ジェット風船
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ジェット風船(ジェットふうせん)とは、飛ばすことを目的に開発されたゴム風船のことを言う。
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[編集] 構造
ゴム風船は、風船を構成するゴムの収縮時よりも大量の空気が入っている場合、ゴムが伸張され、ゴムの収縮作用により中の体積を圧縮しようとする働きを起こす。この時、風船内部の気圧と外部の大気圧に大きな差が生じ、風船の口を開ければ風船内部から勢いよく空気が吹き出す。これを推進力にして飛ばすことを目的とした物がジェット風船である。飛ばすときに、音を出すためにプラスチック製の笛が仕組まれている。
普通のゴム風船の吹き口がプラスチックの笛になっている。この笛の構造は至って簡単で、2枚の日本の五円玉を少し間隔をおいたような構造になっている。元はラムネなどの駄菓子に見られた構造でそれを流用した物である。
[編集] ジェット風船の始まり
日本においてジェット風船は1970年代から駄菓子屋、祭り屋台のくじ引き等で子供向け販売されていた。形は大きく分けて2種類あり、球形の物と棒型の物が存在した。
[編集] 近年の利用方法
[編集] 紙テープからの移行
- プロ野球や、コンサート等で、ファンが紙テープを投げていたが、ファンの投げた紙テープが歌手の目を直撃して障害を負わせる事故があって紙テープが禁止された。(現在は、地方球場でも禁止されているものと思われる。)
- 日本プロ野球では、甲子園球場が発祥地で、1984年に広島の私設応援団『河内楠公会』がジェット風船を飛ばすことを始めた。それ以降、半数の球団のファンがこれを飛ばしており、7回(ラッキー7)の攻防を盛り上げている。また、勝利時にも飛ばすことがある。
- 現在、広島の他に、オリックス、中日(ビジター・地方球場のみ)、阪神、ソフトバンク、西武、ロッテ、楽天のファンが飛ばしている。
- 1985年の阪神優勝時に甲子園を埋め尽くした阪神ファンが一斉に放った印象が強いせいか、日本のプロ野球応援スタイルに詳しくない人には、阪神の応援の代名詞的なイメージで捉えられがちである。
- 風船の色はその球団のチーム色に合わせられることが多い。
- コアな阪神ファンはオレンジ色のジェット風船は上げない。これはライバル球団の読売ジャイアンツのチームカラーであるためで、読売が上っていくのが嫌だという意味になる。
[編集] ジェット風船禁止球場
下記の日本の球場が「天井に風船が引っかかる」と言う理由、あるいは条例等のその他特殊な事情で禁止している。
- 札幌ドーム
- スタンド可動部の隙間に落ちるとサッカー用ホヴァリングステージの出し入れの妨げになるという理由もある。
- 東京ドーム
- 理由不明(プロ野球公式戦では禁止だが、過去にジャニーズのカウントダウンイベントで飛ばされていた事がある。)
- ナゴヤドーム
- 換気のさまたげに引っかかるため
- 横浜スタジアム
- 神奈川県立相模原球場
- 試合進行妨害
(注1)福岡Yahoo!JAPANドーム(旧:福岡ドーム)では、天井まで飛ばないサイズの風船だったらOKである。
(注2)地方球場はほとんどOKであるが、事前に確かめておいたほうがよい。
(注3)横浜スタジアムでは2002年に、札幌ドームでは2003年に、それぞれジェット風船を禁止しているにもかかわらず、ファンが飛ばしたことで、阪神の星野仙一監督(当時)がファンに対して激怒したというエピソードがある。横浜スタジアムの阪神ファンによるジェット風船飛ばしは2004年まで構わず行われていたが、2005年以降は禁止が徹底されるようになった。札幌ドームでも過去に阪神タイガースのファンが使用禁止にもかかわらずそれを飛ばし問題になったことがある。(関連記事)
(注4)神宮球場はジェット風船OKだが、ヤクルト側は、七回は東京音頭を青(緑)色のビニール傘で踊ることが恒例となっていることもあり、「ゴミになるだけ」という理由で風船を飛ばしていない。
(注5)大阪ドームでは開場以来禁止されていたが、阪神戦を多く誘致したいドーム側の意向があり、2000年シーズン後から解禁となった。しかし皮肉にもその恩恵を受けた第1号は同年12月31日の猪木ボンバイエの年越しカウントダウンだった。
(注6)グッドウィルドームはドームだが、屋根がつく前の西武球場でのジェット風船OKの煽りを受けOKになった。