琵琶湖若狭湾快速鉄道
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琵琶湖若狭湾快速鉄道(びわこわかさわんかいそくてつどう)は、滋賀県高島市と福井県三方上中郡若狭町を結ぶ計画の鉄道路線。積極的に計画を進めている沿線自治体などにより、若狭リゾートラインの愛称が与えられていた。
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[編集] 計画と期待
計画は1904年(明治37年)頃より存在していたが、全長は約20kmながら、トンネル区間が多くの費用がかかる点や、戦争の勃発、それに国鉄の分割民営化などにより、今日まで実現を果たしていない。最近では1994年に「若狭リゾートライン」として計画が持ち上がった。
計画では現在、敦賀駅経由で湖西線の特急を利用しても1時間50分、東舞鶴駅経由で走る直通特急「まいづる」では2時間30分も要する小浜駅 - 京都駅間が、新線経由なら約55分で結ばれ、都市圏へのアクセスが飛躍的に向上する点などから企業誘致など産業面での期待が大きいとされる。また現在、若狭地方には京阪神地方を中心に、年間を通じて約700万人の観光客が訪れるが、鉄道によって直通列車が運行されることによって利便性が大幅に向上、観光客も約1,500万人程度になるとし、産業面だけでなく、観光面においても期待が大きい。
沿線では新線建設を小浜線電化・敦賀駅までの直流化とともに「嶺南の3点セット」として推進しており、「若狭百年の悲願」として北陸新幹線誘致よりも力を入れている。
[編集] 問題点
しかしながら計画当初の名称である「リゾート」の名前が示す通りバブル時代の発想であり、現実的な輸送体系とはかけ離れた構想と指摘する声も多く、沿線住民の間からも懐疑的な声が聞かれる。当の観光利用も夏期の海水浴に極端に偏る傾向があり(若狭には著名な温泉等がなく冬季の観光客は激減する)、通年インフラを維持する必要のある鉄道は維持費が莫大になるなど問題点も多く、乗換えの不便が生じたとしても、ピークのみ車両を増やせばよいバスの方が有利とも指摘される。
また、並行して運転されているJRバス若江線はかつて黒字路線であったが、現在は乗客の減少で減便されるなど沿線の過疎化が進んでおり、果たして莫大な費用を要してまで鉄道路線を敷設するほどの需要が期待できるのかと懐疑的な声も聞かれる。また滋賀県高島市は若江線の利用維持のため乗客に補助金を出す制度を設けているほどであり、滋賀県側は福井県側と対照的に極めて消極的である。現在、小浜線の電化で新線建設運動は一段落した状態となっており、実現の見込みは立っていない。
[編集] 沿革
- 1904年(明治37年) 鉄道計画が立案される。
- 1969年(昭和44年) 江若鉄道が廃止。未成区間は「国鉄若江線」として計画線になる。
- 1984年(昭和59年) 国鉄再建法により「国鉄若江線」計画は中止。
- 1993年(平成5年) 小浜市、上中町などが研究会立ち上げ。
- 1994年(平成6年) 「琵琶湖若狭湾リゾートライン鉄道建設および小浜線電化促進期成同盟会」を設立。
- 2003年(平成15年) 小浜線電化開業。
- 2006年(平成18年) 9月1日若狭地域および滋賀県北部の開通希望署名22万6000人分が福井県に提出される。
[編集] 想定される輸送形態
小浜市などの構想では、線内普通列車または小浜線直通の普通列車が1日14往復、大阪・京都方面への新快速乗り入れが1日4往復、直通の特急が1日4往復の計22往復を想定している。また車両の運行はJR西日本に委託し、自治体は第三セクター会社を設立し鉄道資産のみを保有する上下分離方式を採用する事が有力視されている。
[編集] 設置予定駅
近江今津駅 - 日置前駅 - 角川駅 - 熊川駅 - 上中駅