グアテマラ
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グアテマラ共和国(グアテマラきょうわこく)は、中米の国。首都は、グアテマラシティ(シウダー・デ・グアテマラ)。太平洋とカリブ海の両方に面する。北でメキシコに、北東でベリーズに、南東でホンジュラスとエルサルバドルに接している。
- グアテマラ共和国
- República de Guatemala
-
(国旗) 国章 - 国の標語 : なし
- 国歌 : Guatemala Feliz
-
公用語 スペイン語 首都 グアテマラシティ 最大の都市 グアテマラシティ 大統領 オスカル・ベルシェ 首相 なし 面積
- 総計
- 水面積率世界第104位
108,890km²
0.4%人口
- 総計(2004年)
- 人口密度世界第62位
14,280,596人
131人/km²GDP(自国通貨表示)
- 合計(2005年)
2,314億ケツァルGDP(MER)
- 合計(2005年)世界第69位
269億ドルGDP(PPP)
- 合計(2003年)
- 1人当り世界第66位
565億3,000万ドル
4,100ドル独立
- 日付スペインより
1821年9月15日通貨 ケツァル(GTQ) 時間帯 UTC -6(DST: なし) ccTLD GT 国際電話番号 502
目次 |
[編集] 国名
正式名称は、República de Guatemala(スペイン語: レプブリカ・デ・グアテマラ)。通称、Guatemala。
公式の英語表記は、Republic of Guatemala(リパブリック・オブ・グワーテマーラ)。通称、Guatemala。
日本語の表記は、グアテマラ共和国。通称、グアテマラ。
[編集] 歴史
紀元前15世紀には、沿岸部に農耕民の存在したことが確認されている。先古典期中期初頭の紀元前900年頃に、パシオン川流域のセイバルとアルタル=デ=サクリフィシオスに集落が形成された。先古典期後期には、紀元前500年以降には、ペテン低地にワシャクトゥンやエル=ミラドールなどのマヤ都市が出現する。古典期には、378年にティカルにメキシコのテオティワカンゆかりの強力な王朝が建てられ、メキシコ、カンペチェ州のカラクムルと「優越王」として覇を争うようになる。一方グアテマラの高地には、先古典期後期にイサパ文化の影響を受けたアバフ=タカリク、エル=バウル、カミナルフューなどの祭祀センターがきずかれた。古典期になるとカミナルフューもテオティワカンに征服される。エル=バウルを含めた周辺区域にはナワ語系のピピル族によると言われるコツマルワパ様式の祭祀センターが築かれた。後古典期にはいると、11世紀頃から北方のチチメカ人が侵入してきた。その影響を受けてキチェー王国やカクチケル王国にチチメカ様式の影響を受けた都市が築かれた。
10世紀初頭までにペテン低地の祭祀センターは放棄されたが、グアテマラ高地のマヤ系諸王国はスペイン人に征服されるまで存続した。スペイン人の征服者、ペドロ・デ・アルバラードは、1523年に初めて現れ、1524年にはこの地域を征服した。1544年、スペインはグアテマラ総督府をおき、自治権を与えた。グアテマラ総督府の統治範囲には諸説があり、現在のホンジュラス・エルサルバドルなどを含んでいた。スペイン人征服者の政策により、先コロンビア・マヤ文化の古文書(Pre-Columbian Maya codex)はほとんどがこの植民地時代に焼却された。ポポル・ヴフ(Popol Vuh)と呼ばれる一種の創世神話が現在に伝わっている。
グアテマラ総督府は1821年にスペインから独立を宣言した。最初は、1823年に結成された中米連邦(United Provinces of Central America)の一部であった。中米連邦では、最初から内紛が絶えなかったが、1827年から1838年にかけ内戦に陥り、解体にいたった。1839年グアテマラは独立国となった。
グアテマラ建国以後の歴史は、革命、クーデター、非民主主義政権、特にアメリカ合衆国からのさまざまな内政干渉に彩られている。CIAはグアテマラ社会の広い支援を得て、1954年、PBSUCCESS作戦と呼ばれる政府転覆を実行した。独裁的な親米政権が生まれた。これはグアテマラ国家に社会不安の時代をもたらした。36年間にわたるゲリラとグアテマラ政府の戦争は、1996年に平和条約の調印によって終わった。グアテマラの政治的暴力は1983年に終わり、それに続いて1985年以降は民主的な選挙が現在に至るまで行われ続けている。直近の国政選挙は2003年に行われた。グアテマラはいまもなお、法による統治、法の下の平等と基本的人権の尊重に基づき機能する民主主義を構築することを必要としている。
[編集] 政治
グアテマラは一院制議会をもつ。議会は「共和国議会」(Congreso de la República)と呼ばれる。国会は158議席で、国会選挙は4年ごとに行われ、同時に大統領選挙が行われる。 グアテマラの大統領は国家元首であり、かつ政府の長である。行政を行うために、大統領は内閣を指名する。
[編集] 地方行政区分
グアテマラは22の県(departamentos. 地方、州とも訳す)から構成される。
- アルタ・ベラパス県
- バハ・ベラパス県
- チマルテナンゴ県
- チキムラ県
- ペテン県
- エル・プログレソ県
- キチェ県
- エスクィントラ県
- グアテマラ県
- ウェウェテナンゴ県
- イサバル県
- ハラパ県
- フティアパ県
- ケツァルテナンゴ県
- レタルレウ県
- サカテペケス県
- サン・マルコス県
- サンタ・ローサ県
- ソロラ県
- スチテペケス県
- トトニカパン県
- サカパ県
[編集] 地理
海岸部を除くと、グアテマラは大部分が山地からなる。気候は熱帯性で気温が高いが、高地は熱帯性ながら温順な気候である。ほとんどの主要都市は国の南半分に位置している。主要都市は首都グアテマラシティ、ケツァルテナンゴ、エスクィントラである。カリブ海に近接して大型の湖イサバル湖が位置する。火山国であり、日本の富士山に似たトリマン火山の麓には世界一美しい湖といわれるアティトラン湖がある。
[編集] 経済
国民総生産の4分の1を農業が占める。農業は輸出の3分の2を占め、また労働人口の半分が従事する。主要産品は、コーヒー、砂糖、バナナである。工業・建設は国民総生産の5分の1を占めている。
1996年の停戦により、36年間に及んだ内戦が終結したため、外資投入への障害は取り除かれている。1998年のハリケーン・ミッチ(Mitch)による被害は、近隣諸国に比べれば僅少であった。
[編集] 鉱業
グアテマラ経済は中米諸国全体の3割を占めるほどの規模に達しているが、主に農業に依存している。鉱業の発展は遅れており、資源探査を終え、原油を中心に生産が始まった段階である。原油は2002年時点において総輸出額の6.7%に達した。
2002年時点の原油生産量は115万トン、天然ガスは0.43千兆ジュールにとどまっているが、これは油田・炭田が未開発なためだ。金属鉱物資源は金、鉄、ニッケルが中核であるが、鉄は1万トン、ニッケルはほとんど採掘されておらず、金のみが4.5トンという高い水準に達している。
[編集] 国民
住民は、ラディーノ(Ladino、ヨーロッパ系と先住民族の混血およびスペイン語を母語とする先住民族)およびヨーロッパ系が60.1%、マヤ系先住民族が39.3%(内訳はキチェ(K'iche')9.1%、カクチケル(Kaqchikel)8.4%、マム(Mam)7.9%、ケクチ(Q'eqchi')6.3%、その他のマヤ系民族8.6%)、先住民族のシンカ(Xinca)が0.22%、アフリカ人と先住民族の混血のガリフナ(Garifuna)が0.04%(2002年センサス)。
言語は公用語がスペイン語で、国民の6割程度が使用している。残りの4割は先住民族の言語を使用する。地方では特に21種類のマヤ系言語が用いられている他、シンカ語やアラワク語系(Arawakan languages)のガリフナ語など非マヤ系言語も用いられている。DECRETO NÚMERO 19-2003によれば、23種類の言語が国語として認められている。
宗教は、国民の3人に2人がローマ・カトリック教徒で最も多い。しかし、近年ではプロテスタント信者の人口の伸びが著しく、特に福音派の牧師であるエフライン・リオス・モント(Efraín Ríos Montt)将軍政権下で顕著であった。グアテマラ人の3分の1はプロテスタント信者で、福音派とペンテコステ運動派が特に多い。ゲリラとグアテマラ政府の間で締結された1996年の平和条約により先住民族の文化が保護されるようになって以来、伝統的なマヤ民族の宗教も復興の勢いを見せており、グアテマラ政府は全てのマヤ遺跡で宗教儀式を行えるように祭壇を整備する条例を制定している。少数ながら、ユダヤ教徒とムスリム(各1200人ほど)も居住している。
貧困問題が恒常化しており、国民の生活水準は全体に低い。平均寿命は64歳。識字率は67.3%は中央アメリカでもっとも低い部類に属す。貧富の差は激しく、人口の10%が国民全体の所得の47%を占める一方、国民の57%が貧困層に属する。都市部と農村部の貧困差も大きく、地方農村では、貧困層が76%に達する。国民の大多数を占めるマヤ族など先住民は、概して零細な小規模農業に従事し、また多くはスペイン語の読み書き能力をもたないため、他の職業に就く機会も少ない。
[編集] 文化
グアテマラには現在もなおマヤ文明とスペイン植民地時代の遺風が残っている。衣食には伝統的なマヤ文化の色彩が今でも残り、また国のいたるところにマヤの遺跡が残っている。カリブ海沿岸には、宗教儀式、舞踊、音楽などにアフリカ文化の影響がみられる。国章に描かれている国鳥はケツァールで、通貨名ともなっている。
日付 | 日本語表記 | 現地語表記 | 備考 |
---|---|---|---|
1月1日 | 元旦 | Año nuevo | |
3月~4月の一週間 | イースター週間 | Semana Santa | 移動祝日 |
5月1日 | 労働者の日(メーデー) | Día de trabajo | |
6月30日 | 軍隊記念日 | Día del ejército | |
8月15日 | 聖母被昇天祭 | Día de la Virgen de la Asunción | |
9月15日 | 独立記念日 | Día de la Independencia | |
10月20日 | 革命記念日 | Día de la Revolución | |
11月1日 | 死者の日 | Día de los muertos | |
12月24日 | クリスマス・イブ | Noche Buena | 午後のみ |
12月25日 | クリスマス | Navidad | |
12月31日 | 大晦日 | Noche Vieja | 午後のみ |
[編集] 関連項目
- グアテマラ関係記事の一覧
[編集] 外部リンク
[編集] 公式
- 政府公式サイト
- グアテマラ観光局
- Literatura
- Arte
- Popol Vuh
[編集] その他
- 世界の国々 > アメリカ
-
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