JR九州303系電車
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303系電車(303けいでんしゃ)は九州旅客鉄道(JR九州)の直流通勤形電車。近畿車輛製。1999年(平成11年)に登場した。
JR九州303系電車 |
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両数 | 18両(6両編成3本) | ||
起動加速度 | 3.5km/h/s | ||
営業最高速度 | 85km/h | ||
設計最高速度 | 110km/h | ||
速度種別 | B2 | ||
編成出力 | 150kW×16=2,400kW | ||
編成定員 | 人(立席)+人(座席)=892人 | ||
全長/全幅/全高 | 19500(先頭車19750)mm/2800mm/3620mm | ||
編成重量 | 186.9t | ||
軌間 | 1067mm(狭軌) | ||
電気方式 | 直流1500V | ||
制御装置 | VVVFインバータ制御(IGBT素子) | ||
ブレーキ方式 | 回生・発電ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ | ||
製造 | 近畿車輌 |
目次 |
[編集] 概要
筑肥線の下山門駅~筑前前原駅間の複線化が完成し、2000年1月22日にダイヤ改正が実施され、列車が増発されることからそれまで運用していた103系1500番台だけでは不足となるため製造された車両である。
筑肥線の電化区間はJR九州の路線としては唯一、直流電車を使用する直流電化区間である。そのため本系列も直流専用となっている。民営化後、JR九州としては初の新系列直流電車である。
福岡市交通局空港線に乗り入れることから、地下鉄対応車両となっている。103系1500番台は地下鉄線でも車掌が乗務していたが、本系列はATOを搭載し、地下鉄線内はワンマン運転が可能となった。
複線化開業時に製造されたのは2編成(編成番号:K01・K02)で、2002年9月20日のダイヤ改正に伴う運用増加分の補充として若干の設計変更を行った1編成(編成番号:K03)が増備され、2007年現在では6両編成3本(計18両)が在籍している。
[編集] 構造
基本的な構造面では同時期に製造された815系に準ずる部分が多い。
[編集] 車体
車体は前頭部を普通鋼製とした軽量ステンレス車体で、福岡市交通局の車両や103系に合わせた片側4扉の20m車体である。前面は福岡市交通局の車両と同様、非常口を左へ寄せたデザインとなっており、103系に比べて見栄えを向上させている。また前面行先表示器はLED表示となった。側面窓はUVカットガラスによる固定窓としている。
塗装はステンレス部分は無塗装とし、扉と前頭部はJR九州のコーポレートカラーである赤色に塗られている。前面は黒色となっている。
[編集] 台車・機器
台車は軽量ボルスタレス台車のDT405K(電動車)、TR405K(制御車)としている。
電動車はモハ303形とモハ302形の2両1ユニットとし、モハ302形に電源装置(SIV)と空気圧縮機(CP)を搭載している。K01・02編成は日立製作所製のIGBT-VVVFインバータ制御装置を搭載しているのに対して、K03編成は東洋電機製造製のIGBT-VVVFインバータ装置を搭載している。パンタグラフはシングルアーム式であり、剛体架線区間での離線対策から1両に2基搭載している。起動加速度は3.5km/h/sである。
電化開業当時より列車本数が増加していることもあり、本系列は103系と異なり回生ブレーキ付きとしている。1時間2本程度の運行本数しかない区間も通るため、回生失効に備えて発電ブレーキを併設している。
[編集] 運転装置
マスター・コントローラーは815系に類似したワンハンドルマスコンである。福岡市地下鉄路線への乗り入れのため、ATCを設置している。また地下鉄線内ではワンマン運転を実施するため、ATOと自動放送装置を設置している。なお筑前前原駅以西でのワンマン運転には対応していない。
[編集] 車内設備
内装は815系に準じている。座席はすべてロングシートとなっており、座布団と背もたれを1人分ずつ区切って設置している。車端部には車椅子スペースを設け、各扉上にはLED案内表示器を設置している。表示器はK01・K02では813系・815系などと同様のJR九州一般車の標準仕様のものであったが、K03では福岡市交通局2000系と同じ車内電光案内装置に変更された。
トイレは当初は設置されていなかったが、2003年に編成中の1両(クハ303)にトイレ設置工事を実施した。
冷房装置は集中式のものを各車屋根上に1基設置している。
[編集] 編成
西唐津側からクハ303-モハ303(100番台)-モハ302(0番台)-モハ303(0番台)-モハ302(100番台)-クハ302の6両固定編成となっている。100番台の電動車にパンタグラフを設置し、クハ303にトイレを設置している。製造番号の下1桁は揃えている。
[編集] 運用
現在、103系1500番台とともに全車が唐津鉄道事業部唐津運輸センターに配置されている。福岡空港~唐津・西唐津間の運用は主に朝夕ラッシュ時に限られており、日中は主に福岡空港~筑前前原・筑前深江間で使用されている。なお日中は福岡空港~唐津・西唐津間を直通する列車も筑前前原駅で増解結を行っており、103系が使用されている。また3編成とも常時使用しており予備車がないため、検査等で1編成でも運用から抜けた場合は103系1500番台による代走運転が実施される(地下鉄空港線に乗り入れる回数が少ない運用が代走になる比率が高い)。
なお土日祝日運転の快速には103系1500番台6両編成車(E01~E10)が使用されており、本系列が使用されることはない。平日運転の快速には上りの一部のみ使用されている。
[編集] 関連項目
- JR九州の在来線車両 (■国鉄引継車を含む全一覧 / ■カテゴリ) ■Template ■ノート
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