徳島線
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徳島線(とくしません)は、徳島県三好市の佃駅から徳島県徳島市の佐古駅に至る四国旅客鉄道(JR四国)の鉄道路線(地方交通線)である。
よしの川ブルーラインの愛称がつけられており、吉野川に沿って徳島県の東西を結んでいる。かつては小松島港発着の船と接続して関西と高知間を結ぶ役割も持っていた。
国鉄時代は徳島本線と呼ばれていたが、民営化後の1988年に線路名称を改正し徳島線に改称した。また、佐古~徳島間は高徳本線にも属するいわゆる二重戸籍区間であったが、運賃は高徳本線(幹線)として計算していたこともあり、民営化時に徳島本線を佐古駅終点として二重戸籍区間は解消された。
JR四国では国鉄民営化以降、独自の車両である1000形気動車を徳島・高知エリアを中心に導入した。また、2006年5月25日からは、地球環境と人にやさしい1500形気動車を徳島地域に優先して導入するなど、徳島線はローカル線でありながら新型車両が多く走る線区である。
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[編集] 路線データ
- 管轄(事業種別):四国旅客鉄道(第一種鉄道事業者)
- 路線距離(営業キロ):67.5km
- 軌間:1067mm
- 駅数:24駅(起終点駅含む)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:なし(全線非電化)
- 閉塞方式:
- 単線自動閉塞式(辻~佃間)
- 自動閉塞式(特殊)(佐古~辻間)
- 指令所:高松指令所
[編集] 運行形態
正式な起点は佃駅だが、列車運行上は佐古駅から佃駅へ向かう列車が下り、逆方向が上りとなっている。これは、佃駅で接続する土讃線に方向をあわせたためである。また、歴史的な経緯により高徳線の徳島駅と土讃線の阿波池田駅が実質的な起終点駅であり、線路戸籍上の起終点駅である佐古駅、佃駅を起終点とする列車は運転されていない。
優等列車としては甲浦・海部・徳島~穴吹・阿波池田間の特急「剣山」が運転されている。
普通列車は徳島~阿波池田間の列車のほか、徳島~穴吹間、徳島~阿波川島間の区間運転があり、一部は徳島駅から牟岐線と直通する列車もある。ワンマン運転を実施している。
地方路線だが、徳島の中央を貫く路線ということもあり、比較的利用者は多い。そのほとんどは、徳島駅を中心とする短区間利用の通勤・通学者である。並行して走る国道192号の渋滞が年々悪化しているため、列車に換える人がいるのにもうなずける。特に、平日早朝(7,8時台)の上り普通列車は1時間に3本(穴吹以東)を設定し、3両もしくは4両で運行されているのにも関わらず、鴨島以東からは非常に混雑が激しくなる。乗車人数が非常に多い石井以東の乗車率は優に150%を超える。最低でも6両は必要だが、ホームの長さの関係などから列車は4両止まりである。
このためJR四国は、定期券を持っていれば、それに特急券を加えるだけで特急に乗車できるようにするなど、それなりに利便の向上に努めている。また、この制度は比較的人気を得ている。
また、今でも、徳島~高知間のバイパス線としても機能していて、かつては急行「阿佐」や「よしの川」、そして特急「剣山」の一部といった列車が徳島と高知を乗り換えなしで結んでいた(現在は、阿波池田で特急南風に接続)。
[編集] 歴史
徳島~川田間は徳島鉄道の手で開業した。鉄道国有法の制定により、1907年9月1日に徳島鉄道は国有化され、1909年、徳島線と命名された。その後、徳島本線と改称され阿波池田駅まで開通した後、1931年に三縄駅まで延伸されるが、1935年に高知線と繋がり、佃以西は土讃線となった。
- 1899年2月16日 【開業】徳島鉄道 徳島~鴨島 【駅新設】徳島、蔵本、府中、石井、牛島、鴨島
- 1899年8月19日 【延伸開業】鴨島~川島 【駅新設】川島
- 1899年10月5日 【駅新設】西麻植
- 1899年12月23日 【延伸開業】川島~山崎 【駅新設】学、山崎
- 1900年8月7日 【延伸開業】山崎~船戸(船戸から船で脇町まで連絡) 【駅新設】湯立、
- 1907年8月28日 【駅新設】川田(初代。かわだ)
- 1907年9月1日 【買収・国有化】官設鉄道 徳島~船戸
- 1909年10月12日 【国有鉄道線路名称制定】徳島線
- 1913年4月20日 【線名改称】徳島本線
- 1914年3月25日 【延伸開業】川田~阿波池田 【駅新設】川田(2代。かわた)、穴吹、小島、貞光、阿波半田、江口、阿波加茂、辻、阿波池田 【路線廃止】川田~船戸 【駅廃止】川田(初代)、船戸 【駅名改称】川島→神後、山崎→山瀬
- 1915年7月1日 【駅名改称】神後→阿波川島
- 1929年4月28日 【信号場新設】佃(予讃本線との分岐点)
- 1931年9月19日 【延伸開業】阿波池田~三縄(3.8km) 【駅新設】三縄
- 1934年9月20日 【駅新設】鮎喰、白鳥前、下浦、麻植塚
- 1935年3月20日 【駅新設】佐古
- 1935年11月28日 【終点変更】徳島~阿波池田(74.1km)(阿波池田~三縄(3.8km)を土讃線に編入)
- 1937年12月1日 【駅呼称変更】鴨島(かもしま→かもじま)
- 1941年8月10日 【駅営業停止】鮎喰、白鳥前、下浦、麻植塚
- 1957年4月1日 【駅名改称】湯立→阿波山川
- 1957年11月1日 【駅営業再開】下浦、麻植塚
- 1961年12月15日 【駅新設】三加茂
- 1962年7月18日 【終点変更】徳島~佃(68.9km)(土讃本線佃駅(1950年1月10日、駅に昇格)に徳島線列車の停車開始)
- 1986年11月1日 【貨物営業廃止】全線 【臨時乗降場新設】鮎喰
- 1987年4月1日 【承継】四国旅客鉄道(基本計画では佃~佐古となり、徳島~佐古間1.4kmの二重戸籍解消) 【臨時乗降場→駅】鮎喰
- 1988年6月1日 【線名改称】徳島線 佃~佐古(67.5km)
[編集] 駅一覧と接続路線
駅番号 | 駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|
B01 | 佐古駅 | 0.0 | 四国旅客鉄道:高徳線(T01) | 徳島県 | 徳島市 |
B02 | 蔵本駅 | 1.9 | |||
B03 | 鮎喰駅 | 3.0 | |||
B04 | 府中駅 | 5.2 | |||
B05 | 石井駅 | 8.9 | 名西郡石井町 | ||
B06 | 下浦駅 | 11.2 | |||
B07 | 牛島駅 | 13.7 | 吉野川市 | ||
B08 | 麻植塚駅 | 15.7 | |||
B09 | 鴨島駅 | 17.5 | |||
B10 | 西麻植駅 | 19.4 | |||
B11 | 阿波川島駅 | 21.3 | |||
B12 | 学駅 | 24.8 | |||
B13 | 山瀬駅 | 27.6 | |||
B14 | 阿波山川駅 | 29.8 | |||
B15 | 川田駅 | 32.7 | |||
B16 | 穴吹駅 | 37.2 | 美馬市 | ||
B17 | 小島駅 | 42.9 | |||
B18 | 貞光駅 | 48.1 | 美馬郡つるぎ町 | ||
B19 | 阿波半田駅 | 50.3 | |||
B20 | 江口駅 | 56.3 | 三好郡東みよし町 | ||
B21 | 三加茂駅 | 58.8 | |||
B22 | 阿波加茂駅 | 60.9 | |||
B23 | 辻駅 | 66.0 | 三好市 | ||
B24 | 佃駅 | 67.5 | 四国旅客鉄道:土讃線(D21) |
(駅番号順に記述。正式な起点は佃駅)
[編集] 廃止区間
川田駅 - 船戸駅
※川田駅は初代。川田~船戸間廃止時に新線上に移転している。
[編集] 過去に存在していた駅
- 白鳥前駅(現・府中~石井間、1934年9月20日開業、1941年8月10日休止)