フィデリオ
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フィデリオ作品72（Fidelio Op. 72）は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが作曲した唯一のオペラである。原作はジャン・ニコラス・ブイイにより、ドイツ語台本はヨーゼフ・ゾンライトナーおよびゲオルク・フリードリヒ・トライチュケによる。主人公レオノーレが「フィデリオ」という名で男性に変装して監獄に潜入し、政治犯として拘留されている夫フロレスタンを救出する物語。
目次 |
[編集] 概要
この作品は、ベートーヴェンの作品群の中でも特に難産に見舞われた作品のひとつであり、成功を収める版が完成するまでに何度も書き直しがなされている。
このオペラはベートーヴェン中期の代表作に挙げられる。ブイイの原作の英雄主義的な性格や、当時のヨーロッパの知識人層に浸透しはじめていた自由主義思想へのベートーヴェン自身の強い共感を背景として、英雄的な中期の作風が存分に反映されている。
ベートーヴェンの声楽曲によくあることだが、このオペラも歌手にとっては必ずしも歌いやすい音楽ではない。特に、レオノーレとフロレスタンのパートを歌うには高度な技術を要し、そうでなければ要求された緊張感を表現することは到底不可能である。このため、これらの配役を見事に演じた歌手は賛美の的となる。
囚人達の合唱、政治犯達の自由を謳う合唱、フロレスタンがレオノーレを助けにきた場面、そして救出が成功した場面などは、特筆に価する。最後は、ソリストや合唱が代わる代わるレオノーレの勝利を讃えて、フィナーレを迎える。
[編集] 作曲の経緯
[編集] 『レオノーレ』第1稿
役人だった頃、トゥーレーヌで起こった事件を元に書き上げられたブイイのこの原作で作曲されたオペラとしては、ベートーヴェンより先に1798年にピエール・ガヴォーによる『レオノール』、次いで1804年にドレスデンで初演されたフェルディナンド・パエールによる『レオノーラ』がある。これと前後して、ウィーンの主要歌劇場を手中に収めたブラウン男爵が腹心のゾンライトナーに原作をドイツ語に翻訳させ、ゾンライトナーを通じてベートーヴェンに作曲を依頼した。何度も書き直すなどの苦労もあったが、だいたい1年ぐらいで完成され、初演は1805年10月15日に内定した。
ところが、ナポレオン軍がウィーンに迫った（11月13日に占領）影響で、初演日は11月20日に繰り下げられた。ベートーヴェンは『レオノーレ』というタイトルでの上演を主張したが、前記2作との混同を避けるため、結局劇場側の推す『フィデリオ』のタイトルで、アン・デア・ウィーン劇場でベートーヴェン自身の指揮により3日間上演された。しかし、何人かベートーヴェンの友人と新聞記者を除けば観客の大半がフランス軍兵士であり、ドイツ語を理解できる兵士がいなかったこともあり大失敗に終わっている。
[編集] 『レオノーレ』第2稿
この初演ののち、ベートーヴェンは友人の勧めに従ってこのオペラを改訂することを決める。シュテファン・ヴァン・ブロイニンクの協力を得て、『レオノーレ』を2幕のオペラへと改作し、さらに序曲も新しいものへの差し替えを行った。改訂は1805年暮れ頃から年明けにかけて行われ、1806年の3月29日にリッター・イグナーツ・ザイフリートの指揮により初演、4月10日に再演され、いずれも成功を収めた。しかし、ベートーヴェンとブラウン男爵との間の金銭トラブルから、それ以上は公演されなかった。このときの公演でもベートーヴェンのタイトル案『レオノーレ』は受け入れられなかった。
[編集] 『フィデリオ』
第2初演のあと、1810年に『フィデリオ』の楽譜が出版され、しばらく上演されることもなかったが、1810年頃からベートーヴェンの作品（例えば「ウェリントンの勝利」）が人気を博すようになり、ウィーンの劇場主や人気歌手がその人気に便乗しようとベートーヴェンに『フィデリオ』上演を盛んに打診するようになった。その中で、主要歌劇場ケルントナートーア劇場（ケルントネル門劇場）の運営を任されていたトライチュケの申し入れをベートーヴェンが台本の改訂を条件として受け入れ、同時に音楽の改訂も行われた。改訂は1814年3月から5月の2ヶ月間に行われ、この際、タイトルも『レオノーレ』を強く推す事を止め、『フィデリオ』を受け入れることとなった。1814年5月23日に初演され、当時ベートーヴェンは難聴が急速に進んでいたが、ミハエル・ウムラウフの手助けを借りながら自分自身で指揮をした（1823年に行われたウィーン再演や、その翌年の『第九』の初演もこのコンビで行われた）当時17歳だったシューベルトも教科書を売り払ってまでしてチケット代を捻出し、これを聴きに訪れている。ちなみに、このときのピツァロ役はヨハン・ミハエル・フォーグルで、彼は後に「シューベルティアーデ」を通じてシューベルトと深い友情を結ぶことになる。序曲は、初演当時は作曲が間に合わず『アテネの廃墟』序曲で代用されたが、5月26日の上演から『フィデリオ』序曲を付して上演され、以後ウィーン会議のために来訪した諸侯のための上演を含め、1814年中に何度も上演された。
最終的に、この版は大成功を収めて、以後『フィデリオ』は重要なオペラのひとつとして知られるに至っている。
Beethoven cannot be said to have enjoyed the difficulties posed by writing and producing an opera. In a letter to Treitschke he said, 'I assure you, dear Treitschke, that this opera will win me a martyr's crown. You have by your co-operation saved what is best from the shipwreck. For all this I shall be eternally grateful to you.'
このオペラは3つの版ともに作品72として出版された。
[編集] 上演史
[編集] 欧米
ウィーンでの第3初演後、一番早く「フィデリオ」の海外初演が行われたのは1814年11月21日のプラハで、指揮はカール・マリア・フォン・ウェーバーであった。ウェーバーは1823年4月29日のドレスデン初演も指揮するなど、「フィデリオ」の普及に影ながら尽力した（ベートーヴェンはウェーバーに感謝の手紙を書いている）。1815年にはベルリン宮廷歌劇場でカール・グラーフ・フォン・ブリュール（モーツァルトの「魔笛」の上演などドイツ語オペラの普及に尽力）の指揮によりベルリン初演が行われ、1816年にはブダペストと文化都市ヴァイマルで、1818年にはリガ、1819年にはサンクトペテルブルクで初演が行われた。1820年代以降になるとパリなどでも上演されるようになり、さらに海を渡って1832年5月18日にはロンドンのヘイマーケット劇場で、1839年9月9日にはニューヨークでも初演された。19世紀が終わるまでには欧米の主要歌劇場で上演されるようになった一方で、スカラ座では1927年4月7日になって初めて上演されたが（指揮はアルトゥーロ・トスカニーニ）、不成功に終わった。
アメリカでは最初は評判が芳しくなかったが、アントン・ザイドルが1884年にメトロポリタン歌劇場において初めてドイツ語で上演（それまでは英語での上演。第二次世界大戦前後の頃も英語で上演）して以降は人気レパートリーとなった。メトでは主にワーグナー歌手が主役を務めた。
歌劇場と並んで、「フィデリオ」を盛んに上演しているのがザルツブルク音楽祭である。ベートーヴェン没後100年の1927年にフランツ・シャルクの指揮によって初めて取り上げられて以来、戦前期にはリヒャルト・シュトラウス、クレメンス・クラウス、トスカニーニ、ハンス・クナッパーツブッシュが、戦後にはヴィルヘルム・フルトヴェングラー、ヘルベルト・フォン・カラヤン、カール・ベーム、ロリン・マゼール、ゲオルク・ショルティら名指揮者・大指揮者が指揮をしている。
元来台詞つきのオペラであるが、台詞をカットした上演もしばしば行われている。古くはトスカニーニ・NBC交響楽団による上演（1944年）、最近ではサイモン・ラトルによる上演がある。
[編集] 日本
日本初演は、通説では1935年6月5日に近衛秀麿指揮の新交響楽団第157回定期演奏会に於ける演奏会形式による上演が初演とされているが、それより先の1927年3月26日（ベートーヴェン没後100年の当日）に、JOAKの放送歌劇で不完全な形ながらも上演されている。その後、1943年12月27日には藤原歌劇団により日本語による舞台初演が行われている（指揮はマンフレート・グルリット）。翌1944年2月27日に大阪・北野劇場で行われた同曲の上演が、戦前戦中通じての日本での最後のオペラ上演となった。
日本における「フィデリオ」上演のハイライトは、1963年10月のカール・ベーム指揮ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団・合唱団による日生劇場杮落しの上演である。ディートリヒ・フィッシャー＝ディースカウ、クリスタ・ルートヴィヒ、ジェームズ・キング、ヨゼフ・グラインドル、グスタフ・ナイトリンガーらが出演し、後世に語り継がれる名舞台となった（以前はライヴ録音のCDも発売されていた）。
[編集] その他
先述の日生劇場もそうだが、「フィデリオ」は「アイーダ」と並んで杮落しなどの記念公演でよく上演される。例えば、1955年11月15日に行われたウィーン国立歌劇場再建記念公演（指揮はベーム）がそうであるし、ベルリン・ドイツ・オペラも「フィデリオ」で歴史をスタートさせた歌劇場である。
一方で負の歴史もある。ドイツ第三帝国時代には「ドイツ精神を高揚するオペラ」として盛んに上演された。トーマス・マンは、内容的にはナチの思想に合致しないはずの「フィデリオ」が、ナチ支配下で盛んに上演された不思議さを友人に書き送っている。
[編集] 原典版での上演
第3初演版が出版されてからは専らそれによる上演が行われていたが、早くも1850年頃にベドルジハ・スメタナらが第1初演版による上演を試みている（実現はしなかった）。その後、初演100年に当たる1905年にリヒャルト・シュトラウスが第1初演版を上演した。第1初演版による上演の一大転機はジョン・エリオット・ガーディナーによる、ザルツブルク音楽祭での第1初演版をベースにした独自の版での上演である。ガーディナーの言によれば「現存する第1初演版の楽譜では不完全な部分が多々あるので、第2初演版なども参照して構成した」。なお、第1初演版と第3初演版の間に挟まれる第2初演版による上演もたまに行われており、2005年3月19日にはクリスティアン・アルミンク指揮の新日本フィルハーモニー交響楽団によって、第2初演版の日本初演が行われた。
[編集] フィデリオ序曲
ベートーヴェンは『フィデリオ』への序曲を作曲するにあたり何度も推敲を重ねたため、「フィデリオ序曲」（あるいは「レオノーレ序曲」）には4つもの版が混在している。
1つ目のものは、『レオノーレ』第1稿の初演に使用された序曲であり、現在レオノーレ序曲第2番として知られているものだと考えられている。
2つ目のものが、『レオノーレ』第2稿の初演に使用された序曲で、現在レオノーレ序曲第3番として知られている。この版は4つの序曲のうち現在もっともよく知られており、また同時に最も高く評価されている版でもある。しかし、この版はオペラへの序曲とするにはあまりにも音楽的な内容が濃密に過ぎ、実用的な軽い音楽への改訂を要する結果となった。この序曲は現在では演奏会用序曲として、オーケストラのコンサートなどの前プロで演奏されることが多い。
ベートーヴェンは続いて、1807年のプラハでの上演に向けて再び序曲を書き直し、これが「レオノーレ序曲」の第3稿であり、現在レオノーレ序曲第1番として知られているものだと考えられている。
最後の版は、『フィデリオ』のために作曲されたもので、これが現在フィデリオ序曲として知られている曲である。調性上の理由や軽快な曲想から、4つの版のうち最もオペラの序曲に適している。
[編集] 「レオノーレ」序曲第3番の扱いについて
マーラーは1904年に「フィデリオ」を指揮した際、第2幕第2場への序曲として「レオノーレ」序曲第3番を演奏し、賛否両論を巻き起こした。反対派の意見としては「表現力が壮大すぎて、終幕の力を弱めてしまう」といったものが多かった。一方で、演出面からすれば、第2幕の第1場と第2場では場面が明らかに違うので、場面転換のためにも必要という意見も多かった。もっとも、マーラー存命時～死後しばらくはこの方法は定着しなかった。
この習慣が定着しだしたのは1930年代になってからである。マーラーのやり方に賛同したフルトヴェングラーは次のように述べている。
「たった１カ所「レオノーレ」序曲第３番が演奏されるのに相応しい場所がある。それはまた、マーラーによって打ち出されたウィーンの伝統に従うことにもなるのだが、それは第２幕の長い「牢獄の場」が終わったところである。この箇所に「レオノーレ」序曲を置くならば、それは「神々の黄昏」でジークフリートの死に続く「葬送行進曲」が占めるのと同じような意義を獲得するであろう。序曲は過去への追憶となり讃美となるのである。」（"Ton und Wort, Aufsätze und Vorträge, 1918 bis 1954"より）
今でもマーラーのやり方で上演する指揮者もいる。ただし、この場面でこの序曲を使用すると、救出の場面を繰り返してしまうことになり、話の流れが乱れてしまうという意見も多い。最近では、上演で「レオノーレ」序曲第3番を演奏しない指揮者も多い。
[編集] 配役・編成
[編集] 声楽
| 1805年の第1稿の初演 （ベートーヴェン指揮） |
1814年の最終稿の初演 （ウムラウフ指揮） |
||
|---|---|---|---|
| フロレスタン（囚人） | テノール | フリードリッヒ・クリスティアン・デンマー | Radichi |
| レオノーレ（フロレスタンの妻） | ソプラノ | アンナ・ミドラー | アンナ・ミドラー-ハウプトマン |
| ロッコ（刑務所員） | バス | ローテ | カール・フリードリッヒ・ヴァインミュラー |
| マルツェリーネ（ロッコの娘） | ソプラノ | ルイス・ミュラー | テレーザ・ボンドラ |
| ヤキーノ（ロッコの補佐官） | テノール | Caché | フリューヴァルト |
| ドン・ピツァロ（刑務所長） | バリトン | ゼバスティアン・マイヤー （モーツァルトの義理の兄弟） |
ヨハン・ミヒャエル・フォーグル |
| ドン・フェルナンド（大臣） | バス | ヴァインコプフ | イグナツ・ザール |
| そのほか、戦士達、囚人達、街の人々。 | |||
なお、1806年の第2稿の初演のときのキャストは、フロレスタン役のヨーゼフ・アオグスト・レッケル以外は第1稿の初演と同じである。
[編集] 管弦楽
このほか、舞台上にもトランペット奏者が配置される。
[編集] あらすじ
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
舞台は16世紀末、スペインのセビリャから数キロメートルほどのところの刑務所。
[編集] 第1幕
Jaquino and Marzelline are alone. Jaquino asks Marzelline when she will agree to marry him, but she says that she will never marry him now that she has fallen in love with Fidelio (Jetzt, Schätzchen, jetzt sind wir allein ["Now, darling, we are alone"]). Jaquino leaves, and Marzelline expresses her desire to become Fidelio's wife (O wär ich schon mit dir vereint ["If only I were already united with thee"]). Rocco and Jaquino enter, looking for Fidelio. Fidelio, who is Leonore in disguise, enters carrying a heavy load of newly repaired chains. Rocco compliments Leonore on her skill, and misinterprets her modest reply as hidden attraction to his daughter. Marzelline, Leonore, Rocco, and Jaquino sing a quartet about the love Marzelline has for Fidelio (Mir ist so wunderbar ["A wondrous feeling fills me"]). Rocco tells Leonore that as soon as the governor has left for Seville, she and Marzelline can be married. He tells them, however, that unless they have money, they will not be happy. (Hat man nicht auch Gold beineben). Leonore says that she wants something else at least as much as money: To know why Rocco will not permit her to help him in the dungeons when he always comes back out of breath. Rocco says that there is a prison where he can never take her, and inside is a man who has wasted away for two years because of his powerful enemies. Marzelline begs her father to keep Leonore away from such a terrible sight. Instead Rocco and Leonore sing of courage (Gut, Söhnchen, gut), and soon Marzelline joins in their acclamations.
All but Rocco leave. A march is played as Pizarro enters with guards. Rocco gives Pizarro a message with a warning that the minister plans a surprise visit tomorrow to investigate accusations that Pizarro is a tyrant. Pizarro exclaims that he cannot let the minister discover the imprisoned Don Florestan, who has been thought dead. Instead, Pizarro will murder Florestan (Ha, welch ein Augenblick! ["Hah! What a moment!"]). Pizarro orders that a trumpet be sounded at the minister's arrival. He offers Rocco money to kill Florestan, but Rocco refuses (Jetzt, Alter, jetzt hat es Eile!), and instead Pizarro orders Florestan to dig a grave in the ruined well in the dungeons. Leonore has seen Pizarro plotting, but has not overheard what he said. She is agitated, but thoughts of her husband calm her down (Abscheulicher! Wo eilst du hin? . . . Komm, Hoffnung, lass den letzten Stern).
Jaquino begs Marzelline to marry him, but she refuses. Leonore, hoping to find Florestan, asks Rocco to let the poor prisoners roam in the garden and enjoy the beautiful weather. Marzelline also begs him, and Rocco agrees to distract Pizarro while the prisoners are set free. The prisoners, overjoyed at their freedom, sing joyfully (O welche Lust), but, remembering that they could be caught, are soon quiet. Rocco reenters and tells Leonore of his success with Pizarro: Pizarro will allow the marriage, and Leonore will be permitted to join Rocco on his rounds in the dungeon (Nun sprecht, wie ging's?). They prepare to go to the cell of a poor man who, says Rocco, must be killed and buried within the hour. Leonore is so shaken that Rocco tries to persuade her to stay behind, but she insists on coming. As they prepare to leave, Jaquino and Marzelline rush in and tell Rocco to run: Pizarro has learned that the prisoners are free, and he is furious (Ach, Vater, Vater, eilt!). Before they can move, Pizarro enters and demands an explanation. Rocco pretends that they are celebrating the King's naming day, and suggests quietly that Pizarro save his anger for the prisoner in the dungeons below. Pizarro tells him to hurry and dig the grave, then announces that the prisoners will be shut in again. Rocco, Leonore, Jacquino, and Marzelline reluctantly usher the prisoners back to their cells.
[編集] 第2幕
Florestan is alone in his cell, deep inside the dungeons. He sings first of his trust in God, then has a vision of Leonore coming to save him (Gott! Welch Dunkel hier! ["God! What darkness here"]. . . In des Lebens Frühlingstagen ["In the spring days of life"]). He collapses and falls asleep. Rocco and Leonore come to dig his grave and find him asleep. As they dig Rocco urges Leonore to hurry (Wie kalt ist es in diesem unterirdischen Gewölbe! ["How cold it is in this underground chamber"] ... Nur hurtig fort, nur frisch gegraben). Florestan awakes, and Leonore recognizes him. He asks that a message be sent to his wife, Leonore Florestan, but Rocco says it's impossible. Florestan begs for a drop to drink, and Rocco tells Leonore to give him one. Florestan does not recognize Leonore, and tells her she will be rewarded in Heaven (Euch werde Lohn in bessern Welten). She begs Rocco to be allowed to give Florestan a crust of bread, and he agrees. Florestan eats.
Pizarro appears and asks if everything is ready. Rocco says that it is and tells Leonore to leave, but instead she hides. Pizarro reveals his identity to Florestan, who accuses him of murder (Er sterbe! Doch er soll erst wissen ["Let him die! But first he should know"]). As Pizarro brandishes a dagger, Leonore leaps between him and Florestan and declares that before he kills Florestan, Pizarro must first kill his wife. Pizarro delights in the chance to kill both of them, but Leonore produces a pistol.
Just then the trumpet is heard, announcing the arrival of the minister. Jaquino enters, followed by soldiers, to announce that the minister is waiting at the gate. Rocco tells the soldiers to escort Governor Pizarro upstairs. Florestan and Leonore sing to their victory as Pizarro declares he will have revenge and Rocco expresses his fear of what is to come (Es schlägt der Rache Stunde). Together, Florestan and Leonore sing a love duet (O namenlose Freude!).
Here Overture to Leonore No. 3 is sometimes played.
The prisoners and townsfolk sing to the day and hour of justice which has come (Heil sei dem Tag!). The minister, Don Fernando, announces that tyranny has ended. Rocco enters, with Leonore and Florestan, and he asks Don Fernando to help them (Wohlan, so helfet! Helft den Armen!). Rocco explains how Leonore disguised herself as Fidelio to save her husband. Marzelline is shocked. Rocco describes Pizarro's murder plot, and Pizarro is led away to prison. Florestan is released from his chains by Leonore, and the crowd sings the praises of Leonore, the loyal savior of her husband (Wer ein holdes Weib errungen).
[編集] 評価
『フィデリオ』は、ベートーヴェン贔屓には好んで聴かれているが、オペラそのものが好きな聴衆はそれほど高く評価しているわけではい。というのも、ベートーヴェンは主要登場人物を誇張して描き英雄へと仕立て上げたが、それらの人物像は陰影に欠けた深みのないものに終始してしまっているのである。音楽は作曲者の中期の交響曲の様式によるが、それがときに話の流れを阻害してしまっている部分もある。したがって『フィデリオ』は、音楽としては偉大だがオペラとして見ると、単にオペラの形式を借りただけに過ぎないと言うこともできる。この点で、モーツァルトやヴェルディのオペラのような、総合芸術として成功している作品よりもやや劣ると見なされる。
Conductor Wilhelm Furtwängler alludes to these general points in remarks he made in Salzburg in 1948, not long after the end of World War II and fall of Nazism:
- "[T]he conjugal love of Leonore appears, to the modern individual armed with realism and psychology, irremediably abstract and theoretical.... Now that political events in Germany have restored to the concepts of human dignity and liberty their original significance, this is the opera which, thanks to the music of Beethoven, gives us comfort and courage.... Certainly, Fidelio is not an opera in the sense we are used to, nor is Beethoven a musician for the theater, or a dramaturgist. He is quite a bit more, a whole musician, and beyond that, a saint and a visionary. That which disturbs us is not a material effect, nor the fact of the 'imprisonment'; any film could create the same effect. No, it is the music, it is Beethoven himself. It is this 'nostalgia of liberty' he feels, or better, makes us feel; this is what moves us to tears. His Fidelio has more of the Mass than of the Opera to it; the sentiments it expresses come from the sphere of the sacred, and preach a 'religion of humanity' which we never found so beautiful or necessary as we do today, after all we have lived through. Herein lies the singular power of this unique opera.... Independent of any historical consideration ... the flaming message of Fidelio touches deeply.
- "We realize that for we Europeans, as for all men, this music will always represent an appeal to our conscience."
[編集] 外部リンク
- Opera Guide Synopsis - Libretto - Highlights
- Opera in a nutshell" Soundfiles (MIDI)
- Performance history, from Opera.stanford.edu
- Program notes from "Apollo's Fire", reporting the tale about Schubert selling his school books to attend the premiere. The source is Schubert's friend Moritz von Schwind.
[編集] 参考文献
- 菅野浩和「ベートーヴェン 歌劇「フィデリオ」」『カール・ベーム指揮ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団・合唱団 ベートーヴェン 歌劇「フィデリオ」』ライナーノーツ、ポニーキャニオン、1989年。
- 前田昭雄「歌劇《フィデリオ》」『作曲家別名曲解説ライブラリー③ベートーヴェン』音楽之友社、1992年、ISBN 4-276-01043-8
- 吉田光司「「フィデリオ」について」「「フィデリオ」物語と音楽」」『ハンス・クナッパーツブッシュの芸術 4 ベートーヴェン 歌劇「フィデリオ」』ライナーノーツ、ユニバーサルビクター、1997年。
- 平野昭・土田英三郎・西原稔編著『ベートーヴェン事典』東京書籍、1999年、ISBN 4-487-73204-2
- 渡辺護「《フィデリオ》上演の歴史」『ベートーヴェン事典』
- 増井敬二著・昭和音楽大学オペラ研究所編『日本オペラ史』水曜社、2003年、ISBN 4-88065-114-1
カテゴリ: ベートーヴェンの楽曲 | オペラ作品
