ナショナルショップ
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ナショナルショップとは、松下電器産業ほか松下グループ各社(ナショナル・パナソニック・テクニクスブランド)の製品を取次・販売する特約店(電器店)の通称名である。1957年、我が国最初の系列電器店(街の電器屋さん)ネットワークとして発足(当初は「ナショナル店会」と称していた)。以後今日まで国内最大の地域電器店ネットワークとして君臨している。
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[編集] 概要
- 量販店が大量に安く売ることをセールスポイントとしているのに対し、ナショナルショップ(街のでんきやさん)は「アフターサービスの良さ・きめ細かさ」をセールスポイントにしているので、電球や蛍光灯の交換といった軽工事にも幅広く気軽に応じてくれる(「お役に立ち隊宣言」)。また「パナサービス工房」として他店購入製品や松下以外の他社製品修理も取り扱う(有料)。この意味を込め、ナショナルショップは「あなたの街のでんきやさん」を全国共通キャッチフレーズとしている(1998年より採用)。さらに複数の松下関連企業や優良業者との取引も活発なため、各種リフォームの相談にも気軽に応じてくれる(多くの店舗はパナホーム取次店)。また地方のナショナルショップの一部では、雑貨店や酒店を同じ敷地で経営している店舗も存在する。
- なお松下は2005年3月をもって石油燃焼機器(暖房機器および給湯機)製造から撤退。以降ナショナルショップで取り扱う石油暖房機器はコロナ製品となった。さらに2007年3月にガス機器製造からも撤退。以降ナショナルショップで取り扱うガス器具はリンナイ製品となった。
- 松下電器(ナショナルまたはパナソニック)公式サイトより下記リンク「ナショナル・パナソニックのおみせホームページ」に行くことができ、全国約2万店というきめ細かい販売網を持つ松下電器特約店が検索できたが(都道府県単位)、2006年11月15日をもって閉鎖され、のちに「スーパープロショップ」と呼ばれる優良店のみを掲載したサイトにリニューアルされた。
- マスコットキャラクターは「パナ坊」(かつては「ナショナル坊や」だった)。営業車にこの「パナ坊」が描かれている店舗もある。
- ピーク時には全国で約5万店にまで増加していたが、後継者難や量販店との競争激化により現在は約1万8千店にまで減少している。しかし現在でも国内最大の地域電器店ネットワークを誇ることに変わりはない。
[編集] 環境問題への取り組み
松下電器サイト「環境活動」項には、チーム・マイナス6%に積極的に取り組んでいる全国のナショナルショップが掲載されており、各店の営業車にはその取り組みを示すステッカーが貼られている。ナショナルショップにおけるチーム・マイナス6%への取り組みは下記の通り。
- (買い換えの際)顧客に省エネ製品をお勧めする。
- 営業車のエコドライブ(アイドリングストップなど)。
[編集] 後継者育成及び人材募集施策
松下電器創業者の松下幸之助は、後継者が足りないという店主達の声に応え、次代のナショナルショップ経営を担う人材を養成する学校「松下電器商学院(現:松下幸之助商学院)」を1970年5月、滋賀県草津市に創設。全寮制・男女別学で草津市にあるのは男子部。女子部(1985年設立)は奈良県大和郡山市にある。
また現在は松下商学院での育成に加え、関連企業の松下エクセルスタッフが次代を担うナショナルショップ従業員を随時募集。サイトで登録するとまずは最寄りの店(希望勤務地・店舗は応募時に選択可)で3ヶ月間の派遣勤務(試用期間)となり、この間に即戦力として店になじめるか否かを本人及び雇用主が判断。両者の同意が得られて初めて正社員としてナショナルショップに就職という形になる。資格は運転免許(第一種普通自動車)を有していること以外は不問で、採用後に松下グループが行う各種研修制度(スキルアップ・国家資格取得支援・商品知識など)が充実している。
[編集] 店舗新規開業支援策
パナソニックコンシューマーマーケティング株式会社では、長年ナショナルショップや家電量販店等に店員(正社員)として勤務した経験を活かして独立し、自前の店舗(ナショナルショップ)を新規開業したい人のための起業相談会を全国各地で随時開催し、開業及び運転資金の融資相談に応じている。また開業後も増客・増販施策や快適な店づくりなど、店舗の安定経営のため様々なアフターケアを充実させている。
2006年度は北海道・東北地区限定でナショナルショップ起業相談会を開いていたが、結果は青森県の1店舗のみにとどまった。なお2007年度は団塊世代大量退職によるナショナルショップ新規顧客急増に備え、ショップ起業相談会を全国規模で開催。空白域への新規出店を後押しすることにしている(2007年4月5日付、日刊工業新聞の記事による)
[編集] 売り上げ増のための各種援助
松下電器は2003年度よりナショナルショップ各店に対し、重点的に販売する商品の数値目標を立ててもらい、到達すれば感謝金を支給したり、店舗改装(移転新築や増改築)のための融資制度を設けたりしている。この結果2004年度は全国で約3,000店が10%以上の増収となった。さらに松下電器及び松下グループ各社のマーケティング部門スタッフも定期的にナショナルショップ各店を訪問して商品のディスプレイ方法などを説明したり、各種キャンペーンの積極的な実施を奨励している。
また現代の主役であるデジタル家電については、高価でも購入しやすいよう住信・松下フィナンシャルサービスとのタイアップにより各種クレジット(分割払い)制度を充実させている。また一部商品については「パナ安心カード」に加入している会員の顧客に対してのみ、通常1年の保証期間が5年に延長される特典を設けている(但し各店指定の大型商品のみ)。
[編集] 新スタイルのナショナルショップチェーン「パナック」について
「パナック」は、松下電器が1989年より制度化した新しいタイプのナショナルショップで、他のナショナルショップより高品位の様々な優遇制度が利用できる優良店のことである(Pana Community Clubの略、英字表記「PanaCC」)。この制度開始以降、店の移転・新築・増床を機にパナックチェーンに新規加盟するナショナルショップは増加した。
この「パナック」チェーンに加盟すると、松下電器のマーケティング部門スタッフ「スーパーアドバイザー」による指導の下、定期的に決算・売上報告書を作成・提出すると共に、正規の店員に加え「パナレディー」と呼ばれるパートあるいはアルバイトの女性スタッフを若干名採用し、ナショナル・パナソニックフェア開催時期を中心に自店の商圏内へ情報誌(特選品カタログ「おみせ」など)を配布している。パナックチェーン加盟店は松下電器のマーケティング部門が独自に開発した専用の管理ソフト「パナ情報Vシステム」を導入して各種(顧客情報等の)管理を行うことが義務づけられており、自ずと店舗経営の高度化が図れる仕組みとなっている(以上の仕組みは後述の「スーパープロショップ」も同様)。
またパナックチェーンは品揃えの多さ・豊富さよりも快適な店づくりを重視する「生活提案型」のデザイン・空間を採用。店舗内がゆったり広々としており、一般家庭を訪問した時のようなくつろいだ雰囲気の下で顧客との商談等がしやすく、さらに車椅子など身体の不自由な方でも来店しやすい快適空間となっている(殆どの「パナック」チェーンではお客様用正面出入口に自動ドアを導入)。
なおこれ以前、ナショナルショップ側と松下マーケティング部門側との間で生じていた軋轢(ショップ側は「量販店ばかり優遇しすぎ」、松下側は「店が汚くて狭く、かつ売る努力をしていない」という文句の押しつけ合い)を解消する目的から、快適空間への店内改装奨励や社員研修を充実させる「変身ショップ」制度を山下俊彦社長と佐久間昇二家電営業本部長(いずれも当時)が1984年より始めており、「パナック」はこれを継承・発展させたものである。
[編集] 「スーパープロショップ」について
松下電器では上述「パナック」チェーンを上級店へ格上げさせるべく、2003年4月より中村邦夫社長(当時)指揮の下、前向きなナショナルショップを積極的に支援し、約2万店近くある系列店の中から、より積極的・意欲的に増販・増客・増益活動を推進している店舗を厳選・抽出して(全国で約5,000店程度に)再編する「スーパープロショップ」制度を始めた。これは「売り上げが落ち込み後継者が現れなくなった系列店をただ一方的に淘汰していくのではなく、本当に手を挙げて一緒に頑張るという店を伸ばす」という考え方に基づいている。
このように前向きかつ積極的な店舗に対しては、重点的に売り込む主力松下商品を「V商品」と定めて増販・増客・増益支援をしたり、店舗の事業拡大(移転・新築・増床・支店展開・人材募集・後継者育成など)への支援体制を充実させている。
なおこの「スーパープロショップ」に認定されるには条件があり、「その地域における当該店の特性、お客様からの評価について自己診断をし、さらに中期計画・実需等の情報を松下(メーカー)側と共有。仕入れについては買い取りをし、売り切ってもらう(在庫を残さない)という契約思想に発想を転換していく」ことである。
なおこの制度はパナソニックコンシューマーマーケティング(代理店)主導により推進される施策の為、これらに登録されている店舗は最小月販金額ベースで市場における一般ユーザーへの販売価格より1~2割高い価格での仕入れを余儀なくされ、主に高所得者層をターゲットとしている。
この「スーパープロショップ」に認定されているナショナルショップは全国で約5,600店ある(2007年4月現在)。
[編集] ナショナル・パナソニックフェアについて
年に数回(大半の地域では年4回)、全国各地で地区(ブロック)ごとに「ナショナル・パナソニックフェア」を開催し、旬の松下製品を通常期より大幅に安い価格で提供している(フェアは「合同展示会」という形で各店がホールなどに集う形と、各店で個別に開催する形の二通りある)。このフェアでは特約店から顧客に配布される「暮らしの特選品カタログ」に同封されている招待状を会場受付に提出すると来場記念品がもらえる他、抽選会や(フェア期間中の成約者に対する)ご成約プレゼントもあり、(パナ坊が登場する)テレビ・ラジオのCMで大々的に宣伝・告知されている(会場が大きなホールの場合、地元民放AMラジオ局の番組がそこから公開生放送を行う地域もある)。またこのフェア開催時期は松下電器マーケティング部門スタッフもナショナルショップ各店や合展会場へ応援に駆けつけ、(今後の製品開発の参考資料とするため)ユーザーや店員の声を直接聞いたりしている。
なお来場記念品及びご成約者プレゼントの品は地域や店舗により異なる。さらに各種販促カタログ・パンフレットは松下電器及び松下グループ各社のマーケティング部門(ナショナルアプライアンスマーケティング本部・ナショナルウェルネスマーケティング本部・パナソニックマーケティング本部・パナソニックコンシューマーマーケティング)が作成して各店へ直接配布されている。
※2007年2月3・4両日に吹上ホールで行われた名古屋地区の「ナショナル・パナソニックフェア”愛・LOVE中部”」では、輸送・設置費用や搬入出経路・展示スペースの都合上ふだんは店頭展示がされない世界最大のプラズマテレビ「”VIERA”TH-103PZ600」が例外的に展示された(TH-103PZ600の実物通年展示はパナソニックセンター東京とパナソニックセンター大阪の2箇所でのみ実施)。
[編集] その他
松下電器では団塊世代大量退職によるナショナルショップ新規顧客増に備え、販売の力点を量販店からナショナルショップへ移行する施策を発表。2009年度までに固定客数500万世帯を目標に新規開拓・販促を推進していく。また優良業者との取引を今まで以上に活発化させると共に「パナホーム」取次店を倍増。新築・リフォームなど各種工事の注文がナショナルショップ1店で可能な「ワンストップサービス」の充実を図り、煩雑な手続きのため量販店を敬遠する中高年層の新規取り込みを図る。
以上の施策は、他に類をみない豊富な系列店網を最大限に活かすことで売り上げ増を図るのが狙いとされている(2007年4月5日付、日刊工業新聞1面及び7面の記事による)。
[編集] 関連書籍
[編集] 関連項目
- 歌のない歌謡曲
- 電器店
- 東芝ストアー
- 日立チェーンストール
- 三菱電機ストアー
- 『幻星神ジャスティライザー』・・・・・・主人公・伊達翔太の家「伊達電器店」がナショナルショップという設定。
※ナショナル・パナソニックのおみせホームページは2006年11月15日をもって閉鎖された。
[編集] 外部リンク
松下直系代理店(パナソニックコンシュマーマーケティング)による営業上の戦略による掲載で、建築業登録のない店のリフォーム請負やMTSに登録のないパナサービス工房、医療機器販売許可のない補聴器販売店が掲載されている。
MTS(松下テクニカルサービス)に登録されている、講習会等を受講したアフターサービス店を掲載。