東急バス荏原営業所
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東急バス荏原営業所(とうきゅうバスえばらえいぎょうしょ)は、東京都品川区二葉四丁目27番1号に位置する東急バスの営業所のひとつ。品川・大田の両区と第二京浜国道(国道1号)上の路線を担当する。同社内での営業所略号は「E」。
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[編集] 沿革
神明営業所の名称で開設され、1960年3月25日に荏原営業所と改称された。「東急バス10年の歩み」(東急バス・2002年刊)によると、開設日は1948年6月1日となっているが、戦前にも同名の営業所があり、これは昭和初期の目黒蒲田電鉄時代に開設されたものである。なお、現営業所北側の道路は、同社が最初に開業したバス路線のルートであった。
[編集] 現行路線
[編集] 大井町線
大井町駅から西へ向かう路線で、全線が品川区内を走る。二葉地区を横断して荏原営業所へ向かう「井01」系統と、西大井地区(かつての伊藤町界隈)を経由して西大井駅に至る「井05」系統の2系統からなる。ほぼ全線にわたり幅員の狭い道路を通るため、中型車限定で運行されている。
路線の北側は目黒蒲田電鉄が最初に開通した路線、南側は1939年に同社傘下となった城南乗合自動車の路線が起源という古い歴史を持つ。神明営業所~二葉~大井町駅~伊藤町~神明営業所という大回りの循環路線として1951年3月に開業して以来、大井町循環線として長らく運行されていた。当時は営業所を起点に内回りを「伊藤町廻り」、外回りを「二葉町廻り」と呼んでおり、大井町駅からの利用者にはきわめて不親切な状況であった。
その後、車両制限令の適用により、運行が不可能となる区間が生じた。この法令は1966年8月1日から路線バスに対しても適用され、東急でもいくつかの路線で経路変更や区間廃止を余儀なくされたが、ことに大井町線に関しては、さまざまな紆余曲折がみられた。同線における抵触区間は、現在すでに廃止となっている品鶴線以西の西大井六丁目付近であった。各方面と協議のうえ、この区間の道路を一方通行化することで、その後も循環一方向(外回り)の運行を継続させることはできた。また、内回りの代替系統として、荏原営業所~大井町駅~原小学校間の折り返し運行を開始することとなった。ところが、原小学校付近に新設する転向場用地の買収が進まず、制限令適用日までに同系統の新設が間に合わない事態となった。これに対し、沿線住民による猛烈な陳情があったことから、暫定的な措置として、伊藤中学校停留所付近から南へ少し入ったところに西大井三丁目停留所を設け、荏原営業所~大井町駅~西大井三丁目間を路上折返しでひとまず運行させることとなった。
懸案となった原小学校までの系統は、その後まもなく新設されて大井町線の主力系統となった。1986年4月3日、西大井駅の開業により同駅まで延長されたのち、循環路線等が整理されてこちらだけが残ることとなった。2000年3月16日には、運用効率化のため大井町駅を境にした系統分割が実施され、現在に至っている。
[編集] 五反田線
※出入庫便で荏原営業所を起終点とする便も存在する。
- 反02:五反田駅~中延駅前~荏原営業所~池上警察署
- 反02:荏原営業所~池上警察署
荏原営業所の幹線ともいうべき存在で、おもに第二京浜(国道1号)を走り五反田駅と川崎駅を結ぶ。東京都内にある東急バス営業所が所管する路線では、唯一神奈川県に乗り入れている。五反田駅~西馬込駅間では、道路直下を走る都営地下鉄浅草線と完全並行しているが、第二京浜は道路幅が片側3車線と広いために運行も比較的スムーズで、この区間の利用者も多い。五反田方では「多摩川大橋経由」、川崎方では通称「土手廻り」で東芝科学館前(2007年3月31日まで小向交番前)~河原町団地前で経由地が違う川崎営業所川崎線「川31」「川32」「川33」系統と区別するために「遠藤町経由」と案内される。
昭和30年代の初めころに開通した路線で、川崎駅発着便のほかに五反田駅~鶴見駅東口という運行がおこなわれていた時代もある。これが初代の「反02」系統で、1981年5月に廃止された。その後、1989年5月16日に2代目の「反02」系統が五反田駅~池上警察署の折り返し便として新設され、同区間で深夜バスの運行も始まった。
2007年4月1日より川崎駅の乗り場が東口から、新設された「西口北」バスターミナルに変更となった。
都県境をまたぐため、いくつかの区間ごとに異なる運賃を採用しており、本門寺裏、多摩川大橋の両停留所がその境界となっている。前払い制であるため、五反田駅~馬込中学校前から川崎駅ゆきに乗車する場合と、川崎駅~御幸公園前から五反田駅ゆきに乗車する場合には、運転士に降車停留所を申告して運賃を支払う。2006年11月現在の各停留所間の運賃は、右のとおりである。東京都シルバーパスの有効区間は、五反田駅~多摩川大橋間となる。
「反02」は同線の深夜バスを中心とした系統で、池上警察署を起終点とする便がこの番号を名乗る。平日のみ五反田駅~池上警察署で深夜バスが運行される。五反田駅では、山手線内回り最終電車と接続しており、都営地下鉄浅草線の運行が終了した時間帯における沿線の貴重な足となっている。
なお、戸越銀座停留所の最寄り駅は東急池上線戸越銀座駅ではなく、都営地下鉄浅草線戸越駅である。また、矢口小学校停留所と東急多摩川線矢口渡駅は約300mほどしか離れていない。
[編集] 荏原町線
- 森02:大森操車所~大田文化の森~万福寺前~荏原町駅入口
- 蒲15:蒲田駅~池上駅~大田文化の森~万福寺前~荏原町駅入口
- 森02(出入庫運用):大森操車所~大田文化の森~馬込橋~荏原営業所
- 森02・蒲15(出入庫運用):荏原営業所~荏原町駅入口
大森、蒲田から池上通りを経て馬込地区を結ぶ路線。「森02」が基幹系統となっており、本数も多い。かつては大森操車所~万福寺前間の折返し運行となる「森01」も設定されていたが、1993年3月15日に「森02」に一本化された。万福寺前にあった折返所も現在はなくなっている。終点の荏原町駅入口付近は一方向に循環して大森・蒲田方向に戻る経路となっており、一部区間で環七通りを走行する。 「蒲15」は1999年4月1日に新設。前年に蒲田へ移転した大田区役所へのアクセスを確保することを目的としたため、運行時間帯は区役所の開庁時間に準じており、本数も毎時1~2本程度となっている。
[編集] 馬込循環線
- 森08:大森駅→大森郵便局→弁天池前→南馬込二丁目→馬込銀座→大森駅(循環)
- 森08(出庫運用):荏原営業所→東馬込二丁目→馬込銀座→大森駅
- 森08(入庫運用):大森駅→大森郵便局→弁天池前→東馬込二丁目→荏原営業所
大森駅の西側、山王地区の高台をとり囲むように走る循環路線。池上通り、環七通り、ジャーマン通り(補助40号)を走るため大型車も支障なく運行できるが、大半は中型車が使用される。中延営業所が長年受け持っていた路線のひとつで、1981年の同営業所廃止に際し、荏原営業所に移管された。
1961年4月15日からワンマン運転となっており、同時にいすゞBA741型、5両が導入された。これは東京23区内でも初のワンマン化事例であり、「15円均一運賃」「踏切がない」「全区間で歩車道の区別がある」「車道の幅員が9m~16.6m」などの条件がととのっていたため実施に移された。昭和30年代は路線バスの需要が増大し、車掌の人員が難しくなっていた時期でもあった。今日では当たり前となったワンマンバスの基礎を築いた路線として、意義深いものがある。
[編集] 受託運行
[編集] しながわ水族館送迎バス
- 大井町駅東口~しながわ水族館
しながわ水族館の開業にあわせて、1991年10月19日に運行開始。京浜急行バス大森営業所との共管。東京特殊車体製のレトロ調ボディを持つ専用車が使われていたが、老朽化にともなって引退し、2006年より2代目専用車が登場した。先代専用車は収容力に限界があり、多客時には一般路線用の中型車が充当されることも多くなっていたため、この教訓を生かし、2代目専用車は一般路線車をベースに塗装を変更したものとなった。
[編集] 廃止路線
[編集] 多摩川大橋線
- 東京駅八重洲口~五反田駅~多摩川大橋
[編集] 横浜線
- 五反田駅~東寺尾~横浜駅
[編集] 車両
伝統的にいすゞ製の車両を使用しているが、2006年より日産ディーゼル製のものが加わっている。大井町線の狭隘区間に対応するため、中型車が必ず配置される。
[編集] 参考文献
- 『東急バス10年の歩み』(東急バス・2002年刊)
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