ツーカー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ツーカー(TU-KA)とは、KDDIによる加入携帯電話サービスの呼称。関東・東海・関西の3大都市圏を中心に、1.5GHzの周波数帯のPDC方式を利用した移動体通信を提供している。ブランド名の「ツーカー」とは、「ツーカーの仲」「ツーカーな関係」といった言い回しで用いる「気心の知れた人間関係」を指す。なお、2006年6月30日をもって、新規加入の受付を終了している。また同年12月31日をもって機種変更用端末の販売も終了し、2008年3月31日をもってツーカーそのもののサービスも終了する予定となっている。ツーカー電話の携帯電話契約数は約87万(ピーク時で、約400万)契約で、うち約47万契約がプリペイド契約。国内における市場占有率は約0.9%(2007年3月末現在)。
目次 |
[編集] 事業展開概説
1992年、日産自動車を中心に、当時、関東・甲信・東海地域(旧・IDOの営業地域)に系列携帯電話会社(旧・DDIセルラー)がなかった第二電電(現・KDDI)・京セラが「ツーカーセルラー東京」と「ツーカーセルラー東海」に出資を行った。
一方、DDIセルラーグループの旧「関西セルラー電話」(現・KDDI)のあった関西地区は、日産主体で「ツーカーホン関西」を設立。
当初、日本テレコム(現・ソフトバンクテレコム)が出資の中心だった「デジタルホン」(その後ジェイフォン、ボーダフォンとなり、現在はソフトバンクモバイル)グループと同時に、携帯電話第三グループとして新規参入した。当時はデジタルホンとほぼ同程度の勢力であった。
関東、東海、関西以外の地区に関しては、日産と日本テレコムとの共同出資で、「デジタルツーカー」を設立し、全国展開が行われた。従って、携帯電話キャリアは東名阪エリアにおいて四社体制になり、東名阪以外は三社体制となった。
大株主であった日産自動車は、経営悪化から非中核事業の再編を余儀なくされ、ツーカー携帯電話事業のうち関東・東海・関西の各社は旧・第二電電に、また合弁企業であったデジタルツーカーは日本テレコムにそれぞれ株式譲渡した。
その後、デジタルツーカーの地域会社がジェイフォンに統合された事から、ツーカー3社自体のエリアは全国をカバーせず、営業外区域において同社とのローミングにより全国におけるサービスを提供してきた。占有率においてNTTドコモ・au・ジェイフォン各社より小規模に留まるものの、これまで料金前払いのプリペイド式携帯電話「プリケー」など他社に先駆けた商品を発売し、独自性の確立を図ってきた。
従って、現在では関東・東海・関西の3大都市圏で、同じくKDDIの携帯電話サービス「au」と同じEZwebサービスの提供とともに、料金体系などにおいて独自性の強いサービスを提供している。また、2Gに特化しシンプルな端末やサービスを提供することでauとの棲み分けを図っている。au携帯電話を若年(高い消費指向層)向けサービスとして構築し、高年齢層をツーカーブランドで獲得する狙いもあった。
前述の「デジタルツーカー」提携以降、「スカイメッセージ」などソフトバンク携帯電話に準じたサービスも併せ持つ(「スカイメッセージ」はソフトバンクモバイルと相互送受信可能)。また、ツーカーの営業区域外(旧「デジタルツーカー」区域)では、同一の通信方式により現在もソフトバンクモバイルにローミングする。
[編集] KDDIグループ参加後の事業展開
ツーカーは他の三事業者と異なり「第3世代携帯電話(3G)」への移行を行わない方針を決めた。理由は、当時の総務省は3Gの参入事業者は全国で3社のみに制限することとしており、KDDIは3Gを全国でサービス展開している「au携帯電話」に一本化することとしためである。また、将来的に新規参入が出来ることとなっても投資所要額が巨額となることもあって、当面は準備もしないこととした。
2000年に親会社の第二電電が日本移動通信・KDDと合併しKDDI(当初「株式会社ディーディーアイ」の略称。2001年4月より現社名)となり、当初は浜崎あゆみをCMキャラクターに採用しEZwebなど共通のサービス展開をアピールした。一方、KDDIの展開する「au」との棲み分け路線が明確になった以降は、初期投資が少ないPDCを活用した事業展開を開始した。例えば、松本人志をCMキャラクターに採用し、「通話とメールだけのシンプルなケータイ」というコンセプトを打ち出し、さらに「ツーカーシンプル料金シリーズ」として通話・通信料のわかりやすい料金プランや骨伝導式スピーカー付き携帯電話、また 説明書がいらないほどのスペックと使いやすさである“ケータイ版黒電話”ツーカーS(TK50)といった特色ある端末、サービスを提供してきた。なかでも「ツーカーS」に関しては高齢者層の大きな反響を呼び、後にNTTドコモやauも同様の機種(「らくらくホン シンプル(D880SS)」「簡単ケータイS(A101K)」)で追随している。「ツーカーシンプル料金シリーズ」は2年間契約であり、auの「MY割」の原型とも言える。
[編集] KDDIへの合併
KDDIがツーカーを同じ移動体通信子会社だったウィルコムのように他社へ売却するか、本体へ統合するか検討している中で、意思決定の迅速化のため2005年3月25日付でツーカー3社はKDDIによる株式交換で完全子会社化された。
完全子会社化後は、間もなく、本体への統合の方向で決着した。その理由は、番号ポータビリティ導入によりKDDIから他陣営へ顧客流出することの抑止と、ローミング先のボーダフォン(当時)における将来の3G移行を控え、ツーカー(PDC携帯電話)使用者のau携帯電話への移行による全国サービスの継続確保とを図るという2つの課題を踏まえた結果といえる。
そして、2005年10月1日にツーカー3社がKDDIにより吸収合併され、ツーカー携帯電話はau携帯電話に一本化される方向で順次移行していくことになった。
[編集] au電話への移行・サービス終了へ
合併後の2005年10月11日より、ツーカー電話の使用中の電話番号をそのまま用いauへ移行する契約変更制度が開始された(EZwebのEメールアドレスは、EZweb@mailとEZweb@mail2に限り、2006年2月20日より引き継ぐことが出来るようになった)。ただし、KDDIの予想を超えた手続きの申し込みがあり処理が逼迫したため、手続き提供開始からわずか1週間の同年10月18日より一時的に受付を中断。11月2日より暫定的に受付を再開し、11月9日に正式に再開した。
さらに、2006年6月1日よりツーカープリペイドサービス(プリケー、プリティ)からauの通常契約へ同じ電話番号で契約変更が可能になった。変更時点でプリdeEZまたはプリdeメールを利用している場合は、Eメールアドレスを引き継げる。
auぷりペイドへの同番移行も同年11月15日より可能となった。しかしツーカープリペイドサービスの解約後、auプリペイドサービスへ新規契約という形になり、プリdeEZ等も使えなくなる(2007年4月10日以前は登録済みの通話料の引継ぎもできなかった)。
ツーカー電話の新規契約受付を2006年6月30日限りで終了、同年12月31日で機種変更向けのツーカー携帯電話の販売も終了し、ツーカー電話サービス自体も2008年3月31日をもって終了することが発表された。既に、一部のサービス店舗についてはauショップへの衣替えなどの形で統廃合が行われている。
契約変更への条件も徐々に緩和されている。当初は、ツーカーポイントの機種変更時使用不可かつメールアドレス移行不可、契約変更手数料(2835円)の負担が条件だったが、2007年1月現在ではこれらはすべて撤廃された。
ツーカーサービス終了後は、1.5GHzの周波数帯域は3G携帯電話サービスの逼迫緩和用として転用することを総務省が明らかにしている。[要出典]
[編集] 戦略の是非
「シンプルケータイ」戦略は高齢者層には好評を得たが結果的には携帯未使用層の大幅取り込みには至らなかった。これは、ツーカーのブランド浸透の希薄さからと思われ、従前のユーザーからはむしろ反発を受け「ツーカー離れ」を引き起こしたとされた。
同じ2Gでも国内に潜在的なファンの多いGSMに展開していればと過去の戦略展開を惜しむ意見もある。
[編集] オリジナルコンテンツ
- funstyle
- 夕刊ツーカー
[編集] 事業開始時期
旧ツーカーグループ
- 1994年4月 - ツーカーセルラー東京、ツーカーホン関西
- 1994年7月 - ツーカーセルラー東海
旧デジタルツーカーグループ
- 1996年1月 - デジタルツーカー九州
- 1996年5月 - デジタルツーカー中国
- 1996年12月 - デジタルツーカー東北・北海道
- 1997年1月 - デジタルツーカー北陸
- 1997年2月 - デジタルツーカー四国
[編集] グループ各社と営業地域
[編集] 端末
主に、京セラ・三洋電機・東芝の三社が端末を納入してきた(かつての納入会社としてはソニー・三菱電機・ケンウッド・NEC・富士通・モトローラ・松下通信工業(現:パナソニック モバイルコミュニケーションズ)が挙げられる)。
|
- 現行機種
2005年8月発売のTK51を最後に新機種は出ておらず、同機がツーカーの最終機種。
- 現在の型番ルール
|
|
- 最初にツーカーのT、次に製造メーカーの頭文字が付き、二桁の数字で発売年とメーカーがその年内に何番目に発売した端末であるかを表す。たとえば、2001年に京セラが2番目に発売した端末は、TK12となる。ただし、TS41(発売時期:2003.12)のように、12月に発売される端末は、翌年に分類されることもある。また、TK40のような付番例もある。
- 過去の型番
- 東京・東海エリアでは、THxxxという3桁の型番が使われていた。1桁目は製造したメーカーを、後の2桁は発売した順番を示していた。
[編集] 過去にCMに出演したタレント
- 現在はソフトバンクモバイルのカタログ広告に登場している。
[編集] ツーカーセルラー東京のみ
[編集] ツーカーホン関西のみ
- 観月ありさは当初はツーカーホン関西限定。のちにツーカーセルラー東京のCMに出演。
- ブラッド・ピットは後にソフトバンクモバイルのイメージキャラクターとなる。
[編集] 外部リンク
沖縄セルラー電話 | KDDIエボルバ | KDDIエンジニアリング・アンド・コンサルティング | KDDI沖縄 | KDDI研究所 | KDDI総研KDDIテクニカルエンジニアリングサービス | KDDIテクノロジー | KDDIネットワーク&ソリューションズ | KDDI&BTグローバルソリューションズ | KDDIメディアウィル | 国際ケーブル・シップ | 国際コミュニケーション基金 | 国際電信電話共済会 | 日本インターネットエクスチェンジ | 日本通信エンジニアリングサービス | mediba | モバオク | ユビキタス・コア | 京セラコミュニケーションシステム
KDDI本体の運営事業
カテゴリ: 現在進行 | 出典を必要とする記事 | 日本の携帯電話事業者 | 携帯電話 (au) | KDDI