新・必殺からくり人・東海道五十三次殺し旅
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新・必殺からくり人(しん・ひっさつからくりにん)は、必殺シリーズ第11作目として朝日放送が制作し、1977年11月18日から1978年2月10日にかけてテレビ朝日系列で放映された時代劇。全13話。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 作品内容
天保太夫こと泣き節お艶一座は、表の顔は小屋掛けの芸人一座だったが、裏では弱い者の恨みを、金で晴らすからくり人だった。そんな天保太夫一座に不審な男が転がり込んで来る。蘭兵衛と名乗るその男を、自ら後ろ暗い所のある一座は、追っ手の役人たちから庇う。
しかし翌日、奉行所から呼び出しを受けて出頭すると、天保の改革による奢侈禁止令により、江戸所払いを言い渡される。突然の事に戸惑う一座だが、役人はさらに小屋に火をかけ、追い討ちをかける。小屋も身の回りの物も失い、途方に暮れる一座に、絵師安藤広重が声を掛けて来る。
広重はお艶たちの裏稼業を知り、自分が東海道五十三次を描き上げる道中で見てきた、各地の悪事非道を仕置して欲しい、と依頼してきた。広重の真意を計りかねながらも他にしようもなく、謎の男である蘭兵衛を加え、一座は京都に向かって、東海道五十三次の殺し旅へと旅立つ。
『必殺からくり人』とは山田五十鈴と芦屋雁之助のキャスト以外の関連性はないが、からくり人の花乃屋仇吉の昔の名である「お艶」を使うなど、そのイメージを受継いでもいる。
「東海道五十三次」をモチーフに、殺しの依頼があぶり出しで絵に表れるというアイデアや、実在の人物の高野長英が名を変え、からくり人一座の一人になるという大胆な設定を盛り込み、『必殺仕舞人』にも続くシリーズ初の旅物として、その基盤を築いた。また作品名としては、正確には『新・必殺からくり人』であり、「東海道五十三次殺し旅」は各話サブタイトルについた言葉である。
[編集] 殺し技
- お艶…三味線の撥で、相手の喉を切り裂き、首筋を突き刺す。また、簪を使用した事もある(第10話)。
- 蘭兵衛…お艶から手渡された細身の仕込杖で、悪人を斬る、急所を刺す。
- ブラ平…口に含んだ油を、手に持っている蝋燭の炎めがけて吹きつけ、相手に炎としてぶつけて焼き殺す。
- 塩八…その巧みな話術を使い、相手に催眠術を掛け、屋根に昇らせてから転落死させる(第1、6話)。
- 小駒…回転する独楽を悪人の額に飛ばし、その鉄心で相手の脳髄を貫通させる(第1、13話)。
[編集] キャスト
- 泣き節 お艶(山田五十鈴)
- この物語の主人公。旅芸人「天保太夫一座」の座長で、三味線を得意としている。
- かなり頭が切れ、殺しに関しても冷静沈着に行う。
- 安藤広重から「東海道五十三次」の依頼を、百三十両にて請負い、東海道を京へ向かう殺し旅に出発する。
- 小駒(ジュディ・オング)
- 蘭兵衛に淡い恋心を抱いていたが、残念ながら叶うことはなかった。
- ブラ平(芦屋雁之助)
- 事実上、天保太夫一座の副座長。
- 油の入った徳利と蝋燭を使った火芸を披露しており、殺し技もほぼそれそのまま。尤もその性質上、大真面目に描くと洒落にならないからか被害者の接写などの描写は無かった。また直接の殺し技ではなく、家屋などに火をかける事で獲物の注意を逸らすような使われ方もされた。
- 第1話で幕府に追われ(蛮社の獄)、天保太夫一座に逃げ込んで来た男。
- 当初は一座の人間にも正体を隠していた。
- 歴代シリーズ初の実在の人物が、殺し屋となる新しい設定である。
- 作品世界的には、シリーズ第4作目「暗闇仕留人」の登場人物・糸井貢の蘭学の師でもある。
- 糸井とは違い、大胆不敵な性格として描かれている。
- お艶に渡された仕込杖を得物として使い続けた事からも、相当の使い手であることが伺える。また医師としての腕も確か。
- 最終回で再び幕府に追われた事から、ブラ平に顔を焼いてもらい、人相を変えて京で一座と別れて行く(史実では、薬品で顔を焼いて人相を変えた事になっている)。
- 噺し家 塩八(古今亭志ん朝)
- 一座の落語家。一座の中で一番明るく、よく喋る。話芸を応用した催眠術を殺しに使う事も。
- 第7話で銃で撃たれて瀕死の重傷を負いながらも落語を披露し、大勢の聴衆から拍手喝采を受ける幻を見ながら死ぬ。
- ちなみに、彼は旗本の生まれであった(この事はお艶しか知らない)。お艶が語った彼の弔われ方に、当時の芸人の社会的地位を垣間見る事が出来る。
- 現実にもある有名な浮世絵、『東海道五十三次』の作者。余談であるが、彼は絵師としては歌川広重であり、安藤は本来の、幕臣としての姓である。
- 彼が旅先で見かけた悪事の秘密を、絵の中にこっそりと描き込んでおり、その絵を火であぶる事によって、赤く浮き出る仕掛けになっている。
- 第1話で、偶然、お艶たちの仕置きを目撃し、一件に付き、十両。
- 計・百三十両の大金を出して、十三ヶ所にいる悪党を仕置きする様、依頼した。
- 最終回、その意外な正体が明らかになる。
[編集] 主題歌
- 「惜雪」
- 作詞:喜多条忠 作曲:平尾昌晃 編曲:竜崎考路 歌:みずきあい
- 発売:ビクターレコード(現・ビクターエンタテインメント)
[編集] 放映リスト
- 東海道五十三次殺し旅 日本橋
- 東海道五十三次殺し旅 戸塚
- 東海道五十三次殺し旅 三島
- 東海道五十三次殺し旅 原宿
- 東海道五十三次殺し旅 府中
- 東海道五十三次殺し旅 日坂
- 東海道五十三次殺し旅 荒井
- 東海道五十三次殺し旅 藤川
- 東海道五十三次殺し旅 鳴海
- 東海道五十三次殺し旅 桑名
- 東海道五十三次殺し旅 庄野
- 東海道五十三次殺し旅 大津
- 東海道五十三次殺し旅 京都
[編集] 関連項目
テレビ朝日系 金曜22時台(当時はABCの制作枠) | ||
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