高徳線
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高徳線(こうとくせん)は、香川県高松市の高松駅から徳島県徳島市の徳島駅に至る四国旅客鉄道(JR四国)の鉄道路線(幹線)である。
香川県の東側沿岸を通り高松市と徳島市を結ぶ都市間連絡路線である。
国鉄時代は高徳本線と呼ばれていたが、民営化後の1988年に線路名称を改正し、高徳線に改称した。また、佐古~徳島間は徳島本線にも属するいわゆる二重戸籍区間であったが、運賃を高徳本線(幹線)として計算していたこともあり、民営化時に徳島本線を佃~佐古間として二重戸籍区間は解消された。
高松~栗林間はU字型になっている他、佐古~徳島間は一見複線のようになっているが、各線路を上り、下りの方向別に列車が走るのではなく、路線別に高徳線・徳島線の各上下列車が使用する単線並列区間となっている。ただし、前述の経緯から徳島線の列車が走る部分も、高徳線に所属している。
この路線は、予讃線・土讃線と並ぶ、四国内の都市間輸送における重要路線である。電化区間はまったくないものの、軌道の高速化が実施されており、振り子式気動車特急「うずしお」が最高速度130km/hで駆け抜ける。
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[編集] 路線データ
- 管轄(事業種別):四国旅客鉄道(第一種鉄道事業者)
- 路線距離(営業キロ):74.5km
- 軌間:1067mm
- 駅数:29駅(起終点駅含む)
- 複線区間:なし。佐古~徳島間は徳島線との単線並列
- 電化区間:なし(全線非電化)
- 閉塞方式:
- 単線自動閉塞式(高松~屋島間、勝瑞~徳島間)
- 自動閉塞式(特殊)(屋島~勝瑞間)
- 指令所:高松指令所
[編集] 運行形態
全区間に特急「うずしお」が運転されている。2往復は岡山まで直通する。
普通列車は全区間を通して運転される列車があるほか、高松~オレンジタウン・三本松・引田間、引田・板野~徳島間の区間運転列車がある。全体的に列車密度は高いが、板野~引田間の列車密度は県境区間のため低い。徳島地区では鳴門線、牟岐線との直通列車のほかに、下りの1本には高松~牟岐間を通して運転する列車がある。
予讃線の電化完了以後、四国内のみの輸送では、特急にN2000系(高松運転所配置で大半が初期型と共通運用)、普通列車に徳島運転所配置で1000形・1500形と新型車両が高知や松山を差しおいて最優先で導入されてきた路線でもある。
特急列車には2000系の他にも性能で劣るキハ185系が一部に充てられているが運転停車や途中の停車駅の多さ、およそ74kmしかない走行距離のため、最速達列車1往復を含む岡山発着の2往復を除いては両系列のどちらが充てられているかは時刻表を見ただけでは判別できないが、現在は「うずしお5号・8号・27号・32号」がキハ185系で運転されている。
普通列車には1000形、1500形のほかに国鉄時代製造の車両が運用されている列車もあり、基本的にはキハ40形、キハ47形で運行されるが、高松~引田間の朝の1往復のみキハ58系・キハ65形の2両も高松寄りにキハ40形1両が連結される形となって3両編成で運行されている。
2006年6月1日~11月30日の平日(阿波踊り期間中を除く)に、徳島~(池谷)~鳴門間に、上りのみの快速列車「鳴門きんときライナー」が1500形を使用して運転された(ただし、途中駅には止まらないので高徳線内での利用は不可。ライナー扱いで、乗車には乗車券の他に整理券が必要)。
[編集] 歴史
高徳線は高松側から順次延伸され、1935年に全通したが、このうち板野~池谷~吉成間は、阿波電気軌道が開業させた路線を国有化し編入したものである。
阿波電気軌道は徳島と鳴門を結ぶ目的で、古川~中原~吉成~池谷~撫養(のちのゑびす前)間を1916年に開業させたが、吉野川への架橋が出来ず中原から徳島市街の富田橋(のちに新町橋)まで渡船(吉野川連絡船)で連絡していた。1923年には池谷~阿波大寺(現在の板野)~鍛冶屋原間を開業させた。なお、阿波電気軌道と名乗ってはいたが全路線が非電化で、電化出来ず後に阿波鉄道と改称している。
- 1899年2月16日 徳島鉄道が鴨島~佐古~徳島間を開業。
- 1907年9月1日 徳島鉄道が国有化。
- 1916年7月1日 阿波電気軌道が古川~中原~吉成~池谷~撫養(のちのゑびす前)間を開業。
- 1923年2月15日 阿波電気軌道 池谷~阿波大寺(現在の板野)~鍛冶屋原間が開業
- 1925年8月1日 高徳線として高松~志度間が開業。
- 1925年12月21日 高松~屋島間に栗林駅開業。
- 1926年3月21日 高徳線 志度~讃岐津田間が開業。
- 1926年5月10日 阿波電気軌道が阿波鉄道に社名変更。
- 1928年4月15日 高徳線 讃岐津田~引田間が開業。
- 1933年7月1日 阿波鉄道の古川~撫養(現在の鳴門)間、池谷~鍛冶屋原間が国有化され、阿波線となる。阿波大寺駅を板西駅、市場駅を阿波市場駅と改称。
- 1935年3月20日 引田~板西(現在の板野)間、吉成~佐古間が開業し全通。高松~徳島間が高徳本線、板西~鍛冶屋原間が鍛冶屋原線となる。古川~吉成間廃止。
- 1952年1月27日 造田~讃岐津田間に神前駅開業。
- 1956年4月10日 板西駅を板野駅と改称。
- 1959年9月15日 高松駅移転。0.3km延長。
- 1961年9月1日 屋島~志度間に八栗口駅開業。
- 1961年10月1日 讃岐津田~丹生間に鶴羽駅開業。
- 1971年4月1日 池谷~勝瑞間の阿波市場駅廃止。
- 1972年1月16日 鍛冶屋原線 板野~鍛冶屋原間が廃止。
- 1986年11月1日 貨物営業廃止。高松~栗林間に栗林公園北口駅、栗林~屋島間に木太町駅、屋島~八栗口間に古高松南駅、八栗口~志度間に讃岐牟礼駅が開業。
- 1987年3月23日 高松~栗林公園北口間に昭和町駅が開業。
- 1987年4月1日 国鉄分割民営化により四国旅客鉄道に承継。
- 1988年6月1日 線路名称を改正し高徳線と改称。
- 1998年3月14日 高徳線高速化工事完成。志度~造田間にオレンジタウン駅が開業。
- 1998年4月17日 志度駅橋上駅舎化完成。
- 2001年5月13日 高松駅移転。0.3km短縮。
[編集] 駅一覧
駅番号 | 駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|
T00 | 徳島駅 | 0.0 | 四国旅客鉄道:牟岐線(M00) | 徳島県 | 徳島市 |
T01 | 佐古駅 | 1.4 | 四国旅客鉄道:徳島線(B01) | ||
T02 | 吉成駅 | 6.3 | |||
T03 | 勝瑞駅 | 7.6 | 板野郡藍住町 | ||
T04 | 池谷駅 | 10.3 | 四国旅客鉄道:鳴門線(N04) | 鳴門市 | |
T05 | 板東駅 | 12.4 | |||
T06 | 阿波川端駅 | 14.7 | 板野郡板野町 | ||
T07 | 板野駅 | 16.5 | |||
T08 | 阿波大宮駅 | 21.3 | |||
T09 | 讃岐相生駅 | 26.9 | 香川県 | 東かがわ市 | |
T10 | 引田駅 | 29.4 | |||
T11 | 讃岐白鳥駅 | 33.8 | |||
T12 | 三本松駅 | 36.9 | |||
T13 | 丹生駅 | 40.1 | |||
T14 | 鶴羽駅 | 44.1 | さぬき市 | ||
T15 | 讃岐津田駅 | 46.8 | |||
T16 | 神前駅 | 51.1 | |||
T17 | 造田駅 | 53.2 | |||
T18 | オレンジタウン駅 | 55.6 | |||
T19 | 志度駅 | 58.2 | 高松琴平電気鉄道:志度線(琴電志度駅) | ||
T20 | 讃岐牟礼駅 | 61.1 | 高松琴平電気鉄道:志度線(八栗新道駅) | 高松市 | |
T21 | 八栗口駅 | 62.2 | |||
T22 | 古高松南駅 | 63.7 | |||
T23 | 屋島駅 | 65.0 | |||
T24 | 木太町駅 | 67.8 | |||
T25 | 栗林駅 | 70.2 | |||
T26 | 栗林公園北口駅 | 71.3 | |||
T27 | 昭和町駅 | 73.0 | |||
T28 | 高松駅 | 74.5 | 四国旅客鉄道:予讃線(瀬戸大橋線)(Y00) 高松琴平電気鉄道:琴平線(高松築港駅) |
(駅番号順に記述。正式な起点は高松駅)
[編集] 廃止区間
吉成駅 - 中原駅 - 古川駅
[編集] 過去の接続路線
- 板野駅:鍛冶屋原線