広島電鉄1900形電車
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広島電鉄1900形電車(ひろしまでんてつ1900かたでんしゃ)とは、1978年に京都市電(京都市交通局)より広電に移籍した広島電鉄の路面電車である。
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[編集] 京都市電時代
京都市電900形時代については、京都市交通局900形電車の項を参照。
1900形は、2600形に始まる京都市電ワンマンカー改造車の最後の形式(京都市電にとっても最後の新形式となる)として、1957年に登場した。種車は直接制御車グループのの916~931の16両で、改造方法もすでに登場していた1800形同様、前中ドア式のワンマン車に改造され、車両番号の付番も1800形にならって、現番号に1000を追加されたものになった。改造両数が16両と半端なのは、当初の財政再建計画で残す予定だった、外郭線(西大路・北大路・東山・九条の各線)と河原町、七条の各線での所要両数を勘案して改造したものであると想定されている。
1900形は登場後烏丸車庫に集中投入され、河原町線を走る5,13,15の各系統のワンマン化に貢献した。その後、1922号を千本北大路~船岡公園前間での逆走事故で失う(衝突された1852号は復旧工事を行い、京都市電廃止後も京都市内で電車児童館として活用されて1999年まで残存していた)が、残り15両は、一部は1977年の河原町・七条線廃止に伴い広電に先行移籍した車両があるものの、残りは京都市電の廃止の1978年まで活躍して、全廃後全車広電に移籍した。
[編集] 広電移籍時の改造
1916から始まっていた車両番号を1901から1915までに整理し、ベージュ一色だったドアを塗り分けとしたほか、中扉脇の広い吹き寄せに車掌用の小窓を取り付け、1908以外の前後戸改造時に締切になっていた窓を開くように改造された。前面の行先表示器は営業開始前に全車大型化され、京都時代に付いていた「ワンマンカー」の行灯は撤去した。移籍時、前面・側面の系統板受け下部の広告を取り付ける部分に、「嵯峨野」「祇園」など、1両ずつに京都にちなんだ愛称板を取り付けた。2001年頃から掲出を止め、系統番号のプレートとその愛称板を掲出する台だけが残されたが、2006年3月に愛称板を新調し復活。現在も掲出している。
[編集] 営業開始後の改造
営業開始当時は、運転台の窓下に「ワンマン」表示がされていたが、現在は正面左側の窓の内側に路線バスのと同じ仕様の「ワンマン」表示になっている。出口の構造が広く収容力も充分で乗務員の評判が良い事から、旧型車の淘汰が進む中、現在でも全車が健在である。譲渡車両の形式としては広島電鉄が最も多く所有する車両である。なお、現在でも京都市交通局の名残か京都市章が各車両ドア付近に見られる。落雷事故を受け、避雷針が設置されたのもこの形式である。
[編集] 冷房改造
路面電車としてはかなり早い段階で冷房改造が行われた事も特筆に値する。バス用クーラーのコンプレッサーを直流600Vモーターで駆動する構造で2輌が施工され、追って分散型2台のものを経て現在の標準である三菱製集中形CU77を用いて残る全車が改造された。バス用クーラー使用のものはクーラーユニットが屋根上などに見当たらず、非冷房車との識別が外見上困難であったが、構造が特殊であることと冷房能力に問題があり、追ってCU77に換装されている
[編集] 主要諸元
- 製造初年:1957年
- 全長:12880mm
- 全幅:2440mm
- 全高:3815mm
- 自重:18.51t
- 車体構造:半綱製
- 定員(着席):85(36)人
- 出力・駆動方式:45kw×2、吊り掛け式
[編集] 各車状況
- 1901:(旧番1916)1980年7月竣工:千田車庫所属 愛称名「東山」
- 1902:(旧番1917)1981年3月竣工:千田車庫所属 愛称名「桃山」
- 1903:(旧番1918)1980年12月竣工:千田車庫所属 愛称名「舞妓」
- 1904:(旧番1923)1979年4月竣工:千田車庫所属 愛称名「かも川」
- 1905:(旧番1919)1980年5月竣工:千田車庫所属 愛称名「比叡」
- 1906:(旧番1920)1980年5月竣工:千田車庫所属 愛称名「西陣」
- 1907:(旧番1924)1980年3月竣工:千田車庫所属 愛称名「銀閣」
- 1908:(旧番1921)1979年3月竣工:千田車庫所属 愛称名「あらし山」
- 1909:(旧番1925)1979年6月竣工:千田車庫所属 愛称名「清水」
- 1910:(旧番1926)1979年7月竣工:江波車庫所属 愛称名「金閣」
- 1911:(旧番1927)1979年9月竣工:江波車庫所属 愛称名「祇園」
- 1912:(旧番1928)1980年4月竣工:江波車庫所属 愛称名「大文字」
- 1913:(旧番1929)1980年7月竣工:江波車庫所属 愛称名「嵯峨野」
- 1914:(旧番1930)1980年8月竣工:江波車庫所属 愛称名「平安」
- 1915:(旧番1931)1980年9月竣工:江波車庫所属 愛称名「鞍馬」
[編集] 参考文献
- 『ローカル私鉄車両20年 路面電車・中私鉄編』(JTBパブリッシング・寺田裕一) ISBN 4533047181
- 『京都市電が走った街今昔』(JTBパブリッシング・福田静二) ISBN 4533034217
- 『広電が走る街今昔』(JTBパブリッシング・長船友則) ISBN 4533059864
- 『私鉄の車両3 広島電鉄』(保育社・飯島巌) ISBN 4586532033
etc
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