東京地下鉄東西線
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東西線(とうざいせん)は、東京都中野区の中野駅から千葉県船橋市の西船橋駅間を結ぶ、東京地下鉄(東京メトロ)が運営する鉄道路線。正式名称は5号線東西線である。
路線名の由来は東京を東西に直通する意味から。車体及び路線図や乗り換え案内で使用されるラインカラーは「スカイブルー」(水色):○T。タバコの「ハイライト」の色から取られたという。そのため、営団内ではラインカラーはハイライトブルーと呼ばれていた。
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[編集] 路線データ
- 路線距離(営業キロ):30.8km
- 軌間:1067mm
- 駅数:23駅(起終点駅含む)
- 複線区間:全線
- 電化区間:全線(直流1500V 架空電車線方式)
- 閉塞方式:自動閉塞式
- 保安装置:CS-ATC
- 地上区間:南砂町駅(駅自体は地下駅・トンネル出口は東側)~西船橋駅間
- 地下区間:中野駅(すぐ東)~南砂町駅間。中野駅はJRと共用で地上にある。
- 中野駅のすぐ東と南砂町駅~西葛西駅間(荒川鉄橋のすぐ西)に地下への入口がある。
- 車両基地:深川検車区、行徳検車区
- 工場:深川工場
[編集] 概要
1962年(昭和37年)の都市交通審議会答申第6号において、東京5号線は中野方面より高田馬場・飯田橋・大手町・茅場町および東陽町の各方面を経て船橋方面へ向かう路線として示された(当答申では、5号線の終点が東陽町から船橋に変更されて国鉄線と接続することが示された他、5号線の分岐線である大手町~下板橋間が6号線として切り離された)。その後、1964年(昭和39年)に経由地を浦安・行徳とし、西船橋で総武線と接続するように答申が改訂された。さらに1985年(昭和60年)の運輸政策審議会答申第7号では西船橋~勝田台間の新設が示されている。このうち、中野~西船橋間は東西線として順次開業した。
線形が良い地上区間は軌道改良も行われており、現在は60kgのレールが採用されている。これはJR線では新幹線や主要幹線クラスに採用されるレールであり(一般的には50kgが主流)、大量高密度輸送と高速運転を支える要となっている。
[編集] 東京の他の地下鉄との接続状況
東西線は2007年現在、東京の12本の地下鉄で唯一地下鉄全線(東京メトロ・都営地下鉄の全路線)と乗り換えができるという利便性を持っている。しかし、2008年6月開業予定の副都心線とは乗り換えのできる駅が設けられる予定がない(高田馬場~早稲田間の南側に西早稲田駅が設置される)。なお、改札内乗り継ぎが可能な駅は茅場町駅(日比谷線)・日本橋駅(銀座線)・大手町駅(丸ノ内線・千代田線・半蔵門線/丸ノ内線・半蔵門線は改札外乗り換えが一般的)の3駅しかない。
[編集] 東西線の特徴
[編集] 地上区間
東西線最大の特徴は何と言っても、南砂町~西船橋間の地上区間が挙げられる。地上区間を比較的多く持つ地下鉄はほかにも存在するが、全線の半分を占める約14kmという長大な地上区間を持つ地下鉄は、日本では東西線のみである。
東西線は元々JR総武線のバイパス的役割を持って建設された路線であるが、この区間は建設当時密集地が殆ど無かった為、建設費節減の意味から高架線で建設され、当初は「住宅の無い過疎地に過剰投資」と批判もされた。だが東西線の開業により、都心までの通勤が一挙に便利な区間となり、起点の西船橋以遠のJR線(および次いで開業した東葉高速線)からの中・長距離通勤客の流入で混雑、さらに近年は沿線、特に江東区~船橋市一帯でのさらなる大規模マンションや宅地開発が進行したため、それらの近距離通勤客も加わって、以下の変化がもたらされた(各々の詳細については次章以降でもさらに解説している)。
- この区間を一部の駅にしか止まらない、快速運転の実施。
- 西葛西駅、南行徳駅、妙典駅の新設。途中駅が新設された路線は他の地下鉄にも存在するが、一つの区間で3駅も新設されたのは東西線だけである。
- 東西線に続いて開業したJR総武快速線と共に、千葉と東京を結ぶ大動脈となり、競合する京成本線の最混雑区間を、日暮里駅から京成船橋駅に後退させてしまった。
他にも平均乗車距離の長さ、朝と昼の混雑率の差、定期券利用客率の高さがいずれも、東京メトロの路線ではトップクラスの座に位置し(これらについて東西線と反対の値を出しているのは、日中の非通勤客が多い銀座線である)、この区間はもはや地下鉄でなく、郊外へ延びる通勤路線の一つとしてとらえる事も出来る。
[編集] 朝ラッシュ時間帯の混雑
東西線は東急田園都市線と並び、朝ラッシュ時間帯の混雑の激しさで有名である。国土交通省の調査による2005年度の最混雑区間の混雑率は198%(B線、木場→門前仲町)で、日本の大手私鉄では全国ワースト1の数字となっている(田園都市線は194%)。地下鉄としての利用者数は大阪市営地下鉄御堂筋線に次いで2番目に利用者が多い路線である。国土交通省の資料[1]を参照しても、首都圏私鉄各路線の中で、東西線と田園都市線の混雑率が突出して高いことがわかる。
ちなみに、「首都圏地下鉄12路線ユーザー評価調査」(2006年7月20日~7月21日HOME'Sリサーチ[2])では、東京メトロ・都営合計12路線中最低の評価であった。
千葉~東京都心の区間では他に都営新宿線やJR京葉線が並行して建設されたが、都内での乗り換えの利便性などの差もあり(特に京葉線は東京駅での他路線との乗り換えに難がある)、東京都心へは東西線の方が比較的割安である(特に西船橋方面から東京駅以遠まで行くと、東西線経路がJR以上に割安になる地点が多い)などといったことから、依然として東西線(と総武快速線)に多くの乗客が集中する状態であり、ダイヤが乱れやすい状況が続いている。
東西線は幅の狭い相対式ホームで、階段がホームの両端にある構造の駅が多かったため、一部の車両に混雑が集中することがあった。営団時代から東京メトロでは、ホームの拡幅や階段の増設、車両の工夫(ワイドドア車の導入)などの対策を施してきたものの、解決には至っていないのが現状である。また、列車の運行本数(B線のピーク時は1時間に27本、平均2分15秒間隔)も限界に近いが、後述している信号保安システムの更新で数本の増発が可能になり、混雑の若干緩和を目指している。
こうした状況を受けて、2007年3月18日のダイヤ改正より朝ラッシュ時の「快速」が全列車「通勤快速」に変更された。これにより該当時間の全列車が浦安以西各駅停車となり、この時間帯の浦安→東陽町間の所要時間は快速が8分、通勤快速と快速待避のない各停が11分、快速待避のある各停が13分であったのが全列車が11分に統一される。この結果、快速への乗客の集中が緩和され、混雑の均等化が見込まれている。なお、対象の時間帯は元々ほとんどが通勤快速で快速は東葉快速1本のみであった。
東京メトロの公式アナウンスとして発表されてはいないものの、すでにダイヤ改正を発表していた東急田園都市線に追従する形でのダイヤ改正となり、これにより混雑率の高い路線として知られている東急田園都市線と東西線が同年春にともにダイヤ改正されることになった。内容もほぼ同一で、ラッシュ時における都心部に近い駅での急行・快速待避をなくすというものとなった。葛西駅(東西線)や桜新町駅(東急田園都市線)での急行・快速待避という共通点を持つ両者のダイヤ改正は、東京の通勤ラッシュを印象付けるものとなった。なお、東急田園都市線のダイヤ改正日は同年4月5日である。
[編集] 沿革
- 1964年(昭和39年) - 5号線の呼称が東西線と決定する。
- 1964年(昭和39年)12月23日 - 高田馬場~九段下間(4.8km)開業。5000系営業運転開始。
- 1966年(昭和41年)3月16日 - 中野~高田馬場間(3.9km)・九段下~竹橋間(1.0km)開業。
- 1966年(昭和41年)4月28日 - 国鉄中央緩行線荻窪駅まで直通運転開始(当初は営団からの片乗り入れ)。
- 1966年(昭和41年)10月1日 - 竹橋~大手町間(1.0km)開業。国鉄301系が投入され相互直通運転開始。
- 1967年(昭和42年)9月14日 - 大手町~東陽町間(5.1km)開業。
- 1969年(昭和44年)3月29日 - 東陽町~西船橋間(15.0km)開業(全線開業)、快速運転開始。
- 1969年(昭和44年)4月8日 - 中央緩行線への乗り入れ区間を三鷹駅まで延長、国鉄総武本線津田沼駅まで乗り入れ開始。
- 1971年(昭和46年)4月20日 - 国鉄103系1200番台営業運転開始。
- 1972年(昭和47年)4月8日 - 国鉄総武線津田沼駅まで相互直通運転(ラッシュ時限定)開始。
- 1978年(昭和53年)2月28日 - 葛西~南砂町間(当時西葛西駅は建設中)にある荒川に架かる荒川中川橋梁上で竜巻による強風を受けたため列車が転覆、3両が脱線。20数名が負傷した。
- 復旧に時間が掛かった上、国鉄総武線はストライキ中で間引き運転していたため、千葉方面からの通勤輸送が大混乱になった。ニュース速報などでは「地下鉄東西線 竜巻で脱線」というテロップになっていたが、東西線に地上区間や鉄橋があることを知らない人は「地下鉄で竜巻?」と不思議に思ったという。
- 1979年(昭和54年)10月1日 - 西葛西駅開業。
- 1981年(昭和56年)3月27日 - 南行徳駅開業。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化に伴い直通先が東日本旅客鉄道(JR東日本)となる。
- 1987年(昭和62年)10月24日 - 半蔵門線用の8000系を05系投入まで暫定的に運用開始。
- 1988年(昭和63年)11月18日 - 05系営業運転開始。
- 1989年(平成元年) - 千代田線直通用国鉄103系1000番台が転属。
- 1990年(平成2年)9月6日 - 南砂町~東陽町間のポイントで最終電車が脱線、翌7日いっぱいまで一部区間が運休となる。
- 1992年(平成4年)12月10日 - JR東日本のダイヤ改正に合わせたダイヤ改正で、最後まで一部で7両編成を組んでいたJR東日本からの乗り入れ車をすべて10両編成に組み替え。これにより全列車の10両編成化が完了する。
- 1995年(平成7年)3月20日 - 地下鉄サリン事件に関連し午前の営業運転を休止、午後から再開。
- 1996年(平成8年)4月27日 - 東葉高速鉄道東葉高速線(西船橋~東葉勝田台間)が開業し、営団との相互直通運転開始。東葉高速1000形営業運転開始。
- 2000年(平成12年)1月22日 - 下妙典信号所を昇格して妙典駅開業。
- 2003年(平成15年)5月1日 - JR東日本E231系800番台営業運転開始。同月中に103系1000・1200番台の運用が終了。
- 2003年(平成15年)6月11日 - JR301系の運用が前日限りで終了し、JR東日本からの直通運用を担当する車両がすべてE231系になる。
- 2004年(平成16年)4月1日 - 帝都高速度交通営団の民営化による東京地下鉄(東京メトロ)発足で、営団地下鉄東西線から東京メトロ東西線になる。
- 2006年(平成18年)7月30日 - 門前仲町でE231系(K3編成)の4号車と5号車をつなぐモーター駆動用の電気ケーブルがショートし、出火。A線・B線ともに長時間にわたり不通となる。けが人はなし。
- 2006年(平成18年)11月8日 - 有楽町線から転属した07系が営業運転開始。
- 2006年(平成18年)11月20日 - 平日朝ラッシュ時、中野方面行の全電車10号車(先頭車両)に女性専用車を導入。JR総武線・東葉高速線からの直通列車も始発駅(津田沼駅・東葉勝田台駅)から対象。中央線内となる中野以西(中野~三鷹間)では設定はない。
- 2006年(平成18年)11月29日 - 女性専用車の運行区間を西船橋(妙典始発を含む)~大手町間に縮小。
- 2006年(平成18年)12月4日 - 東葉高速1000形が同2000系に完全に置き換えられ、79S運用(午前)を最後に営業運転終了(最終運用は廃車回送を兼ねている)。
- 2007年(平成19年)1月27日 - 深川車両基地にて「さよなら東西線5000系 車両撮影会&工場見学会」が行われた。車両撮影会に展示されていた5車両のうち、5000系ステンレス車の中野側(本線上での向き)には13時30分頃から「さようなら東西線5000系」という特製のヘッドマークが先頭車の号車番号部分に取り付けられた。
- 2007年(平成19年)3月17日 - 有楽町線からの07系転属完了に伴い5000系営業終了。
- 2007年(平成19年)3月21日 - 保安装置システム更新
[編集] 運行形態
[編集] 直通運転
以下の路線と相互直通運転を行っている。
ただし、JR東日本保有車両は東葉高速線、東葉高速鉄道保有車両はJR中央・総武緩行線への乗り入れを行わない。
ラッシュ時は総武緩行線⇔東西線⇔中央緩行線(津田沼~東西線経由~三鷹)という運行も行われるが、この場合は東西線経由の方が距離が短いため中央・総武緩行線経由よりも所要時間が短い。なお、両端の駅から同一会社の、それも同一の運転系統との直通という例は極めて稀である。この経路による通過連絡運輸の設定もある。
JR総武線~東京地下鉄東西線~JR総武線の順で再びJR総武線に戻る運用もある。平日の朝夕の直通のみ津田沼発三鷹行と三鷹発津田沼行(総武線内運転と東西線経由の列車があるので注意が必要)がある。
西船橋駅には2007年3月18日からJRとの中間改札が設置されたが、中野駅とJR線相互乗り入れ区間の船橋~津田沼間及び高円寺~三鷹間の各駅にはいずれもJRとの中間改札の設置予定がないため、Suicaを使用した場合に中央・総武緩行線経由か地下鉄東西線経由か区別できないという事態が生じている。この場合、全線JR線を経由したものとして運賃の引き落としが行われることとなっていて、距離の関係上割高な運賃を請求されることになるため、大きな問題となっている。この問題は一部新聞などでも報じられた。
この問題に対処するためには従来通り自動券売機でJR⇔東京メトロ⇔JRの連絡乗車券を購入する必要がある。JR東日本は駅の掲示物や配布物などでこのことに対する呼び掛けを行っている。
また、JRと東京メトロが相互直通運転を行っている三鷹~高円寺間と亀有~取手間を相互発着する場合に東西線・千代田線(大手町)経由か東中野・三河島(JR線)経由か区別できないという現象が生じる。この場合、入場駅・出場駅がいずれも共用駅(改札内を共有する駅、綾瀬・北千住・中野)でないJR線の駅の場合は後者、いずれか一方でも共用駅の場合は前者とみなされる。特に、三鷹・吉祥寺~取手間を相互発着する場合は全線JRを利用した方が運賃が高くなるため、問題となっている。
[編集] 新たな直通計画
将来、高田馬場駅から西武新宿線への相互直通運転をする計画が持ち上がっている。両路線の直通運転は、東西線の開業前に検討されたこともあったが(出典:『鉄道ピクトリアル』西武鉄道特集のインタビュー記事より)、その時は実現を見なかった。
2005年に西武新宿線内(地図上から見れば下落合駅?)から東京メトロ東西線高田馬場駅に連絡線を新設して相互乗り入れすることで西武鉄道と東京地下鉄が協議を始めることに合意した。2007年以降に都市鉄道等利便増進法対象プロジェクト化、工期7年での建設を目指しており(出典:2005年7月20日『交通新聞』)、実現すれば高田馬場駅での乗り換えなしに西武新宿線沿線から山手線の内側に行き来ができることから、利便性が大幅に高まる。ただし西武新宿線との相互乗り入れ開始時に、中野駅でのJR中央緩行線との相互乗り入れがどうなるかは今のところ未定である。
何にせよこの計画はまだ正式決定しておらず、直通用の車両設計も、現時点では全く行っていないと考えられる。
[編集] 列車種別
- 停車駅は東京地下鉄東西線・東葉高速鉄道・JR線直通区間停車駅を参照。
[編集] 快速
東西線はJR東日本(当時は旧国鉄)中央・総武線の混雑緩和を目的に建設され、乗客の移行を促すために地上区間である東陽町駅以東の途中駅(通過駅の内の南砂町は地下駅)を通過する快速を登場させた。なお、地上区間での認可最高速度は100km/hで、これは地下鉄としては日本初、かつ現在も日本最速である。
後述する東葉快速を除き、直通運転する路線内では各駅に停車する。
快速待避駅としては原木中山駅、妙典駅、葛西駅があるが、多くは葛西、妙典駅で待避を行っている。
中野方面行列車は、通過駅がなくなる東陽町駅以西では車両の快速表示は続けるものの、各駅停車として案内される。
[編集] 運行の変遷
- 1969年(昭和44年)3月29日の東陽町~西船橋間開業と同時に登場。当初は東陽町駅以東の途中駅はすべて通過だった。
- 1975年(昭和50年)6月より、平日の日中と休日について浦安駅にも停車させるようになった。
- 1986年(昭和61年)11月1日のダイヤ改正で浦安駅以西の各駅に停車する快速列車を設定。これは「C快速」と称される。
- 東陽町~西船橋間ノンストップの快速は「A快速」(平日ラッシュ時のみの運転)、その通過駅のうち浦安にのみ停車する快速は「B快速」と呼ばれていた。
- 1996年(平成8年)3月16日、ダイヤ改正によりすべての快速が浦安駅に停車するようになり、東陽町~西船橋間ノンストップのA快速は消滅した。同時に浦安駅以西の各駅に停車するC快速に「通勤快速」の名称を与え、東陽町、浦安、西船橋の順に停車するB快速は「快速」となる。現在でも東陽町以西の駅で「~浦安停車の快速…」と言うアナウンスが流れるのはその名残りである。(2007年現在その放送はない)
- 1999年(平成11年)12月4日、東葉高速線内まで快速運転する列車として東葉快速の運行を開始。
- 2005年(平成17年)12月10日、ダイヤ改正により平日・土曜・休日ともに快速の運転時間が拡大し、平日については西船橋方面は東陽町駅24:00発が最終の快速になった(改正以前は東陽町駅21:42発が最終の快速であった)。また、平日の朝方に通勤快速を2本増発した。
- 2007年(平成19年)3月19日、平日朝の最混雑時間帯(約30分間)で中野方面の快速が通勤快速に変更された。
[編集] 東葉快速
- 1999年(平成11年)12月4日に登場した新しい列車種別で、相互直通運転する東葉高速線内も途中駅の一部を通過する快速列車である。JR中央線及び東西線内での案内放送は通常の快速であるが、方向幕は東西線内も東葉快速と表示される。また、東葉快速は方向幕上では「東快」と省略形で表示され、また、時刻表上でも正式名称を使わずに単に「東葉高速線内快速」と表示されることもある。
- 本数:平日の朝の西行(中野方面)と夜間の東行(西船橋方面)にそれぞれ2本ずつ運転している。夕方の2本目は中央線三鷹発のため東京メトロ車(05系限定)であるが、その他は東葉高速車が使用される。5000系は行先表示に東葉快速の用意がされていないため現在では全く使用されなかった(2002年頃までは運用乱れがあった場合に5000系が使用されたこともあったが、その場合は通常の「快速」を表示していた)。
- 2007年3月18日のダイヤ改正により平日の朝の中野方面と夕方の西船橋方面にそれぞれ4本ずつ運転することになった。朝のうち2本は東葉高速車で、残りは東京メトロ車である。
[編集] 通勤快速
平日朝西行(中野方面)のみの運転で、1986年(昭和61年)11月1日に快速の停車パターンの1つ(浦安から各駅に停車の快速)として登場したが、1996年(平成8年)3月16日より通勤快速という名称になる。C快速時代には専用の種別幕はなく、始発駅→南行徳通過時まで快速、南行徳~浦安間を走行中に各駅停車(種別無表示)に変更していた。現在の京葉線→武蔵野線直通快速と同じパターンである。方向幕上では「通快」(JR車両は「通勤快速」)と表示する。前述の通り、2007年3月19日から平日朝に残っていた快速がすべて通勤快速になっている。
中野方面行快速と同様、通過駅がなくなる浦安駅以西では車両の通勤快速表示は続けるものの、各駅停車として案内される。
[編集] 各駅停車
一部の時間帯を除き、快速1本(朝のみ2本・通快含む)に対して2本であり、朝と夕方は10分、日中は15分毎に2本運行されている。昼間は1本ごとに快速に抜かれない列車(原則中野~西船橋間運行の列車)もあるので、長距離の利用者も多い。ちなみに地上区間の最高速度は85km/hとなっている。
[編集] 女性専用車
2006年11月20日から、朝ラッシュ時の中野方面行に女性専用車が導入されている。平日朝ラッシュ時の6時57分~8時57分に西船橋駅に発着する電車が対象である(JR総武線各駅停車・東葉高速鉄道線からの直通電車および妙典駅始発電車を含む)。9時で一斉終了となる。
しかし、大手町駅における安全上の問題のため、同月29日からは実施区間が西船橋駅(東葉勝田台駅・津田沼駅)~大手町駅間と短縮され、わずか1週間強での変更となった。現在、大手町駅~中野駅間と乗り入れ先の中央線各駅停車中野駅~三鷹駅間は実施されていない。
ちなみに、大手町駅~中野駅間は導入日である11月20日から28日までの9日間のみ対象区間だった。そのため、導入開始直前に東西線・東葉高速線各駅に掲出されたポスターは、実施区間短縮時に実施区間の部分を大手町駅までの実施に変更される旨を表記したステッカーを貼付し、全車両に貼付されている案内ステッカーにはさらに「東西線内では西船橋→大手町間での実施となります。」と表記したステッカーを追加で下部に貼付した(JR車両はこの時にステッカーを交換した)。
[編集] 保安装置
開業当初東西線で使用していたATCは地上信号式(WS)であり、原則として運転士が手動で制動を掛ける方式であり通常の閉塞信号でも進行現示(G)することがない信号機が多数存在した。東京地下鉄では日比谷線もこの方式であったが、両線とも現在車内信号式(CS)に変更されている。東西線では減速信号(YG)65km/h、注意信号(Y)40km/h、警戒信号(YY)25km/hの制限が掛かる(東西線建設史による)が、減速信号は地上区間を中心に採用されていた。列車通過後の信号現示変化で、YG現示などが連続して表示される信号機もあった。
ATC更新工事により、05系のうち車内信号非対応で登場した車両には改造工事が行われた。また5000系と東葉高速1000形は共に老朽化が進んでいることから新ATC化への対応はさせずに、東葉高速1000形は2006年12月4日に、5000系も翌2007年3月17日にそれぞれ全車両が引退した。さらに2006年11月より順次有楽町線から転属されている07系4編成にも、東西線の保安装置への改造が行われている。
2006年10月中旬から2007年2月中旬頃までの終電後に、信号システム更新のための夜間の試運転も行われた。これに先駆け2007年3月21日頃から、各駅の接近アナウンスが今まで西船橋や葛西などで使用されてきたタイプ(半蔵門線などで多く使われている)に変更された。
ちなみに首都圏で現在車内信号式を採用していない地下鉄は、都営浅草線のみとなった。
さらに東陽町~西船橋間の各停車駅では停車予告音が採用されており、ブレーキを掛けても停車するまで連続して鳴る。東京地下鉄で停車予告音を使用しているのはこの区間のみである。
[編集] 車両
[編集] 自社車両
[編集] 乗り入れ車両
[編集] 過去の車両
- JR東日本301系(1966年10月1日~2003年6月10日)
- JR東日本103系1000・1200番台(1200番台:1971年4月20日~2003年5月15日、1000番台:1989年~2003年5月30日)
- 5000系(1964年12月23日~2007年3月17日)
- 8000系(1987年~1988年・その後半蔵門線へ移籍)
- 東葉高速1000形(1996年4月27日~2006年12月4日)
[編集] 駅一覧
- ●:停車、|:通過
- 普通(各駅停車)はすべての駅に停車するため省略
駅番号 | 駅名 | 駅間キロ | 累計キロ | 通勤快速 | 快速 ・ 東葉快速 |
接続路線 | 所在地 | ||
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東日本旅客鉄道中央・総武線(各駅停車)三鷹駅まで直通運転 | |||||||||
T-01 | 中野駅 | - | 0.0 | ● | ● | 東日本旅客鉄道:中央線(快速)、中央・総武線(各駅停車)(直通運転) | 東京都 | 中野区 | |
T-02 | 落合駅 | 2.0 | 2.0 | ● | ● | 新宿区 | |||
T-03 | 高田馬場駅 | 1.9 | 3.9 | ● | ● | 東日本旅客鉄道:山手線 西武鉄道:新宿線 |
|||
T-04 | 早稲田駅 | 1.7 | 5.6 | ● | ● | 東京都交通局:都電荒川線(早稲田駅)(徒歩連絡約1km)(※) | |||
T-05 | 神楽坂駅 | 1.2 | 6.8 | ● | ● | ||||
T-06 | 飯田橋駅 | 1.2 | 8.0 | ● | ● | 東京地下鉄:○有楽町線(Y-13)、○南北線(N-10) 都営地下鉄:○大江戸線(E-06) 東日本旅客鉄道:中央・総武線(各駅停車) |
|||
T-07 | 九段下駅 | 0.7 | 8.7 | ● | ● | 東京地下鉄:○半蔵門線(Z-06) 都営地下鉄:○新宿線(S-05) |
千代田区 | ||
T-08 | 竹橋駅 | 1.0 | 9.7 | ● | ● | ||||
T-09 | 大手町駅 | 1.0 | 10.7 | ● | ● | 東京地下鉄:○丸ノ内線(M-18)、○千代田線(C-11)、○半蔵門線(Z-08) 都営地下鉄:○三田線(I-09) 東日本旅客鉄道:東北新幹線、上越新幹線、長野新幹線、中央線(快速)、山手線、京浜東北線、東海道線、総武線(快速)、横須賀線、京葉線(すべて東京駅)(※) 東海旅客鉄道:東海道新幹線(東京駅)(※※) |
|||
T-10 | 日本橋駅 | 0.8 | 11.5 | ● | ● | 東京地下鉄:○銀座線(G-11) 都営地下鉄:○浅草線(A-13) |
中央区 | ||
T-11 | 茅場町駅 | 0.5 | 12.0 | ● | ● | 東京地下鉄:○日比谷線(H-12) | |||
T-12 | 門前仲町駅 | 1.8 | 13.8 | ● | ● | 都営地下鉄:○大江戸線(E-15) | 江東区 | ||
T-13 | 木場駅 | 1.1 | 14.9 | ● | ● | ||||
T-14 | 東陽町駅 | 0.9 | 15.8 | ● | ● | ||||
T-15 | 南砂町駅 | 1.2 | 17.0 | ● | | | ||||
T-16 | 西葛西駅 | 2.7 | 19.7 | ● | | | 江戸川区 | |||
T-17 | 葛西駅 | 1.2 | 20.9 | ● | | | ||||
T-18 | 浦安駅 | 1.9 | 22.8 | ● | ● | 千葉県 | 浦安市 | ||
T-19 | 南行徳駅 | 1.2 | 24.0 | | | | | 市川市 | |||
T-20 | 行徳駅 | 1.5 | 25.5 | | | | | ||||
T-21 | 妙典駅 | 1.3 | 26.8 | | | | | ||||
T-22 | 原木中山駅 | 2.1 | 28.9 | | | | | 船橋市 | |||
T-23 | 西船橋駅 | 1.9 | 30.8 | ● | ● | 東日本旅客鉄道:中央・総武線(各駅停車)(平日朝夕のみ直通運転)、武蔵野線、京葉線 東葉高速鉄道:東葉高速線(直通運転) 京成電鉄:本線(京成西船駅) |
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東日本旅客鉄道中央・総武線(各駅停車)津田沼駅(平日朝夕ラッシュ時のみ)・東葉高速鉄道東葉高速線東葉勝田台駅まで直通運転 |
- ※東京地下鉄および東京都交通局の地下鉄路線図などでは両駅が離れて記載されており、乗り換え駅という案内はされていない。
- ※※大手町駅のJR東京駅乗り換え表示は東西線とJR各線との乗り継ぎに限る。なお、JRの車両の停車駅案内には大手町駅とJR東京駅との乗り換えは記載されていない。