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MOTHER2 ギーグの逆襲 - Wikipedia

MOTHER2 ギーグの逆襲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

MOTHER2 ギーグの逆襲
ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 スーパーファミコン
開発元 エイプ
パックスソフトニカ HAL研究所
発売元 任天堂
人数 1人
メディア 24Mbitロムカセットバッテリーバックアップ搭載)
発売日 [日本]1994年8月27日
[北米]1995年6月1日
売上本数 約30万本
テンプレート (ノート)

MOTHER2 ギーグの逆襲』(マザーツー ギーグのぎゃくしゅう)は、任天堂コンピュータRPG

目次

[編集] 概要

1994年にスーパーファミコン用ソフトとして発売された。初代MOTHERの発売から5年余りが経過しており、プラットホームがファミコンからスーパーファミコンへと代わった。ゲームデザインは現在コピーライター等を務める糸井重里。2003年にはゲームボーイアドバンス用ソフト『MOTHER1+2』においてリメイクされている。北米でもEarthboundという名前で正式に発売されている。キャッチコピーは「おとなも こどもも おねーさんも。 」。ゲームをデザインした糸井重里自身が担当した。

ゲーム内使用音楽は鈴木慶一田中宏和が作曲した。音楽容量はスーパーファミコンソフトとしては異例の大きさで、発売されたソフトの中で最大。一部に糸井重里の声がサンプリングされ使われていたり、本人の知らないところで改造されBGMとして使われていたりもしている。開発中止寸前だった時当時HAL研究所に在籍していた現任天堂社長岩田聡がプログラムを一から組み直して完成したという逸話も残る。その後岩田はMOTHER3の発売を任天堂社長就任後に実現することになる。CMでは当時あまり有名ではなかったSMAP木村拓哉が出演。

[編集] 本作の特徴

本シリーズは比較的シナリオの縛りが薄く絵による描写がある程度省かれ、その代わりにテキスト量が非常に多い傾向があるが、本作ではそれがより顕著である。プレイヤーはテキストの面からアプローチをすることになるが、同じキャラクターでもストーリーによってセリフが変わるキャラクターも多く、また、本筋と関係のないような世間話をだらだらとするキャラクターもいる。ややクセのあるBGMも特徴のひとつである。

[編集] 世界観

タイトルに初代MOTHERのラスボスである「ギーグ」の名前が使われている点や、主人公とその仲間の容姿がかなり似ている点、大観的なゲーム内容がほぼ同じであるという点で、初代MOTHERのリメイク色が濃い。もともとが「初代のリメイクをすると共に、スーパーファミコンの性能を使って初代では出来なかったことをする」と言うコンセプトだったためとも考えられるが、2006年に発売されたMOTHER3が本作を脱し新機軸を前面に示す意欲作だったため、初代との類似性と合わせてよりその印象が顕著になっていると思われ、それによって2作と比較して最も新鮮味に欠けるという評もある。

その結果前作よりアメリカ文化がより強く描写されており、グレイハウンドバスや「I LOVE N.Y.」のロゴの入ったTシャツを着たキャラクター、他にアメリカ映画のオマージュと思われる格好をしたキャラクターや、ブルースブラザーズにそっくりなバンド「トンズラブラザーズ」などが登場する。

これらの特徴、世界観は純国産の他のRPGとは異質のものであり、当時は本作がシリーズ総じての特徴という共通認識が流布し、一時は「MOTHERシリーズ=MOTHER2」というような、初代MOTHERを「本作のシンプル版、本作のおまけ」のように軽視する風潮もあった。しかし2006年に発売されたMOTHER3では、シナリオやキャラクターの描写が日本的になっていたり、日本語的な名前が登場したりするなど、本作から広まったシリーズの特徴から脱し新たなシリーズらしさを切り拓くようなゲーム内容の一新が図られた。これが転機となり、シリーズに対するファンの印象も本作のイメージに固定されなくなり、3作を通し大観的に見る者やMOTHER3をシリーズの特徴と認識する者も増えたり、初代MOTHERが見直されるなど、徐々に変わっていった。

[編集] 戦闘システム

本作のエンカウント方式はシンボルエンカウント方式である。フィールド上に現れる敵シンボルに触れると戦闘が開始する。敵シンボルに触れるとき、プレイヤーキャラクターの向きによって戦闘での優劣が決まる。敵の配置には前衛と後衛があり、一部のPSIの攻撃範囲に影響を及ぼす。また、相手よりも圧倒的にこちらが強い場合は戦闘が省略される。特徴として、HP/PPがドラムカウンター方式で増減するようになっている。ダメージを受けるとHPが少しずつ減っていくので、致命的なダメージを受けてもHPメーターが0になる前に回復を行えば(または戦闘が終了すれば)戦闘不能を防ぐ事が出来る。


注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。


[編集] ストーリー

世界を救うためにギーグという宇宙人と倒すという、当時のコンピュータRPGにおいては王道的な展開であるが、「ギーグ」という名前や最終的な目的の記述がストーリーに登場することは少なく、また一般の街の人もその存在を知らないようであるため、プレイヤーがそれを気にしながらプレイをすることはほとんどなく、ストーリー自体が希薄な作りとなっている。

基本的には行く街で困っている人を助けるとストーリーが進行するというものである。このためいま何を目的に動いているのか分からなくなることがあり、要所にゲームのヒントを売ってくれるキャラクターが設置されているという救済措置もある。


[編集] 主な町・地点

オネットからフォーサイドまでは、「one」から「four」の数字が当てはめられている。

  • イーグルランド / EagleLand
    オネット / Onett
    「ぼく」の住む町。治安はあまりよくなく、シャーク団というチンピラがうろついていたり、不動産の詐欺がある。
    また市長の人望がなかったり、警察がいばりちらしている。ここの警察はすぐに道路を封鎖することで有名でギネス申請まで考えているほど。
    この町の裏山に隕石が落ちたことから物語が始まる。ジャイアントステップのある場所。
    ツーソン / Twoson
    「おんなのこ」が住む町。ヌスット広場という市場、幼稚園、カオス劇場がある。
    ハッピーハッピー村 / Happy happy Village
    ツーソンの隣にある村。マニマニの悪魔に操られたカーペインターによってハッピーハッピー教が広められ町中が青く塗られる。
    リリパットステップがある場所。
    スリーク / Threek / Threed
    ゾンビに支配された町。ツーソンと砂漠をつなぐトンネルがお化けによって通れなくなっている。後に平和で穏やかな町並みを取り戻す。
    サターンバレー / Saturn Valley
    どせいさんがすむ。家はみんな同じような作り。温泉がある。
    ミルキーウェルがある場所。
    フォーサイド / Fourside
    大都会。モノトリーに対する支持率がかなり高いが、本人は悪魔に心を奪われていた。
    マグネットヒルのある場所。
    ムーンサイド / Moonside
    フォーサイドの裏の姿?退廃的で人にどことない不安を感じさせる雰囲気を放つ。
  • フォギーランド / FoggyLand
    ウィンターズ / Winters
    「おともだち」が住む町。建物は店とスノーウッド寄宿舎、離れた場所にはアンドーナッツ博士の研究所がある。
    タッシーという生き物が湖にいる。
    ストーンヘンジというミステリースポットとレイニーサークルがある。
  • トト / Toto
    サマーズ / Summers
    海辺の観光地で海水浴に来る人も多い。ホテルもかなり豪華。ここから船でスカラビに行ける。
    スカラビ / Scarabi / Scaraba
    中東の雰囲気。砂漠が広がりピラミッドもある。
  • チョンモ / Chommo
    ランマ / Ramma / Dalaam
    チベット風の雰囲気。チョンモ国首都。「おともだち2」が住んでいる。ピンククラウドのある場所。
    魔境 / Cursed Jungle / Deep Darkness
    スカラビを抜けた先にあるジャングル。湿地帯の上、周囲が見えないほど暗い。
    グミ族の村 / Gumi Village / Tenda Village
    ほとんどが無口のグミ族が住んでいる村、本当は無口をなおしたいらしい。
    地下にルミネホールがある。
    地底大陸 / The Under World / Lost Underworld
    絶滅したはずの恐竜や地上の無口なグミ族に嫌気がさし、地下に逃げたグミ族が住む。
    ファイアスプリングスのある場所。
    マジカント / Mazikanto / Magicant
    8つのパワースポット全てに来るとあらわれる、「ぼく」のこころの国。
    エデンの海 / Gaia sea
    宇宙の真理を知れる場所。「ぼく」の悪魔が中央に鎮座している。
    過去の最低国 / The Great Under World / Cave of the Past(諸訳あり)
    地底大陸にあるキョムの空間の過去、ここからギーグが攻撃している。緑などは一切無い。なおこの場所についての具体的な説明や伏線はストーリー中になく、終盤で存在を明かされる。

[編集] 主なキャラクター

ぼく(ネス)
赤い帽子の男の子。オネットに住んでいる。謎のカブトムシにいきなり「キミが世界を救う少年だ」と唐突に言われ、冒険に出ることに。回復・補助系のPSIを覚える。戦闘中ホームシック(行動不能)になることがある。武器は主にバット。
おんなのこ(ポーラ)
赤いリボンの女の子。ツーソンに住んでいる。強いPSIの力を持ち、テレパシー能力によってイベントに関ってくる。武器は主にフライパン。
おともだち(ジェフ)
メガネの男の子。アンドーナツ博士の息子。ウィンターズのスノーウッド寄宿舎に住んでいる。途中見つける壊れたグッズを修理し、いろんなアイテムに作り替える事ができるが殆どは彼しか使えない。武器は主に光線銃。
おともだち2(プー)
べんぱつの男の子。チョンモ国ランマ宮殿の王子。メンバー最年長。西洋文化になじめず、普通のアイテムではほとんどHPが回復しないが、水を飲むだけでPPが回復する。素手で戦うため一切の防具・装備品を身につけないが、彼専用の武器・防具が存在する。
どせいさん / Dosei-san / Mr. Saturn
サターンバレーに住んでいる生物。丸みのある肌色の体に、大きな鼻・太い眉毛・頭頂部の一本毛と赤いリボンをした奇妙な姿。科学力が高く、攻略上欠かせない存在。独特のフォントで表示される「どせいさん語」を話す。共通の口癖は「ぷー」「あらあら」「ぽえーん」など。
ポーキー・ミンチ / Pokey Minch
「ぼく」の隣宅に住む少年。ゲーム中では性格描写が少ないが、数少ないセリフがわがままで生意気なものが多く、意地が悪い子供っぽさを感じさせる。ゲームが進行するごとにダークサイドに傾倒していくが、なぜ彼がそうなるのか理由はゲーム中で説明されない(後のインタビューで糸井重里は「ポーキーがああなったのは、たぶん親が悪いんじゃないかな」と言っている)。
ピッキー・ミンチ / Pickey Minch
ポーキーの弟。ミンチ家では一番冷静で、一般的に言うとまともな人間である。
ブンブーン / Buzz Buzz
10年後の未来からやってきた生き物。序盤で待ち構えていたスターマンの息子を倒すほどの実力者だったが、ポーキーの母親に叩き落とされて死ぬという非常にあっけない最期を遂げた。本作で最初にいきなり死亡するキャラクター。
フランク / Frank
オネットの不良グループ「シャーク団」リーダー。金髪にサングラスで未成年だがフランキースタイン2号という兵器を持っている。自称、むてきのフランクさま。
ストロング署長 / Head Strong
オネット警察署長。通行封鎖されたツーソンへ行きたがる「ぼく」の実力を試そうと勝負を挑んでくる。自分のことを世界一強いと思っている。
アップルキッド / Apple Kid
ツーソンに住む発明家。身なりは汚く食いしん坊で、女の子からも嫌われているが発明の実力はある。アンドーナツ博士を尊敬している。しゃべるネズミを飼っており、アップルコンピュータの創始者のひとりのスティーブ・ウォズニアックがモデルと思われる。
オレンジキッド / Orange Kid
アップルキッドの隣家に住む発明家。アップルキッドとは友達同士。小奇麗で口がうまいので町の女の子に人気があるが発明の才能は無い。外見はビル・ゲイツに酷似。
トンズラブラザーズ / Tonzura Brothers / Runaway Five
ツーソンで人気のブルース集団。黒いワゴンとスピーカーから流れる陽気なリズムが特徴。各地のライブハウスを転々とするが行く先々で人に騙される。冒険の途中彼らと何度か遭遇し助けたり助けられたりすることになる。
トンチキさん / Mr.Tontiki
ツーソンのヌスット広場をしきる大泥棒。町からの評判は必ずしも良くないが広場の人間からの信頼は厚い。フォーサイドのバーの近くのビルの陰に倒れているのが発見された。その後、新聞により死亡が伝えられる。
トニー / Tony
「おともだち」の親友。異常とも思えるほど「おともだち」に世話を焼いてくる。
バルーンモンキー / Balloon Monkey
「おともだち」がガムを買った時にいらないからとお店の人にもらったサル。フーセンガムを膨らまして宙に浮く。
アンドーナッツ博士 / Dr. Andonuts
「おともだち」の父で名前はアン・ドーナッツ。ウィンターズ南部のアン・ドーナッツ研究所に住んでいる。息子の「おともだち」とは10年も会っていない。世界的な科学者らしいが、作った乗り物はよく壊れる。
ブリックロード / Brick road
自称、ダンジョン男。ダンジョン作りをしている。後にアンドーナッツ博士の協力を得て歩くダンジョンができあがる。ダンジョンというものにこだわりをもっているらしい。RPGウルティマの作者である、ロード・ブリティッシュことリチャード・ギャリオットがモデルと思われる。
タライ・ジャブ / Tarai jab
砂漠の地下に住むランマの仙人。サルたちを従え断食をしている。ぼくたちの運命についても知っている。
まぼろしろうじん / Phantom elderly person
ランマに住む仙人。ぼくたちの運命についても知っている。
パパ / Papa / Dad
電話にのみ登場「ぼく」の父親。世界中を飛び回る仕事をしている。ゲーム中で一切姿を表さず終始電話機がイメージとして登場する。
ママ / Mama / Mom
「ぼく」の母親。見た目がアメリカンな楽天家で豪快な性格。ぼくたちの冒険を見守る立場の存在。常に家にいて帰宅するたびに好物を出す。
てんさいしゃしんか / Genius photographer
シルクハットにメガネのおじいさんで本名は不明。ストーリーに関わることはないが道中で何の前触れもなく突然空から回転しながら降ってきて「ぼく」たちの写真をとり、そしてまた回転しながら飛び去る。
カーペインター / Car painter
ハッピーハッピー村にハッピーハッピー教を広めて「おんなのこ」をさらわせた張本人。雷を操る。
モノモッチ・モノトリー / Monomotti Monotoli
フォーサイドで絶対的支持を誇る権力者。
グミ族 / Gumi Tribe
魔境の奥地と地下大陸に住む一族。魔境にいるのは無口な連中で、地下大陸には無口な同族に嫌気がさした連中が住んでいる。
ゲップー / Geppu / Master Belch
スリークを支配していた敵のボス。ギーグの手下でその実力は高いと言われている。
マニマニの悪魔 / Satan of Manimani
ライヤー・ホーランドが掘り起こした金の像。その後いろんな人の手に渡り数々の災難を引き起こす。
ギーグ / Gyiyg
地球征服を企む。過去世界に来た「ぼく」たちを待ち構える。

[編集] デフォルトネーム

本作ではパーティーキャラクターの名前はプレイヤーが決めた名前が最も正しい。しかし決められない人のために以下のようなデフォルトネームが用意されている。


以上で、作品の核心的な内容についての記述は終わりです。



[編集] その他

大乱闘スマッシュブラザーズ
ニンテンドウオールスター!大乱闘スマッシュブラザーズ(NINTENDO64)に本作の「ぼく」がデフォルトネーム(ネス)で隠しキャラとして参戦した。本来使用できないPKファイヤーやPKサンダーなどを扱える。
大乱闘スマッシュブラザーズDX
大乱闘スマッシュブラザーズDXニンテンドーゲームキューブ)では、本作の「ぼく」がデフォルトネーム(ネス)で基本キャラクターとして参戦した。また、本作をイメージした対戦ステージ「オネット」「フォーサイド(隠しステージ)」も登場する。どせいさんがアイテムとして登場するほか、キャラクターのいくつかが、フィギュポン(ゲーム内の特典として得られる架空のコレクションアイテム)となっている。
当初、NINTENDO64で開発中だったMOTHER3のリュカが登場する予定だったが、MOTHER3の発売が遅れたため本作の「ぼく」(ネス)で代用されたという経緯がある。
古城茂幸の応援歌
古城茂幸(現巨人)の日本ハム時代の応援歌に、本作の音楽が使われていた。
小説版 MOTHER2―ギーグの逆襲
久美沙織によって小説化されている(新潮文庫より刊行)。基本設定はゲームと共通しているものの、原作から大幅に設定が書き換えられておりオリジナルストーリーという感が強い。主な特徴は以下のものがある。
  • 一部に性的な行為を暗喩した表現がある。
  • 「おともだち1」の片足が義足になっている。
以上の理由から、ファンからの評価は賛否両論であり、またそれゆえファンの間でもあまり目立たない存在と化している。
ゲームブックMOTHER 2―ギーグの逆襲
1995年、エニックス(後のスクウェア・エニックス)のレーベル「エニックス文庫」から、ゲームブック化され、出版された。

[編集] 外部リンク

  • MOTHER2 任天堂公式サイト

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