Nokia 6630
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Nokia 6630は、ノキアが2004年に発売したW-CDMA/GSM方式のスマートフォンである。
日本では、日本語化されたものがボーダフォン日本法人(現ソフトバンクモバイル)からVodafone 702NKとして2004年12月に、NTTドコモからFOMA NM850iGとして2006年2月に発売され、さらにノキア・ジャパンからNokia 6630スタンダードバージョンとして2006年6月に発売された。 Vodafone 702NKおよびFOMA NM850iGは、それぞれキャリア向けのカスタマイズが行われている。
目次 |
[編集] スペック
項目 | 仕様 |
---|---|
製造 | Nokia |
端末形状 | ストレート |
プラットフォーム | Series 60(S60) 2rd Edition |
OS | Symbian OS 8.0a |
GSM対応周波数帯 | 900/1800/1900 MHz |
GPRS | 対応 |
EDGE (EGPRS) | 対応 |
W-CDMA対応周波数帯 | 2100 MHz |
メイン液晶 | 2.1 inch TFT,65,536色,176×208 pixels |
カメラ | 130万画素CMOSカメラ |
内蔵ブラウザ | WAP 2.0/XHTML/HTML |
マルチメディアメッセージングサービス | 対応 |
Video calls | 限定対応 |
Javaプラットフォーム | Java ME MIDP 2.0, CLDC 1.1 |
内蔵メモリ | 10 MB |
外部メモリ | DV RS-MMC (1.8V) |
Bluetooth | 対応 |
E-Mailクライアント搭載 | |
重量 | 127グラム |
外形寸法 | およそ60×110×20.6mm(幅×高さ×厚さ) |
[編集] 特徴
この端末は近年の日本では珍しいストレートタイプの端末であり、前方後円墳を思わせる独特の形状をしている。Xpress-on™カラーカバーにより外装の着せ替えが容易に可能。
海外ではスマートフォンに分類される端末であり、通常の携帯電話と比べてPIM機能が充実している。 端末に付属しているNokia PC Suiteソフトウェアを使用すれば、OutlookやLotus Notes等とPIM情報その他を同期させることが出来る。 Mac OS X 10.4ユーザーならば、iSyncソフトウェアを使用して同期させることも出来る。
標準搭載のWebブラウザはいわゆるフルブラウザであり、表現力に制約はあるものの、多くのPC向けWebサイトの閲覧が可能。ただし、body要素による文字色の指定が効かないというバグがあり、背景が黒いページでは真っ黒になって読めないことが多いという問題がある。
自分撮り用のカメラを持たないため、テレビ電話には不向きである。自分撮りでのテレビ電話を行うには、別売の「TVコールスタンド」に装着する(ただし、据え置きとなる。また、ノキアストアやノキアオンラインショップでの販売を行っていないため、ボーダフォン(現・ソフトバンクモバイル)の702NKのオプションという形で入手する形となる。)。
プラットフォームにS60を採用しているため、パソコンを使用することによってユーザー自身で機能を追加することができる。 有償で提供されているOperaやNetFrontの他、各種のシェアウェアやフリーウェア、テーマ(スキン)、スクリーンセーバーなどが利用可能。 ただし、Vodafone 702NKおよびFOMA NM850iGでは、ユーザーによるネイティブアプリケーションのインストールに一部制約がある。
外部端子として底面にノキア独自のPop-Portを備える。他社製端末との端子の互換性はない(これは702NKやNM850iGでも変わらず、他のVodafone 3G端末やFOMA端末の端子との互換性はない)。またこれとは別にACアダプタ(充電器)の端子がある。
後継機種として、Nokia 6680 (Vodafone 702NK II) がある。
[編集] バリエーション
[編集] Vodafone 702NK
Vodafone 702NKは、日本ではソフトバンクモバイルのSoftBank 3Gネットワーク(W-CDMA方式)を使用する。 海外ではソフトバンクモバイルが契約した現地キャリアのネットワーク (W-CDMA/GSM) を使用して国際ローミングを行う。 この端末はSIMカードを採用しているが、SIMロックが掛かっているため、他キャリアのSIMカードを挿しても使用することはできない。
本端末で各種のパケット通信を行う際に、ソフトバンクモバイルのパケット定額制の対象とならない場合があるので注意が必要である。 E-mailクライアント機能、S!アプリ以外のJavaアプリケーションやネイティブアプリケーション(OperaやNetFrontを含む)による通信、PC/PDAを接続してのデータ通信などは定額対象とならない。
セキュリティ上の理由により、通常の方法でインストールできるネイティブアプリケーションは、ノキアかSymbianの認証をパスした電子署名のあるもの(極めて少ない)に限られている(Javaアプリケーションについてはそのような制限はない)。 しかし、ユーザーの手によって、電子署名のないアプリケーションをインストールするテクニックが開発され、若干手間はかかるものの実質的に問題なくインストールできるようになっている。
付属品はACアダプタ(充電器)と電池の他にステレオヘッドフォンとUSBケーブルがあり、標準セットのみで音楽再生やPC接続を利用可能。
主な対応サービス | |||
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S!ループ | |||
S!ケータイ動画 | S!アプリ | ||
着うたフル/着うた | |||
レコメール | TVコール | 国際ローミング |
[編集] FOMA NM850iG
FOMA NM850iGは、日本ではNTTドコモのFOMAネットワーク(W-CDMA方式)を使用する。 2006年2月15日プレスリリース。2006年3月17日発売。 ドコモではN900iG、M1000に次ぐ3機種目の国際ローミングサービス「WORLD WING」対応端末で、W-CDMA、GSM、GPRSの通信方式に対応。海外でも音声通話、テレビ電話、iモード、ショートメッセージサービスを利用できる。海外ではNTTドコモが契約した現地キャリアのネットワーク (W-CDMA/GSM) を使用して国際ローミングを行う。 この端末はSIMカードを採用しているが、SIMロックが掛かっているため、他キャリアのSIMカードを挿しても使用することはできない。 発売当初の端末単価が70xシリーズよりも安い。
この端末ではiモードやiアプリもサポートされているが、iアプリの機能は503iシリーズ相当と低く抑えられている。 また、ネイティブアプリケーションをインストールして利用することはできない。
キーパッドなど本体前面の形状が702NKやスタンダードバージョンとは一部異なるが、カバーおよびキーパッドは相互に交換可能。
[編集] スタンダードバージョン
スタンダードバージョンにはSIMロックがかかっていないため、多くのキャリアで使用可能である。 日本国内でもFOMAおよびSoftBank 3Gのネットワークで使用可能。
FOMAまたはSoftBank 3Gの契約で使用する場合、音声通話・SMS・データ通信以外のキャリア固有機能(ウェブ・メール/MMS・アプリなど)は、利用できないか、利用できても制限がつくことがあるので注意が必要(ネット接続には、ドコモはmopera Uの契約が必須、ボーダフォンはVFJP Access Internet経由でのパケット接続のみだったが、SoftBankブランド変更後は、加えて、S! ベーシックパックの契約が必須になった)。
アプリケーションのインストールに関する制限はない。
[編集] 評判
端末のユーザーインターフェイスが海外で一般的なものであり、一般の日本製端末と異なるため、一部悪い評判も聞かれるが、端末の自由度が高いため、端末内部・外部の改変をすることが可能なユーザーの評判は概ね高いようである。 また、Vodafone 702NKについては、同時期にボーダフォンから発売された他の3G端末と異なり、重大な不具合は見つかっていない。
その独特な形状についても賛否が分かれるところであり、形状を見ただけで購入対象から外す人も少なくないが、利用者の間では、手になじみやすいよく考えられた形状であるとの意見も多い。
フィンランドのセキュリティ企業F-Secureは、日本人旅行者が香港に持参したVodafone 702NKに、携帯電話ウイルス「Cabir」がBluetooth経由で感染した事例が発見されたと発表し、IT・通信系ニュース媒体でも報道された。 しかし、CabirはOSの脆弱性を突いて感染するものではないため、通常のインストール手順をとらねば感染しないが、前述の通り、電子署名のないネイティブアプリケーションをVodafone 702NKに通常の方法でインストールすることは(たとえ利用者にその意図があっても)不可能である。 そのため、本端末に詳しい利用者の間では、この発表の信憑性は強く疑問視されている(その後、発表から機種名が取り消されている)。
[編集] カラーバリエーション
日本では以下のカラーバリエーションが提供されている。
- Vodafone 702NK
- アルミニウムグレイ
- ボルドールージュ
- FOMA NM850iG
- パールホワイト
- スタンダードバージョン
- チタニウムグレイ
- ライムグリーン(同梱カバー)
- ブラック(限定品カバー)
さらに、ノキア・ジャパンから以下の純正Xpress-on™カラーカバーが発売されたが、2006年8月現在、ノキアストア、オンラインショップとも発売停止中。
- ブルー
- ベージュ
また、海外でNokia 6630向けに販売されている、非純正を含む多数のカバーやキーパッドも使用可能。