金太郎
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金太郎(きんたろう)は、坂田公時(さかたのきんとき、金時とも)の幼名。または、金太郎を主人公とする昔話、童話のこと。
なお、話の内容に関しては他のおとぎ話の主人公と比べ、認知がかなり少ないようである(フジテレビ系列のテレビ番組『トリビアの泉』の調査によると、正確に認知している人の割合は約1.4%)。
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[編集] 歴史・伝説
金太郎にはいくつも伝説が存在するが、静岡県駿東郡小山町の金時神社(金太郎が祭られている神社)に記されたものによると、天暦10年(956年)5月に誕生したという。彫物師十兵衛の娘、八重桐(やえぎり)が京にのぼった時、宮中に仕えていた坂田蔵人(くらんど)と結ばれ懐妊した子供とされる。八重桐は故郷に帰り金太郎を産んだが、坂田が亡くなってしまったため、京へ帰らず故郷で育てることにした。
成長した金太郎は足柄山で熊と相撲をとり、母に孝行する元気で優しい子供に育った。
そして天延4年(976年)3月21日、足柄峠にさしかかった源頼光と出会い、その力量を認められて家来となる。名前も坂田公時(きんとき)と改名し、京にのぼって頼光四天王の一人となる。なお、他には渡辺綱、卜部季武、碓井貞光が四天王に名を連ねる。
正暦元年(990年)3月26日、丹羽の国、大江山(現在京都府福知山市)に住む酒呑童子を退治する。酒呑童子は都に出てきては悪いことをするため、源頼光や四天王たちが山伏姿に身をかえて、神変奇特酒(眠り薬入り酒)を使って退治した。
坂田公時は寛弘7年(1011年)12月15日、九州の賊を征伐するため築紫(つくし・現在北九州市)へ向かう途中、作州路美作(みまさか)勝田壮(現在岡山県勝央町)にて重い熱病にかかり死去。享年55歳だったという。
勝田の人々は公時を慕い、倶利加羅(くりがら。剛勇の意)神社を建てて葬った。その神社は、現在栗柄神社と称する。
以上が金時神社に記された金太郎の伝説である。だが、実はその存在は疑わしいともされている。しかし、藤原道長の日記『御堂関白記』など当時の史料によると、下毛野公時という優秀な近衛兵(随身)が道長に仕えていたことは確かである。この公時が脚色されていったものらしく、頼光・道長の時代から百年ほど後に成立した『今昔物語集』では、公時の名の郎党が、頼光の家来として登場している。現在の金太郎伝説が完成したのは江戸期であり、浄瑠璃や歌舞伎を通して頼光四天王の怪力童子のイメージが定着していった。
鉞(まさかり、大斧)担いで熊の背に乗り、菱形の腹掛けを着けた元気な少年像として、五月人形のモデルとなった。この姿から、かつて日本各地で乳幼児に着用させた菱形の腹掛けもまた「金太郎」と呼ぶ。
出生の伝説は、母親が山姥で、雷神の子供を孕んで産まれてきたとするものや、金時山の頂上で赤い龍が八重桐に授けた子というものも存在する。
また、息子の坂田金平は「きんぴらゴボウ」の名の由来で知られる。
小山町の隣にある南足柄市にも金太郎の伝説は多く、その内容は小山町との相違点が多く見られる。
静岡県駿東郡小山町の金時神社には金太郎の伝説のあるちょろり七滝や第六天社がある。
ちょろり七滝の水は金太郎が産まれたとき、産湯として使ったといわれており、住まいである金時屋敷(現在の金時神社)の裏にある。金太郎が丈夫に育ち立派な武将となったことから、周辺の人々は子供が産まれると、この滝の水を産湯にしたといわれている。しかし、南足柄市には夕日の滝という場所があり、金太郎は四万長者の屋敷で産まれ、この滝の水を産湯にしたという伝説もある。
第六天社は金太郎親子が深く信仰しており、母の八重桐が赤いごはんや魚を捧げたりするのを真似て、金太郎はメダカを捕らえてきては生きたまま器に入れ、社前に捧げたといわれている。
[編集] 童謡
「マサカリカツイデ~」で始まる童謡「金太郎」は、1900年に発表された「幼年唱歌」に掲載された(なお、間違えられやすいが「マサカリカツイダ~」ではない)。作詞・石原和三郎、作曲・田村虎蔵。
[編集] 派生用語
[編集] 鉄道
[編集] 道路
- 静岡県道365号足柄峠線の愛称『金太郎ふじみライン』
[編集] 漫画・テレビドラマ・アニメ・ゲーム
- 『スポーツマン金太郎』は、「週刊少年サンデー」(小学館)で連載された寺田ヒロオの漫画。
- 『サラリーマン金太郎』は、「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で連載された本宮ひろ志の漫画。TBSで高橋克典主演でテレビドラマ化された。
- 『デュエル・マスターズ』では、難波金太郎というキャラクターが登場する。
- 永井豪のマンガ『手天童子』には主人公が平安時代にいき、金太郎となった旨の描写がある。
- 「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて現在連載中の『銀魂』。主人公「坂田銀時」のモデル。
- Production I.G制作のOVA「怪童丸」。坂田公時が少女の設定。
- 「モータルコンバット」。「キンタロー」という名前のキャラクターが登場する
- 「仮面ライダー電王」「キンタロス」という名前のキャラクターが登場する