東京地下鉄南北線
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南北線(なんぼくせん)は、東京都品川区の目黒駅から北区の赤羽岩淵駅までを結ぶ、東京地下鉄(東京メトロ)が運営する鉄道路線。正式名称は7号線南北線である。
路線名の由来は東京を南北に貫くことから。車体及び路線図や乗り換え案内で使用されるラインカラーは「アースエメラルドグリーン」:○N
目次 |
[編集] 路線データ
- 路線距離(営業キロ):
- 軌間:1067mm
- 駅数:19駅(起終点駅含む)
- 複線区間:全線
- 電化区間:全線(直流1500V架空電車線方式)
- 閉塞方式:車内信号閉塞式(CS-ATC)
- 車両基地:王子検車区
市ヶ谷駅構内に有楽町線との連絡線が存在する。点検整備による南北線や直通運転を行っている埼玉高速鉄道車両が新木場工場や、さらに有楽町線桜田門駅~千代田線霞ケ関駅への連絡線を経て綾瀬工場へ向かう場合や、東京湾大華火祭での新木場行臨時列車に使われる。また、半蔵門線の8000系の車両を新木場CRへ回送するのにも利用される。経路は以下の通り。
- 鷺沼~<田園都市線>~二子玉川~<大井町線>~大岡山~<目黒線・南北線>~市ケ谷~<有楽町線>~新木場
[編集] 概要
1962年(昭和37年)の都市交通審議会答申第6号において、東京7号線は、目黒方面より飯倉片町・永田町・市ヶ谷・駒込及び王子の各方面を経て赤羽方面に至る路線として示された。その後1985年(昭和60年)の運輸政策審議会答申第7号では、目黒~清正公前(白金高輪駅)~麻布十番~永田町~市ヶ谷~駒込~王子~岩淵町(赤羽岩淵駅)~鳩ヶ谷市中央部~東川口~浦和市東部間を新設し、目黒駅において東京急行電鉄目蒲線と相互直通運転を行うことが示された。このうち目黒~赤羽岩淵間は南北線として順次開業している。
7号という路線番号が示す様に、計画そのものは1960年代になされていたが、着工は大幅に遅れ、1991年(平成3年)に部分開業、2000年(平成12年)に全線開業した。全体的に地中深い駅が多く、半蔵門線と同様に乗り入れ先を除けば地上駅が存在しない。
全線でATOによる自動運転、ワンマン運転を実施しており、全駅にホームドアシステム(川崎重工業製)を装備する。
当初、他の地下鉄路線と全く連絡のない独立路線だったためか、南北線では各種の実験的な試みもされた。都内の地下鉄では初めてのワンマン運転・ホームドアに加え、現在のパスネットの基となるプリペイド式乗車カード「NSメトロカード」(1996年に「SFメトロカード」へ移行)を当初から導入した。また、赤羽岩淵・志茂・王子・駒込の各駅では「ふれあいコーナー」を設け、休憩用の椅子やテーブル、給茶機を設置して、お茶が自由に飲めるようになっていた(このスペースは現在は本駒込、東大前、麻布十番の3駅にしかない)。
「首都圏地下鉄12路線ユーザー評価調査」(2006年7月20日~7月21日HOME'Sリサーチ)で東京メトロ・東京都営地下鉄全12路線の中で利用客の満足度ナンバーワンに選ばれた。
車両は独自の乗降促進音(発車サイン音)と車内LED表示装置を持つため、東京地下鉄の中でも特殊な存在となっている。この9000系で採用された2段表示式車内LED表示装置は、後に半蔵門線の08系でも採用された。
[編集] 東京の他の地下鉄との接続状況
南北線は、日比谷線と都営地下鉄浅草線以外の9路線と接続駅がある。だが、日比谷線の電車には、東急目黒線内でそれと並行する東急東横線で南北線からの直通電車と乗換えができる。
[編集] 運賃計算の特例
目黒駅~白金高輪駅間は、東京都交通局が第二種鉄道事業者となり、都営三田線と共用で営業している。このため、運賃計算方法も、同区間については東京地下鉄・東京都交通局間の協議により、以下のように定められている。
なお、目黒~白金高輪間は東京メトロ施設の扱いになる(該当区間は東京地下鉄が第一種鉄道事業者)ので、都営地下鉄の区間で行っているAMラジオ再送信を行っていない。
[編集] 沿革
- 1991年(平成3年)11月29日 駒込~赤羽岩淵間(6.3km)開業。
- 1995年(平成7年)3月20日 地下鉄サリン事件に関連し午前の運転を休止し、午後から再開。
- 1996年(平成8年)3月26日 四ツ谷~駒込間(7.1km)開業。
- 1997年(平成9年)9月30日 溜池山王~四ツ谷間(2.2km)開業。
- 2000年(平成12年)9月26日 目黒~溜池山王間(5.7km)開業(全線開通)。東急目黒線と相互直通運転開始。
- 2001年(平成13年)3月28日 埼玉高速鉄道線と相互直通運転開始。
- 2004年(平成16年)4月1日 帝都高速度交通営団の民営化により東京地下鉄(東京メトロ)に承継。
[編集] 運転
目黒駅から東急目黒線の武蔵小杉駅まで、赤羽岩淵駅から埼玉高速鉄道線の浦和美園駅までそれぞれ相互直通運転を実施している。
この他、臨時列車「みなとみらい号」が横浜高速鉄道みなとみらい線元町・中華街駅と埼玉高速鉄道線浦和美園駅間に運転される場合があるが、これには埼玉高速2000系が運用に就き、9000系は運用されない。2006年8月運転分までは停車駅が当線と埼玉高速鉄道線・東急目黒線内は各駅停車、東横線と横浜高速みなとみらい線は急行運転で、目黒線から東横線への転線は武蔵小杉駅だったが、12月運転分から停車駅が当線と埼玉高速鉄道線内は各駅停車、東急目黒線・東横線と横浜高速みなとみらい線内は急行運転に、同時に目黒線から東横線への転線は田園調布駅で行っている。なお、2005年2月11日に都営三田線高島平駅から「みなとみらい号」が運転された際には、王子神谷駅~白金高輪駅で接続臨時列車「みなとみらいリレー号」が運転されていたが、これには9000系を運用していた。
また、東京湾大華火祭の開催日にも有楽町線の新木場駅へ直通する臨時列車「レインボー号」が運転されているが、こちらは9000系の転落防止器具取付車が運用にあたる。
2004年8月には、都営三田線の6300形(6331F)が試験のために埼玉高速鉄道の浦和美園車両基地へ行く際に南北線白金高輪~赤羽岩淵間を深夜に走行した実績がある。
なお、2006年9月25日より東急目黒線直通列車の一部が同線内にて急行としての運行を開始した。同線で急行運転が開始された後も南北線内及び相互直通運転をしている埼玉高速鉄道線は各駅停車での運転となっている。なお、南北線内での種別表示については、目黒方面行の急行列車のみ行い、目黒線内を急行として運行して来たものを含むすべての赤羽岩淵方面行及びAB両線のすべての各駅停車は、行先のみを表示している。
また、東急線と建設予定の神奈川東部方面線を経由しての相模鉄道との直通運転も2019年度を目途に検討されている。
[編集] 車両
[編集] 自社車両
[編集] 乗り入れ車両
[編集] 共用区間走行車両
[編集] 駅一覧
駅所在地はすべて東京都内。
駅番号 | 駅名 | 駅間キロ | 累計キロ | 接続路線 | 所在地 |
---|---|---|---|---|---|
東京急行電鉄目黒線武蔵小杉駅まで直通運転 | |||||
N-01 | 目黒駅*1 | - | 0.0 | 都営地下鉄:○三田線(I-01)(共用) 東日本旅客鉄道:山手線 東京急行電鉄:目黒線(直通運転) |
品川区 |
N-02 | 白金台駅 | 1.3 | 1.3 | 都営地下鉄:○三田線(I-02)(共用) | 港区 |
N-03 | 白金高輪駅 | 1.0 | 2.3 | 都営地下鉄:○三田線(I-03)(共用) | |
N-04 | 麻布十番駅 | 1.3 | 3.6 | 都営地下鉄:○大江戸線(E-22) | |
N-05 | 六本木一丁目駅 | 1.2 | 4.8 | ||
N-06 | 溜池山王駅 | 0.9 | 5.7 | 東京地下鉄:○銀座線(G-06)、○丸ノ内線(国会議事堂前駅:M-14)、○千代田線(国会議事堂前駅:C-07) | 千代田区 |
N-07 | 永田町駅 | 0.9 | 6.6 | 東京地下鉄:○有楽町線(Y-16)、○半蔵門線(Z-04)、○銀座線(赤坂見附駅:G-05)、○丸ノ内線(赤坂見附駅:M-13) | |
N-08 | 四ツ谷駅 | 1.3 | 7.9 | 東京地下鉄:○丸ノ内線(M-12) 東日本旅客鉄道:中央線(快速)、中央・総武線(各駅停車) |
新宿区 |
N-09 | 市ケ谷駅 | 1.0 | 8.9 | 東京地下鉄:○有楽町線(Y-14) 都営地下鉄:○新宿線(S-04) 東日本旅客鉄道:中央・総武線(各駅停車) |
|
N-10 | 飯田橋駅 | 1.1 | 10.0 | 東京地下鉄:○東西線(T-06)、○有楽町線(Y-13) 都営地下鉄:○大江戸線(E-06) 東日本旅客鉄道:中央・総武線(各駅停車) |
|
N-11 | 後楽園駅 | 1.4 | 11.4 | 東京地下鉄:○丸ノ内線(M-22) 都営地下鉄:○三田線(春日駅:I-13)、○大江戸線(春日駅:E-07) |
文京区 |
N-12 | 東大前駅 | 1.3 | 12.7 | ||
N-13 | 本駒込駅 | 0.9 | 13.6 | ||
N-14 | 駒込駅 | 1.4 | 15.0 | 東日本旅客鉄道:山手線 | 豊島区 |
N-15 | 西ケ原駅 | 1.4 | 16.4 | 北区 | |
N-16 | 王子駅 | 1.0 | 17.4 | 東日本旅客鉄道:京浜東北線 東京都交通局:都電荒川線(王子駅前駅) |
|
N-17 | 王子神谷駅 | 1.2 | 18.6 | ||
N-18 | 志茂駅 | 1.6 | 20.2 | ||
N-19 | 赤羽岩淵駅 | 1.1 | 21.3 | 埼玉高速鉄道:埼玉高速鉄道線(直通運転) | |
埼玉高速鉄道埼玉高速鉄道線浦和美園駅まで直通運転 |
- *1… 東急管理駅
[編集] その他
- 半蔵門線と同じく、直通先を除いて南北線内区間では1ヶ所も地上に出る事はない。つまり、すべての駅が地下にある(南北線・半蔵門線以外の東京メトロの路線はどの路線も必ず自社線内で地上に駅が1つはある)。
- すべての駅のホームとホームドアは8両編成まで対応可能に設計されている。1991年の駒込~赤羽岩淵間開業時では4両編成だったが、1996年に四ッ谷まで延伸されると6両編成に増強し、現状では6両編成しか運行されていない。8両編成化は2008年3月の東急目黒線日吉延伸時に実施される予定である。
- 2006年から、駅の発車案内表示器の更新に伴い、接近放送の最後に「ご乗車の際は、手荷物をドアに挟まれないようにご注意下さい。」という接近放送が追加された(ホームドアにも手荷物を挟まれないようにする注意が書かれたステッカーを貼付した)。また、発車サイン音鳴動時に「ドアが閉まります。」と放送されるようになった。この時に赤羽岩淵~四ッ谷間の各駅では改札口付近の発車案内を撤去し、同時にホームの発車案内を交換している。