JR四国8000系電車
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JR四国8000系電車 | |
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JR四国8000系電車 | |
営業最高速度 | 130km/h |
設計最高速度 | 160 ※1 km/h |
編成定員 | 18(グ)+263(普)=281人※2 168人(普)(リニューアル前は172人(普))※3※4 |
全長 | 22600(21300,8400形と8200形は21300)mm |
全幅 | 2820mm |
全高 | 3360mm |
編成重量 | 183.2t※2 109.2t※3 |
軌間 | 1067mm |
電気方式 | 直流1500V |
編成出力 | 200kW×8=1600kW※2 200kW×4=800kW※3 150kW×8=1200kW※4 |
駆動装置 | 三相交流誘導電動機 |
制御装置 | PWMインバータ制御 |
ブレーキ方式 | 回生ブレーキ |
保安装置 | ATS-SS |
備考 | ※1は試作車、量産車は140km/h ※2はL編成 |
8000系電車(8000けいでんしゃ)は、四国旅客鉄道(JR四国)の直流特急形車両。
目次 |
[編集] 概要
1992年(平成4年)3月、予讃線観音寺~新居浜間が直流電化されたのをきっかけにグリーン席・普通席の合造車が1号車となる試作車(8001+8101+8201)が登場し、同年8月に臨時の岡山~新居浜間「しおかぜ」・高松~新居浜間「いしづち」として営業運転を開始した。翌1993年3月改正で新居浜~伊予北条間の電化開業に合わせて量産車が登場し、「しおかぜ」の大半と「いしづち」全列車を本形式に置き換え、本格的な営業運転を開始した。試作車8001はL1編成に組み込まれ、8101+8201は編成を逆にして、S1編成(8201+8101+8501)となった。これにより、従来運用されていたキハ181系やキハ185系と比べ、始発駅と終着駅との所要時間が最速同士の比較で20分縮まった。
車両は日立製作所・日本車輌製造で開発・製造されている。1993年当時はグリーン席・普通席の合造車が1号車の5両編成5本と4両編成1本に、付属編成となる3両編成5本で、5両、4両+3両、5両+3両とバリエーションに富んだ編成になっていたが、1997年11月29日のダイヤ改正からは、昼間の電車特急は多客時を除いて「しおかぜ」と「いしづち」を連結した8両編成で運転することになり、車両編成を全部共通化して運用を組みやすくするために、4両だったL2編成に挿入するための1両と、3両編成1本の計4両が追加新造されている。1998年には岡山方面の所要時間短縮のため宇多津駅構内のデルタ線を利用して編成ごと向きを逆に変え、グリーン席・普通席の合造車が8号車になっている。
[編集] 構造
VVVFインバータ制御(GTO素子)の直流電車。試作車はM車2両の8個のモーターを一括制御する方式だが、量産車はM車を少なくしてモーターの出力を上げ、各モーターを個別制御する方式に変更された。JR四国ではJR四国2000系気動車に続き制御付振り子装置を採用している。振り子機構は試作車は2000系気動車より曲線での速度向上を狙い曲線ベアリングガイド式を用いたが、量産車は2000系気動車で実績のあるコロ式に変更されている。振子作用時の車体最大傾斜角は2000系気動車と同じ5°で、曲線半径600mで本則+30km/hの120km/hの運転を可能とした。車体の傾斜によってパンタグラフが架線から離線するのを防ぐため、車体側部を通して台車とパンタグラフ台座の間をワイヤーで結び、常にパンタグラフが真上を向く架線追従装置を装備している。このワイヤーは当初ビニール被膜付だったが、この被膜にワイヤーが引っかかって架線追従装置が機能しなくなるトラブルがあったため、被膜がないものに交換されている。空調装置は2000系気動車では屋根についていたが、車両の低重心化を図るために床下についている。屋根にはガーランドベンチレーターに似たカバーが付いている換気装置が8000形と試作車の8101と8201は2箇所、それ以外は3箇所付いている。
試作車ではレールブレーキを装備して湖西線、予讃線にて高速走行実験も行われ、150km/hから600m以内で急停止できることが確認されたが、結局150km/hでの営業運転は行われず、量産車にもレールブレーキは採用されなかった(試作車最高速度160km/h)。予讃線での高速走行実験では、160km/hを達成したとされ、8001の運転室側面に「SPEED RECORD 160km/h」のステッカーがしばらくの間貼られていた。
全車両ともデッキは片側2箇所となっている。客用扉はプラグドア。どちらも2000系を踏襲したものである。なお、速度が5km/hを超えると、ドアが開いたまま動き出しても自動的にドアが閉まるようになっている。
[編集] 編成
5両編成のL編成と3両編成のS編成が、全編成とも松山運転所に配置されている。8000形および8500形が流線型先頭車、8400形および8200形が連結運転に対応した貫通型先頭車である。トイレは、8000形、8150形、8400形、8200形、8500形に付いている。8400形のみ車椅子対応座席が設置されている関係で小便所もあり洋式トイレだったが、リニューアルで8000形、8500形も洋式トイレになった。8000形、8500形には車販準備スペースとテレホンカード専用公衆電話があったが、いずれもなくなり、ジュースの自動販売機が元車販準備スペースに設置されている。
- L編成(6編成すべて)
- 8000形(Thsc) - 8100形(M1) - 8150形(M2) - 8300形(T) - 8400形(Tc)
- S編成(S2~S6)
- 8200形(Mc) - 8300形(T) - 8500形(Tc)
- S1編成
- 8201(Mc) - 8101(M1) - 8501(Tc)
←岡山・高松方
[編集] リニューアル
2004年(平成16年)10月から大幅なリニューアル工事を施した車両を順次運転し、充当列車には大型時刻表などに「リニューアル車両で運転」と記載されていた(ただし、交通新聞社発行のJR時刻表では、5両編成のものしか表示がなかった)。2006年(平成18年)11月に全車両のリニューアル工事が完了し、時刻表などの「リニューアル車両で運転」の記載もなくなっている。
工事内容は、より上質な難燃木材製座席への取替え(グリーン車・普通車指定席のみでS-Seatと呼ばれる)、パソコンテーブルやコンセントの設置(パソコン・コンセントは車両の最前部のみ)、S編成は全車両禁煙化により喫煙室を1箇所設置など。また、車体のドア周りの塗装を普通車指定席はオレンジ、グリーン車は赤のグラデーション塗装とした。内装は従来のままで据え置かれた普通車自由席も、ドア周りに紺のグラデーション塗装を施し、外から視覚的に座席種別が分かりやすいように手が加えられている。このリニューアル工事を施工した編成は、2005年度グッドデザイン賞を受賞している。
なお、リニューアル車両3両編成かこれを含む8両編成で運転される「いしづち」の松山方先頭車の連結側8席は女性専用席になっている。
さらに2004年12月18日には大阪駅の展示会のために臨時団体列車として東海道本線を通じて京都駅まで行ったことがある。
[編集] 運用
2006年現在、予讃線の特急「しおかぜ」、「いしづち」、「ミッドナイトEXP松山」に運用されている。 配置がL編成とS編成が各6編成に対して運用は各5本なので、運用中に故障やダイヤの乱れが発生し、かつ残り1本が検査や故障などで使えない場合は列車運休や予備車両(キハ185系や2000系)への編成変更になることがある。 「しおかぜ」は多客期に一部列車を除いて、「いしづち」編成を分割せず8両編成で岡山へ直通する。多度津~高松間に代走列車として平行ダイヤを組む「いしづち」が運転されるが、この一部列車にもS編成が使用される。また1998年には「南風」と「しまんと」の併結列車が、多客期に「しまんと」編成を分割せずに岡山へ直通した時に、多度津~高松間に代走列車として平行ダイヤを組む「しまんと」が運転されたが、この一部列車にもS編成が使用された。
[編集] 特異な運用
[編集] 関連項目
- JR四国の在来線車両 (■国鉄引継車を含む全一覧 / ■カテゴリ) ■Template ■ノート
[編集] 外部リンク
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