欧州宇宙機関
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欧州宇宙機関(おうしゅううちゅうきかん、ESA: European Space Agency)はヨーロッパ各国が共同で設立した、宇宙開発・研究機関である。設立参加国は当初10カ国、現在は15カ国が参加している。
本部はフランスに置かれ、その活動でもフランス国立宇宙センター (CNES) が重要な役割を果たし、ドイツ・イタリアがそれに次ぐ地位を占める。主な射場としてフランス領ギアナのギアナ宇宙センターを用いている。
人工衛星打上げロケットのアリアンを開発し、アリアンスペース社(商用打上げを実施)を通じて世界の民間衛星打ち上げ実績の約半分を占め、スペースシャトル、デルタ、アトラスといった有力な打ち上げ手段を持つアメリカと肩を並べる存在である。
西欧諸国では、当初は個々の国、特に英国やフランスで独自に宇宙開発を行っていたが、それでは米ソの熾烈な競争から生まれる成果に対抗できないため、欧州共同の開発計画が組織された。まず1964年にヨーロッパ宇宙ロケット開発機構 (European Launcher Development Organization) を設立し、打上ロケット(ヨーロッパ1およびヨーロッパ2)の開発を進めるが、難航した。また、欧州宇宙研究機構 (European Space Research Organization) では、打上はアメリカに依頼することで、探査機や人工衛星の研究開発を行っていた。 しかし、より効果的な宇宙開発計画の実現を目指して、1975年、欧州各国はESAを設立するとともに、新しい打上ロケットとしてアリアンの開発を推進し、1979年に初の打上に成功、以後アリアンスペースを設立して打上ビジネスに参入した。
また、人工衛星による地球観測や、惑星など太陽系内の天体観測のための探査機の研究開発にも力を入れ、アメリカ航空宇宙局 (NASA)との共同研究も行っている。
有人宇宙飛行分野では、スペースシャトルのような再利用打上機としてエルメスを計画し、そのためにアリアン5を開発したが、自前の有人飛行はキャンセルされた。現在では国際宇宙ステーションにスペースシャトルを利用して参加している。
主力のアリアンを補完する打上げシステムとして、低軌道用のヴェガの開発も行っている。
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[編集] ESAの参加国
オーストリア、ベルギー*、デンマーク*、フィンランド、フランス*、ドイツ*、アイルランド、イタリア*、オランダ*、ノルウェー、ポルトガル、スペイン*、スウェーデン*、スイス*、 イギリス*、カナダ(協力国)
- (*をつけた国が設立参加10カ国)
[編集] ESAの宇宙計画
- エルメス 再利用可能な有人宇宙往還機。欧州版スペースシャトルだったが、計画中止。
- スペースラブ スペースシャトル搭載の宇宙実験室。1983年~1998年実施。日本の向井千秋も搭乗。
- ジオット ハレー彗星探査機。1985年~1986年。
- ハッブル宇宙望遠鏡 アメリカ航空宇宙局 (NASA) との共同開発。1990年~活動中。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が後継機として計画中。
- ユリシーズ 太陽極軌道観測機。NASAとの共同開発で1990年打上げ。
- SOHO 太陽・太陽圏観測衛星。NASAとの共同開発。1995年~活動中
- ホイヘンス NASAの土星探査機カッシーニから土星の衛星タイタンに降下。1997年打上げ~2004年降下、探査成功。
- アルテミス 通信技術試験衛星。2001年打上げ
- ロゼッタ 彗星探査機。2004年打上げ。
- マーズ・エクスプレス 火星探査機。2003年初に打ち上げ、年末に火星に到着した。
- ガリレオ 欧州版GPS。計画中
- 国際宇宙ステーション 実験棟コロンバスの提供。
- ビーナス・エクスプレス 金星探査機
- オーロラ計画 有人・無人太陽系探査計画。当初、2030年までの火星有人飛行が目的とされた。
[編集] 関連項目
- フランス国立宇宙センター (CNES)
- ドイツ航空宇宙センター (DLR)
- アリアンスペース
- アリアン
- ヴェガ
- 宇宙開発事業団
- 宇宙開発
- 人工衛星
[編集] 関連サイト
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