沼津市
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沼津市(ぬまづし)は、静岡県の東部、伊豆半島の付け根に位置する市である。特例市。
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[編集] 概要
駿河湾に臨む伊豆半島の付け根、愛鷹山の麓に位置する港町である。気候が温暖である他、箱根や伊豆半島や富士山への観光拠点としても便利な立地条件でもあるため、保養地としても発達した。
明治時代から1969年に亘っては、政財界の著名人が別荘を建てて、皇室も沼津御用邸を構えたために、「海の有る軽井沢」とも称された。又、井上靖を初めとする文人墨客所縁の地でもある。
令制国では、中心部と市域の大部分は駿河国に属しているが、伊豆半島への入口という点もあって、伊豆国の一部と見なされる事も多い。[要出典]又、小田原や鎌倉や東京にも近いので、関東色が濃く見られる。
漁業も盛んであり、干物の「鯵の開き」の生産は日本一の規模を誇る。
[編集] 地理
市街地から程近い香貫山(かぬきやま)は市民の憩いの場となっており、駿河湾に面した千本松原(せんぼんまつばら)には沼津ゆかりの作家、芹沢光治良や若山牧水らの文学碑が点在する。なお、市街地を流れる狩野川(かのがわ)は太平洋側にある一級河川の中で唯一北上する川である。
富士市との間には浮島沼が広がっている。県下最長の60kmの海岸線は砂浜からリアス式海岸まで変化に富み、それを生かしたレジャースポーツも盛んであり、大瀬崎(おせざき)は全国的に有名なダイビングスポットである、
駿河トラフ(南海トラフの北端の海溝)に近いため、深海魚のラブカやタカアシガニ等の水揚げがある一方、プレート境界型の大地震(東海地震)の危険性が指摘されており、国・静岡県・周辺自治体とともに地震対策、特に津波対策に力が入れられている。自主防災組織の活動も活発であるほか、自治体による防災設備の拡充にも力が注がれている。
[編集] 自然地理
- 山岳丘陵
- 愛鷹山(1188m)、沼津アルプス(香貫山(193m)、横山(183m)、徳倉山(256m)、鷲頭山(392m)、大平山(356m))、発端丈山(410m)、金冠山(816m)、達磨山(982m)、
- 河川水路
- 狩野川、狩野川放水路、黄瀬川、戸田大川
- 湖水池沼
- 浮島沼、門池、神池、明神池
[編集] 都市情報
市章は、 カタカナの「ヌ」に千本松原の松葉を組み合わせ図案化した物である。
[編集] 沼津市民憲章
私たち沼津市民は
- 緑と水と空、このかけがえのない自然を守りそだて、清潔な環境をつくります。
- すすんで心身をきたえ、健康と文化の向上につとめます。
- 仕事に生きがいを見いだし、意欲をもって働きます。
- 人権を尊重し、時間と規則を守ります。
- 善意と思いやりをもって、暖かい家庭と社会を育てます。
[編集] 都市名の由来
沼津の名は、現存する中では1208年の吾妻鏡が初出である[1][2]。 当時は狩野川河口が蓼の群生地であったため、蓼原という名もあった。
名の由来は富士山からの地下水のため、沼が多かったことに関係し、同市の浮島沼界隈は今日でも水田の広がる農業地帯だが、弥生時代(3世紀)には既にこの沼地周辺で原始的な稲作が行われるようになったほどの、水の豊富な地域である。 ただ同地域は地盤が緩く、このため東海道新幹線は東海道本線よりも北側の愛鷹山麓を迂回する形となった。
この地下水は季節によって水量の変化はあるものの、地表数メートルという高さに帯水層が存在する。 現在は下水道などの発達により、目に見えて冠水することはないが、かつては水捌けが余り良くないことから、沼津駅西側のあまねガード(半地下式の駅の南北を結ぶ主要道路)が1974年の七夕豪雨の際に水没したほか、1960年代頃までの沼津市内では地下道や窪地がしばしば冠水するなどの被害もあったという。
なお沼津の津は港に適したなだらかな海岸線を指しており、沼津市の出発となった現在の沼津港界隈をあらわしている。このなだらかな海岸線と狩野川河口近辺の比較的水深のある海という地形は漁港や交通のための港として利用された。こうして沼津は人の集まるところとなり、沼津宿から駿東郡沼津町(当時の郡役所所在地)を経て、周辺地域との合併により現在の沼津市の姿になっていった。
[編集] 行政
[編集] 沼津市の機関
- 市長:斎藤衛(さいとうまもる)
[編集] 静岡県や国の機関
- 静岡県東部総合庁舎
- 静岡地方裁判所沼津支部
- 国土交通省中部地方整備局沼津河川国道事務所
[編集] 政令指定都市構想
現在、沼津市、三島市、御殿場市、裾野市、伊豆の国市、函南町、清水町、長泉町、小山町など5市4町で組織する「東部広域都市づくり研究会」が、大規模合併による政令指定都市への移行を志向しているが、合併への機運は盛り上がりに乏しい。
[編集] 姉妹都市・提携都市
[編集] 地域
[編集] 静岡県東部での地位
沼津には静岡県東部総合庁舎が置かれるなど、県は静岡県東部の拠点都市として位置付けている。このため、全国紙の支局、郵便関連においての地域区分局も置かれている。三島市や裾野市、清水町、長泉町と市街地が連続し、都市圏を形成している。
鉄道では東海道本線と御殿場線の分岐点であり、道路網は東名高速道路の沼津ICは、伊豆半島への玄関口となるなど交通の要衝となっている。しかし、西湘バイパスが小田原箱根道路と直結するなど、競合する相模湾岸の道路の整備の結果、首都圏から沼津市を経由しない伊豆半島へのアクセスが増えている。また、新幹線駅は市内になく、隣接する三島市と富士市に置かれている。
また、百貨店や大規模な商店街などがあり、商業の売り上げ高も静岡や浜松に次ぐ規模であり、静岡県東部の商業の中心地とも言えるであろう。物流の上でも浮島沼辺りの国道1号線沿いに倉庫街があり、地域の商業を支えている。しかし旧来の商店街は個人経営の店が多いことや後述する人口減少にも伴い活気が往年ほどには見られず、沼津駅の南に少し離れて位置する「アーケード名店街」と呼ばれるかつての高級商店の並ぶ通りにおいては、シャッター通り化といった現象も見られる。
1876年8月21日の静岡県成立以降、静岡市や浜松市と並ぶ拠点都市として発展してきたが、近年は人口減少が続き、人口規模では富士市が上回るなど、拠点性は縮小傾向にある。現状を打開するために周辺市町と政令指定都市構想を検討しているが、沼津市や周辺市町の財政が健全で合併の必要性が薄いことや、駿河と伊豆という旧国の心理的な壁が影響し、進展していない。
[編集] 歴史
古代珠流河国発祥の地。近世には沼津城の城下町として、また東海道の宿場町、港町として栄えた。
7世紀以前の沼津市周辺は、珠流河国(するがのくに)と呼ばれており、領域は近世駿河国から廬原国(現在の県央)を除き、伊豆国を加えた範囲となる。
- 古代から中世まで
- 7世紀:古代珠流河国と廬原国の領域と併せて駿河国が成立。
駿河国駿河郡となり、その郡衙が置かれる。この頃は駿河国の国衙も駿河郷にあった。 - 680年(天武天皇9年)駿河国東部の二郡を分離して伊豆国を設置。国衙が安倍郡に移る。
- 1487年(長享元年)頃:伊勢新九郎長氏(北条早雲)により興国寺城が築かれる。
- 明治から第二次世界大戦まで
- 1869年(明治2年)旧1月:沼津兵学校が開校する。
- 1889年(明治22年)2月1日:東海道本線沼津駅開業。
- 1893年(明治26年):皇太子嘉仁親王(のちの大正天皇)の静養のために沼津御用邸が造営される。
- 1906年(明治39年):田方郡三島町(現三島市)との間に駿豆電気鉄道(後の伊豆箱根鉄道軌道線・路面電車)が開通。
- 1923年(大正12年)7月1日:楊原村と合併して市制施行。
- 1923年(大正12年)9月1日:関東大震災により被災。
- 1926年(大正15年):沼津大火により市の中心部を焼失。
- 1944年(昭和19年):片浜村・金岡村・大岡村・静浦村の4村と合併。
- 1945年(昭和20年)7月17日:未明、アメリカ軍機の空襲で市の中心部を焼失。(沼津空襲)
- 第二次大戦後
- 1955年(昭和30年):愛鷹村・大平村・内浦村・西浦村の4村と合併。
- 1963年(昭和38年):伊豆箱根鉄道軌道線廃止。
- 1968年(昭和43年):原町と合併。
- 1969年(昭和44年)4月25日:東名高速道路沼津IC開通。
- 1994年(平成6年):今上天皇が行幸。
- 2000年(平成12年):特例市に移行。
- 2005年(平成17年)4月1日:戸田村と合併。
- 2007年(平成19年):第39回国際技能競技大会が開催される予定。
[編集] 産業
[編集] 本社や工場を置く企業
- 富士通沼津工場
- 米久本社
- スルガ銀行本店
- 静岡中央銀行本店
- 沼津信用金庫本店
- 東芝機械本社
- メディアクリエイト本社 - 漫画喫茶「ゆう遊空間」を運営
- 明電舎沼津事業所
- エヌビーエス - のっぽパンなど、パンの製造
- 図書印刷 沼津工場 - 教科書の印刷部数ではアジア地域でトップクラス
- リコー 沼津事業所 - 北および南プラントの計2ヶ所がある。主に複写機用トナーを扱う拠点。
[編集] マスメディア
- 沼津新聞
- 沼津朝日新聞
- COAST-FM (エフエムぬまづ)(76.7MHz)
[編集] 学校
[編集] 大学・短期大学
- 東海大学開発工学部
[編集] 高等専門学校
[編集] 高等学校
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静岡県立沼津東高等学校は沼駿地区トップの名門校である。
なお静岡県立沼津商業高等学校という高校がある。この学校は昭和30年代まで沼津市内の所在であったが、校地等の関係で昭和40年代に隣の駿東郡清水町に移転し、現在は沼津市内には所在していない。
[編集] 中学校
- 市立
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- 私立
- 加藤学園暁秀中学校
[編集] 小学校
- 市立
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- 私立
[編集] 特殊教育学校
- 静岡県立沼津盲学校(幼、小、中、高)
- 静岡県立沼津聾学校(幼、小、中、高、専攻科)
- 静岡県立沼津養護学校(小、中、高)
[編集] 交通
「海の有る軽井沢」という異名の通り、沼津は政財界の保養地としても発展した為に、鉄道や道路などの交通網が、明治の早い段階から推し進められて来た。
東海道本線は当初、箱根を貫通するトンネルの開削技術がなかったことから北の御殿場を通る現在の御殿場線ルートを採用したが、これに伴い25パーミル(1000分の25)の急勾配が発生した。そのため、沼津には勾配を超えるための補助機関車を解結するための機関区が置かれ、結果として同線における重要な駅と位置づけられることになった。
1934年、丹那トンネルの開通により東海道本線のルートが現行のものになった後も、1949年までは同線の電化区間が東京から沼津までであったため、ここで電気機関車と蒸気機関車との付け替えを行った。
[編集] 鉄道
また、特急「あさぎり」も、御殿場線と小田急線を経由し、沼津と新宿を結んでいる。
ちなみに東海旅客鉄道(JR東海)が「あさぎり」に使用している編成は、朝は「ホームライナー沼津」(静岡発沼津行き)として、夕は「ホームライナー浜松」(三島発浜松行)として運行している。
東海道新幹線を利用する場合は、沼津から三島まで東海道本線で1駅(所要時間約5分プラス乗換時間で)連絡することになる。
- 中心駅:沼津駅
[編集] 船舶
- 戸田運送船
- 高速船ホワイトマリン:沼津港 - 戸田港 - 土肥港(カーフェリーの運航はない)
[編集] 道路
[編集] バス
路線バスの他、東名高速道路の高速バスが利用できる。
[編集] 索道
- 淡島ロープウェイ
[編集] 観光
[編集] 主な史跡・旧跡等
[編集] 観光地
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[編集] 祭り
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[編集] スポーツ
- FC. EASTERN 04 - 静岡県東部のサッカーチーム
- 大瀬崎-スキューバーダイビングのスポット
[編集] 沼津を舞台とした作品
[編集] 沼津に関連する有名人
[編集] 沼津出身者・沼津市民
- 政官界
- 小説家・作家
- 映像系芸術家
- 学界
- スポーツ
- 芸能界
- 音楽
[編集] 沼津に縁の有る人物
- 以上2名は、出身地がそれぞれ外の都市であるが(井上靖は天城湯ヶ島(現:伊豆市湯ヶ島)、大岡信は三島出身)。共に出身校が旧制沼津中学校(戦後の沼津東高校)である為、その理由で井上靖は生前に、大岡信は2003年の文化勲章受賞時に、名誉市民が授与されている。大岡信は、同時期に出身地である三島市からも名誉市民が授与され、異例の2市同時名誉市民授与となった。
- 太宰治(小説家)
- 1932に静浦の志下に滞在して「思ひ出」を、1947年には三津で「斜陽」の第一章から第二章を執筆した。
- 父(故人)が沼津出身で、本人も仕事がオフの時は、父親の実家(沼津市内)に伺う事がある。
- 沼津御用邸があった為。
- 沼津兵学校の教頭であった。
- 宮澤喜一(官僚、政治家)
- 大蔵省に入省し、最初に配属された所が沼津税務署署長として着任し、在職していた為。
- 町村信孝(官僚、政治家) 出生地が沼津。
[編集] その他
- ねんねんころりよ おころりよの歌詞の子守歌は「沼津地方の子守歌」といわれている。
[編集] 脚注
- ^ [http://www.city.numazu.shizuoka.jp/kankou/rekishini/nrekishi/ 沼津の歴史
- ^ [http://www.city.numazu.shizuoka.jp/kankou/rekishini/nrekishi/menu_1/azuma.htm 同資料
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 静岡県の自治体等
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