日本アジア航空
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日本アジア航空(にほん あじあ こうくう 英:Japan Asia Airways 略:JAA)は、日本航空の完全子会社 (JALグループ企業の一つ) であり、成田国際空港を拠点にしているアジア地域(台湾)専門の国際航空会社である。国際航空運送協会(IATA)航空会社コードはEG。 なお、台湾では「日亜」の略称が使われることがある。
目次 |
[編集] 概要
社名 | 日本アジア航空株式会社 Japan Asia Airways, Co.,Ltd. |
設立 | 1975年8月 |
本社住所 | 東京都品川区東品川 JALビルディング |
従業員数 | 721名 |
資本金 | 4,310,000,000円 (日本航空100%) |
航空会社コード | JAA/EG |
無線呼出名称 (コールサイン) |
ASIA(エイシア) |
拠点空港 | 成田国際空港 (使用:第2旅客ターミナル) |
[編集] プロフィール
1975年の設立以来、主に日本と台湾を結ぶ路線に就航している。JALグループの国際路線は、JALグループで国際線を受け持つ日本航空インターナショナルにより運航されているが、1972年に日本国政府と中華人民共和国政府(北京政府)の間に日中共同声明が出され国交が築かれたことにより日本が中華民国(台湾)と断交したあとも運行が続けられていたが、1974年4月21日の台湾政府による日華間の航空路線断絶(中華航空も日本乗り入れ中止)により、台湾への便は設定されていない。そこで、別会社として設立された日本アジア航空が台湾への便を運航することで、JALグループにおける台湾航路を補う役割を担っている。IATAには加盟していない。
子会社にアジア旅行開発がある。台湾行きのパッケージツアーについても中華人民共和国向け商品を扱うジャルパックで扱うわけにはいかないため、当社と同様に設立された。(他の大手旅行会社も台湾関係は分社していた)この社名はジャルパックの旧社名「旅行開発」の名残である。
[編集] 日本アジア航空が乗り入れている空港
なお、一部の便については、香港(香港国際空港)にも乗り入れ、利用者への便宜を図っていたが、2005年2月17日より台北-香港間は運休した。
以前は那覇~台北の航路をB767で運行していたが、現在では運休となっている。また、関西空港→バリ・デンパサール→ジャカルタ→関西空港の航路を運行していたが、後にJAL(旧:日本航空)に移管されている。かつては名古屋飛行場(当時の名古屋空港)~サイパン~グアムの航路をJALのB767を用いて運行したり、成田~台北~香港で使われている機材をJAL(旧:日本航空)の便名で香港~バンコクに運行していたりしていた。
JAAは日本の航空会社で国内線を運行しない会社であるが、阪神・淡路大震災で国内の交通が寸断され航空輸送が代替交通機関としての役割を担った際や、さっぽろ雪まつりで札幌・新千歳空港を発着する航空機が臨時増発された際に不足するJALの機材を補うために応援で国内線の臨時便に就航する事があった。
[編集] JALグループ企業 (グループ企業のうち、航空事業者)
◎JALグループは国際航空連合(アライアンス)「ワンワールド」に加盟しているが、※のある航空会社は経営施策上ワンワールドには加盟していない。
- 日本航空(持株会社)
- 日本航空インターナショナル(JAL)
- 日本トランスオーシャン航空(JTA)
- JALエクスプレス(JEX)
- 日本アジア航空(JAA)
- JALウェイズ(JAZ)
- ジェイエア(J-AIR)
- (「運送の共同引受」により全便をJAL便として運航。法人名として表記する以外は対外的には「ジェイ・エア」を使用)
[編集] 保有機材
日本アジア航空の機材は以下の航空機で構成される (2006年8月現在):
- ボーイング747-200型機
- ボーイング747-300型機
- ボーイング747-400型機(但し、塗装は「JAL」のまま)
- ボーイング767-300型機
ボーイング767-300を導入する以前はマクドネル・ダグラスDC-10型機を運行していた。また、ボーイング767は現在、JAL(日本航空インターナショナル)の機材となっている。
日本航空のボーイング747貨物機は一部が日本アジア航空との共通事業機で、塗装は「JALCARGO」の「L」を消して「JA CARGO」となっている。旧塗装では垂直尾翼の鶴丸がなかった。
チャーター便などでは、JAL塗装のままウェットリースして運行することもある。
[編集] 広告
日本のTVCMでは、日本と中華民国の両国で有名である金城武と志村けんを長きに渡り(金城は1998年度から、志村は2000年より)起用していたが、2006年度よりオセロ(中島知子、松嶋尚美)に交代し、CMや雑誌広告、ポスターなどで見ることができる。なお、金城が出演した1998年以降のポスター画像は日本アジア航空ホームページで見る事が出来る。
[編集] 他社・他国の対応策
ヨーロッパの航空会社も、中華民国と中華人民共和国の両方に路線があるところは日本航空と同じような問題を抱えることになった。そこでこれらの航空会社が採った方策は、日本アジア航空のような別会社を作るのではなく、別会社を装った別の名前の会社名の塗装を施した専用機材で運航するというものであった。名義には日本アジア航空に倣って「アジア」をつけたものが多かった。
- ブリティッシュエアウェイズ → British Asia Airways(英亞航空公司)運行中止
- エールフランス → Air France Asie (後期は貨物便のみ)(法亞航空公司)運行中止
- KLMオランダ航空 → KLM Asia (シンボルの王冠マークは消された)(荷蘭亞洲航空公司)塗装変更
- スイス航空 → Swissair Asia (瑞亞航空公司)運行中止
これらの塗装を施された機体は機体繰りなどの関係で日本などにも飛来していた。
日本アジア航空同様に別会社を設立したケースとしては、カンタス航空系のオーストラリア・アジア航空がある。現在は運行していない。
他にもドイツのルフトハンザ ドイツ航空の場合は、系列会社のコンドル航空が運行していた。
なお、アメリカ・東南アジアの航空会社の場合はそのままの社名・塗装で両国へ運行されている。
韓国の航空会社は1992年の韓国と中華人民共和国政府の国交樹立直後から、台湾への乗り入れができなくなり、同時に台湾の航空会社の韓国乗り入れも中止された(第三国の航空会社が台湾~韓国路線を運行することはできた)が、後にいずれも復活、こちらもそのままの社名・塗装で運行されている。
2006年現在、台湾向けに別会社で飛行しているのは、日本アジア航空とエアーニッポンだけであるが、特に近年ではJAL(旧:日本航空)が完全に民営化されているため、JAAの便にJAL(日本航空インターナショナル)の機材が使われたりと、以前の様に政治的に配慮された露骨に分けられた運行が薄れつつある。また、全日空グループにおいては便名は系列会社のエアーニッポンであっても全日空の機材や乗務員で台湾路線を運行している。
今後の日本航空グループの経営再編に伴い、JAAが整理される可能性も取りざたされており、日本航空便としての台湾路線復活も近い将来考えられる。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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