西ベルリン

ベルリンの占領区分 アメリカ（空色）、イギリス（薄紫）、ソ連（赤）、フランス（青）

西ベルリン（にしべるりん、[独]West-Berlin、[英]West Berlin）は第二次世界大戦終戦後1949年から1990年まで、アメリカ、イギリス、フランスが占領したベルリン西部の地域。周囲をドイツ民主共和国（旧東ドイツ）の領土（ソ連が占領し、後に東ドイツの首都となった東ベルリンも含む）に囲まれていた。

[編集] 概要

西ベルリンでは、ドイツ連邦共和国（旧西ドイツ）の通貨が用いられ、西ドイツ国籍の人が多く居住し、市長や市議会議員も西ドイツの政党に所属していたことから、実質的には西ドイツの飛び地であった。とはいえ、あくまでも米・英・仏が占領していた地域のため、西ドイツ領として扱われなかった。

西ベルリンからは西ドイツの連邦議会の議員を選出できなかった（オブザーバー参加のみ）ほか、西ベルリン住民の身分証明書は、西ドイツ住民の持つ身分証明書とデザインは似ていたが、ドイツ連邦共和国の文字や国章がない点で異なったものであった。

また、西ベルリンは西ドイツ領ではないという名目だったため、西ドイツで行われていた徴兵制が免除されており、徴兵を嫌った若者の中には西ドイツから西ベルリンへ移住するものもいた。

なお、西ベルリンを出入りする航空機の乗り入れは、西ベルリンを占領していたアメリカ・イギリス・フランスの航空会社に限られ、西ドイツのルフトハンザドイツ航空さえも乗り入れていなかった。

1948年 6月24日、ソ連によって西ベルリンへ向かう全ての道路・鉄道が封鎖される（ベルリン封鎖）。そのため、西側諸国は多数の航空機で物資を空輸することで対抗。
1949年 5月12日、封鎖が解除される。
1961年 8月13日、東ドイツ政府は、有刺鉄線と警備兵を用いて、西ベルリンを東ドイツから物理的に一斉に遮断。ベルリンの壁建設の始まりである。
1963年 6月26日、当時のアメリカ大統領、ジョン・F・ケネディが西ベルリンを訪問し、公開演説で「Ich bin ein Berliner（私はベルリンっ子だ）」という有名なセリフを残す。（"Ich bin ein Berliner"とは、「私はドーナッツだ」という意味で、正確には"Ich bin Berliner"である。）
1971年、東西ドイツ政府間で結ばれたトランジット協定により、西ベルリンと西ドイツとの間の往来の安全性が保障される。