機動戦士ガンダムF91 フォーミュラー戦記0122
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『機動戦士ガンダムF91 フォーミュラー戦記0122』(きどうせんしガンダムエフきゅうじゅういち フォーミュラーせんきぜろいちにに)は、宇宙世紀0122年を舞台とするガンダムシリーズのゲーム作品。1991年にバンダイからスーパーファミコン用のアクション性のあるリアルタイム系シミュレーションゲームとして発売された。
メカニックデザインは大河原邦男、キャラクターデザインは『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』や『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』の川元利浩が担当。 漫画『機動戦士ガンダムF90』とアニメーション映画『機動戦士ガンダムF91』の間をつなぐゲームオリジナルストーリーとなっている。
目次 |
[編集] ストーリー
宇宙世紀0122年。シャアの反乱(第二次ネオ・ジオン抗争)から30年近い歳月が流れていた。その間、各地で小さな内乱はあったものの、地球連邦政府の政策に人類全体は比較的平穏な暮しを営んでいた。しかし近年、現存の政治体制を善しとせず、スペースノイドの独立を謳うテロ組織が大規模な活動をおこし始めていた。2年ほど前、当時最新鋭の試作実験用モビルスーツ・ガンダムF90を奪取し連邦軍に追われ、火星で壊滅したと思われていたが、この1年の間に以前にも増して強大な装備を持って地球圏を脅かしているのである。旧ジオン公国軍の旧式(のように見える)モビルスーツを使用する彼らはオールズモビルと呼ばれていた。
地球連邦政府は反地球連邦組織討伐部隊を編成し、オールズモビル(火星独立ジオン軍)の一掃と同時に、この短期間に組織を再編成するだけの資金と技術を支援したスポンサーの調査と、その目的を調べるという任務を与えた。
第13反地球連邦組織討伐部隊旗艦エイブラムはF90の移送とオールズモビル討伐という2つの任務を遂行するため、今サイド4を出港するのだった…。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] シナリオ
- ACT01 始動 F90
- ACT02 ラグランジュ・ポイント
- ACT03 ケルンコロニー
- ACT04 重力の底へ
- ACT05 砂漠の嵐
- ACT06 太平洋防衛戦
- ACT07 雪山の中
- ACT08 宇宙へ…
- ACT09 シャルル艦隊 壊滅
- ACT10 クロスボーン・バンガード
- ACT11 嵐の始まり
- ACT12 永遠の闇の中で
[編集] ゲームシステム
まず、モビルスーツデッキでモビルスーツを選択(最初はF90AタイプとDタイプのみ)する所から始まり、モビルスーツを選ぶと自動的に出撃となりマップ内を味方→敵の順番で移動するパートに入る(ただし操作できるのは自機のみで、友軍は操作できない)。ここで敵のモビルスーツと接触すると戦闘画面になり戦闘開始となる。
敵は1 - 4機からなる小隊で、これらを全て撃墜するとマップ上から一つ敵が消え、マップ上の敵を全て撃破すれば勝利となる。
戦闘システムはシンプルで、画面右側にレーダーが表示されており、この中を赤い点(敵)が移動しているので、この敵をVゾーンと呼ばれる自機が攻撃可能な範囲に捕らえれば攻撃可能となる。ただし、もちろん敵も攻撃をしてくるので、Vゾーンに捕らえたら攻撃は迅速に行わないと手痛いダメージを被ることになる。
- 画面右側に表示されている緑のゲージは自機のダメージを表すゲージであり、これが0になると「撃墜」となりゲームオーバーになる。なお、敵機のダメージはレーダーに表示されるカラーで「白→黄→赤」の順番でダメージの大きさが表示されている。
- 画面左側に表示されている赤のゲージは自機の燃料を表すゲージであり、時間と共に減少する。0になると「行動不能」となりゲームオーバーとなるが、母艦に着艦するか装備を換装することによりMAXまで回復する。
- また、マップ上に表示されている友軍が全て撃墜されてもゲームオーバーとなるが、自分で操作することができない上に敵機と交戦すると大半があっという間に撃墜されてしまうので、極力交戦中の友軍を援護するように戦うのがいい。
- さらに母艦が撃沈されてもゲームオーバーとなる。序盤は登場するモビルスーツも弱く多少の攻撃ではビクともしない母艦「エイブラム」だが、クロスボーン・バンガードが参戦した辺りからは一瞬で撃沈されることが多くなるので、なるべく母艦に敵を近づけないようにしたい。
[編集] 主な登場人物
[編集] 地球連邦軍
- ベルフ・スクレット
- 本編の主人公で、プレイヤーの分身となる連邦軍少尉。19歳。F90の移送中に敵の襲撃を受けた際にF90に乗り込み出撃。敵部隊を全滅させる活躍を見せ、そのままF90の正規パイロットに任命される。
- アンナフェル・マーモセット
- エイブラムの所属のジェガンのパイロットで、ベルフの恋人。19歳。階級は准尉。大気圏突入時の混戦で行方不明となり戦死扱いとなる。ゲーム内では『アンナフィル』となっているが、説明書などでは『アンナフェル』と表記されている。
- アリーナ・ベズロー
- エイブラムのオペレ-ターで階級は軍曹。22歳。ベルフのガンダムに様々な指令を送ってくる。
- エリナ・ビアック
- エイブラム所属のパイロットで階級は少尉。22歳。一見男と見間違うほどの体格と性格をしているが、れっきとした女性である。
- アルベルト・エア
- エイブラム所属のパイロットで階級は中尉。27歳。ベルフの兄貴分のような存在で、常に最前線で戦う勇敢なパイロット。
- ブラウン・ウッダー
- エイブラムのチーフメカニックで、階級は中尉。62歳。新たな武装が追加された時は彼に聞けば性能を教えてくれる。
- ワイブル・ガードナー
- エイブラムの艦長で階級は中佐。57歳。冷静沈着な性格で、戦いを最後まで生き残った。
- ワイルダー・カッツ
- 本来は彼がF90に搭乗するはずだった。階級は中尉。23歳。宇宙へガンダムを上げる際に敵機の襲撃を受け、護衛のためジェガンで出撃するもデナン・ゾン(ガンダムマガジン漫画版ではシャルル専用ゲルググ)に撃墜され戦死する。
- スコット
- 第1話の冒頭で撃墜されるジェガンのパイロット。階級、年齢共に不明。
- レイラ・ビアス
- 地上で作戦を行う際エイブラムに変わって母艦となったガーウィッシュの女性艦長で、階級は大佐。43歳。
- ウェスバー
- ガンダムマガジン漫画版に登場。エイブラム所属のパイロットで階級は大尉。年齢不詳。実はクロスボーン・バンガードのスパイ。F90の予備機を強奪しようとしてベルフのF90Vと交戦し、撃墜され戦死する。
- テルスト
- オールズモビル掃討部隊本隊所属の士官。予定以上のデータを出したベルフに引き続きガンダムを活用するように命じた。階級は大佐。
[編集] オールズモビル
- シャルル・ロウチェスター
- オールズモビルの士官で階級は少佐。25歳。幾度となくベルフのガンダムと交戦を繰り広げる。
- 地上部隊指揮官
- 地球に降りたベルフ達に攻撃を嗾けた人物。名前、階級共に不明。
- ケザン
- オールズモビルのMS部隊指揮官。エイブラムに攻撃を仕掛けるが、撃破される。階級は中尉。
[編集] クロスボーン・バンガード
- 鉄仮面
- クロスボーン・バンガードの司令官。
- シャトレイ
- オールズモビルを影から操っていた張本人。階級は不明。
- デハーヨ
- 月のマスドライバー基地を占拠し、連邦軍を攻撃しようと目論む。階級は大佐。
[編集] 主な登場兵器
[編集] 地球連邦軍
- F90A ガンダムF90 アサルトタイプ
- 最初から選べるF90のバリエーションの一つ。機動力に優れた長距離侵攻用武装タイプで、通称Aタイプ。最終的な武装は頭部バルカン砲、ビームライフル、ビームサーベル、ショルダーガン、ショルダーキャノン、ビームバズーカの6つ。
- F90D ガンダムF90 デストロイドタイプ
- 最初から選択可能なF90のバリエーションの一つ。大火力重武装の接近戦仕様で、通称Dタイプ。最終的な武装は頭部バルカン砲、ビームライフル、ビームサーベル、クラッカー、腰部マシンガン、グレネードランチャー、ロケットポッドの7つと全機体中一番多いが、終盤では移動速度の遅さがネックとなり活躍の機会は減少するだろう。
- F90H ガンダムF90 ホバータイプ
- ガンダムマガジン漫画版で1コマのみ登場。地上での戦闘が激しかったことのみしか語られていない。
- F90P ガンダムF90 大気圏突入仕様
- 舞台が宇宙から地球に移る際にイベントシーンで登場。突入時には戦闘は起こらないので戦闘には参加しない。
- F90V ガンダムF90 ヴェスバー試験型
- 第6話から使用可能になるF90のバリエーションの一つ。新型火器「ヴェスバー」の試験用の武装で、通称Vタイプ。最終的な武装は頭部バルカン砲、ビームライフル、ビームサーベル、腕部マシンガン、試験型ヴェスバーの5つと全機体中最も少ない。試験的にビームシールドも搭載している。
- F91 ガンダムF91
- 第9話から使用可能になる最後のガンダム。F90の戦闘データを元に作られた機体で、最初からガンダムF90が標準装備していた頭部バルカン砲、ビームライフル、ビームサーベルに加え、胸部バルカン砲、ヴェスバー、ビームバズーカの6つの武装が使え、ビームシールドも標準装備。武装スペックは8話までにプレイヤーが成長させたF90のデータが反映される。サイド4サナリィで本格的な調整が行われていない未完成機なので、その性能を100%出し切れていない。
- RGM-89R/M ジェガンA/Bタイプ
- 地球連邦軍の汎用量産型モビルスーツ。『機動戦士ガンダムF91』に登場するものと同じ。第二次ネオ・ジオン抗争で使用されていたジェガンの性能向上バージョン。30年以上も前の旧式モビルスーツのため、クロスボーンの新型モビルスーツと交戦すると5秒も持たないと言う。序盤ではそこそこの強さを見せるものの、クロスボーンの新型モビルスーツが登場する辺りからは役立たずとなる。友軍機のため自分では操作不能。しかし積極的に戦闘を仕掛けていくので終盤では面白いように撃墜されていく。
- RGM-109 ヘビーガン
- ジェガンと同じく地球連邦軍の汎用量産型モビルスーツ。ジェガンをベースに小型化が進められた量産機で、小型化によりジェガンより若干機動性と運用性は向上しているが、ビームシールドを標準装備しているクロスボーンの量産機と比べると性能差は否めない。さらに高性能な小型モビルスーツがロールアウトするためのつなぎ役のような役割。劇中でも友軍として中盤から出現し始めるが、やはりクロスボーンのモビルスーツとの性能差は激しく、簡単に撃墜されるシーンが多く見られる。
- F71 Gキャノン
- ヘビーガンと同時期に開発された支援用の小型モビルスーツ。劇中では友軍の隊長機として終盤から登場するようになる。どうにかデナン・ゾンクラスとなら互角に渡り合えるだけの性能を持っているはずなのだが、連邦軍兵士の練度が低いせいか、やはり撃墜されることが多い。
- エイブラム
- ラー・カイラム級宇宙巡洋艦(ガンダムマガジン漫画版ではクラップ級戦艦)。物語終盤で撃墜されやすいのは、既に旧式の艦だからだろう。
- ガーウィッシュ
- ガルダ級空中母艦。スードリを髣髴させるシルエットを持つ空中輸送艦。
[編集] オールズモビル
- OMS-06RF RFザク
- オールズモビルの汎用量産型モビルスーツ。外見はザクだが、性能そのものはザクとは比べ物にならないほど向上している。序盤だとザク相手でもかなり苦戦するので侮れない。
- OMS-06RF 指揮官用RFザク(指揮官用)
- RFザクの指揮官タイプ。量産型とはスペックや武装が異なる。
- OMS-07RF RFグフ
- オールズモビルの陸戦用量産型モビルスーツ。地上戦におけるザクの後継機として開発された。中盤戦で大量に出てくる上、結構強い。
- OMS-09RF RFドム
- オールズモビルの汎用量産型モビルスーツ。外見はドムだが、性能そのものはドムとは比べ物にならないほど向上している。序盤では隊長機として登場したりするが、後半では雑魚として登場する。ベルガ・ダラスなどと比べると非常に楽な相手となる。
- OMS-09DRF RFデザートドム
- RFドムの砂漠戦仕様。局地戦仕様となっているが、武装にビームバズーカが追加されているだけなので、性能的にはドムと大して代わらない印象を受ける。
- OMS-09SRF RFスノードム
- RFドムの寒冷地仕様。局地戦仕様となっているが、武装がRFドムと全く同じなので性能的にはドムと大して代わらない印象を受ける。
- OMS-14RF RFゲルググ
- オールズモビルの汎用量産型モビルスーツで、オールズモビルの量産機としては最強の性能を誇る。意外にも序盤から登場するのでかなり脅威となるが、最終話では全く登場しない。
- OMS-14RF RFゲルググ(指揮官用)
- RFゲルググの指揮官タイプ。単にブレードアンテナがついているだけで、量産型と全く変わりはない。
- OMS-14RF RFアカゲルググ
- エースパイロット用にチューンナップされた、RFゲルググの上級士官タイプ。単にアカゲルググとも呼ばれる。塗装パターンがレッドになっており、性能も向上しているが、武装は量産型と同じである。
- OMS-14SRF シャルル専用ゲルググ
- シャルル・ロウチェスター専用にカスタマイズされたゲルググで、本作のラスボス的存在。とはいえこの機を撃墜して終わりというものではない。ゲルググでありながら、両肩にビームシールドを搭載している。ビームライフルで撃墜すると固定の撃墜シーンが見られる(ガンダムF90アサルトタイプのショルダーキャノンでも見れる)。ゲルググとは思えないほど高性能な機体だが、クロスボーンの量産型モビルスーツと比べてもそれほど強くはなく、ラスボスとしては非常に弱い。
- OMSM-07RF RFズゴック
- オールズモビルの水陸両用量産型モビルスーツ。設定上は水中での性能は恐るべきものだが、ゲームにおいては水中でもガンダムの性能は全く損なわれることが無いため水中でもさほど脅威にはならない。
[編集] クロスボーン・バンガード
- XM-01 デナン・ゾン
- クロスボーン・バンガードの汎用量産型モビルスーツ。終盤から大量に登場するが、雑魚とは思えない強さなので油断はできない。この頃から友軍のジェガンが役立たずになる。
- XM-04 ベルガ・ダラス
- クロスボーン・バンガードの汎用量産型モビルスーツ。主に隊長機や上級指揮官に配備される機体だが、劇中では雑魚として大量に登場する。デナン・ゾンと同じく雑魚とは思えない強さでプレイヤーを苦しめる。また、映像では単なる機動スラスターだった「シェルフ・ノズル」がバラバラに分離して敵に向かって飛んでいく武器となっている。
- クロスボーン・バンガード宇宙要塞
- ガンダムマガジン漫画版に登場。球形の宇宙要塞だが、クロスボーン・バンガードの蜂起前であるため、稼動していないようである。長い間忘れ去られていた設定だが、2006年に月刊ガンダムエースに連載された漫画『機動戦士ガンダム クライマックスU.C. 紡がれし血統』において再登場した。
[編集] まとめ
結論から言うと、オールズモビルに技術と資金を援助したスポンサーというのは、クロスボーン・バンガードであり、自軍の存在をカモフラージュするのが目的だった。オールズモビルがエイブラム隊に壊滅させられた後半は謎の軍隊であるクロスボーン軍も姿を現すようになり、オールズモビル残党はクロスボーンの捨て石として扱われるようになる。ゲームの最後にはF91は頭部コンピューターの換装のためにフロンティアIへ搬入され、後シーブック・アノーの手へと渡ることになる。
本作における設定は宇宙世紀年表にも「ガンダムF90及びガンダムF91運用テストのため連邦軍巡洋艦エイブラムに搬入」「ガンダムF91頭部コンピュータ換装のためフロンティアIに搬入」という2行のみではあるが反映されており、バンダイ的には正史性の高いものといえよう。
一部の資料ではこの戦いを「第二次オールズモビル戦役」と記述している。
[編集] 備考
ガンダムF90ホバータイプ及びマリンタイプ、グラン・ザムは本作に登場させるために設定された機体だが、製作の都合により実際には登場しなかった。
F91の「F」とは設定上「フォーミュラ計画」の略であるはずだが、ゲームのタイトルでは「フォーミュラー」となっている。これは『機動戦士ガンダムF90』及び『機動戦士ガンダムF91』の製作当初は「フォーミュラ」か「フォーミュラー」かはっきりしていなかったためである。
[編集] 関連作品
- 漫画『機動戦士ガンダムF91 フォーミュラ戦記0122』(岩村俊哉著、ガンダムマガジン(講談社) 2006年 ガンダムマガジン名作集に収録)
- 漫画『機動戦士ガンダムF91 フォーミュラー戦記0122』(井上大助著、コミックボンボン増刊号(講談社)、未単行本化)
[編集] 関連項目
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