ガイナックス
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株式会社ガイナックス(英語表記:GAINAX Co., Ltd.)はアニメーションを主とした映像作品・コンピューターソフトウェアの企画、制作および販売を主な事業内容とする日本の企業である。
種類 | 株式会社 |
市場情報 | 非上場 |
本社所在地 | 184-0002 東京都小金井市梶野町一丁目2番29号 |
設立 | 1984年12月24日 |
業種 | 情報・通信業 |
事業内容 | アニメーションを主とした映像作品・コンピューターソフトウェアの企画、制作および販売 |
代表者 | 山賀博之(代表取締役) |
資本金 | 220,000,000円 |
関係する人物 | 主なスタッフの節を参照 |
外部リンク | www.gainax.co.jp(公式サイト) |
特記事項:日本動画協会正会員 |
目次 |
[編集] 概要
社名は島根県の東部、鳥取県の西部の方言(雲伯方言)で「大きい、凄い」という意味の「がいな」に未知を表わす「X」をつけたもの。1990年代には社会現象を巻き起こしたアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』を製作。他の代表作には『ふしぎの海のナディア』『トップをねらえ!』など。1980年代末からのコンピュータゲーム制作では『プリンセスメーカー』シリーズなどのヒット作品を残した。
他社が自社作品のイメージを保つ為に18禁同人作品に対して厳しい姿勢を示している中、ガイナックスは自社の一般アニメ作品のキャラクターを使った『電脳学園3』『エヴァと愉快な仲間たち 脱衣補完計画!』や、現存する社員を扱った『ガイナックス連続殺人事件』といった成人向けゲームを自ら制作している。ファンの中にはそういった行為を批判する声もある。
業界の中では企画と演出・作画に特化した制作会社で、実制作を行う場合は他社へ委託する形をとっていた(テレビシリーズの多くが他社との共同制作名義である)が、2004年開始のビデオシリーズ『トップをねらえ2!』から『王立宇宙軍~オネアミスの翼』以来の制作部門が立ち上がり、自社単独名義による元請制作のほか、従来の作画協力等ではなく、他社のテレビシリーズのグロス請けも行っている。
[編集] 来歴
1981年の日本SF大会「DAICON3」のオープニングアニメーションに関わった関西の学生らが、SFグッズショップ「ゼネラルプロダクツ」を活動の基盤に「ダイコンフィルム」として映像制作を行っていた。岡田斗司夫、武田康廣、赤井孝美、山賀博之、庵野秀明、村濱章司といった面々である。 ゼネラルプロダクツは岡田斗司夫が両親の会社である岡田刺繍の一部門として立ち上げた会社であり、上記すべてのメンバーは岡田刺繍の社員であった。
1984年になって『王立宇宙軍~オネアミスの翼』の制作にあたり、ゼネラルプロダクツより独立した岡田斗司夫はガイナックスを創設した。これに岡田の知人でテレビアニメ『レンズマン』のプロデューサーを務めていた井上博明を迎えて、ガイナックスは発足。DAICON FILM最後の作品となった自主製作特撮映画『八岐之大蛇の逆襲』の販売元バンダイがスポンサーとなって、『王立宇宙軍~オネアミスの翼』は大作として制作、1987年に公開された。
当初は『王立宇宙軍~オネアミスの翼』が完成すると同時に解散する予定であったが、同作品の興行成績が赤字であったことから、経営を続けざるを得なくなり、アニメ制作の下請けや孫請けを行なうようになっていく。収益改善のためにアニメの企画・制作を始める。1989年から1990年にかけては池沢さとしが週刊プレイボーイに連載した漫画『ビートショット!!』『サーキットの狼II モデナの剣』をオリジナルビデオアニメ(OVA)で制作。また『サイレントメビウス』のゲーム化も手掛けている。これらを企画した岡田は、クリエティブな発想による発案でなく、「これは売れる」というセールス優先の完全に売れ線狙いの作品だったと後に語っている。
さらに、1989年からは、岡田の発案により、パソコン向けコンピュータゲーム制作にも乗り出し、アニメと両輪の企画・制作を続けた。北久保弘之も監督した『電脳学園』シリーズ、眠田直による『バトルスキンパニック』などがあり、特に赤井孝美が監督とキャラクターデザインを担当した1991年の『プリンセスメーカー』シリーズは大ヒットを飛ばし、他メーカーが追随したことにより育成シミュレーションゲームというジャンルの先駆けとなり、また赤井も人気クリエイターの仲間入りを果たした。岡田によれば、ゲーム制作はアニメ制作での赤字を解消し、ガイナックスの経営の支えになっていたという。パソコンゲームの分野で1990年代に一時代を築いたゲーム制作だったが、1989年に『電脳学園』が宮崎県の条例で有害図書指定されたことを不服として行政訴訟を起こしたり、1999年にはゲームソフト制作を装って所得を隠した脱税事件により当時の社長・澤村武伺が逮捕されるという不祥事も起こっている。
1992年、ゼネラルプロダクツはワンダーフェスティバルの権利を海洋堂に委譲した後にガイナックスと合併した。この年には創設メンバーだった前田真宏らが独立して、GONZOを設立。DAICON FILM時代以来、ずっと舵取りをして来た社長の岡田もこの年に退社している。
アニメファンからは1988年からのOVA『トップをねらえ!』で注目を集め始め、テレビアニメ「ふしぎの海のナディア」は、アニメ雑誌の表紙や巻頭特集を度々飾り、人気投票でも1位を取る1990年の最大の話題作となった。1991年に発表したOVA『おたくのビデオ』は、1970年代末から1980年代前半のアニメブームを背景として活躍したDAICON FILM時代からのガイナックス自身をセルフパロディ化した作品。一説にはこの作品がアメリカの日本アニメファンの間に「おたく」という言葉を広めたとも言われる。そして1995年の「新世紀エヴァンゲリオン」はアニメの枠を乗り越えて、『機動戦士ガンダム』以来とも言える社会現象を巻き起こした。その中、1997年の『新世紀エヴァンゲリオン』の劇場版では完結編の公開が延期になる事態を引き起こした。
[編集] 作品履歴
[編集] 元請制作
- テレビシリーズ
- 小松左京アニメ劇場 (1989年-1990年)
- ふしぎの海のナディア (1990年-1991年、グループ・タック、世映動画と共同)
- 新世紀エヴァンゲリオン (1995年-1996年、タツノコプロと共同)
- 彼氏彼女の事情 (1998年-1999年、J.C.STAFFと共同)
- 愛のあわあわアワーシリーズ
- おるちゅばんエビちゅ (1999年、企画のみ参加、実制作はグループ・タック)
- 小梅ちゃんが行く!! (1999年、企画のみ参加、実制作はグループ・タック)
- 愛の若草山物語 (1999年、企画のみ参加、実制作はグループ・タック)
- まほろまてぃっく (2001年、SHAFTと共同)
- アベノ橋魔法☆商店街 (2002年、マッドハウスと共同)
- まほろまてぃっく~もっと美しいもの~ (2002年-2003年、SHAFTと共同)
- ぷちぷり*ユーシィ (2002年-2003年、AICと共同)
- この醜くも美しい世界 (2004年、SHAFTと共同)
- 忘却の旋律 (2004年、企画のみ参加、実制作はJ.C.STAFF)
- これが私の御主人様 (2005年、SHAFTと共同)
- 天元突破グレンラガン (2007年)
- ビデオシリーズ
- トップをねらえ! (1988年-1989年、実制作はスタジオ・ファンタジア)
- ビートショット!! (1989年)
- 哭きの竜 (1990年-1991年、初期作品にガイナックスは不参加)
- サーキットの狼II モデナの剣 (1990年)
- おたくのビデオ (1991年、w:Otaku no Video)
- 続・おたくのビデオ (1991年)
- フリクリ (2000年-2001年、Production I.Gと共同)
- Re:キューティーハニー (2004年、東映アニメーションと共同)
- トップをねらえ2! (2004年-2006年)
- 劇場作品
- 王立宇宙軍~オネアミスの翼 (1987年)
- 劇場版 新世紀エヴァンゲリオン (1997年、Production I.Gと共同)
[編集] 制作協力
- ドラえもん (テレビシリーズ、動画、大山ドラ:1979-2005年)
- ダーティペア(劇場作品、動画協力、1987年)
- 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(劇場作品、主にメカニカルデザイン、1988年)
- CAROL (ビデオシリーズ、1990年、ノークレジット)
- トラップ一家物語 (テレビシリーズ、第14・20・26話 原画、1991年)
- クレヨンしんちゃん (テレビシリーズ、動画、1992-)
- THEビッグオー (テレビシリーズ、第9話 Beck Comes Back 動画、 1999年)
- フルーツバスケット (テレビシリーズ、2001年)
- ジャングルはいつもハレのちグゥ (テレビシリーズ、動画、2001年)
- シュガシュガルーン (テレビシリーズ、作画協力、2005-2006年)
- BLACK CAT (テレビシリーズ、各話協力、2005-2006年)
- BLOOD+ (テレビシリーズ、各話協力、2006年)
- クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ! (劇場作品、動画、2006年)
- まじめにふまじめ かいけつゾロリ なぞのお宝大さくせん (劇場作品、原画、2006年)
- 天保異聞 妖奇士 (テレビシリーズ、第二原画、2006-2007年)
- 武装錬金 (テレビシリーズ、原画、2006-2007年)
- ひだまりスケッチ (テレビシリーズ、原画、第二原画、作画協力、2007年)
[編集] ゲームソフト
- 電脳学園シリーズ
- バトルスキンパニックシリーズ
- サイレントメビウス
- プリンセスメーカーシリーズ
- ゲッツェンディーナー
- ガラクタ名作劇場 ラクガキ王国 (2002年、動画)
- テイルズオブシンフォニア (2003年、動画)
[編集] ミュージッククリップ
- 「Marionette」BOØWY (1987年、アニメーションパート、監督・北久保弘之)
- 「DATA NO.6」FENCE OF DEFENSE (1989年)
[編集] 主なスタッフ
[編集] 所属スタッフ
- 山賀博之(代表取締役)
- 武田康廣(取締役統括本部長)
- 赤井孝美(メディア企画担当取締役)
- 佐藤裕紀(映像企画担当取締役)
[編集] 演出・作画
[編集] その他
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[編集] 過去の所属者
[編集] 参考資料
- 岡田斗司夫、唐沢俊一、眠田直『オタクアミーゴス!』(1997年、ソフトバンク)
- 岡田斗司夫『世紀の大怪獣!!オカダ 岡田斗司夫のお蔵出し』(1998年、イースト・プレス)
- 中島紳介、斉藤良一、永島収『イデオンという伝説』(1998年、太田出版)
- 岡田斗司夫、山本弘、小牧雅伸『空前絶後のオタク座談会1 ヨイコ』(2001年、音楽専科社)
- 武田康廣『のーてんき通信 エヴァンゲリオンを創った男たち』(2002年、ワニブックス)
- 多田信『これがアニメビジネスだ』(2002年、広済堂出版)
- 『ガイナックス・インタビューズ』(2005年、講談社)
- パトリック・マシアス、町山智浩『オタク・イン・USA 愛と誤解のAnime輸入史』(2006年、太田出版)
[編集] 関連項目
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