御殿場市
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御殿場市(ごてんばし)は、静岡県の東部に位置し、富士山周辺や箱根観光への交通拠点の高原都市である。気候は標高が高いので冷涼で降水量が多い。
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[編集] 概要

御殿場市は富士山のふもとにあり市街地の標高は250m~600m(市役所は450m)ぐらいである。気候は冷涼多雨で年平均気温は12.9℃、年平均降水量は3433mmとなっている。湿度が高く霧が発生することも多い。冬は静岡県内の都市では珍しく雪が降ることが多い、一方、夏は涼しく熱帯夜が観測されたことはない。なだらかに傾斜した土地は主に水田などに利用され、のどかな景観をつくっている。
富士登山の拠点として栄え、1889年の東海道線(現御殿場線)開通以降は避暑地としても発展した。東名高速道路開通で工業の進出も盛んになった。
1912年には陸軍が演習場を開設し、軍隊の町という性格も帯びるようになった。現在も陸上自衛隊の3つの駐屯地(板妻、駒門、滝が原)と本州最大の演習場である東富士演習場、また、在日米軍海兵隊のキャンプ富士営舎地区があり、市域の3分の1が防衛関連で利用されている。
避暑地としての性格も健在で、市内にはゴルフ場が点在し、三井住友VISA太平洋マスターズの大会が毎年開催される。また、日本最大級のアウトレットモールである御殿場プレミアムアウトレットがある。
[編集] 地理
静岡県の東部に位置する。西の富士山、東の箱根山、北の丹沢山地、南西の愛鷹山に囲まれた平らな土地に御殿場市は位置する。丹沢山地や愛鷹山の麓はそれぞれ小山町北郷地区・須走地区と裾野市須山地区になっているが、地形的には一体化している。南側は駿河湾に向かって開けている。市域は西から、富士山とその裾野、平地、箱根山の斜面にわけられる。
市域南部は駿河湾へ注ぐ狩野川水系の黄瀬川、北部は相模湾へ注ぐ酒匂川水系の鮎沢川の流域になっている。二つの川の分水嶺はおおむね御殿場駅付近である。
東山湖という灌漑用溜め池がある。現在は魚釣りに利用されている。
[編集] 歴史
- 奈良時代、東海道足柄路の「横走」駅が御殿場市から小山町竹之下のあたりにあったらしい。
- 平安時代後期、1100年頃伊勢神宮の荘園「大沼鮎沢御厨」があった。これ以降、御殿場市や小山町あたりを御厨(みくりや)と呼ぶ。
- 江戸時代、小田原藩領になる。
- 1707年(宝永4年) 富士山が噴火し壊滅的な被害を受ける。小田原藩では対処しきれないため幕府領になる。後に小田原藩領に戻る。
- 1868年(慶応3年) 駿府藩(静岡藩)になる。
- 1871年(明治4年) 静岡県になる。
- 1889年(明治22年)2月1日 東海道本線(現在の御殿場線)開通。御殿場駅開設。
- 1889年(明治22年)4月1日 町村制施行により駿東郡御厨町、富士岡村、原里村、印野村、玉穂村、高根村誕生。
- 1914年(大正3年) 御厨町を御殿場町に改称。
- 1934年(昭和9年)12月1日 丹那トンネルが開通し、東海道本線のルートが熱海駅経由に変更。これにより、一時的に人口流出現象が起こる。
- 1955年(昭和30年)2月11日 駿東郡御殿場町、富士岡村、原里村、印野村、玉穂村の対等合併により御殿場市誕生。
- 1956年(昭和31年)1月1日 御殿場市が駿東郡高根村を編入。
- 1957年(昭和32年)9月1日 御殿場市が駿東郡小山町の古沢地区を編入。
- 1969年(昭和44年)5月26日 東名高速道路御殿場IC開設。
[編集] 地名
1617年に亡くなった徳川家康の遺体を久能山東照宮から日光東照宮へ移送する際に仮の御殿を建てて、遺体を安置したところから「御殿場」という地名は生まれた。御殿の位置は御殿場高校そばの吾妻神社付近だったとされている。御殿建設の際に各地から職人が集められ、御殿場市御殿場付近の町「御殿新村(御殿場村)」が形成された。
明治時代になり、町村制(明治の大合併)に対応して御殿場村と周辺の集落が合併する際に新しい町の名称として「御殿場町」とする案が挙がった。しかし、他の村に配慮して、古来からの一帯の名称である「御厨町」が採用された。御厨町誕生時にすでに御殿場駅や御殿場郵便局が開業していたこと、県内に磐田郡御厨村・南御厨村が存在していたことなどから、ほどなくして知名度が高い御殿場町に改称された。
御殿場市のローマ字表記はヘボン式のGotembaと訓令式のGotenbaが使われ、統一されていない。御殿場市の公式サイトではGotembaとしている。
[編集] 行政
[編集] 市役所・支所と財産区
市役所のほかに各地区に支所と財産区が設置されている。富士山麓の広大な原野は古くから周辺の村々の入会地として利用されてきた。明治時代以降、これらの土地は町村制によって成立した町村の共有地、後に所有地として引き継がれた。昭和の大合併に際し、これらの町村有地は合併新市ではなくて、地元で管理したいという意向が出されたことから、御殿場町、富士岡村、原里村、玉穂村、印野村の五町村は合併の条件として財産区を設置し、財産区が引き続き土地を管理することを決定した。こうして、御殿場市発足時、御殿場、原里、玉穂、印野の各財産区が設置され、町村有地が引き継がれた。富士岡村はあまり村有地がなかったことから、財産区を設置しなかった。後に高根村編入時も同じように財産区が設置された。財産区は東富士演習場の賃借料を主な収入としている。
財産区は独自の議会を持ち、地区内の道路や運動場整備を行っている。財産区が地方自治法の定めるところにより、これらの事業を直接行うことができないことから、財産区が市に費用を繰り出し、市の事業として行われる。支所長(富士岡支所を除く。支所のない御殿場地区は地域振興センター所長)の選任には財産区議会の意見が反映され、支所長の給与は市と財産区が半分ずつ負担している。
- 御殿場地区:御殿場市役所、御殿場財産区
- 富士岡地区:富士岡支所、財産区はなし
- 原里地区:原里支所、原里財産区
- 玉穂地区:玉穂支所、玉穂財産区
- 印野地区:印野支所、印野財産区
- 高根地区:高根支所、高根財産区
[編集] 広域行政
- 御殿場市・小山町広域行政組合
- 御殿場市では隣の小山町と広域行政組合を設置し、火葬業務、ごみ処理(御殿場・小山RDFセンター)、し尿処理、消防を共同で実施している。
- 行政事務委託
- 御殿場市の南端の神山字須釜地区は地形的に裾野市深良地区と一体化していることから、教育、ゴミ処理、消防などが裾野市に委託されている。
- 駿豆地区広域市町村圏協議会
- 御殿場市を含む静岡県東部地区の8市4町で広域の行政の課題に取り組んでいる。また、住民票や印鑑登録証明書の交付サービス参加自治体の窓口で受けることができる。駿豆・協議会の参加自治体は沼津市、熱海市、三島市、伊東市、裾野市、伊豆市、伊豆の国市、駿東郡清水町、長泉町、小山町、田方郡函南町。
[編集] 経済
[編集] 農林業
標高の低い耕地は主に水田として稲作に利用される。水田では冬場には富士山の地下水を張り、水かけ菜(単に水菜とも)という野菜の栽培も行われる。水かけ菜は漬物にされ、御殿場の特産品の一つになっている。標高の高い耕地では畑作が行なわれる。湧水のそばではワサビ栽培が行われている。
また、中国から導入した金華豚の飼育も行われ、高級ブランド豚としてハムなどに加工されている。
かつては養蚕が盛んだったが、現在は行なわれていない。
[編集] 工業
東名高速道路開通以降、積極的に工業誘致が行われた。駒門工業団地にはトエミ・メディア・ソリューションズ(旧東芝EMI御殿場工場)やリコーなどがある。上質な地下水を利用してキリンディスティラリー(旧キリンシーグラム)がウイスキーを、米久が御殿場高原ビールの製造を行っている。
[編集] 観光
富士登山の拠点や避暑別荘地として、また箱根や富士五湖への通過地として発展した。東山・二の岡地区は外国人たちが多く住み、戦前までは別荘地にアメリカ村、国際村といった通称がついていた。現在も別荘や保養所が多数ある。
[編集] 基地経済
多数の防衛施設を抱えているため、地元経済への影響は無視できない。自衛隊員が暮らすことによる経済効果のほかに、演習場の賃貸料や防衛施設周辺整備のための公共事業による資本流入がある。
[編集] 姉妹都市・提携都市
[編集] 海外
[編集] 地域
[編集] 教育
- 小学校
- 御殿場市立御殿場小学校
- 御殿場市立東小学校
- 御殿場市立御殿場南小学校
- 御殿場市立富士岡小学校
- 御殿場市立神山小学校
- 御殿場市立原里小学校
- 御殿場市立朝日小学校
- 御殿場市立玉穂小学校
- 御殿場市立印野小学校
- 御殿場市立高根小学校
- 御殿場市立高根小学校上小林分校
- 中学校
- 御殿場市立御殿場中学校
- 御殿場市立南中学校
- 御殿場市立富士岡中学校
- 御殿場市立原里中学校
- 御殿場市立西中学校
- 御殿場市立高根中学校
- 高等学校
- 養護学校
- 静岡県立御殿場養護学校(小、中、高)
- 国立中央青少年交流の家 - 青少年用教育・研修施設
[編集] 交通
[編集] 鉄道路線
- 中心となる駅:御殿場駅
[編集] 道路
- 県道
[編集] 高速バス
御殿場市はJRの幹線である東海道本線や東海道新幹線から遠く、また市の中心部から東名御殿場ICが近いため、高速バスがよく使われる。
- 東名御殿場バス停に停車する高速バス
- 富士急御殿場営業所に停車する高速バス
- 富士急・JRバス関東(東京駅-河口湖駅)
- 富士急山梨・相鉄自動車(横浜駅-河口湖駅)
- 富士急山梨・近鉄バス(大阪あべの橋駅・京都駅-富士吉田)
[編集] 船舶
- 海、大きな河川、湖沼がないため、船舶はなし。
[編集] 名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
[編集] 御殿場に関連する著名人
[編集] 出身者
[編集] ゆかりの人物
- 岸信介:御殿場に別荘。政界引退後移住。「御殿場の妖怪」の異名。
- 黒澤明:御殿場に別荘。周辺で撮影した映画多数。
- 勝野洋・キャシー中島:一時居住。現在はキルトミュージアムを運営。
- 秩父宮雍仁親王・勢津子妃:御殿場に別邸。
- 西園寺公望:御殿場に別荘。
- 小林忠行:御殿場に別荘。研究者。
- 西島三重子:御殿場に在住。歌手。
[編集] その他
- 御殿場市は県内有数の電波銀座でもある。市内の広い範囲で東京タワーからの在京キー局5局(日本テレビ、TBSテレビ、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京)の電波が受信可能である。しかし本来放送エリアではないので、場所や受信機器によって映り具合が大きく異なる。また場所によっては、大型のUHFアンテナを大野山中継局に向けると、TVKテレビも受信出来る。これは小山町もほぼ同様である。また、市内の一部ではワンセグにより、在京キー局の地上デジタル放送が受信できることが確認されている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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