アーレフ
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アーレフとは、2003年2月にオウム真理教が改名した、宗教団体。
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[編集] 名称について
事件後教団は破産し、破産管財人からオウム真理教の名称の使用を禁止されたために、アレフ、後にアーレフに改称している。現在、この宗教団体の正式名称は「アーレフ」であり、「オウム真理教」という名称の宗教団体は現在存在しない。
しかし公安調査庁は、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(団体規制法)の観察処分の対象団体を正式には「麻原彰晃こと松本智津夫を教祖・創始者とするオウム真理教の教義を広め、これを実現することを目的とし、同人が主宰し、同人及び同教義に従う者によって構成される団体」としており、これを略して「オウム真理教」と通常は記載している。これには、アーレフは完全に含まれ、またアーレフ外の分派も含まれる。アーレフを脱退し、2007年5月ごろの予定で新たに設立する、上祐新団体に対しても、団体規制法を適用する。
マスコミでは現在でも「オウム真理教(アーレフに改称)」のように、「オウム真理教」を前面に出して報道しているが、通常マスコミが旧名称のまま報道することはほとんど無いため、極めて例外的である。
現名称の「アーレフ」を前面に出して報道することは報道におけるタブーとされる(当然「現在はアーレフに改称」などと注釈は入れる)が、改名後、元から同じ名前や似た名前で存在する、オウム真理教とは無関係である企業・団体が風評被害を浴びたことが、タブーに至った理由に挙げられる。また、「名前を変えて過去の出来事を霞ませようなどと考えてもらっては困る」という観点から、「テロ組織・オウムの名前を多くの人から忘れさせてはいけない」という目的もある。
また、団体規制法や公安調査庁での扱いに基づくと、「アーレフの活動」は全て「オウム真理教の活動」となるため、アーレフをオウムと報道してもなんら間違っていないしある意味当然といえる。
[編集] 代表派と主流派
- 代表派 (M派・上祐派・J派)
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- 教団代表である上祐を中心とした派閥。麻原彰晃(松本智津夫)外し(教団内の信者には「隠し」であると説明する)、旧オウム色の脱却を図って活路を見出そうとする。事件が再発しないことを強く主張する。
- 主流派 (反代表派・A派)
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- 教団の大多数を占める。麻原への「帰依」を打ち出し、あくまでも旧オウムの教義を守ろうとするため、代表派からは「原理主義」と批判されるものの、事件の再発を防ぐ意図については、代表派と同じである。
上祐派分離に対する各正悟師の立場は以下のとおりである。
- 村岡達子
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- もともと強硬な反上祐派であったが、四女派に転じた(教義上の違いがあっても上祐派を受け入れ、教団の分裂を避ける派)。
- 二宮耕一
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- 一度は上祐の復帰のために動いたが、直後に強硬な反上祐に転ずる。しかし、もともと「アッサージ王国」とも呼ばれる独自派で、関西を拠点とし、関西圏を中心とした信徒教化に重きを置くため、反上祐運動を推進する立場にはならなかった。
- 杉浦茂
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- 法律部門も担当するため、教団運営の個々の方針に関しては上祐の社会融和路線を是としているが、翻訳担当として教義を管轄する立場からは、上祐の唱える新教義に対して否定している。個々それぞれに思うように行動すればいい、という主張であり、特に一派をなしていない。
- 杉浦実
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- 教義的に上祐の新路線は受け入れられないが、教団分裂という事態そのものに対して憂慮。一時期、自主的に修行に入り、教団の混乱に関わらないようにした。復帰後は中間派として、教団内の対立状態を緩和しようとする。教団の経理担当として、上祐派としての分離的な活動には資金を提供せず、あくまでも教団本体は正統派であるという立場を貫いており、この点から中間派は立場的には明らかに非上祐であるといえる。
- 野田成人
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- 桃源クリーム事件のため拘留、執行猶予付き判決となり、この間の対立には直接参加していない。主流派であるものの、当初は上祐的な活動方針を容認していたこともあった。反上祐的な立場をそれほど明確にはしていない。また、野心の強い人物であると教団内で認識されることが多い。
2006年5月には、上祐が「人を神としない、新教団を2007年2月までに作る」ことをセミナーで宣言した。2006年7月には財政面、実務面ともに教団本体からの分離分裂が行われた。
[編集] 関連年譜
- 2000年2月以前については「オウム真理教」を参照のこと。
- 2000年2月1日 - 団体規制法に基づく公安調査庁長官の観察処分(3年間)が効力発生。
- 2000年2月4日 - 「宗教団体・アレフ」として再編。
- 2000年7月1日 - ロシアで松本智津夫の武力奪還・対日テロを図ったオウム信者逮捕(シガチョフ事件)
- 2002年1月 - 上祐史浩が教団代表に就任。麻原彰晃との決別を表明。
- 2003年1月23日 - 団体規制法に基づく観察処分の期間更新(2月1日から3年)決定。
- 2003年2月 - 「宗教団体・アーレフ」と改称した。
- 2003年2月現在 - 信徒数は1251人(教団が公安調査庁に報告した数)。
- 2004年2月16日 - 2月27日の松本被告の一審判決を前に公安調査庁が全国の教団施設11カ所を一斉に立ち入り検査。検査動員数約200人。
- 2004年2月27日 - 麻原彰晃こと松本智津夫に死刑判決下る。
- 2004年3月16日 - 和光大学が、既に合格した松本の三女を入学拒否したと発表。
- 2006年1月23日 - 団体規制法に基づく観察処分の2度目の期間更新 (2月1日から3年)決定。
- 2006年2月7日 - 春日部共栄中学校が、既に合格した松本の次男を入学拒否した。
- 2006年9月15日 - 松本被告の死刑確定。
- 2007年3月5日 - 上祐代表が上祐派の60人程度とともにアーレフを脱退して、「脱麻原」を基本とする新団体を設立するという旨を公安調査庁に報告した。公安調査庁は、上祐新団体に対しても団体規制法を適用するとしている。
- 2007年3月8日 - 上祐代表が教団を脱退する。新団体は、旧オウムのような階級制度を撤廃し、宗教勉強会のようなものにすると述べている。また、遺族や被害者への補償は新団体でも行なうとしている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 宗教団体アーレフ 反上祐派(主流派)
- 宗教団体アーレフ 代表派サイト 1 上祐派(代表派)
- 宗教団体アーレフ 代表派サイト 2 上祐派(代表派)
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