浦島太郎
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浦島太郎(うらしま たろう)は、日本各地にある龍宮伝説の一つ。また、日本のおとぎ話の一つで、その主人公の名前でもある。
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[編集] 歴史
- 丹後国『風土記』(現在は逸文のみ)にある浦嶼子の話[1]が原型である。他に『日本書紀』『万葉集』にも記述が見られる。「浦島太郎」として現在伝わる話の型が定まったのは、室町時代の『御伽草子』による。その後は良く知られた昔話として様々な媒体で流通することになる。
- 竜宮城に行ってからの浦島太郎の行状は、子供に話すにはふさわしくない内容が含まれているので、童話においてはこの部分は改変されている。これは、明治時代に国定教科書向きに書き換えられたためである。
[編集] 縁起物
祝い事で「鶴」と「亀」を縁起物としているが「鶴」は浦島太郎、「亀」は「乙姫」(亀姫)で一般に知られているおとぎ話の後に二人が再会し、末永く暮らしたため縁起物にされたとも言われている。
[編集] あらすじ
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 『御伽草子』
浦島太郎は丹後の漁師であった。ある日、釣り糸に亀がかかったが、「亀は万年と言うのにここで殺してしまうのはかわいそうだ」と逃がしてやる。数日後、一人の女人が舟で浜に漕ぎ寄せて自分はやんごとなき方の使いとして浦島太郎を迎えに来た。姫が亀を逃がしてくれて礼をしたい旨を伝え、太郎はその女人と舟に乗り大きな宮殿に迎えられる。ここで姫と3年暮らし太郎は残してきた両親が心配になり帰りたいと申し出た。姫は自分は実は太郎に助けられた亀であったことを明かし玉手箱を手渡す。太郎は元住んでいた浜にたどり着くが村は消え果ていた。ある一軒家で浦島何某の事を尋ねると近くにあった古い塚がその太郎と両親の墓だと教えられる。絶望した太郎は玉手箱をあけ、三筋の煙が立ち昇り太郎は鶴になり飛び去った。
『御伽草子』では竜宮城は海中ではなく、島か大陸にあるように書かれている。春の庭、夏の庭、秋の庭、冬の庭の話はメインストーリーの付け足し程度に書かれている。
[編集] 『御伽草子』の系統による話
浦島太郎は漁師だった。ある日、浦島太郎は子供達が亀を苛めている所に出くわした。浦島太郎が亀を助けると、亀はお礼に竜宮城に連れて行ってくれるという。浦島太郎は、亀に
なお、浦島太郎のその後については諸説があって定かではない。
[編集] 『万葉集』巻九による話
『万葉集』(萬葉集)巻九、高橋虫麻呂作の長歌に浦島太郎の原型というべき以下の内容が歌われている。
水の江の浦島の子が七日ほど鯛や鰹を釣り帰って来ると、海と陸の境で海神の娘(亀姫)と出会った。二人は語らいて結婚し、常世にある海神の宮で暮らすこととなった。
三年ほど暮らし、父母にこの事を知らせたいと、海神の娘に行ったところ「これを開くな」と篋(くしげ・玉手箱の事。もともとは化粧道具を入れるためのもの)を渡され、水江に帰ってきた。海神の宮で過ごした三年の間に家や里はなくなり見る影もなくなっていた。箱を開ければ元の家などが戻ると思いあけたところ常世との間に白い雲がわき起こり、浦島の子は白髪の老人の様になり、ついには息絶えてしまった。
[編集] 横浜市神奈川区に伝わる話
昔、相模国三浦に浦島太夫とよばれる人がいた。彼は仕事のため丹後国に赴任していた。その息子太郎は、亀が浜辺で子供達に苛められている所に出遭う。(全国版と同じなので中略)老人になった太郎はある漁師から両親の墓が武蔵国白幡にあると聞いた。
この情報を聞いた太郎は急いで子安の浜に行った。子安に着いた太郎は両親の墓を探したが、なかなか見つけられない。それを見かねた乙姫は、松枝に明かりを照らして場所を示した。やっとの事で墓を見つけた太郎はその地に庵をつくり、太郎はそこに住んだ。この寺は後に観福寿寺と呼ばれるようになった。
[編集] 伝承・祭られている神社仏閣
- 観福寿寺(神奈川県横浜市神奈川区)
- 残念ながら明治時代に焼けてしまった。また、乙姫が枝に光を照らした松も大正時代まで残っていた。慶運寺に聖観世音菩薩像が現在も残っている。
- 浦嶋神社(京都府与謝郡伊根町)
- 浦島伝説の中では最も古いとされる丹後国風土記逸文ゆかりの地域にある。社伝では天長2年(825年)に創建。丹後半島にはこのほかにも浦島伝説に基づく神社がある。
- 浦島神社(香川県三豊市)
- 荘内半島一帯には、太郎が生まれたという生里、箱から出た煙がかかった紫雲出山ほかたくさんの浦島伝説に基づく地名が点在している。太郎が助けた亀が祭られている亀戎社もある。
- 寝覚の床・臨川寺(長野県上松町)
- 寝覚の床は竜宮城から戻った浦島太郎が玉手箱を開けた場所といわれ、中央の岩の上には浦島堂が建つ。臨川寺は、浦島太郎が使っていたとされる釣竿を所蔵する。境内からは景勝寝覚の床を見下ろす。
[編集] 唱歌
唱歌「浦島太郎」は、1900年の「幼年唱歌」に掲載された『うらしまたろう』(作詞・石原和三郎、作曲・田村虎蔵)と、1911年の「尋常小学唱歌」に掲載された『浦島太郎』(作詞・乙骨三郎、作曲者不明)とがある。現在でも歌われている「昔々浦島は助けた亀に連れられて」で始まる歌は、「尋常小学唱歌」の『浦島太郎』である。
[編集] SFにおける解釈と展開
複数のSF作家(豊田有恒など)がこの話を浦島太郎が宇宙人に攫われ、亀(宇宙船)に乗って、竜宮城(異星)へ光速移動したため地球との時間の進みかたにずれが生じたとする解釈を提示している(双子のパラドックス)。
[編集] 浦島太郎・花子状態
竜宮城から故郷に戻るとまったく見知らぬ土地になっていたという浦島太郎の立場になぞらえ、長い間離れていた所に久しぶりに戻ると別世界になっており面食らうことを「浦島太郎である」「浦島太郎状態にある」などと言う。女性の場合は浦島花子(うらしまはなこ)。日本国外に住み日本の流行や話題に全くうとくなってしまった状態、出向先から戻って本社の変貌ぶりにまごつく状態、メディアから離れていたために時事ニュースや連続ドラマの進行についていけない状態、最先端のテクノロジーを知らずに時代に取り残された気分などを自虐的に表現する際に用いる。
[編集] 関連項目
- ウラシマ効果
- リップ・ヴァン・ウィンクル
- 児童文学
- 絵本 - 紙芝居
- 類似説話
- 山幸彦と海幸彦
- 見るなの座敷
- 常世 - ニライカナイ
- 見るなのタブー
- まんが日本昔ばなし
- 未来警察ウラシマン
- 仮面ライダー電王
[編集] 関連書
- 三浦佑之 『浦島太郎の文学史』恋愛小説の発生 五柳書院 ISBN 4906010369
- 林晃平 『浦島伝説の研究』おうふう ISBN 4273031531
- 水野祐『古代社会と浦島伝説 上』 浦島伝説の歴史的形成 雄山閣