液状化現象
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液状化現象(えきじょうかげんしょう、Liquefaction)とは、地震の際に地下水位の高い砂地盤が、振動により液体状になる現象。これにより比重の大きい構造物が埋もれ、倒れたり、地中の比重の軽い構造物(下水管等)が浮き上がったりする。単に液状化とも言う。クイックサンドと同義で用いる場合がある。
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[編集] 概要
実際は、地表付近の含水状態の砂質土が、地震の震動により固体から液体の性質を示すことにより、上部の舗装や構造物などが揚圧力を受け破壊、沈み込みを起こすものである。「流砂」とも呼ばれていた。
発生する場所は砂丘地帯や三角州、港湾地域の埋め立て地などがほとんどであるが近年の研究では、旧河川跡や池跡や水田跡なども発生しやすい地質であることがわかってきた。近年、都市化で該当地域が多いことで被害拡大の影響が懸念される。1964年6月16日に発生した新潟地震の際、信濃川河畔や新潟空港などでこの現象が発生したことから国内でも知られるところとなる。また同年に発生したアラスカ地震でも液状化による被害が発生し、これ以降土質力学の分野で活発に研究が行われるようになった。1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の際にも、神戸市のポートアイランド・六甲アイランドで大規模な液状化現象の発生が確認されている。2004年10月23日に発生した新潟県中越地震の際にも、小千谷市や長岡市、与板町、柏崎市など、水田や湖沼を埋め立てた箇所等で液状化の発生が見られた。上越新幹線の列車が脱線したのも、この液状化によるところが多いものと推測されている。
東京都心部は、河口に位置する上、埋め立て地が多く存在することから、大地震の発生時には大規模な液状化現象が各所で発生し、建物の倒壊や堤防の破堤による浸水など大きな被害が発生するものと考えられている。現在、液状化現象の発生危険箇所をとりまとめたハザードマップが整備されており、堤防の補強などの措置が図られている。
[編集] 液状化のプロセス
砂を多く含む砂質土や砂地盤は砂の粒子同士の摩擦によって地盤は安定を保っている。このような地盤で地下水位の高い場所若しくは地下水位が何かの要因で上昇した場所で地震や建設工事などの連続した振動が加わると、その繰り返しせん断によって土粒子間の接触が切れて有効応力が消失し、その結果、土被り圧に等しい間隙水圧が発生して、液状化現象が起きる。この時、地盤は急激に耐力を失なう。この状態は波打ち際などで水が押し寄せるまでは足元がしっかりとしていても水が押し寄せた途端に足元が急に柔らかくなる状態に似ている。また、雨上がりの地面 を踏み続けると、地面に水が吹き出てくる状態にも似ていると言える。
地震や建設工事などで連続した振動が砂地盤等に加わると前記の液状化現象が生じる場合があり、地盤は急激に支持力を失う。建物を地盤に固定する基礎や杭の種類は地質や土地の形質に合わせて多種にわたるが礫層や岩盤等の適当な支持層に打ち込む支持杭と異なる摩擦杭等では建物を支えていた摩擦力を失ない建物が傾く不等沈下を生じる場合がある。重心の高い建物や重心が極度に偏心した建物ではより顕著に不等沈下が生じ、阪神・淡路大震災による中高層建物のように転倒・倒壊に至る場合がある。
下層の地盤が砂質土で表層を粘土質で覆った水田等で液状化が起きた場合は、液状化を起こした砂が表層の粘土を突き破り、水と砂を同時に吹き上げるボイリングと呼ぶ現象を起こすことがあり、1964年の新潟地震では県内の各地でボイリング(噴砂)が観測された。
[編集] 側方流動
側方流動(そくほうりゅうどう)とは地盤流動現象の一つで傾斜や段差のある地形で液状化現象が起きた際にいわゆる泥水状に液状化した地盤が水平方向に移動する現象を言う。
側方流動には大きく分けて二つのタイプがある。一つは、地表面が1~2パーセント程度のゆるい勾配になっており、地中部には液状化層が存在するものである。この場合、地盤が傾斜に沿って移動することとなる。もう一つは、護岸などに見られるタイプで、地震の揺れおよび地盤の液状化で護岸などが移動することで、後背の地盤が側方流動を引き起こすものである。
このような側方流動が発生した場合、地中構造物に多大な影響を与える。たとえば、杭基礎であれば、側方流動が発生することにより杭は地盤から水平方向にせん断や曲げの力を受けることとなる。この地盤からの力が杭の耐力を超過し、杭のせん断破壊等を起こす。このため、杭基礎は上部構造物を支える事ができなくなり、場合によっては構造物の転倒などを引き起こすことにつながっていく。
[編集] 参考文献
- 吉見吉昭 『砂地盤の液状化』(技報堂出版 1991年)
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