JR九州811系電車
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JR九州811系電車 |
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両数 | 112両(4両編成28本)※現存27本108両 | ||
起動加速度 | km/h/s | ||
営業最高速度 | 120km/h | ||
設計最高速度 | 120km/h | ||
速度種別 | A5 | ||
編成出力 | 150kW×8=1,200kW | ||
編成定員 | 人(立席)+人(座席)=人 | ||
全長/全幅/全高 | mm/mm/mm | ||
編成重量 | t | ||
軌間 | 1067mm(狭軌) | ||
電気方式 | 交流20000V 60Hz | ||
制御装置 | サイリスタ位相制御 | ||
ブレーキ方式 | 発電ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ | ||
製造 | 近畿車輛・日立製作所・小倉工場 |
811系電車(811けいでんしゃ)は、九州旅客鉄道(JR九州)の交流近郊形電車。
目次 |
[編集] 車両解説
福岡・北九州都市圏における快速列車の増発と、421系の置き換えを目的として、1989年(平成元年)から1993年にかけて28編成112両が製造され、全車南福岡電車区に配属されている。
以下に構造上の特徴を示す。番台別に異なっている仕様については、番台の項で説明する。
[編集] 車体
車体は軽量ステンレス構造で、片側3箇所に両開き扉を設置し、全扉および中間扉のみの選択開閉が可能である。扉の間にバランサ付きの1段下降窓が3枚ある。車体の大部分は無塗装であるが、側面に青色と赤色の帯が互い違いに配されている。前頭部は普通鋼製で、白色に塗装している。前面には貫通扉を設けているが、非常用のため幌も幌枠も無く、編成間の貫通には使用されない。
[編集] 台車・機器
台車は空気ばね方式、ヨーダンパ付き軽量ボルスタレス台車のDT50QA(電動車)、TR235QA(制御車・付随車)が採用されている。主回路制御方式はサイリスタ位相制御。最高速度は120km/hである。
なお813系との併結運転も可能である。
[編集] 車内設備
快速列車を中心に、臨時急行列車にも用いることを想定して、座席は転換クロスシートを採用した。モケットの色は青色(サニーブルー)と紫色(レイニーパープル)の2色で、各席とも左右で異なった色になっている。座席の枕の部分は独立している。優先席は枕の色が他の座席と異なっている(グレー。通常席はパープル)。さらに視認性を高めるため2006年末より「優先席」表示がされたシート枕カバー(白色)が装着されている(813系も同様)。喫煙車であった上り側先頭車(クモハ810形)では座席横の肘掛に灰皿を内蔵していたが、1995年にJR九州の普通列車が全面禁煙となったため現在は塞がれている。座席と窓配置は合っていない。この理由は、415系1500番台と窓ガラスを共通にしたためで、813系にも引き継がれている。
トイレは下り側先頭車(クハ810)のみに設けられている(2編成を除く、詳細は後述)。便器は和式である。また従来の近郊形電車には設置されていなかった大形くずもの入れを車端部(先頭車1ヶ所、中間車2ヶ所)に設置し、車内の美化を図っている。
座席モケットを紫色と黒の市松模様に張り替えた編成が存在する。
[編集] 形式
- クハ810形(下り側先頭車、トイレ付き)
- サハ811形
- モハ811形
- クモハ810形(上り側先頭車)
編成は下り側からクハ810 - サハ811 - モハ811 - クモハ810の4両固定編成である。サハ811形を抜いて3両編成を組むことも可能であるほか、機器類を若干変更してクモハ810 - クハ810の2両編成を組むことも可能な設計とされたが、2両・3両編成は実現していない。
製造番号は基本的には編成ごとに同じ番号で揃えられている。また編成自体にも「Pxxx」の番号が与えられている。「P」は811系を示し、「xxx」は車両の製造番号に対応している。車両に表示される編成番号は「Pxxx」だが、正式な編成番号は「PMxxx」である。
[編集] 番台区分
広告車両については別に記述する。
[編集] 0番台
基本番台。車両両端部以外の座席がすべて転換クロスシートとなっている。1992年までにP001~017の17編成が製造されたが、P002編成は2002年に追突事故により電動車2両が大破し、編成復旧されることなく制御車・付随車も含めてすべて廃車となった。九州鉄道記念館にある811系シミュレーターはこの事故で発生した余剰車の廃車体を流用している。
[編集] 100番台
1992年7月15日のダイヤ改正を前に製造されたマイナーチェンジ車である。扉寄りにある座席が固定となり、扉周辺の空間が拡がったのと、吊り革を増設したことで立席定員が増加した。座席数は変更されていない。
改正までにP101~109の9編成が製造され、1993年3月18日ダイヤ改正前にP110・111の2編成が増備された。
P105・106編成は団体臨時列車や臨時急行列車などの長距離運用に使用することを考慮して、トイレを設けたサハ811形200番台を組み込んでおり、1編成中に計2ヶ所のトイレを有する。
[編集] 200番台
サハ811形のみの番台区分で、サハ811-201・202の2両が存在する。トイレを設置した関係で座席定員は52名に減っている。その他の構造は他車と同一である。201はP105編成、202はP106編成に組み込まれている。そのため、サハ811-105・106は存在せず、P107以降はサハ811-107のように編成番号と一致している。
[編集] 広告車両
[編集] P011編成
P011編成は当初から沿線のスペースワールドのPR車両として新製された。車体には青色の帯が全体にわたって配され、側面中央にはスペースワールドのロゴが描かれた。車内も座席の形状が他編成と異なり、荷物棚の色が青色であること、壁に小型の壁灯を設置しているのが特徴である。また、車内の広告はすべてスペースワールドのものとなっている。なお、天井の吊り広告枠は設置されているが使用されない。そのため、吊り革増設時にも干渉する吊り広告枠の移設は行われていない。
1996年秋にリニューアルされ、側面はロゴの代わりにスペースワールドのマスコットキャラクター等のステッカーを貼付し、前頭部は白色から赤色に変更した。座席モケットも張り替えられている。
快速「スペースワールド号」に優先的に使用されている。
[編集] P008・009編成
1995年7月、三井グリーンランドのPRを目的に外装を変更した。車体全体に緑色の帯が配され、三井グリーンランドのPRステッカーが張られた。内装は変更されていない。なお、故意か偶然かは不明だが編成によって排障器の色が異なり、P008が緑色、P009が灰色となっている(2007年3月現在。右の写真とは逆)。また、後述の通りP009は車外スピーカー取付工事が完了している。
運用は他の811系と共通である。
[編集] P101編成
2006年、ソフトバンクの傘下に入った日本テレコム(現・ソフトバンクテレコム)のPRを目的として登場した広告車両で、福岡ソフトバンクホークスの選手のラッピング広告が施されていた。クハ811-101=鳥越裕介、サハ811-101=斉藤和巳、モハ811-101=松中信彦、クモハ810-101=杉内俊哉の順にラッピング広告されていた。
運用は他の811系と共通だった。
[編集] その他の広告車両
上記の他にも、日本放送協会(NHK)「どーもくん」、など期間限定で広告ペインティング・ラッピングが施される事例がある。
[編集] 現況
全ての編成が南福岡電車区に配置されており、2006年現在の運用路線は、以下の路線である。
鹿児島本線門司港~荒尾間の普通列車・快速列車としての運用が中心になっている。日豊本線や長崎本線での運用も存在し、日豊本線の中津駅以北では朝夕に運行される快速列車にも使用されている。かつては佐世保線でも使用されていたことがあった。
最近813系同様の大型排障器(乗務員室昇降ステップ組込み)に交換された。一部編成では客室側窓の一部固定化改造を施工している。813系とは異なり、完全に一個おきに固定されている。
2005年春より813系同様の車外スピーカー設置工事が行われている。2007年2月現在、P003・009・010・012・013・016・101・103・104・106・107・109の各編成にて設置工事完了を確認している(太字は最新確認編成)。なおP009編成はテーマパーク色編成3本の中で初の車外スピーカー装着車となる。
また、輸送力向上のため、当初はドア周辺のみであった吊り革がドア間にも増設されている。これに伴い、干渉する一部の吊り広告枠が移設されている。
[編集] 関連商品
[編集] 関連項目
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