ヴァンドレッド
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『ヴァンドレッド』 (VANDREAD) は、2000年10月3日から12月19日まで毎週火曜日18:30~19:00の時間帯においてWOWOWで放送された全13話のテレビアニメ。その続編『ヴァンドレッド the second stage』(ヴァンドレッド・ザ・セカンド・ステージ)は、2001年10月5日から2002年1月18日まで毎週金曜日18:30~19:00の時間帯においてWOWOWで放送された。こちらも全13話。
なお、本稿では本文中、前者を「第1期」、後者を「第2期」と称しながら記述する。
目次 |
[編集] あらすじ
我々の住む太陽系から遠く離れた宙域の、とある銀河。そこでは、男性だけの惑星国家「タラーク」と、女性だけの船団国家「メジェール」と呼ばれる種族が長年の間、互いの存在を鬼のように憎み合いながら、激しい星間戦争を続けていた。
ある日、タラークは士気の高揚と次の戦闘に備えて移民船「イカヅチ」を宇宙戦艦へと改造し、「蛮型撲撃機」と呼ばれる新兵器の模擬演習を兼ねて出撃する。タラークの下層階級で虐げられながらも機械工として逞しく生きていた主人公のヒビキ・トカイは、仲間の言葉に乗せられ、自分達が製造に関わっている蛮型を強奪すると約束。仲間を見返してやろうとイカヅチに密航したが、即発見されて監禁の身となってしまっていた。
その頃、マグノ・ビバン率いる宇宙海賊「メジェール・パイレーツ」の海賊船がイカヅチを強襲。白兵戦の混乱に乗じて監禁の身から抜け出たヒビキは蛮型を探して奔走するが、その最中、パイロット見習いでUFOが大好きなヒロインのディータ・リーベライと遭遇。不可抗力とはいえ、圧し掛かってきたディータの胸を揉んでしまったヒビキは、その柔らかく弾む感触と生まれて初めて耳にした女性の嬌声に驚愕する。だが、この不思議かつ衝撃的な出会いを、UFOを操る宇宙人とのファースト・コンタクトだと信じ込んだディータは任務も忘れて舞い上がると、慌てて逃げ出したヒビキを追跡し始めた。
何とかディータを振り切ったヒビキは格納庫に辿り着き、蛮型に乗り込んで脱出を図る。しかし、不利な戦況にタラーク側は、乗っ取られてしまったイカヅチの旧艦区を切り離した上、空間魚雷「村正」で旧艦区諸共、メジェール・パイレーツを殲滅しようと目論む。村正の接近を知ったメジェール側も旧艦区から離脱しようと行動を起こすが、その旧艦区の機関区では、使われていなかった制御システム「ペークシス・プラグマ」が突如起動。暴走したそれから発せられる眩い光に包まれた旧艦区と海賊船はワープを起こし、全く別の宙域に飛ばされてしまった。ペークシスは通常、エネルギー発生源となる青緑色の巨大なクリスタルであるが、暴走・覚醒したそれは予期せぬワープを発生させただけでなく、旧艦区と海賊船を融合・合体させていく。旧艦区に取り残されたヒビキと蛮型、ディータ達とその乗機である「ドレッド」もまた、ペークシスに取り込まれていく…そして、ヒビキが気絶から目覚めた時、蛮型は全く違う姿に変貌していた。
本星から遥か彼方の宙域で、旧艦区と海賊船が一つになっていく様子を、謎の監視システムが見つめていた。すぐに起動したそれは、融合船に攻撃を開始する。混乱の続く最中、男女どちら側にも属さない謎の敵の攻撃に苦戦を強いられたマグノは、旧艦区に取り残されていたヒビキ達3人の少年と共闘する道を選ぶ。やがて窮地を救ったのは、ペークシスの影響で変貌を遂げたヒビキの蛮型とディータのドレッド。2機は新たな姿である巨大人型ロボット「ヴァンドレッド」に融合・合体すると、秘められた凄まじいパワーで、監視システムを撃破していった。
撃破した監視システムから得られた情報、それはタラークやメジェールの本星に未曾有の危機をもたらす、「刈り取り」と呼ばれる謎の作戦だった。2つの本星までは遠すぎて、超空間通信も届かない。こうして危機を直に知らせるべく、「ニル・ヴァーナ」と名付けられた融合船で、彼らの帰還の旅が始まるのだった…。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 主な登場人物
全て酒及びそれに関係するもの(米や産地など)の名前から付けられている。
[編集] ニル・ヴァーナ
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- ヒビキ・トカイ (声:吉野裕行)
- 惑星タラークの3等民。16歳の機械工であり、喧嘩っ早くて頭に血が上り易い。ディータより背が低いが志は大きく、胸を張れる男でありたいと思っている。大人の対応が出来るドゥエロや媚を売るバートとは違い、ニル・ヴァーナの女性クルー達と度々トラブルを起こしており、目の敵にされることも多い。しかしその一方で、スペシャル蛮型がディータ達のドレッドと合体できる点を注目され、その資質目当てに子供を作ろうと迫られたりも。
- ディータとの初めての接触を皮切りに、女性達との様々な出来事を通して成長していく。エズラのカルーア出産に居合わせた時は、女体の神秘を目の当たりにしてショックを受けていた。ちなみに、漫画版でもアニメ版でも女装姿を披露している。
- 実は第1世代であり、グランパ・グランマ両名の実子。コールドスリープ前は、ニル・ヴァーナの母体となったイカヅチに乗っていた。
- ディータ・リーベライ (声:かかずゆみ)
- UFOマニアのパイロット見習で16歳。何時も明るくマヌケな行動を取っているが、それは周囲の人に明るく笑っていて欲しいからという彼女なりの気遣いである。ヒビキのことを「宇宙人さん」と呼ぶ。当初、ヒビキには興味本意からまとわり付いているだけだったが、ミスティが来てからは彼のことを露骨に意識するようになっていく。漫画版でもヒビキに興味があり、いつも一緒にいることが当たり前になっているが、彼のことは名前で呼んでいた。
- 当初は自らのプロポーションにややコンプレックスを持つそぶりも見せたが、それは周りにいるジュラ達が極めて突出している為に、彼女自身があまり目立たなくなっていただけである。事実、第1期第1話でのヒビキとの初接触時を初め、彼女が優れたプロポーションの持ち主なのは、誰の目にも明らか。ヴァンドレッド合体時はヒビキの膝の上に座って股間に尻を押し当てる姿勢になるので、よりそれが明確に現れる。
- メイア・ギズボーン (声:折笠富美子)
- 極めて無口でクールなパイロットで19歳。他人に心を開かず、その胸の内に強い孤独と喪失感を抱えながら生きてきた。その理由は、幼少の頃は恵まれた生活環境にあったが、全てを失ったことで思春期には酷く荒んだ生活をしていた為。ヒビキとの交流がきっかけで少しずつ心を開いていき、第2期ではカルーアが生まれたことも重なって、かなり柔和な表情も見せるようになる。終盤はミスティに慕われ、一緒にいることが多くなった。
- 当初はディータ以上の巨乳に見えたが、それはスーツ内蔵の胸パッドによる底上げで、実際はいわゆる貧乳であった為にファンを驚かせた。しかし、腰から下には底上げなど一切ない美尻の持ち主。ヴァンドレッド合体時はヒビキの背後から前のめりで被さり、コクピット後方に尻を突き出す姿勢になるので、ディータ同様にヒップラインが強調される。なお、貧乳に関しては普段から気にしているのか、激闘篇では湯に溶け出たペークシス成分に豊胸効果があると聞き付けた途端、そそくさと入浴しに行くというお茶目な面も見せた。
- 漫画版ではニル・ヴァーナの艦長を務めており、口数もそこそこ多い。
- ジュラ・ベーシル・エルデン (声:浅川悠)
- スーパーモデル級の完璧なプロポーションを誇る身体に露出度の高いドレス調の衣装を着けている20歳の金髪美人だが、容姿の妖艶さに反して性格は我侭で目立ちたがり屋と、やや子供っぽい。第1期当初はヒビキ達を著しく見下していたが、徐々に彼らを認めるようになっていく。また、ヒビキと合体する機会には恵まれず、むやみやたらと合体したがる言動がファンの笑いを誘った。第2期では、性行為経由での子作りや出産にも憧れるようになり、男への興味をますます強めていった。
- ヴァンドレッド合体時はディータやメイアと違い、ヒビキと身体を直接触れ合う位置にシートが無い。ヴァンドレッド・ジュラの姿や能力に最初は不満を持っていたが、惑星全体にバリアを展開できるほどの能力を目の当たりにするや否や、天狗に。そういった部分からも、彼女の調子の良い性分が伺える。また、指には護身用を兼ねたビーム発射機能付きの煌びやかな指輪を数個装着している。
- 漫画版ではドレッドのパイロットではなく、ニル・ヴァーナのオペレーターを務めている。喋り方はお嬢様口調。
- バーネット・オランジェロ (声:根谷美智子)
- ジュラと仲の良いパイロットで18歳。ジュラに劣らぬ良質のプロポーションを誇る身体に、露出度の高いレオタード調の衣装を着けている美人だが、その器用貧乏な気性とジュラへの一途な想いゆえ、我侭に振り回されつつも引き立て役に徹している。ガスコーニュが死んだ(と思われた)後は、罪の意識を抱えながら彼女の役割を引き継いだ。なお、かなりの銃器マニアでもあり、Cz75などの地球製の古き名銃を好んで使う。
- 当初はジュラ達同様にヒビキと合体する予定があったのか、彼の資質に対して怪訝ながらも興味を持っていた(漫画版ではそれに加え、ヒビキ自身に恋心を抱くようになる。ジュラのことも「ジュラ様」と呼び、敬語で話す)。また、激闘篇の入浴シーンではヒビキ達に対して誰よりも赤面かつ激怒していたことから、男に対する羞恥心や警戒心はかなり強いと推測される。
- ちなみに、キャラクターデザイナーの黒田和也にとってはジュラ達と同格扱いだったらしく、同人誌の表紙やグラビアで何度も取り上げられていた。
- バート・ガルサス (声:関智一)
- 金持ちの三男坊のタラーク人で16歳。自分の保身の為、ハッタリを言ってニル・ヴァーナの操舵手を務める。第1期では何かと媚を売ったり軽口を叩いたりと情けない役回りが多かったが、第2期ではシャーリーとの邂逅と死別を経て、目覚ましく人間的成長を遂げる。それがきっかけとなり、ニル・ヴァーナのホーミングレーザー(曲射レーザー砲)を発動させるに至った。また、シャーリーの想いに報いるべく頭を丸めて、遺品(バートを模して作ったマスコット人形。まだ髪の毛と帽子が着けられていなかった)そっくりの坊主頭となり、帽子も被らなくなった。この姿は、第4話以降のOPアニメにも反映されている。
- 後半ではブザムに好意を抱くようになり、ブザムの秘密を知ってからは大ショックを受けた。しかし、女のブザムに惚れたのだとその意志を変えず、貫き通した。だが、その努力が報われたかどうかは不明。
- ドゥエロ・マクファイル (声:田坂秀樹)
- ドクターとして働くことになった17歳のタラーク人。少しばかり偏屈な所がある上、黒い長髪で顔の右半分はいつも隠れている。
- 物語最初では医者を志望していなかったが、怪我の治療をしているバーネット達を見て、持ち前の好奇心から医者を名乗り治療に当たった。成り行き上とはいえ女体の神秘に触れたことから、本格的に医者を目指し始める。元からエリート中のエリートの実力を持っていた為か、肉体構造の違う女体の治療もすぐに難無くこなせるようになった。
- パルフェとは不思議とウマが合うのか、少しずつ距離を縮めていく。ドクターとしての立場上、パルフェ以外の女性クルーとも少しずつ距離を縮めていったその経験から、タラーク軍に収監された時も「女は素晴らしい」と主張して憚らなかった。第2期最終話では顔を隠している髪の毛をパイにめくられ、彼女とパルフェの溜め息と頬染めを呼ぶ。果てにはジュラにも目を付けられ腕を絡められていたことから、ヒビキやバートとは違って女性クルーの大半に惚れられたわけで、将来的にはハーレムの主に近い位置に立ったとも言える。ちなみに、女性スタッフもキャラクターデザイン画には溜め息を漏らしたとか。
- カルーア出産に立ち会えなかったことを非常に悔やんでいたが、自分の好奇心を満たすことより患者を救うことこそが大事であると悟り、第2期第3話では出産には立ち会わず、シャーリーの治療を行った。
- ガスコーニュ・ラインガウ (声:浅野まゆみ)
- 大柄で筋肉質の身体を持つ、姉御分の32歳。前線にはあまり出ず(戦場に出ている仲間の補給と補佐を、デリ機と呼ばれる補給用機で担当するくらい)、普段は艦内で機体の整備や食事の用意などの雑用に徹することでクルーを支える、言わば縁の下の力持ち。その為、ディータ達からは「ガスコさん」と慕われているが、そう呼ばれると死別した姉の使用した愛称であるためか、やんわりながら訂正する。ヒビキとはよくイカサマポーカーを行っては、ぼったくる仲となっていた。
- やむなく出撃した際に死んだと思われていたが生存しており、第2期第12話では刈り取り母艦を操って、颯爽と駆け付けた。なお、小説版では暇潰しでポーカーをしているうちに刈り取り母艦を乗っ取っていたという逸話がある。再登場時は、多少痩せている風に描かれていた。
- パルフェ・バルブレア (声:豊口めぐみ)
- ノンビリとした性格の機関長で18歳。ディータとは親友で、彼女の相談をよく聞いている。ド近眼で普段から目を覆い隠す大型の丸眼鏡を使用している上、ダブダブの作業服を着ているが、実は全てを脱ぎ去るとディータ並みに可愛い巨乳美少女という設定。
- ほぼ最初からドゥエロと自然な関係を築いているが、お互い価値観の違う世界で育った為、それが恋愛であるという事実に本人達は気付いていない。
- アニメ版では眼鏡を外す機会には恵まれなかったが、漫画版では眼鏡を外して化粧しているシーンがある。
- パイウェイ・ウンダーベルグ (声:石毛佐和)
- ツインテールが特徴の最年少(11歳)クルーで、看護婦を担当。カエルのマペット型のリュックを常に持ち歩きながら「ケロケロ」とふざけたり、面と向かって言い辛いことをマペットを通して言うことが多い。「パイ・チェック」と称しては乗組員のプライベートを探るのが趣味だが、それが元でトラブルを起こしたことも。
- ドゥエロと共にクルー達の健康を守るが、医療技術はそれほど高くなく、大きな怪我は治療できず、手術も無理。ドゥエロの実力の方が遥かに上ということもあって、第2期では話が進むに連れてほぼ彼の助手となっていった。また、第12話では他人のチェックを止めると宣言して、リュックにメモ帳を封じている。
- エズラ・ヴィエーユ (声:大原さやか)
- ブリッジクルー。常に糸目で、笑みを絶やさないおっとりタイプの24歳。第1期の時点で既に、アジトに残っている恋人のレベッカとの間に授かった娘のカルーアを妊娠しており、後半になるとお腹が目立ってきていた。第2期でエレベーター内に閉じ込められた際には遂に産気付き、居合わせていたヒビキとディータの力を借りて出産した。ブリッジ業務が多忙な為、ピョロにカルーアのお守を任せっきりにしていることを少し気にしている。
- 漫画版では海賊のアジト内で登場。ディータにとっては優しき姉のような存在である。
- カルーア (声:浅野まゆみ)
- エズラが産んだばかりの娘。顔はピョロによく似ており、彼に懐いている。オーマはレベッカ。
- マグノ・ビバン (声:京田尚子)
- 宇宙海賊「メジェール・パイレーツ」の長にして、ニル・ヴァーナの艦長。108歳の高齢であり、初期の移民の生き残り。彼女が少女だった頃はまだ、タラークとメジェールで男女が別れてはいなかった。クルー達にとっては母親のような存在であり、彼女達をまとめている。若者を時に叱り、励まし、諭し、慰めて導くその姿は、ヒビキやバートを初めとしてクルー達の大きな拠り所。なお、周囲には隠しているが、病気で身体が弱っている。
- 漫画版ではニル・ヴァーナに乗り込んでおらず、海賊のアジト内で登場。女装していたヒビキを一発で見抜いた。
- ブザム・A・カレッサ (声:沢海陽子(変声) / 大塚芳忠(地声))
- ニル・ヴァーナの副長を務める25歳。マグノの参謀としても有能で、クルー達全員から慕われている存在だが、実はタラークが送り込んだスパイ。その身体は手術で完璧に女性化されているが、声帯だけは本来のものを残しており、首に着けているチョーカーで声を変えていた。一度は任務を果たす為にタラークへ帰還するも、上層部のやり方に憤り、マグノへの忠義を貫くべくニル・ヴァーナに戻った。ある意味、ヒビキ達の兄貴分とも言える。鞭を自在に操り、惑星ミッションでは白兵戦において大活躍を見せた。最終的には女として生きていく模様。
- 漫画版では全く設定が異なっており、正体は地球から送り込まれたエージェント。ヴァンドレッド・ディータによって爆死する。
- ちなみに、沢海陽子には正体を知らせず女性キャラクターとして演じてもらっていたらしく、正体を現す回のアフレコ台本にはスタッフからのお詫びが書かれた。
- アマローネ・スランジーバ (声:菊池志穂)
- ベルヴェデール・ココ (声:増田ゆき)
- セルティック・ミドリ (声:若林直美)
- 以上の3人はニル・ヴァーナの艦橋でオペレーターを務める少女達。第1期の時点では名前が付いておらず、オペレーターA、B、Cと表記されていた。ちなみに、アマローネやベルヴェデールがディータ並みの巨乳なのに対し、セルティックは貧乳(というよりはほぼ無乳)で、コスプレを好む。第1期では着ぐるみが主だったが、第2期では看護婦の制服や浴衣などを着るようになった。
- ピョロ (声:岩田光央)
- 元はイカヅチに積まれていた情報処理用のポンコツロボットだったが、海賊船との融合時にペークシスの影響を受け、自我に目覚めた。以後、ヒビキと悪態を突きながら、ニル・ヴァーナのマスコットとなる。カルーアを自分の娘のように可愛がっており、「ピョロニ」と呼ぶ。ウータンのことは非常に恐れている。
- 役立たずのように見えて、実はスーパーヴァンドレッド合体時に不可欠な存在。その為か、スーパーヴァンドレッドを勝手に「ヴァンドレッド・ピョロ」と呼んでいる。
- ミスティ・コーンウェル (声:有島モユ)
- 第2期から登場。冥王星から両親によって送り出された。両親が彼女を選んだのは他の星系にも刈り取りの危機を知らせる為と、娘の命を刈り取りの手から逃れさせる為。ニル・ヴァーナに回収されてすぐヒビキに惚れてしまい、ディータと恋の鞘当てを繰り広げることになる。クルーとしては一応、オペレーター見習。キャラクター的な役割としては、男女の恋愛を知らないクルー達にそれを意識させる役割。平たく言えば、主人公カップルに対する当て馬である。
- 後半ではメイアを「お姉さま」と慕うようになり、ディータとも友達同士になる。
- レベッカ (声:かないみか)
- エズラの恋人。カルーアのオーマに当たる。メジェール・パイレーツのアジトの留守を任されていた。収監されたマグノ達を助けに駆け付けた際、カルーアとの初対面を果たすが、既に父親面をしていたピョロとは険悪な関係に。外見は和服風。
- バロア (声:菅原祥子)
- レベッカと同じくアジトの留守を任され、その警護に就いていたドレッドのパイロット。強気な性格。戦いの中、成長したディータ達に驚く。
- ちなみに、レベッカもバロアも第1期の時点で既にデザイン画は用意されていたが、登場は第2期後半となった。
- ペークシス・プラグマ (声:無し)
- 御存知ニル・ヴァーナのメイン動力。
- 正確には無機生命体であり、ちゃんと意思を持っている。登場人物というわけでもないが、生命体なので一応ここに記述。
[編集] タラーク
メジェールの衛星で、男性だけの軍事国家。子供は意気統合した男性同士が遺伝子を掛け合わせることで、保育プラントから誕生する。地球による刈り取りの対象は生殖器。風呂敷や漢字などの日本文化がメジェールよりは目立つ。
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- グラン・パ (声:麦人)
- タラークの指導者で八聖翁の一人。ヒビキの父。
- ジン (声:大塚周夫)
- ヒビキの育ての親。ヒビキには「じっちゃん」と呼ばれる。
- トドロキ艦長 (声:鈴置洋孝)
- 本名不明。戦艦トドロキの艦長を務めている熱い男性。その顔立ちと声から、『機動戦士ガンダム』のブライト・ノアのパロディと推測される。ヒビキの呼びかけに応え、刈り取りとの決戦に駆け付けた。
- キュンメル・大関 (声:広瀬正志)
- 青い蛮型で敵を屠る初老の熟練パイロット。トドロキ艦長と同様、『機動戦士ガンダム』のランバ・ラルのパロディと推測される。かつては酒場で飲んだくれていた身だったが、ヒビキの呼びかけに応え、刈り取りとの決戦に駆け付けた。その際、「一番槍の栄誉を」とノリノリで名乗り出た為に、ニル・ヴァーナのブリッジクルー(特にミスティ)には退かれている。
- 実力はかなりのもので、百一式蛮型撲撃機で偽ヴァンドレッド・ジュラとピロシキ型を一緒に破壊している。
[編集] メジェール
テラフォーミング中の惑星。その為に大多数は移民船で構成されている、女性だけの船団国家。子供は意気統合した女性同士で遺伝子を掛け合わせて作る。出産を担当する方の女性はファーマ、卵子を提供する方の女性はオーマという。タラークと同様、地球による刈り取りの対象は生殖器。
[編集] その他
タラークやメジェール以外にも多くの移民星があり、それぞれが地球の刈り取りで蹂躙されている。男女が一緒に暮らしているのが普通なので、ニル・ヴァーナの面々は他の惑星に接する度にカルチャーショックを受けることになる。
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- ラバット (声:石塚運昇)
- 惑星ミッションで出会った謎の大柄な男。実は初期移民の生き残りの第1世代であり、過去にマグノやヒビキと会ったことがある。猿のウータンと共に宇宙を放浪している。数度ヒビキの前に現れ、彼を導き成長させることとなった。
- ウータン (声:くじら)
- ラバットに連れられている猿。ラバットのことが大好きな為、彼がリズを初め他の女性と良い雰囲気になると、嫉妬で暴れ出す。
- ココベリ (声:銀河万丈)
- ラバットが辿り着いた小惑星に住む小部族の長であり、ペークシスを精霊と呼んでいる。地球の操作により声を失っているが、心の声(テレパス)を手に入れ、より精霊との会話を行っている。
- ヒビキを精霊の祠に導くと、ペークシスが感情を持つ生物であり、常に語りかけているという旨を伝える。別れ際、ヒビキの額に楕円状の宝石を付け、自分達の住む小惑星をヒビキの第二の故郷かつ家族であると優しく諭し、彼らを送り出した。
- リズ (声:勝生真沙子)
- 惑星ミッションの女ボス。外敵には容赦なく、刈り取りが攻め込んできた時は火炎放射器で応戦した。ラバットにはいつもヤキモキされており、その回数はかれこれ37回に及ぶ。ラバットの前では頬を染め、シャイな一面も見せる。
- セラン (声:日高のり子)
- 出奔したヒビキが出会った惑星メラナスの少女。彼女の民族は、表皮が刈り取りの対象となっている。一人きりになったヒビキと優しく接したことが縁となり、メラナスの生き残り艦隊はヒビキの友情に応える為、刈り取りとの決戦に駆け付けた。
- シャーリー (声:釘宮理恵)
- 第2期第3話に登場。地球の身勝手な実験により衰弱していたが、バートと出会い、彼と心を通い合わせる。幾ばくもない余命の中、彼のマスコット人形を作っていたが、髪の毛と帽子を着ける前に帰らぬ人となる。彼女の住む惑星では、人々は遺体を地球に捧げなければならない(埋葬すら不可)為、自分の生きた証に人形を作る風習があっての行為だったが、彼女の存在とその死は、バートを人間として大きく成長させた。
[編集] 登場メカ
[編集] ヴァンドレッド
[編集] ヴァンドレッド合体形態
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- ヴァンドレッド・ディータ
- 攻撃力に特化した形態。3機中最もスペシャル(SP)蛮型のラインを残している人型。シートは一つで、ディータはヒビキの上に座る形で操縦する。
- ヴァンドレッド・メイア
- 機動力に特化した形態。形状としてはドレッドに近い。コクピットには通常のシートはなく、前のめりに身体を預けるライディング方式。メイアはヒビキに後ろから覆い被さる形で操縦する。
- ヴァンドレッド・ジュラ
- 防御力に特化した形態。ジュラのドレッドの先端を開いたような形状をしている。惑星一つを覆うほど強力なバリアを展開可能。他の2機とは違い、ヒビキとジュラのシートは別々になっており、円状のレールに並ぶ可動式である。
[編集] その他
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- スペシャル蛮型(九十九型蛮型撲撃機 / ヴァンガード)
- ペークシスに取り込まれて変貌を遂げた特別なヴァンガード。ヒビキ機は黄色。ペークシスの影響によって一緒に取り込まれ、改造されたディータ、メイア、ジュラのSPドレッドと融合合体できるようになる。ニル・ヴァーナには他にも、イカヅチに搭載されていたノーマル(何故かペークシスには取り込まれなかった)のヴァンガードが存在しており、地上活動ではドレッド隊のメンバーが各自のパーソナルカラーに染めて使っていた。
- ドレッド
- メジェールの戦闘機。通常はコクピットのあるメインフレームにオプションパーツを換装することで、多目的作戦活動をこなす万能戦闘機として活躍できる機体だが、ペークシスの影響でディータ、メイア、ジュラ機は形状が変化し、SP蛮型と融合合体できるSPドレッドとなった。その一方で、SPドレッドは形状の変化から規格外となり、パーツ交換はおろか格納庫にも収まらなくなった為、急遽イカヅチの蛮型格納庫の一部を改造、専用格納庫として使う羽目になってしまった。
- ニル・ヴァーナ
- イカヅチの旧艦区とマグノの海賊船が、ペークシスの影響で融合してしまった姿。パルフェ達がクルーからの公募で、「ニル・ヴァーナ」(提案者はブザム。ちなみに、公募は本来、この名前を回避しようとパルフェ達が始めたもの)という名前をマグノが採用した。武装らしい武装を持っていない為、戦闘は全てドレッドに依存している。
- ウータン・スペシャル
- ウータンが乗る戦闘ロボット。元は整備・作業用ロボットだったが、どういう経緯かウータン専用の戦闘ロボットとして改造された。大量の砲が取り付けられているが、パイロットが出撃する度に武器を全弾撃ち尽くすという最大の欠点を持つ為、ラバットも極力出撃させないようにしている。
[編集] ヴァンドレッド the second stage
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- スーパーヴァンドレッド(スーパーヴァンドレッド高速形態)
- ヒビキ達の成長に応えたペークシスが誕生させた、ヴァンドレッド完全体とも呼ばれる最強の合体形態。下記のSP4機にピョロを加えた全機が融合合体して、ヴァンドレッド・ディータを上回る巨人型となる。最終決戦後はそのダメージにより、合体不能となっている模様。
- スペシャルドレッド・ディータ2(ヴァンドレッド・ディータ)
- スーパーヴァンドレッドになったことにより、各機能が強化され、SPドレッド単機でも大気圏突入が可能になったり、ヴァンドレッド・ディータ状態でも単体で偽ニルヴァーナを破壊できるまでになったが、名称は変わっていない。
- スペシャルドレッド・メイア2(ヴァンドレッド・メイア)
- スペシャルドレッド・ジュラ2(ヴァンドレッド・ジュラ)
- スペシャル蛮型改(九十九型蛮型撲撃機 / ヴァンガード)
- スーパーヴァンドレッドに進化したことにより、各機能が強化されたSP蛮型。一部武装と外見が変わり、機体各所にクリスタルパーツが増えた。武装に関しては盾から十字型に伸ばす手裏剣のような物が増えたが、最終話でしか使われなかった為、用途は不明。機体名称は変わらず、『ヴァンガード』もしくは『蛮型』のまま。
- ウータン・スペシャル改
- ウータンの使う作業ロボットを改造した戦闘ロボットに、武器を着けられるだけ着けた状態。相変わらず、出撃する度に全弾撃ち尽くすという欠点は変わっていない。
- ニル・ヴァーナ
- バートの精神成長に合わせてニル・ヴァーナも成長し、その証として艦全体にホーミングレーザーが現れた。バートの意志で強引にレーザーを曲げる事によりほぼ確実に狙った目標に当たるという、理屈では説明できない武器となっている。
- 百一式蛮型撲撃機
- 空間作業用メカ・たまちゃん
- ニル・ヴァーナ・ジャム
[編集] ヴァンドレッド 激闘篇
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- スーパーヴァンドレッド(スーパーヴァンドレッド防御形態)
[編集] スタッフ
- エグゼクティブプロデューサー:芳原世幸(メディアファクトリー)・気賀純夫(dentsu)・村濱章司(GONZO)
- 企画・原作:もりたけし・GONZO
- 連載:月刊ドラゴンJr.(富士見書房)
- 企画協力:飯田馬之介・樋口真嗣
- シリーズ構成:冨岡淳広
- キャラクター原案:いのうえ空
- キャラクターデザイン・総作画監督:黒田和也
- メカニクスバイザー:前田真宏・山口宏
- メカニックデザイン:宮尾佳和・海老川兼武
- 3D総監督:松浦裕暁
- 美術監督:東潤一(スタジオイースター)
- 美術設定:菊地正典
- 色彩設計:鈴木依里
- 撮影監督:唐戸光博
- 編集:重村健吾
- 音楽:岩崎文紀
- 音響監督:鶴岡陽太
- サウンドデザイン:山田稔
- 録音制作:楽音舎
- 音楽プロデューサー:斎藤裕二(イマジン)・山森篤
- 音楽制作:イマジン・メディアファクトリー
- チーフプロデューサー:永田勝治(メディアファクトリー)・遠谷信幸(dentsu)・石川真一郎・池田和彦(GONZO)
- プロデューサー:堀内麻紀(メディアファクトリー)・田中渉(dentsu)・月野正志(GONZO)
- 監督:もりたけし
- アニメーション制作:GONZO
- 製作:メディアファクトリー・dentsu・GONZO
- 著作:(C)ヴァンドレッド製作委員会 / (C)ヴァンドレッド2nd製作委員会
[編集] サブタイトル
全て楽曲のタイトルから付けられている。
[編集] 本編
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[編集] 再編集版
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- ヴァンドレッド 胎動篇
- DVD全1話。第1期全13話を再編集して全編再アフレコ・新作カット追加を施したバージョン。
- 元はDVD発売のみだったが、後になってTV放送された。しかしその際には元のWOWOWではなく、2001年10月14日日曜日21:00~22:30の時間帯においてアニマックスでの放送だった。
- ヴァンドレッド 激闘篇
- DVD全1話。第2期全13話を再編集して全編再アフレコ・新作カット追加を施したバージョン。
- 本作でしか見られないスーパーヴァンドレッド防御形態と、キャラクターデザイナーの黒田和也が自ら原画を描いたヒロイン達の艶やかな入浴シーンが最大の売りであった。なお、後者については、湯気を発売前の画面サンプルより大幅に増やすなどの変更が加えられていた為、ファンからは「TV放送ではなくDVD発売なのに、湯気で全く見えなくされているのはおかしい」という批判が起こった。ちなみに、黒田和也も後に自身の同人誌で、制作側の意図に異を唱える旨を語っている。
- TV放送はDVD発売に先駆けて、2002年9月14日~10月25日までパーフェクトチョイスにてペイ・パー・ビューで行われた。その後、2003年にアニマックスでも放送されている。
[編集] 主題歌
[編集] ヴァンドレッド
- オープニングテーマ
- 『TRUST』 作詞:貴三優大 作曲・編曲:岩崎文紀 歌:Salia
- エンディングテーマ
- 『himegoto』 作詞:Miki 作曲・編曲:Miyo-Ken 歌:SiLC(MIKI)
- 挿入歌
- 『いくとせはるか』 作詞:貴三優大 作曲・編曲:岩崎文紀 歌:かかずゆみ、浅川悠、折笠富美子、豊口めぐみ
- 『WHAT A WONDERFUL WORLD』 作詞:Robert Thiele(a/k/a:George Douglas) 作曲:George D.Weiss 歌:Donna Burke
[編集] ヴァンドレッド the second stage
- オープニングテーマ
- 『JUSTICE』 作詞:貴三優大 作曲:岩崎文紀 編曲:岸村正実 歌:工藤亜紀
- エンディングテーマ
- 『YES TOGETHER』 作詞:渡辺なつみ 作曲:岩崎文紀 編曲:岸村正実 歌:工藤亜紀
- 『TRUST』(最終話のみ) 作詞:貴三優大 作曲・編曲:岩崎文紀 歌:Salia
- イメージソング
- 『会ったとたんにひと目ぼれ』 作詞:相田毅 作曲・編曲:永井ルイ 歌:石毛佐和
- 『Well Come Home』 作詞:相田毅 作曲・編曲:永井ルイ 歌:豊口めぐみ
- 『彼女はダンディズム』 作詞:相田毅 作曲・編曲:永井ルイ 歌:根谷美智子
- 『Good Day Friends』 作詞:相田毅 作曲・編曲:永井ルイ 歌:かかずゆみ
- 『ココニイル ココニイテ』 作詞:相田毅 作曲・編曲:永井ルイ 歌:大原さやか
- 『Slow Down』 作詞:相田毅 作曲・編曲:永井ルイ 歌:浅川悠
- 『Moon Light Lullaby』 作詞:相田毅 作曲・編曲:永井ルイ 歌:折笠富美子
[編集] ヴァンドレッド 胎動篇
- オープニングテーマ
- 『SPACY SPICY LOVE』 作詞:貴三優大 作曲・編曲:岩崎文紀 歌:メジェール・パイレーツ(かかずゆみ、折笠富美子、浅川悠、豊口めぐみ、京田尚子、沢海陽子、根谷美智子、浅野まゆみ、大原さやか、石毛佐和)
- エンディングテーマ
- 『himegoto』 作詞:SiLC(MIKI) 作曲・編曲 SiLC(MIYO-KEN) 歌:SiLC
[編集] ヴァンドレッド 激闘篇
- エンディングテーマ
- 『PROOF』 作詞:貴三優大 作曲・編曲:岩崎文紀 歌:メジェール・パイレーツ
[編集] 備考
- 第1期のエンディングアニメーションは、SD化されたヒビキが右から左へ向かって歩く背景に、ディータ、メイア、ジュラの顔や、極めて艶かしく描かれた身体(ジュラに至っては衣装の端から乳輪を露出させていたほど)が挿入されていく内容であったが、WOWOW本放送時には3人の身体が全てモノクロ処理されていた。理由は発表されなかったが、DVDではフルカラーになっていたことから察するに、15歳以下の視聴者の目にも止まりやすい18時台のノンスクランブル帯で放送するには過激すぎる、と判断した為の処理と推測される(後のアニマックス本放送時には、このWOWOW版マスターがそのまま用いられていた)。
- 本作終了後、GONZOが制作に関わった『ストラトス・フォー』は、もりたけしが同じく監督を務めただけあって、スタッフやキャストが本作と被っている。特にキャストについては大半がそうである上、本作を踏まえた小ネタ台詞も盛り込まれており、思わずニヤリとさせられることも。
- 第1期放送終了後、アニメ雑誌『月刊ニュータイプ』などに『ヴァンドレッド2』の紹介特集があった。内容はヒビキ達の次の世代を描くものだったが、実は第2期制作に引っ掛けたネタ記事で、後にスタッフから「本気にされて困った」という旨のコメントが出された。
[編集] 外部リンク
公式サイトは消滅済みにつき、バンダイチャンネルの解説ページを挙げる。
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