棋聖戦 (将棋)
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棋聖戦(きせいせん)は、産経新聞社主催の将棋の棋戦。「棋聖戦五番勝負」の勝者は棋聖と呼ばれ、タイトル保持者となる。1962年の創設当初は年2回行われていたが、1995年から他のタイトル戦と同じ年1回の開催となった。毎年6月から7月にかけて行われる。
創設当時のタイトル戦は名人戦・十段戦・王将戦・王位戦とすべて2日~3日制のものであったが、初めての1日制のタイトル戦となった。体調にすぐれなかった升田幸三のために、1日制のタイトルとしてつくられた棋戦といわれたが、当初は大山康晴が連覇し、升田はついに一度も獲得できなかった。
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[編集] しくみ
一次予選・二次予選・最終予選・挑戦者決定トーナメントの4段階で挑戦者を決定する。棋聖と挑戦者が棋聖戦五番勝負を行う。
[編集] 一次予選
シード者以外の順位戦C級1組以下の棋士と、女流棋士2人によりトーナメント形式で行われる。8人が二次予選に進む。なお、シード者以外の順位戦C級1組以下の棋士であっても、前期の戦績によっては二次予選からの出場となる場合がある。
一次予選から最終予選まで、持ち時間はすべて各3時間。
[編集] 二次予選
一次予選の勝ち抜き者8人と、シード者以外の棋士によりトーナメント形式で行われる。8人が最終予選に進む。 棋聖経験者、棋聖挑戦経験者、前期最終予選進出者は、C級1組以下であっても、二次予選からの出場となる。
[編集] 最終予選
二次予選を勝ち抜いた8人とシードの8人が参加する。シードされる棋士は、
- 前期挑戦者決定トーナメントベスト4以上(前期棋聖が敗れた場合を含む)
- タイトル保持者
- 永世称号者
- 1以外の前期挑戦者決定トーナメントベスト8
の順で8人である。
参加する16人の棋士が4人ずつ4組に分かれて対戦する。各組で1回戦2試合を行い、2回戦は1回戦の勝者同士、敗者同士が対戦する。2連勝したものは挑戦者決定トーナメントに進み、2連敗したものはこの時点で敗退となる。
1勝1敗の各組2人、合計8人が再度抽選を行って3回戦4試合を行い、その勝者も挑戦者決定トーナメントに進む。
かつては「棋聖リーグ」の名称で、4人ずつ4組のリーグ戦を行い、各組上位2人が挑戦者決定トーナメントに進む形式をとっていたが、2001年の第72期から現行の方式に改められた。
[編集] 挑戦者決定トーナメント
最終予選で2勝した8人によるトーナメントである。トーナメントの勝者が棋聖と五番勝負を戦う。
持ち時間は各4時間。
[編集] 棋聖戦五番勝負
棋聖と挑戦者が五番勝負を戦う。他のタイトル戦と同様、五番勝負は、全国各地の旅館や料亭などで実施される。
持ち時間は各4時間で、1日制である。
[編集] 将棋における棋聖
将棋における棋聖(きせい)は、本来は将棋に抜群の才能を示す者への尊称であった。とくに江戸時代末期に現れた、不世出の天才棋士天野宗歩を指すことが多い。
[編集] 永世棋聖
永世称号である永世棋聖は、棋聖位を通算5期以上保持した棋士に与えられる。2006年8月現在、永世棋聖の資格を持つ棋士は、大山康晴・中原誠・米長邦雄・羽生善治・佐藤康光の5人である。
[編集] 歴代五番勝負
- 1962年後期:大山康晴 3-1 塚田正夫
- 1963年前期:大山康晴 3-0 二上達也
- 1963年後期:大山康晴 3-1 升田幸三
- 1964年前期:大山康晴 3-2 関根茂
- 1964年後期:大山康晴 3-0 本間爽悦
- 1965年前期:大山康晴 3-2 升田幸三
- 1965年後期:大山康晴 3-2 二上達也
- 1966年前期:二上達也 3-1 大山康晴
- 1966年後期:大山康晴 3-0 二上達也
- 1967年前期:山田道美 3-1 大山康晴
- 1967年後期:山田道美 3-2 中原誠
- 1968年前期:中原誠 3-1 山田道美
- 1968年後期:中原誠 3-1 大山康晴
- 1969年前期:中原誠 3-0 山田道美
- 1969年後期:内藤國雄 3-1 中原誠
- 1970年前期:大山康晴 3-1 内藤國雄
- 1970年後期:中原誠 3-0 大山康晴
- 1971年前期:中原誠 3-1 大山康晴
- 1971年後期:中原誠 3-1 二上達也
- 1972年前期:中原誠 3-1 内藤國雄
- 1972年後期:有吉道夫 3-2 中原誠
- 1973年前期:米長邦雄 3-1 有吉道夫
- 1973年後期:内藤國雄 3-2 米長邦雄
- 1974年前期:大山康晴 3-1 内藤國雄
- 1974年後期:大山康晴 3-0 米長邦雄
- 1975年前期:大山康晴 3-1 二上達也
- 1975年後期:大山康晴 3-0 二上達也
- 1976年前期:大山康晴 3-1 桐山清澄
- 1976年後期:大山康晴 3-2 米長邦雄
- 1977年前期:大山康晴 3-1 森雞二
- 1977年後期:中原誠 3-2 大山康晴
- 1978年前期:中原誠 3-0 有吉道夫
- 1978年後期:中原誠 3-1 二上達也
- 1979年前期:中原誠 3-1 加藤一二三
- 1979年後期:中原誠 3-0 淡路仁茂
- 1980年前期:米長邦雄 3-1 中原 誠
- 1980年後期:二上達也 3-1 米長邦雄
- 1981年前期:二上達也 3-0 中原 誠
- 1981年後期:二上達也 3-0 加藤一二三
- 1982年前期:森雞二 3-0 二上達也
- 1982年後期:中原 誠 3-1 森雞二
- 1983年前期:森安秀光 3-2 中原誠
- 1983年後期:米長邦雄 3-1 森安秀光
- 1984年前期:米長邦雄 3-0 谷川浩司
- 1984年後期:米長邦雄 3-2 中村修
- 1985年前期:米長邦雄 3-1 勝浦修
- 1985年後期:米長邦雄 3-0 中村修
- 1986年前期:桐山清澄 3-1 米長邦雄
- 1986年後期:桐山清澄 3-1 南芳一
- 1987年前期:桐山清澄 3-0 西村一義
- 1987年後期:南芳一 3-0 桐山清澄
- 1988年前期:田中寅彦 3-2 南芳一
- 1988年後期:中原誠 3-2 田中寅彦
- 1989年前期:中原誠 3-1 南芳一
- 1989年後期:中原誠 3-2 屋敷伸之
- 1990年前期:屋敷伸之 3-2 中原誠
- 1990年後期:屋敷伸之 3-1 森下卓
- 1991年前期:南芳一 3-2 屋敷伸之
- 1991年後期:谷川浩司 3-0 南芳一
- 1992年前期:谷川浩司 3-1 郷田真隆
- 1992年後期:谷川浩司 3(1持)0 郷田真隆
- 1993年前期:羽生善治 3-1 谷川浩司
- 1993年後期:羽生善治 3-2 谷川浩司
- 1994年前期:羽生善治 3-1 谷川浩司
- 1994年後期:羽生善治 3-0 島朗
- 1995年:羽生善治 3-0 三浦弘行
- 1996年:三浦弘行 3-2 羽生善治
- 1997年:屋敷伸之 3-1 三浦弘行
- 1998年:郷田真隆 3-0 屋敷伸之
- 1999年:谷川浩司 3-0 郷田真隆
- 2000年:羽生善治 3-2 谷川浩司
- 2001年:郷田真隆 3-2 羽生善治
- 2002年:佐藤康光 3-2 郷田真隆
- 2003年:佐藤康光 3-0 丸山忠久
- 2004年:佐藤康光 3-0 森内俊之
- 2005年:佐藤康光 3-2 羽生善治
- 2006年:佐藤康光 3-0 鈴木大介
[編集] 記録
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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