広島電鉄70形電車
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広島電鉄70形電車(ひろしまでんてつ70かたでんしゃ)とは、1982年にドイツのドルトムント市電より移籍した広島電鉄の路面電車である。
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[編集] 概要
ドルトムント市電が地下線新設のため車両更新した際、余剰になったGT-8形を1981年に購入、日本での運用に合うように冷房改造などを行って、翌年より運用を開始した。運用開始時は宮島線で運用されていたが、他の車両との運転取扱上の違いが多く、また保守整備に際しても支障する点が多いことから、3700形以降の新型直通車が増えると車庫で休む事が増えた。1994年より市内線の輸送力強化のために宇品線に移籍して、朝夕のラッシュ時に活躍。これは1998年まで続いた。現在は76号のみが残り、車内にテーブルやカーテン、マイクを設置して「ビール電車」などの貸切専用車となっている。
本形式は当時、西ドイツ国内向けに大量製造されたデュワグカーの一つであるが、
- 多段式直接制御であること…点検整備は車体外部の点検蓋から行う構造。また、他車とはノッチ進段が逆回しである。
- 駆動方式が標準のモノモーター式の直角カルダン駆動ではなく、釣り掛け駆動を採用している。
といった特徴がある。 こうした特徴を有するものはこれ以外には数例しかない。また、片運転台・片側面ドア方式が主流のドイツにおいて両運転台・両側面ドア式というのも少数派である。
[編集] 76
ドルトムント時代からの銀を基調としたドイツの地ビールの広告塗装のまま現在に至っている。市内線運用には主にこの車両が使われた。現在は貸切専用車として使用されている。
[編集] 77
ドルトムントの路面電車の標準塗装で、窓下にドイツの宝くじの広告が貼られている。旧車番は80号だったが、76号と連番にするために77号に改番された。市内線運用は76号の予備扱いだったが、晩年の運用では比較的多く使用された。運用終了後しばらくして台車に亀裂が見つかり休車状態となる。2005年1月に車体外部が化粧直しされ、元々の塗り色とは明るい色に塗られ、また本来の塗り分けと異なる状態になった。5100形の車庫スペース確保のために2006年1月10日から13日に掛けて廃車解体された。台車など一部の部品は76号の予備品として残された。
[編集] 主要諸元
[編集] A・B
- 製造初年:1959年
- 全長:10115mm
- 全幅:2360mm
- 全高:3940mm
- 自重:13.10t
- 車体構造:全金属製
- 定員(着席):48(16)人
- 出力・駆動方式:65kw×2、吊り掛け式
[編集] C
- 製造初年:1959年
- 全長:6850mm
- 全幅:2350mm
- 全高:3650mm
- 自重:6.80t
- 車体構造:全金属製
- 定員(着席):54(22)人
[編集] 各車状況
- 76:1982年10月竣工:荒手車庫所属
- 77:1982年10月竣工:2006年1月廃車
[編集] 参考文献
- 『ローカル私鉄車両20年 路面電車・中私鉄編』(JTBパブリッシング・寺田裕一) ISBN 4533047181
- 『広電が走る街今昔』(JTBパブリッシング・長船友則) ISBN 4533059864
- 『私鉄の車両3 広島電鉄』(保育社・飯島巌) ISBN 4586532033
etc
現役 市内線 現役 直通車 消滅 市内線 消滅 宮島線専用 |
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