北極との気圧の差が大きくなり、気温が上昇し降水量が少なくなった。しかし、これら一連の異常は1月半ばから弱まり、北極との気圧の差が小さい地域が移動して、モスクワなどヨーロッパ北東部が寒波に襲われたり、北アメリカ西部で大雪・大雨が降るなどした。
日本では1987年以降、特に1990年代は殆ど暖冬で2000年以降も東日本~西日本にかけて暖冬傾向だったことや、地球温暖化に対する意識が高まってきており暖冬の傾向が強くなるのではないかとの考え方があったことから、この厳冬と大雪をメディアは大きく取り上げた。また、厳冬と大雪により除雪用品や暖房器具の売り上げが伸び、日本のGDPを押し上げるとの試算もあり、一部に良い面もあった。しかし大雪対策で財政が圧迫される自治体が出るなどもした。
この一連の豪雪は地球温暖化の影響で発生した異常気象だと指摘される事がある。しかし、地球温暖化との関連性は解明されていない。
[編集] 経過
[編集] 2005年
[編集] 2006年
[編集] 被害
被害の状況として、スリップや衝突などによる交通事故、落雪による事故のほか、高齢者を中心に、全体の7割を占めた雪おろし中の事故(転落、心臓発作など)による死者が目立った。雪崩による死者は2人と他の豪雪と比較して少ない。
[編集] 人的被害
新潟県32人、秋田県22人、北海道18人、福井県14人、山形県13人など全国で合計152人の死者が出た。負傷者は合計で2,100人を超えた。
[編集] 家屋被害
- 家屋全壊18件
- 家屋半壊28件
- 一部損壊4,667件
- 床上浸水12件
- 床下浸水101件
広島県では一部損壊の住宅が1,000件を超えたのをはじめ、滋賀県、島根県、岐阜県、秋田県、京都府、新潟県などで建物への被害件数が多かった。(以上消防庁のまとめによる)
[編集] 自然災害
- 雪崩93件
- 地すべり13件
- 土石流5件
- がけ崩れ13件
(国土交通省のまとめによる)
[編集] ライフライン
- 停電約1,377,400件(最大)
- 断水61,091件(最大)
[編集] 経済被害
[編集] 政府機関・地方公共団体の対応
一時三重県と愛媛県が災害対策本部を、青森県が豪雪対策本部を設置した。全国79の市町村で災害対策本部が設置された。 北海道、福島県、秋田県、新潟県、長野県が、除雪や雪崩予防などの災害派遣を自衛隊に要請。また新潟県の一部の市町に災害救助法が適用された。
[編集] ボランティアの活動
[編集] 主な記録
[編集] 最深積雪
- 主な県庁所在都市
地名 |
積雪量(cm) |
青森市 |
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札幌市 |
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福井市 |
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富山市 |
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盛岡市 |
(歴代2位) |
山形市 |
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秋田市 |
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金沢市 |
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長野市 |
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鳥取市 |
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- 全339観測点のうち上位10位
地名 |
積雪量(cm) |
日付、観測点での記録 |
青森市酸ヶ湯 |
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(2月13日、歴代5位) |
津南町 |
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(2月5日、歴代1位) |
大蔵村肘折 |
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(2月12日、歴代10位) |
湯沢町 |
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(1月28日、歴代1位) |
妙高市関山 |
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(1月8日、歴代2位) |
野沢温泉村 |
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(1月8日、歴代3位) |
魚沼市入広瀬 |
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(2月5日、歴代10位以内に入らず) |
西川町大井沢 |
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(2月12日、歴代6位) |
十日町市十日町 |
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(02月12日、歴代7位) |
魚沼市小出 |
|
(2月5日、歴代9位) |
- 日本の全観測点339地点のうち23地点で年間最大積雪記録を更新した。
- それぞれの月の最大積雪記録を、12月は106地点、1月は54地点、2月は18地点で更新した。
[編集] 平均気温
- 2005年12月の平均気温は、西日本(近畿・中国・四国・九州)で平年より2.8℃、東日本(関東甲信・東海・北陸)で平年より2.7℃も低くなった。これは昭和38年1月豪雪の平均気温をも下回る値で、西・東日本ともに気象庁の統計開始以来最も低い値となった。北日本(北海道・東北)でも平年より1.9℃、南西諸島(奄美諸島・沖縄県)でも平年より1.5℃低くなり、それぞれ20年ぶりに低い気温だった。29の観測点で12月の平均気温が観測開始以来最低となった。20年ぶりに、日本のすべての地域で気温が平年より低くなった。
- 2005年12月~2006年2月の期間中の平均では、北陸地方で平年よりも1.2度も低くなり記録的な寒さとなった。全国的には、北海道から九州にかけての広い範囲で低温となり、平成時代としては珍しい程の「寒冬」だった。
[編集] 各地の様子
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク