エンケラドゥス (衛星)
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エンケラドゥス Enceladus |
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仮符号・別名 | 別名Saturn II | ||||||
発見 | |||||||
発見年 | 1789年 | ||||||
発見者 | ウィリアム・ハーシェル | ||||||
軌道の性質 | |||||||
からの平均距離 | 23万8020 km | ||||||
離心率 (e) | 0.0047 | ||||||
公転周期 (P) | 32時間 53分 (1.370218日) |
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軌道傾斜角 (i) | 0.019°(土星に赤道に対する) | ||||||
土星の衛星 | |||||||
物理的性質 | |||||||
直径 | 513.2×502.8×496.6 km | ||||||
半径 | 252.1 km | ||||||
質量 | 1.08×1020 kg | ||||||
平均密度 | 1.61 g/cm3 | ||||||
表面重力 | 0.113 m/s2 | ||||||
脱出速度 | 0.241 km/s | ||||||
自転周期 | 32時間 53分(同期回転) | ||||||
アルベド(反射能) | 1.375 | ||||||
赤道傾斜角 | 0 | ||||||
表面温度 |
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大気の性質 | |||||||
大気圧 | 不明 | ||||||
水蒸気イオン | 91% | ||||||
窒素 | 4% | ||||||
二酸化炭素 | 3.4% | ||||||
メタン | 1.7% | ||||||
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エンケラドゥス (Enceladus, Saturn II) は、土星の衛星であり、1789年に天文学者ウィリアム・ハーシェルによって発見された。その後、1847年にギリシア神話のギガス族の一人エンケラドスにちなみ、息子のジョン・ハーシェルが命名・発表した。 エンケラドゥスは土星から24万キロメートル離れたところを33時間ほどで公転している。
[編集] 物理的特性
直径は平均500キロメートルほどで、土星の衛星としては6番目に大きい。表面は反射率が高く、比較的新しい氷で覆われている。
2005年3月ごろ、エンケラドゥスに接近したNASA/ESAの無人土星探査機カッシーニが、エンケラドゥスに極めて微量の大気を発見した。大気の成分は水蒸気と見られている。しかし、エンケラドゥスは重力が小さく、大気はすぐに宇宙に逃げてしまうため、火山か間欠泉などの大気の安定した供給源があるものとみられる。同じく木星の衛星のイオや、海王星の衛星トリトンには、火山噴出物による微量な大気が観測されている。
また、最近のカッシーニの観測により、エンケラドゥスの南極付近の表面で活発な地質活動をしている証拠と思われるひび割れが見つかり、"Tiger Stripes"と名づけられた。エンケラドゥスの表面はこのひび割れから噴出する新しい氷によって絶えず塗り替えられていくと考えられている。さらに、2006年3月10日付のサイエンスの記事において、ひび割れから噴出しているものが氷の粒子および水蒸気であり、地下に液体の水が存在し貯水池のような役割を果たしている可能性があることをNASAの研究者が発表した。この地質活動を起こす熱源は不明であるが、内部の放射性物質の崩壊や、潮汐力によるエネルギーなどが考えられている。
またカッシーニ探査機の観測結果を分析した米国ジェット推進研究所の発表によると、エンケラドゥスから噴出した水蒸気や氷の粒子がプラズマになり、土星の磁場に取り込まれることによって土星磁場の回転速度がわずかに遅くなることが判明した。つまり、電波観測によりこれまで求められていた土星の自転周期は、エンケラドゥスの影響により実際の土星の自転より長くなってしまうことを意味する[1]。
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