西武ドーム
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西武ドーム (グッドウィルドーム) |
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Goodwill Dome | |
施設統計 | |
所在地 | 埼玉県所沢市大字上山口2135 |
起工 | 1978年6月 |
開場 | 1979年4月14日 |
所有者 | 西武鉄道 |
グラウンド | 透水性人工芝 |
照明 | 照度 - バッテリー間:2500ルクス 内野:2000ルクス 外野:1500ルクス |
設計者 | 池原研究室(球場建設)、 鹿島建設(ドーム化工事) |
建設者 | 鹿島建設(ドーム化工事) |
旧称 | |
西武ライオンズ球場(開場~1997年) インボイスSEIBUドーム(2005年3月1日~2006年12月31日) |
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使用チーム、大会 | |
西武ライオンズ(開場~現在) | |
収容能力 | |
35,879人 | |
規模 | |
両翼 - 100 m(約328.1 ft) 中堅 - 122 m(約400.3 ft) |
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フェンスの高さ | |
3.2 m(約10.5 ft)~ 4.37 m(約14.3 ft) |
西武ドーム(せいぶドーム)は、日本の埼玉県所沢市にあるドーム球場。プロ野球・西武ライオンズが本拠地としている。西武鉄道が運営管理を行っている(一部メンテナンス業務は外部委託)。
2005年3月1日より球場名の命名権(ネーミングライツ)売却により、呼称に企業名を冠している。現在の呼称はグッドウィルドーム(2007年1月1日から)であるが、ファン・市民の間では「西武ドーム」と本来の名称が使用されることが多い(中には旧称の「西武球場」、「西武ライオンズ球場」という人もいる)。なお、命名権に関する詳細は後述する。
目次 |
[編集] 概要
元々は「西武園球場」という小規模な球場で、アマチュア野球を中心に使用されていた。その後、プロ野球開催可能な貸し球場として1978年6月、改築工事に着手。その最中、国土計画がクラウンライターライオンズを買収、西武ライオンズと改称し、新球場を同球団の本拠地として使用することを決定。屋外球場西武ライオンズ球場として1979年に開業した。平地に普通に建設したのと違い、所沢の丘陵地を掘り起こして造成し建設に至った。観客は全て外野中央口からの入場となり、バックネット裏へは球場内のスタンド後部通路を通り、場内を半周しながら席に着くといった感じになる。初の公式戦で福田赳夫が始球式を務めた。
[編集] ドーム
1999年に日本で5つ目のドーム球場として生まれ変わった。既存施設に後からドームの屋根を架設するという異例の建設方式によって作られた。1998年に観客席部分に屋根がついた第1次工事完了時に西武ドームと改称。ただしこの年はグラウンド部分がまだ屋根で覆われていなかったため、“ドーム”と名乗っていながら雨天で試合中止となったケースが何度かあった。同年シーズン終了後、グラウンド部分の屋根取り付け工事が行われ、翌1999年からは完全ドーム化。これにより“雨天”による試合中止はなくなったが、台風等があった場合に選手・観客の安全面を考慮して試合を中止することはあり、実際に2004年10月20日に予定されていた日本シリーズ・西武ライオンズ対中日ドラゴンズの第4戦が台風の影響で中止、1日順延となっている(ドーム球場での日本シリーズ試合中止はこの時が初めてだった)。また、球場内に霧が立ち込めることもある。
内陸の狭山丘陵に位置し、空調設備がないため、春先や秋口のナイトゲームとなると寒さを感じることも多い。そのため球場では定番のビールの売り上げは少なく、甘酒、おしるこ、ホットコーヒーが良く売れるのも特徴である。ただし夏(7月~8月)は球場内が蒸し風呂状態になるためビールがよく売れる。寒いのは野外時代からであったが、ドーム化で一層寒くなったため、ナイターや雨の日などは防寒対策が必要になる。その一方、現存するドーム球場の中で最も低コストで作られ、最も環境に配慮された球場としてよく評価される。
実際には屋根つき球場であるが、他のドーム球場と違い屋根とスタンドの間に外観が見えるようになっており(吹き抜け形式)、自然の空気も取り込めることから、空調設備はない。そのため日本で唯一の場外ホームランの出るドーム球場の異名をもつ(実際、アレックス・カブレラはしばしば場外弾を打っている)。
プロ野球球団が本拠地とするドームであるが、コンサートやイベントなどでいわれる「5大ドーム」には含まれていない(5大ドームは札幌ドーム、東京ドーム、ナゴヤドーム、大阪ドーム、福岡ドームのことを指す)。これは、既存の屋外球場に屋根をつけただけのドームであるためとも、所在地が大都市でないためともいわれている。また、5大ドームがすべて竹中工務店の施工なのに対し、ここだけは鹿島建設施工という違いもある。
他の球場と同じく打球が天井に直撃した場合、インプレイのままフライとして扱われるが、アレックス・カブレラがホームラン性の天井直撃の当たりを連発したため、外野の天井に当たった場合はホームランとする新たなルールが作られた。その後カブレラは新ルール適用となる本塁打を放ち、レフトの天井に記念プレート、その延長線上となる球場外にはカブレラ地蔵(元々は文化放送ライオンズナイターの企画)が作られた。
[編集] 観客席
外野席は全面人工芝席。ドーム化前は天然芝(芝生席)であったが、ドーム化以降は人工芝に変わっている。ドーム化前の天然芝による芝生席は基本的に芝生保護の関係上、公式戦開催期間中の週末・祝日・並びに夏休みのシーズンと優勝決定がかかった試合、日本シリーズのみに限定して開放していた。ドーム化の基礎として、観客席をドーナッツ状に覆う鉄傘部分が完成した1998年も外野席は天然芝だったが、鉄傘により日陰となった観客席の日照量が著しく落ちたため芝生が枯れ果ててしまった。
西武ライオンズが勝利すると選手たちは、バックネット裏の「ビクトリーロード」といわれる階段を通ってロッカーに引き上げる。しかし、ビジターチームおよび敗戦時のライオンズはベンチ裏にある長い階段を通らなければならない。ファンにとっては選手とふれあうチャンスの場である。
この球場には、少数ではあるがクレジットカードによる支払い対応ができるビールの売り子もいる。ハンディタイプのCATクレジットカード処理端末を持ち歩いており、帽子にはクレディセゾン、ビザ、マスターカードの3つのロゴが入っている。
[編集] 球場広告
球場開き以後1997年までスコアボードの広告以外、フェンス・スタンドの広告は一切排除されてきたが、1998年にスタンド(観客席)の屋根部分に初めて広告看板が設置され、1999年の完全ドーム化でレフト・ライトのポール際のフェンスにそれぞれ4枚ずつの広告が貼り付けられるようになった。なお通常ドーム球場の外野席には巨大な広告看板が設置されているが、西武ドームの場合は先述のように既存球場に屋根を敷設した工法であることからそのような巨大看板が設置できないため、内外野席とも一般的な横長サイズの看板を設置している。なお、左翼側スタンド上の天井に設置されている文化放送(JOQR)の看板に打球を直撃させた選手には、同社から1000万円の賞金が出るが、未だ達成した選手はいない。
[編集] 西武球場・西武ドームと花火
屋外球場の時代から、当球場の恒例行事とされたのが細谷火工による花火の打ち上げである。これは西武ライオンズの選手がホームランを放つか、試合に勝利した場合(ホームラン時に打ち上げる花火が試合終了後も残っていた場合のみ)、西武第三球場のグラウンドから花火を打ち上げて祝福するというものだった。ドーム球場となった1999年以後は一旦この花火打ち上げが中止されたが、2002年シーズンより西武が試合に勝利した場合、ドーム内のバックスクリーン前で紙テープとともに花火の打ち上げによる演出が行われている(当初はホームランの際も花火の打ち上げがあったが、ドーム内に煙がこもり、試合進行の妨げになるため、後にゲームセット時のみになった)。
1983年6月3日、阪急ブレーブス・福本豊による盗塁世界新記録がこの球場で達成された際、ライオンズ以外の球団の選手でありながら例外的に花火を打ち上げ、快挙を祝福した。また、オールスターゲームの際は、全パの選手のホームランおよび勝利を祝って花火を打ち上げ、という形が取られた。
[編集] 命名権
- 命名権による名称の変遷
- インボイスSEIBUドーム(2005年3月1日 - 2006年12月31日)
- グッドウィルドーム(2007年1月1日 - 2011年12月31日(予定))
[編集] インボイスSEIBUドーム
西武グループは2004年、経営改善策の一環として西武ドームの施設名称と二軍のチーム名称について命名権(ネーミングライツ)を売却することを決定。取得に名乗りを上げたのは、インターネット関連業のインボイス(以下「インボイス社」)。まず同年12月29日に二軍の命名権を3年契約で取得することに合意し、翌2005年シーズンから球団名を「インボイス」とすることを発表、1月25日にプロ野球実行委員会で承認された(二軍の命名権については当項も参照)。インボイス社は同日、西武ドームの命名権についても2005年シーズンからの2年契約で合意。3月1日から名称を「インボイスSEIBUドーム」に改称した。
インボイス社は当初「ドーム名を“インボイスドーム”としたい」としていたが、西武側は「“西武”の文字を入れてほしい」としてこれを却下。また、ドームの最寄り駅である西武狭山線・山口線の西武球場前駅についても「“インボイスSEIBUドーム前駅”に改称してほしい」と申し入れたが、鉄道駅の名称変更には様々な事務手続きなどを行わねばならず経費も掛かるなど煩雑なため、これも受け入れられなかった。
改称を機に、ドーム内の各所や球場スタッフの制服などに「INVOICE」の社名ロゴが入れられた。またインボイス社は株主優待策のひとつに、西武ライオンズのパ・リーグ主催試合のチケット引換券を設けるなどした。また、プロ野球の公式記録や各種報道機関に於いては「インボイスドーム」や「インボイス西武」などと略する形で称されていた。
インボイス社は当初、これらの命名権について10年以上の長期契約を望んでおり、2007年以降も命名権を取得したいとして、契約が切れる2006年シーズン中からその旨を西武側に申し入れていたが、西武側は「契約満了で、2007年以降は更新しない」とインボイス社側に通告。結局2006年9月8日、インボイス社は契約更新を断念。二軍の契約も1年を残し解除する事を決定し、これら「インボイス」を冠する名称は同年いっぱいで使用を終了することになった。
[編集] グッドウィルドーム
西武はインボイス社に代わる命名権の新たな契約先について検討を進めてきたが、2006年12月2日、人材派遣会社のグッドウィル・グループと2007年1月1日からの5年契約に合意。年末までに隣接する西武鉄道の西武球場前駅の誘導看板やドーム看板など変更の準備を進めて、同日から「インボイスSEIBUドーム」を「グッドウィルドーム」に、二軍を「インボイス」から「グッドウィル」に改称した。[1]
- 外部リンク
- ^ グッドウィルドーム誕生 コムスンタイムス・2006年12月5日(グッドウィル・グループ)
[編集] グッドウィルドームになってからのプロ野球イベント
変更後初の大掛かりのイベントでは、2007年の3月17日と3月18日のオープン戦、西武鉄道ケロロ軍曹スタンプラリー2007のイベントの一環としてケロロ軍曹シリーズとしてボストンレッドソックスに対抗して2球団とも赤に共通した広島と楽天に対戦したが、どちらも引き分けだった。
[編集] プロ野球以外のイベント
[編集] アマチュア野球
西武ドームではアマチュア野球の公式戦も行われている。
社会人野球に於いては、毎年3月中旬に行われるJABA東京スポニチ大会の開催球場のひとつとなる。また全日本クラブ野球選手権大会の本大会が隔年で行われている(1979年から1995年までは西武球場・西武第三球場のみ。以降は隔年で地方開催)。都市対抗野球の予選が行われることもある。
高校野球に於いては、1981年から1991年までは全国高等学校野球選手権大会埼玉大会の開催球場の一つとして使用された。初年度の1981年、西武球場では開会式とその直後の試合のみが行われ、翌1982年からは準決勝以降の試合も西武球場で行われた。(余談だが、市立川口高校時代の斎藤雅樹、立教高校時代〔現・立教新座高校}時代の長嶋一茂(共に元巨人)も県予選で西武球場で熱戦を重ねる)これは当時、埼玉県の大会参加校が急増していたことが背景にあり、元々高校野球で県下のメイン野球場として使用していた大宮市(現さいたま市大宮区)の埼玉県営大宮公園野球場は、当時老朽化していた上にフィールドが狭隘で、このため開会式などを行うのが困難になったのがその理由である。しかし大宮公園野球場が1992年に改修されてからは、西武球場・西武ドームが高校野球公式戦で使用されたケースはない。
[編集] コンサート・イベント
野球以外のイベントも多数開催されており、特に「渡辺美里コンサートライブ」(2005年度で終了)、「国際バラとガーデニングショー」や「フリーマーケットin西武ドーム」などが有名で毎年恒例イベントとなっている。また全国高等学校クイズ選手権の関東地区予選会場としても知られる(一部大会は除く)。立地条件(東京に近い)の関係でアーティストの「ドームツアー」の中には含まれない事が多い。通常4大ドームツアーというと東京、名古屋、大阪、福岡を指し、5大ドームツアーはそれに札幌を加えたものになる。
[編集] フィールドデータ
- 所在地 : 埼玉県所沢市大字上山口2135
- 収容人数 : 3万5879人
- 両翼 : 100 m
- 中堅 : 122 m
- (屋外球場時代(~1998年)は両翼95 m、中堅120 mだった)
- 外野フェンスの高さ : 3.2~4.37m
- 電光スコアボード (東芝ライテック製:スーパーカラービジョン)(屋外球場時代からと同じもので、横スクロール形式。左側に選手表示、真ん中に大型映像装置、右にスコア=10回まで表示可能〔11回以降は、1~10回データをクリアして1回から入力〕と審判団の表示がある)。西武ライオンズ球場だった時代、南海ホークス(当時)の河埜敬幸選手の「埜」の文字データがなかったため、選手名に「河の」と表示されたことがあった。
- 延床面積 : 4万2541m²
- 内外野とも人工芝
[編集] 周辺の付属施設
- 球団事務所
- ドーム左中間場外、狭山スキー場管理棟1階にある。通路には球団の歴史(所沢移転以降)に関する展示コーナーがある。この他グッズショップ、カレーショップ「シエール」が同フロアにある。2階には中華料理店「獅子」があり、同フロアからドーム左翼側の通路に直接出ることができる。
- 西武第二球場
- 西武の二軍(グッドウィル)が本拠地としている他、一軍もドームでの試合前等に練習を行うことがある。
- 屋内練習場
- 若獅子寮(西武ライオンズ合宿所)
[編集] 現存しない施設
[編集] コンサートを開催した主なアーティスト
- 渡辺美里
- SOPHIA
- B'z
- Pierrot
- THE ALFEE
- S.E.N.S.(ハーフタイムショーとして)
- GLAY
- 大瀧詠一
- 長渕剛
- Mr.Children
- サザンオールスターズ
- THE YELLOW MONKEY
- ハウンド・ドッグ
- QUEEN(ドーム化前)
[編集] 交通機関
- 西武狭山線・山口線(レオライナー) 西武球場前駅下車すぐ
- 多摩都市モノレール線 上北台駅より臨時バスあり。試合終了後のバスはすぐになくなってしまうので要注意(西武バス)
- 大宮駅西口から西武バスの会員募集バスも試合当日に運行される。
- 東京都内から車の場合、青梅街道芋窪交差点から北方2km。
- 有料駐車場は球場外にも多く設置されているが、周辺道路が渋滞しやすいので注意。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
前本拠地: 平和台野球場 1950 - 1978 |
西武ライオンズの本拠地 1979 - 現在 |
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