列車種別
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
列車種別(れっしゃしゅべつ)とは、特急・急行・各駅停車などの、停車駅を区別するために付けられた列車の種類のことである。鉄道会社によって名前の付け方は様々であり、それぞれの種別の性格も異なる。
1つの路線に何種類もの列車種別を設定している鉄道会社もあるが、それは各駅の利用者に対するきめ細かなサービスを行おうとする努力の表れである。反面、列車種別が多くなると、目的の駅に行くはどの列車に乗れば良いのか判り難くなるなど、利用者にとっては逆に使いにくくなるということもある。
目次 |
[編集] 列車種別の基本的な性格
列車種別は、利用客のニーズを鉄道の構造上の制約の中で最大限に満足させるために生まれた運行上の工夫から生じたものである。
移動する事を楽しむ観光列車やクルーズ船、ドライブといった特殊な例を除けば、輸送において利用客が望む事は、大きな身体的、経済的労苦を伴わずに、出発地から目的地までが最短、最速で結ばれるようになる事で、これは鉄道においても例外ではない。
この考えに基づけば、最適な鉄道の運行形態は、利用客が出発駅、到着駅とする各駅同士を、途中無停車で運行する列車を乗客の多寡に応じて運行することとなる。しかし、この方式は、輸送単位が大きく、列車の追い抜きの為に大規模な側線設備を必要とする鉄道においては全く実用的ではない。
また、鉄道の構造上の制約からいえば、線路上に設けられた全ての停車駅に順々に停車していくような運行形態は、複雑な信号設備や列車の追い抜きの為の側線設備を必要としないという点では有利である。しかし、これは利用者に著しい不便をもたらし、実際の停車駅において、利用者数に相当の違いが存在する事を考えると、鉄道経営上も利益をもたらさない。
ゆえに、両者の中間的な方法として、停車駅の少ない列車群と、多い列車群を分け、利用者のニーズと運行上の制約、経営的な効率性を同時に達成する方法が模索される。この時、列車群を分ける基準となるのが列車種別なのである。
なお、列車種別の代替的な方策としては、個々の列車の停車駅数は一定水準に留め、列車ごとに望ましい停車駅を決定、割り振っていく方法が考えられる。このような方式で停車駅が決められた列車は、ある区間では各駅停車のように各駅に停車し、別の区間では全く停車しないということもあったりする。こうした運行手法は、近年の韓国や長野新幹線、アメリカの通勤鉄道などで採用されており、阪神電気鉄道の初期の急行運転や西武鉄道池袋線の朝ラッシュ時などに行われている千鳥停車もその一種といえようが、利用客の誤乗の可能性や、望ましい停車駅を策定する事の難しさからそれほど一般的ではない。
列車種別は、鉄道が国の輸送の基幹を担う存在であった時代もあった関係で、法令に準じる厳格な規則の中で定められた事もあれば、現場の従業員の判断で便宜的に命名されたようなものもあり、定義の頑強性は一定していない。JRの普通列車のように、規則上の取り扱いと、実際の営業案内上の取り扱いが異なるケースもある。
列車種別の定義は、鉄道ファンの中でしばしば議論されるが、一般的には誤乗の問題などがあるものの容認されている。列車の速度は、停車駅間隔や地形、路盤、運行密度などの影響を強く受け、列車種別はその路線における相対的な速度を示す指標でしかないことがその要因であると考えられる。
列車種別は単なる運行上の区分に留まらず、その列車の設備の大まかな指標と受け取られたり、列車種別の設定が地域の繁栄の度合いと関連付けられたりする事がある。停車駅の少ない列車種別においては、特別の追加料金を取ることがある。これは元来は費用上の問題というよりは、料金の徴収のしやすさという観点で行われた措置であったが、車内設備もそれにあわせた他の列車とは区別されるようになっていった。
日本においては、特急列車は長い間特別な列車であったため、1960年代以降のダイヤ改正で特急列車が全国的に進出した事は、他方で、特別な存在としての価値を少なからず下げるものであったにも関わらず、経済発展の象徴として運行される各地域で歓迎されることとなった。
[編集] JRの列車種別
JRの列車種別は、大きく急行列車と普通列車とに分けられる。これは旧国鉄の名残である。
[編集] 急行列車
急行列車は、目的地まで速達する事を重視する列車として設定されている。また、そのことから、乗車の際に乗車券以外の料金を必要とする列車としている。
急行列車はさらに普通急行列車(単に「急行列車」・「急行」と呼ばれることが多い)と特別急行列車(「特急」)とに分けられる。
普通急行列車に乗るには普通急行券(券面には「急行券」とも表示される)が、特別急行列車に乗るには特別急行券(特急券)が必要となる。
[編集] 普通列車
急行列車以外の列車を普通列車という。普通列車は乗車券だけで乗ることができる。
但し、指定席に座るには指定席券、寝台車に乗るには寝台券、グリーン車に乗るにはグリーン券が必要となる。
これらは座席に対して料金を支払うものであり、速達輸送に対して料金を支払う普通急行券・特別急行券とは異なるものである。
また、「ライナー」と呼ばれる列車では乗車整理券・ライナー券が必要となる。
[編集] 快速列車
普通列車のうち、途中駅の一部に停車せず、速達輸送を行うものを快速列車という。
快速列車は、停車駅のパターンや運行時間などによって、色々な呼称がつけられている。
一部区間では快速と同じ停車駅に停車し、後は各駅に停車する区間快速、B快速、準快速、快速より停車駅が少ない特別快速、新快速、ラッシュ時のみ運転される通勤快速、休日のみ運転されるホリデー快速等が有り、同じ名前を名乗っていても、休日やラッシュ時には停車駅が変わるものもある。
また、東日本旅客鉄道の青梅特快・西日本旅客鉄道の大和路快速などの様にこれらの種別名に路線名や行き先・方面の地名が付けられた快速列車もある。
中には、東日本旅客鉄道の「湘南新宿ライン」のように、同じ「快速」で系統によって2種類の停車パターンがあったり、同じ区間を走る他の系統の列車と異なる停車パターンとなっていたりすることがある。また、常磐線では、最近まで、同じ線路を走る近郊列車の「快速」より中距離電車である普通列車のほうが停車駅が少なかった。 快速は、広義では普通列車にも、優等列車にも分類される。
[編集] 各駅停車
快速列車以外の普通列車は、「普通」または「各駅停車」(各停)と表示されているか、種別について特に何も表示されない。なお、普通列車の一部には通過駅のあるものもある。例えば、都市近郊で複々線となっている場合、過去を含め「(中距離電車である)普通列車」と「各駅停車」とが並立している場合がある。このとき、前者はホームがないことから名目上「通過」という事もある。そのほか、日中の需要が全く望めないような駅を通過する場合もある。
[編集] 日本のその他の鉄道会社の列車種別
列車種別は会社によってまちまちであるが、概ね特急、急行、快速、準急、普通(各駅停車)の順に停車駅が多くなっている。
ただし、京成電鉄押上線や神戸電鉄や東武鉄道など急行よりも快速の方が停車駅の少ない路線もある。
また、「通勤」・「区間」・「快速」・「準」などを頭に付けて、種別をさらに細分化している会社もある。
[編集] 特急
特急列車の運行形態として京王電鉄、東京急行電鉄、京浜急行電鉄、京阪電気鉄道、阪急電鉄、阪神電気鉄道、西日本鉄道など乗車券だけで乗れるものと、西武鉄道、小田急電鉄、近畿日本鉄道、長野電鉄などJRと同様に特急券が必要となるものとがある。
名古屋鉄道や南海電気鉄道では、他社と競合する線区(前者は名古屋本線と東海旅客鉄道東海道本線、後者は南海本線「サザン」と西日本旅客鉄道阪和線)では、旅客への着席サービスと速達サービスを兼ね、座席指定券の類を必要とする座席指定車と乗車券のみで乗車できる自由席車を混結し(両線共に朝夕の一部列車は全席指定とし着席サービスを優先させる)、その他の線区(前者は各務原線・広見線・犬山線 - 名古屋本線 - 常滑線・空港線・河和線・知多新線、尾西線・津島線 - 名古屋本線 - 西尾線があり、後者は空港特急「ラピート」・南海高野線(りんかんサンライン)「こうや」・「りんかん」がある)では、専用車両による全席指定の特急列車を運転している。
なお、南海本線では別に全車自由席の特急(停車駅はサザンと同じ)を運転しており、お盆などには高野線でも全車自由席特急が運転される。名鉄空港線では競合線区は無いが、基本的には昼間時に上位種別の快速特急のみ全車指定とし、特急は名古屋本線と同様の運転形態である。
東武鉄道の場合は、伊勢崎線系統(「りょうもう」)・日光線系統(「けごん」・「きぬ」)などの本線系統と東上線系統とで、特急券の有無が異なる。前者の場合、特急については専用車両を使用し、座席指定制の特別急行券を要するが、後者は一般車両を使用し、座席指定等は特に行っていない。
また、京成電鉄の場合は、ライナー用電車による「スカイライナー」系統には「ライナー券」と呼ばれる特急券が必要であるが、一般形電車による特急においては運賃のみで乗車できる。京成部内では前者を「特別急行(A)」、後者を「特別急行(B)」と呼称している。
- なお、以下の会社においては特急を基準に考えるとそれより停車駅を少なく、ないしは多い列車を運行している。
- 特急より停車駅が少ない列車を運行する会社と種別
- 特急より停車駅が多く、急行より停車駅が少ない列車種別を運行する会社。
- またかつての阪和電気鉄道(戦前のJR西日本阪和線を運営していた私鉄)などには、超特急という種別も存在した。
- 公営鉄道でも、東京都交通局(都営地下鉄)にてエアポート快特を運転している。
[編集] ライナー
ライナー(liner)とは1970年代以降に用いられる列車種別であるが、一般に「(特急)専用車両を使用して特別な料金(設定会社により、特急券と乗車整理券とに分かれる)を徴して速達する列車」を指す場合が多い。なお、列車名として「○○ライナー」と称する快速列車等も存在するが本節では先に挙げた定義によるものとする。
初出としては京成電鉄が1973年12月30日に運行を開始したAE形車両に「スカイライナー」の愛称を与え、それを使用した最速達列車に与えたものとされる。なお、派生系として通勤ライナーである「モーニングライナー」・「イブニングライナー」もあり、この系統は京成電鉄の"特急電車"よりも速達となっている。
しかし、1984年に旧国鉄は増収策の一環として東北本線上野駅~大宮駅間で夕刻の特別急行回送列車に乗車整理券を発行し客扱いを行なったのが緒とされるホームライナーは快速列車の延長とされ、東京・札幌など他の都市圏でも波及した。また、その継承会社であるJR各社やそれから分離したしなの鉄道でも運行されるようになった。1999年にJR東海が中央本線で運行を開始したセントラルライナーはこの援用であるが、昼間時に運行される点で従来のそれと異なった運行展開を行っている。
また、名古屋鉄道では1991年から1993年までの正月参拝客輸送の際、「特急」より劣る車両・設備を使用した座席指定列車に「ライナー」の種別を使用していた。詳しくは名鉄特急#ライナーを参照されたい。
[編集] 急行
急行列車の場合、JRでは急行列車に乗車するには急行券が必要だが、乗車券だけで乗れる鉄道会社が多い。しかし、東武日光線など、JRと同様に急行券が必要となるものもあったが、2006年3月18日ダイヤ改正により、種別が再編され急行が特急に統合され新たに無料の急行が設定された。
なお、特別急行列車も急行列車の一種と位置づけられるが、乗車に際して特別急行列車では別途料金がかかる、専用車両を用いるなど特別な列車と位置づけている場合には急行より上位の種別として、「快速急行」を運転している会社・線区もある。
しかし、山陽電気鉄道本線、京成本線、阪急京都本線では特急が運行されているが急行が運行されていない(京成本線の青砥~京成高砂間は運行している)。
山陽電気鉄道本線では1984年のダイヤ改正前までは急行が運転されていたが、速達化・利便化の為に特急と統合してしまい、廃止された。
京成本線では2002年のダイヤ改正前までは急行が運転されていたが、停車駅を減らし速達化するために快速に置き換えられ、廃止された。このため快速よりも急行の方が停車駅が多かった。
また、小田急電鉄では快速急行の登場までは別に料金を課さない最速達列車であったため、路線による差別化を計るために多摩急行を運転している。なお、同社ではかつて湘南急行も運行されていたが2004年12月11日より快速急行に格上げされた。
[編集] 準急
一部では、準急という列車が走っている。準急は、急行より停車駅が多い列車である。国鉄でも運行されていたが、急行列車に格上げされる形で運行が終了、廃止された。
私鉄においては、準急の停車駅のパターンは大別して3種類ある。1つめは、準急が運行される区間のうち一部区間では急行と同じ停車駅で運行しその区間外では各駅に停車するパターンであり、2つめは準急が運行される全区間において急行より少ない通過駅を設けるパターンであり、そして3つめはその中間的な形態即ち運行される区間のうち一部区間では急行より少ない通過駅を設けつつその区間外では各駅に停車するパターンである。ただし北陸鉄道石川線などの中小私鉄においては急行がなく準急が唯一の優等種別となっている場合もあり、こうした例は、急行と呼ぶには停車駅が多すぎる場合に「快速」と同じような感覚で準急の種別が用いられているようだ。
1つめの例としては東武伊勢崎線および東上線、2つめの例としては名古屋鉄道のうち名古屋本線および犬山線、3つ目の例としては神戸電鉄や阪神電鉄(下り列車)における運行が挙げられる。
なお、このうち最も多い類型は1つめのパターンであり、前述のほか、西武鉄道などで運行されている。
また、準急とは「準急行列車」の略ともいわれ、現在でも南海電気鉄道などでは、案内放送などで「準急行」を聴くことができる。
- 名古屋鉄道
[編集] 快速
JRでは快速列車は普通列車であるので、急行列車よりも下位の列車であるが、急行列車よりも停車駅が少ない場合もある。以下に事例を示す。
- 京成電鉄・東武鉄道などでは特急と急行の間に快速がある(東武鉄道は2006年3月18日改正前では、急行と通勤準急の間だった。現行では快速の下位に区間快速があり、その下位に急行がある)。
- 阪急電鉄では、1997年3月以降京都本線において、「快速」が運転されていたが、2001年3月のダイヤ改正で「急行」に名称変更のうえ廃止された。停車駅は急行より多く、準急よりも少なかった。
- 神戸電鉄では、急行より上位にあり、さらに上位の「特快速」がある。神戸電鉄の快速は英語で“Rapid Express”、特快速は“Special Rapid Express”となっている。
また、種別の頭に「快速」を付ける列車種別もある。その場合、元の種別よりより停車駅が少なく速い事を意味する。
- 京浜急行電鉄には快特(旧称:快速特急)という列車が走っている。
- 東京都交通局(都営地下鉄)にも、「エアポート快特」(旧称:「エアポート快速特急」)を設定している。
- 西武鉄道、小田急電鉄、名古屋鉄道、近畿日本鉄道、南海電気鉄道、阪神電気鉄道、西日本鉄道等では快速急行という列車が走っている。
- 阪急電鉄では、2001年3月から2007年3月まで京都本線において、それまでの「快速急行」を名称変更した「快速特急」が運転されていた。停車駅は現在の「特急」よりも少ない、またそれまでの「急行」を「快速急行」に名称変更して運転されている。
宝塚本線では、2003年8月から2006年10月までの間、「急行」よりも停車駅が少ない「快速急行」が運転されていたが、現在では運転を中止している。
神戸本線では「急行」よりも停車駅の少ない「快速急行」が運転されている。 - 小田急電鉄には、1960年代に昼間時に急行と準急の間の「快速準急」という列車が運行されていたが、1971年に「急行」に統合された。
なおJR九州では2004年3月13日より、快速列車よりも停車駅が多い列車として「準快速」の運転を開始した。同種別は、かつて東武鉄道にも存在した。
[編集] 高速・直行
「高速」とは名古屋鉄道と近畿日本鉄道にだけあった列車種別で、いずれも乗車券だけで乗車できた。共に有料特急列車が運行されており、その補完にあたる列車設定であった。
また近畿日本鉄道(ケーブルカー)・西日本鉄道では、「直行」という列車種別がある。直行は過去には南海電気鉄道(現在の準急)、京阪電気鉄道にも存在していた(現在の区間急行に相当)。
[編集] 区間種別
優等列車であるが、一部区間では各駅に停車となる列車。例として「区間快速急行」、「区間急行」、「区間準急」、「区間快速」等がある。英語表記は、東武鉄道や小田急電鉄の「区間準急」が「Section Semi Express」と表記されるのに対し、JR西日本は「Regional Rapid Service(R.Rapid)」、首都圏新都市鉄道の「区間快速」が「Semi Rapid」を使用するなど、社局によって差異がある。また、近畿日本鉄道などではSub -の表記が使われている(Subは、「近郊の」を意味するSuburbanの略)。
このような事例では、各駅に停車する区間については需要が少ない場合でその区間を通過する列車を設定しているが、地域輸送を担う列車を設定するほど需要が少ない、ないしはその区間の駅と列車始発駅周辺等一方向に需要が偏っていることから必ずしも地域輸送にのみ特化した列車を運行するのに適していない場合にこのような列車を設定する場合が多い。
例えば「区間急行」は、起点駅付近は急行と同じ駅に停車し、郊外は各駅に停車する事が多い。
いずれも「区間」がつかない列車より相対的に停車駅が多くなるのが一般的だが、阪神電気鉄道の「区間特急」は例外で特急より停車駅が少ない。これは実質的には「通勤特急」という意味の列車だが「通勤特急」という名称を使わず「区間特急」としたためである。
さらに京阪本線の区間急行は準急よりも停車駅が多い設定となっている(京成・東武の快速>急行の関係と同様)。
また、2006年3月18日の改正以前の東武伊勢崎線では、「区間準急」の内東京地下鉄半蔵門線との乗り入れ列車では、「準急」が停車する曳舟駅~北千住駅間の途中駅を全て通過していた。これは例えば東京地下鉄半蔵門線水天宮前駅~北千住駅間とほぼ同じ駅である東京地下鉄日比谷線人形町駅~北千住駅間との距離が大幅に異なる事で、速達性を高め混雑緩和と利用客の誘導をする役割を担っているためである。この区間準急は曳舟駅で準急を追い越した後せんげん台駅で追い越した準急に抜き返されるという珍しい運転方法であった。
- 現在は種別整理が行われ、改正以前までの通勤準急が急行に、準急が区間急行に、区間準急が準急に、停車駅は変わらずぞれぞれ改称され、新たに浅草発着の区間準急も新設された(停車駅は北千住~新越谷間のみ準急停車駅に停車し、それ以外の区間は各駅に停車する)。北千住以北の停車駅は区間急行は急行と、区間準急は準急とそれぞれ同一である。
また、列車種別に「区間」を冠さずに中間区間で各駅に停車する場合もある。 この様な事例として、小田急小田原線の急行では本厚木駅~新松田駅間は各駅に停車するが、新宿駅~本厚木駅間は通過駅を有し、新松田駅~小田原駅間では無停車となる列車もある。
なお、「区間○○」という種別を作っていないが、優等列車が終着駅に到着後、その列車がそのまま各駅停車としてその先まで行くことで「区間○○」と同様の運行形態をとっている場合もある。 このような場合、ダイヤグラムや時刻表等で列車番号を見ると別列車扱いとしている場合が多く、列車運行上利用客の便を図るために1本の列車として取り扱うためである。 このような例として、小田急小田原線で運行されている急行相模大野行きの一部が相模大野駅より「各駅停車本厚木行き」等として運行される。
また、名古屋鉄道においても、朝夕はもちろんのこと、日中においても、名古屋近郊では急行列車として運転し、支線に入ると普通列車に種別を変え直通運転する列車が多数存在する。また犬山線には「準急」という種別が存在するが、常滑線・空港線・河和線・知多新線には存在しないため、名鉄名古屋駅・神宮前駅で「準急」と「急行」の種別が変わるといった例も存在する。旅客へ案内する際には、必ず最終の行先と途中駅で種別が変わることを告げ、それは自動放送・時刻表・発車案内板でも同様に案内する。
[編集] 通勤種別
朝夕のラッシュ時のみ運転される、通勤・通学客向けの列車で、「通勤特急」、「通勤特快」、「通勤急行」、「通勤快速」などがこれにあたる。たいていの列車の場合、別途料金がかからない列車で運行されるが、JRにおいて定員制列車であるホームライナーが運行されてきたことで、他の鉄道でも有料列車の中にはこのような運行系統を有するものもある。
「通勤」が付かない列車より停車駅が多いか少ないかは、会社・路線によって異なる。また、会社によっては「通勤」という称を冠しない場合もある。
なお、「通勤」種別に対し「行楽」種別は2006年現在存在しないが、「ホリデー快速」が同類の列車といえる。
- かつての東急田園都市線における「通勤快速」
- 田園都市線では、現在は「急行」と「準急」が優等列車として運行されているが、その原型は「通勤快速」である。設定当初、快速も存在しなかったが、朝ラッシュ時のみに、「通勤快速」として速達列車が設定された。これは、「快速」とか「急行」と称してしまうと、停車駅の変更ができなくなる恐れがあることを考慮したものである。当時、田園都市線沿線は開発中で、各駅の乗降人員の予測が外れる恐れがあった。他には例を見ない通勤種別である。
- 京王線における通勤種別
- 西武池袋線における通勤種別
- 東武東上線における「通勤急行」
西武池袋線の通勤急行・通勤準急、東武東上線の通勤急行のように、上位の種別が停車する駅を通過することを、停車駅が互い違いになることから千鳥停車という。
- 京成電鉄における「通勤特急」
- 京阪電気鉄道京阪本線においては「通勤特急」の名称を使用せず、同様の列車として「K特急」が運行されている。なお、停車駅については「特急」の停車駅に比べ2駅(枚方市駅・樟葉駅)少ない。但し、朝ラッシュ時の淀屋橋駅行きは枚方市駅にも停車するが、それでも「特急」の停車駅に比べると1駅少ない。
- 阪急電鉄では路線によって役割が異なる。京都本線における「通勤特急」は「特急」が停車する淡路駅・茨木市駅を通過し、「特急」が通過する西院駅・大宮駅に停車する千鳥式停車になっている。一方の神戸本線における「通勤特急」は「特急」の停車駅に塚口駅を加えたものとなっている。また、神戸本線・宝塚本線には「通勤急行」という種別が存在し、神戸本線では「急行」の停車駅に武庫之荘駅を加えたものになっているのに対し、宝塚本線では(現在は)「急行」の停車駅から蛍池駅を除いたものとなっている。宝塚本線には、その他にも「通勤準急」という種別もある。これは現在では「準急」の停車駅から中津駅、曽根駅、岡町駅を除いたものとなっている。
- 阪神電気鉄道本線においては「通勤特急」の呼称を使わず、同様の列車として「区間特急」が運行されている。この列車は「特急」の停車駅である御影駅、魚崎駅、西宮駅、尼崎駅を通過する一方、特急が通過する青木駅、香櫨園駅、甲子園駅に停車するという、千鳥停車方式を取っている。
- 南海電気鉄道本線においては「-急行-」(白線急行)が運行されている。この列車は通常の急行停車駅に加えて春木駅に停車する列車である。(通勤時間帯のみに運行されるのではなく、終日運行されていた)また、かつては「赤準急」も運行していた。(詳しくは南海本線の列車種別を参照)