法務大臣
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法務大臣(ほうむだいじん)は、法務省の長である国務大臣。法相と略称する。
大日本帝国憲法下(司法省)では司法大臣、戦後の一時期(法務庁、法務府時代)は法務総裁。
死刑執行は法務大臣が命令する。また、個々の事件の取調べ又は処分について検事総長に対する指揮権を持つが、発動されることはまれである。
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[編集] 法務大臣の権限
- 国を当事者又は参加人とする訴訟については、法務大臣が、国を代表する。(国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律(昭和22年法律第194号)第1条)
- 外国人の在留許可、永住許可、帰化
- 死刑執行命令を発する権限と義務
- 刑事訴訟法によれば、死刑執行の命令は判決が確定してから6か月以内に行わなければならないが、再審請求などの期間はこれに含まれない。また、大臣によって決裁の頻度は異なり、賀屋興宣や左藤恵等、在任中に発令の署名をしなかった大臣の例もある。しかし、死刑執行命令書に署名することは法務大臣の職務であり、第3次小泉改造内閣の法相杉浦正健が就任直後の会見で「私の心や宗教観や哲学の問題として死刑執行書にはサインしない(杉浦は弁護士出身、真宗大谷派を信仰)」と発言したところ各所から批判を浴び、わずか1時間で撤回するという騒動が起きた。主な批判としては「職務放棄である」「後の法相へのたらいまわしである」、またかつて後藤田正晴が発言したように「個人的思想信条で署名できない場合は最初から法相の任を受けるべきでない」などがあった。
[編集] 検察官に対する指揮権
検察官はそれぞれが検察権を行使する独任官庁であるが、結局のところ検察権は行政権に属し、全体として統一されたものでなければならないことから、検察官は検事総長を頂点とした指揮命令系統となっている(検察官同一体の原則)。
検察官は、例外を除き起訴権限を独占する(国家訴追主義)という極めて強大な権限を有し、刑事司法に大きな影響を及ぼしているため、政治的な圧力を不当に受けないように、ある程度の独立性が認められている。端的なものが法務大臣による指揮権の制限である。検察庁は行政機関であり、その最高の長は法務大臣であるため、当然に法務大臣が各検察官に対して指揮命令が出来るのであるが、この指揮権については検察庁法により「検察官の事務に関し、検察官を一般に指揮監督することができる。但し、個々の事件の取調又は処分については、検事総長のみを指揮することができる。」として、具体的事案については検事総長を通じてのみ指揮が出来るとした。法務大臣と検事総長の意見が対立した場合に問題となり、かつては法務大臣の指揮に従わないこともありうる旨を述べた検事総長もいて国会で問題とされたものの、法的には「法務大臣の職務命令に重大かつ明白な瑕疵がない限り違法なものでも服従する義務がある」とされ、その結果是非については、指揮権を発動した際の国民世論が決定することとなり、政治責任の問題である。
法務大臣の指揮権は、民主主義的な支持基盤を持たない行政機関である検察が、独善的な行動をとらないよう掣肘する目的も有しており、法務大臣の人事権と併せて、民主主義的な行政機関のコントロールを意味している
[編集] 主な諮問機関(法律上は審議会等)
- 司法試験委員会
- 法制審議会
[編集] 歴代法務大臣の一覧
- 司法大臣は後継である法務総裁・(旧)法務大臣と名称も根拠法令も異なるが、日本国憲法施行後の期間に在職した者を参考記載する。
- 法務総裁は後継である(旧)法務大臣と職名は異なるが、中央省庁再編前の(旧)法務省設置法(←旧題・法務府設置法←原題・法務庁設置法)が根拠であり、(旧)法務大臣と法的な連続性があるので記載する。
- 中央省庁再編前の(旧)法務省設置法による(旧)法務大臣は、現在の(新)法務大臣とは根拠法律が異なり、職名が同じでも厳密には別の官職であるが、除外すると一覧の意味がないので記載する。
- 辞令のある再任(新内閣発足時等)は記載し、辞令のない留任(内閣改造時等)は記載しない。
- 臨時代理は、大臣空位の場合のみ記載し、海外出張等の一時不在代理は記載しない。
司法大臣(司法省。日本国憲法施行後) | ||
木村篤太郎 | 1946年(昭和21年)5月22日 | 民間人 |
片山哲 | 司法大臣臨時代理(内閣総理大臣) 1947年5月24日 |
日本社会党 |
鈴木義男 | 1947年6月1日 | 日本社会党 |
法務総裁(法務庁/法務府) | ||
鈴木義男 | 1948年2月15日 | 日本社会党 |
1948年3月10日 | ||
吉田茂 | 法務総裁臨時代理(内閣総理大臣) 1948年10月15日 |
自由党 |
殖田俊吉 | 1948年11月7日 ※行政管理庁長官兼任(11月10日まで) |
自由党 |
1949年2月16日 ※任期途中に法務庁から法務府へ改称(1949年6月1日) |
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大橋武夫 | 1950年6月28日 | 自由党 |
木村篤太郎 | 1951年12月26日 | 民間人 |
法務大臣(中央省庁再編前の「旧」法務省) | ||
木村篤太郎 | 1952年8月1日 | 民間人 |
犬養健 | 1952年10月30日 | 自由党 |
1953年5月21日 | ||
加藤鐐五郎 | 1954年4月22日 | 自由党 |
小原直 | 1954年6月19日 | 自由党 |
花村四郎 | 1954年12月10日 | 日本民主党 |
1955年3月19日 | ||
牧野良三 | 1955年11月22日 | 自由民主党 |
石橋湛山 | 法務大臣臨時代理(内閣総理大臣) 1956年12月23日 |
自由民主党 |
中村梅吉 | 1956年12月23日 | 自由民主党 |
1957年2月25日 | ||
唐澤俊樹 | 1957年7月10日 | 自由民主党 |
愛知揆一 | 1958年6月12日 | 自由民主党 |
井野碩哉 | 1959年6月18日 | 参議院自由民主党 |
小島徹三 | 1960年7月19日 | 自由民主党 |
植木庚子郎 | 1960年12月8日 | 自由民主党 |
中垣國男 | 1962年7月18日 | 自由民主党 |
賀屋興宣 | 1963年7月18日 | 自由民主党 |
1963年12月9日 | ||
高橋等 | 1964年7月18日 | 自由民主党 |
1964年11月9日 | ||
石井光次郎 | 1965年6月3日 | 自由民主党 |
田中伊三次 | 1966年12月3日 | 自由民主党 |
1967年2月17日 | ||
赤間文三 | 1967年11月25日 | 参議院自由民主党 |
西郷吉之助 | 1968年11月30日 | 参議院自由民主党 |
小林武治 | 1970年1月14日 | 参議院自由民主党 |
秋田大助 | 1971年2月9日 ※自治大臣兼任 |
自由民主党 |
植木庚子郎 | 1971年2月17日 | 自由民主党 |
前尾繁三郎 | 1971年7月5日 | 自由民主党 |
郡祐一 | 1972年7月7日 | 参議院自由民主党 |
田中伊三次 | 1972年12月22日 | 自由民主党 |
中村梅吉 | 1973年11月25日 | 自由民主党 |
濱野清吾 | 1974年11月11日 | 自由民主党 |
稻葉修 | 1974年12月9日 | 自由民主党 |
福田一 | 1976年12月24日 | 自由民主党 |
瀬戸山三男 | 1977年10月5日 | 自由民主党 |
古井喜實 | 1978年12月7日 | 自由民主党 |
倉石忠雄 | 1979年11月9日 | 自由民主党 |
奥野誠亮 | 1980年7月17日 | 自由民主党 |
坂田道太 | 1981年11月30日 | 自由民主党 |
泰野章 | 1982年11月27日 | 参議院自由民主党 |
住栄作 | 1983年12月27日 | 自由民主党 |
嶋崎均 | 1984年11月1日 | 参議院自由民主党 |
鈴木省吾 | 1985年12月28日 | 参議院自由民主党 |
遠藤要 | 1986年7月22日 | 参議院自由民主党 |
林田悠紀夫 | 1987年11月6日 | 参議院自由民主党 |
長谷川峻 | 1988年12月27日 | 自由民主党 |
高辻正己 | 1988年12月30日 | 民間人 |
谷川和穗 | 1989年(平成元年)6月3日 | 自由民主党 |
後藤正夫 | 1989年8月10日 | 参議院自由民主党 |
長谷川信 | 1990年2月28日 | 参議院自由民主党 |
梶山静六 | 1990年9月13日 | 自由民主党 |
左藤恵 | 1990年12月29日 | 自由民主党 |
田原隆 | 1991年11月5日 | 自由民主党 |
後藤田正晴 | 1992年12月12日 ※副総理兼任(1993年4月8日以降) |
自由民主党 |
三ヶ月章 | 1993年8月9日 | 民間人 |
羽田孜 | 法務大臣臨時代理(内閣総理大臣) 1994年4月28日 |
新生党 |
永野茂門 | 1994年4月28日 | 参議院新生党 |
中井洽 | 1994年5月8日 | 民社党 |
前田勲男 | 1994年6月30日 | 参議院自由民主党 |
田沢智治 | 1995年8月8日 | 参議院自由民主党 |
宮澤弘 | 1995年10月9日 | 参議院自由民主党 |
長尾立子 | 1996年1月11日 | 民間人 |
松浦功 | 1996年11月7日 | 参議院自由民主党 |
下稲葉耕吉 | 1997年9月11日 | 参議院自由民主党 |
中村正三郎 | 1998年7月30日 | 自由民主党 |
陣内孝雄 | 1999年3月8日 | 参議院自由民主党 |
臼井日出男 | 1999年10月5日 | 自由民主党 |
2000年4月5日 | ||
保岡興治 | 2000年7月4日 | 自由民主党 |
高村正彦 | 2000年12月5日 | 自由民主党 |
法務大臣(法務省設置法(平成11年法律第93号)による「新」法務省) | ||
高村正彦 | 2001年1月6日 | 自由民主党 |
森山眞弓 | 2001年4月26日 | 自由民主党 |
野沢太三 | 2003年9月22日 | 参議院自由民主党 |
2003年11月19日 | ||
南野知惠子 | 2004年9月27日 ※内閣府特命担当大臣(青少年育成及び少子化対策担当)兼任 |
参議院自由民主党 |
2005年9月21日 ※内閣府特命担当大臣(青少年育成及び少子化対策担当)兼任 |
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杉浦正健 | 2005年10月31日 | 自由民主党 |
長勢甚遠 | 2006年9月26日 | 自由民主党 |