ラビットスクーター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ラビット(Rabbit)とは、昭和20年の終戦により中島飛行機から改名した富士産業(現在の富士重工業)が生産した二輪車のブランド名。
第二次世界大戦終了直後に入手したアメリカ合衆国製のパウエル式スクーター(ポウエルと表記する資料も多くある)を手本に、日本国内の経済性や道路事情を考慮して開発された。
一般にはラビットスクーターの名でもよく知られる。
昭和21年から昭和43年までの22年間に渡り製造され、一部モデルは海外へも輸出された。
その後、一般家庭への自動車の普及や、本田技研工業のスーパーカブの台頭などもあり、1968年(昭和43年)6月に生産を終了した。
目次 |
[編集] モデル一覧
[編集] 1946年〜
- S-1 - 1946年発売。ラビットブランド初の量産モデル。エンジンは135cc空冷4サイクル単気筒。
- D-12
- S-2
- S-22
- S-23
- S-25
- ES - S-22をベースに作られた電気スクーター。戦後の進駐軍占領下での燃料不足にあわせて開発されたが、実用性が低く、生産台数は23台にとどまった。
- S-31
- S-32
- S-41
- S-47
- S-48
- S-52
- S-53
- S-55
- S-61 - 1954年発売。225cc空冷4サイクルサイドバルブ単気筒エンジンを搭載。ラビットシリーズで初めてトルクコンバータを採用し、その扱いやすさでベストセラーとなった。
- S-71 - 1955年発売。ラビット初の2サイクルエンジン車。国産初のグリップチェンジを採用したモデルでもある。2サイクルで出足も良く、当時公表された最高速が70km/hだったのに対し、実際は85km/h以上出たことから爆発的にヒットした。ちなみに映画「ALWAYS 三丁目の夕日」で三浦友和が演じる宅間先生が乗っているのはS-71-2型である。
- T-75 - 1955年発売。S-61の後部を荷台として作られたオート三輪仕様のモデル。
[編集] 1957年〜
- S101 - 1957年発売。S-61の後継として出力アップした246cc空冷4サイクルサイドバルブ単気筒エンジンを搭載。ラビットでは初めてオイルダンパーを採用。
- S201 - 1958年発売。コンパクトな車体に前後15インチのホイールを採用し、更なる扱いやすさを追求したモデル。エンジンは87cc2サイクル単気筒。
- S601 - 1959年発売。S101の機能向上型として開発された。外観は継承しているが、199cc空冷2サイクル単気筒の片持ユニットスイングの新設計エンジンを搭載している。
- S102 - 1960年発売。通称スカーレット。ボディ外装を硬質ポリエチレンとして軽量化した小型スクーター。
- S301A - 1961年発売。エンジンは123cc空冷2サイクル単気筒。ハンドチェンジの三段ミッションにより従来に比して最高速度、登坂性能などを向上させた。
- S402A - 1962年発売。S301をベースにエンジンを142ccとした輸出仕様車。
- S301AT - 1963年発売。エンジンは123cc空冷2サイクル単気筒。日本初のフォームラバー製前後一体シートを装備。その他前後にキャリア、タンデムグリップを装備。タンデム(2人乗り)でのツーリングを意識し、専用のツーリングバッグなどもオプション設定された。
- S402AT - 1963年発売。S402Aをベースとしたツーリング車。
- S301B - 1964年発売。吸気方式が従来のS301Aのピストンバルブからクランクウェブ式ロータリーバルブとなり、馬力向上されたモデル。ボディその他も各部リファインが施されている。
- S211A - 1966年発売。ディスクロータリーバルブを採用した90cc空冷2サイクル単気筒エンジンを搭載。独自の車体設計によりシート下に大容量のトランクルームを持つ。
[編集] その他
- 現在、富士重工業のラリーパーツを製造するスバルテクニカインターナショナル(STI)では、スバルマークと共にラビットマークも使われている。また、傍系の「富士ロビン株式会社」製の消防ポンプに「ラビット」の名とマークが残っている。
- 当時のライバルに三菱重工業シルバーピジョンなどがある。