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柳澤 伯夫(やなぎさわ はくお、報道等では柳沢 伯夫とも、1935年8月18日–)は、昭和・平成期の日本の政治家。自由民主党所属の衆議院議員(静岡3区選出)。現厚生労働大臣。
来歴
静岡県袋井市出身。大蔵省(現・財務省)官僚から政界に転じ、衆議院文教委員長、国土庁長官、金融再生委員会委員長、金融担当大臣を歴任。自由民主党宏池会(古賀派)に所属。 鉄仮面を髣髴させる無愛想な顔がトレードマーク。
政策
金融
- 金融担当大臣就任当時、「日本の銀行はいたって健全であり、公的資金の投入は必要ない」などと発言し、その姿勢から、経済財政政策担当大臣の竹中平蔵と対立した。
- この対立は、そのまま内閣府経済財政諮問会議などの場で議論が繰り返され、最終的には、内閣改造時に柳澤が更迭され、竹中が金融担当大臣を兼務することで決着した。
- 日本の憲政史上稀に見る「政策の対立による閣僚更迭」となった。
財政
- 旧大蔵省(現・財務省)出身で、自由民主党税制調査会会長を務めた経歴から、自民党屈指の「増税による財政再建論者」と評される。法人税減税には反対していないが、消費税増税を強く主張しているという。
- 財政通とされる谷垣禎一や与謝野馨と連携しているとされたが、一方で彼らとは一線を画す立場とされる安倍内閣に入閣した。
労働
- 以下の内容の「ホワイトカラー・エグゼンプション(残業代ゼロ)」法案を強力に推進した。
- 一定時間を超える残業代の支払いを行わない(サービス残業合法化)
- 週40時間労働基準の撤廃
- 雇用者の健康管理義務削除・労災対象からの除外(過労死合法化)
- 非正規雇用の正社員化を法案から除外
- 柳澤厚生労働大臣は同法案関連法案を2007年1月25日の通常国会へ提出することを目指したが、サラリーマンだけでなく他の国民からも
- 日本の輸出依存度は10%に過ぎないので内需を冷やす分だけ成長率を下げる。あまりに輸出企業(経団連で力を持つキヤノン、トヨタか?)の利己的利益に偏った法案
- 自民党は経団連などの財界から政治献金欲しさに国民を裏切った--などと世論からの総反発を受けた。
- (商業メデイアは7割反対と報じていたが、操作の介在しないインターネット世論調査では郵政造反議員復党問題の14倍の投票数を集め、9割近くが反対であった)
- 安倍内閣の支持率が急低下し、自民党内部から批判がでてもなお、諦めず厚生労働大臣として強行しようとしたが、安倍首相が審議見送りを決定し、見送られることとなった。
- 現在も同法案の実施を推進しており、2007年1月現在、広範囲な国民世論の強い批判を浴びている。
評価
- 『アジア・ウィーク』誌において、「アジアのパワフルな政治家」第8位に選ばれ、『ビジネス・ウィーク』誌でも「アジアの星」に選ばれた。
人柄
- 座右の銘は「交友須帯三分侠気」。
- 趣味は謡曲、オペラ鑑賞。
略歴
著書
- 『赤字財政の10年と4人の総理たち』(日本生産性本部)
関連項目
外部リンク