スーパーロボット
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スーパーロボット(Super robot)は、サイエンス・フィクション系アニメ(特にロボットアニメ)や特撮に登場するある種の人型巨大ロボットの呼称である。一部作品においては、その作品の設定や物語の性質上「特殊機動兵器」を意味すると思われる「特機」と呼称する作品もある。
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[編集] 概要
ヒーロー的ロボットに対する呼称。対語に「リアルロボット」がある。ヒーロー的ロボットには人と同じ大きさほどのロボットもあるが、ヒーロー的な巨大ロボットに対しての呼称が一般的である。作品中では唯一無二の存在であり、主人公ロボと全く同型のロボットが登場することは無い(旧型、新型、改良型などが登場することはある)。悪と戦うスーパーヒーロー的に描かれることが多い。区分概念を幾つか上げたが、明確な定義は無い。あくまで概念的なものなので、区分に迷う作品もある。
言葉としては1972年から放送の「マジンガーZ」の主題歌に登場した歌詞が最初と言われているが定かではない。漫画、アニメ、実写等でスーパーロボットものは古くから多数製作されており、その作品の批評や解説までを含めると「マジンガーZ」以前から使われていてもおかしくは無い。(特撮ものでは、1968年に放送された「ウルトラセブン」第14・15話において登場している。ペダン星人の操るロボット・キングジョーを指して、地球人が「ぺダン星人のスーパーロボット」と呼んでいる。尚このキングジョーという名は本作劇中では一切登場していない。また漫画では、1963年に連載開始された「8マン」にて8マンがスーパーロボットと呼ばれている。)
言葉自体は古くからあるが、それほど一般的ではなかった。「機動戦士ガンダム」が製作され「リアルロボット」というジャンルが確立されるまで巨大ロボットものと言えばスーパーロボットものであり、それらをジャンルとして纏め総称を付ける必要が無かった為である。 「リアルロボット」の概念の確立がスーパーロボットという言葉を一般化させていったと言える。とはいえ、巨大ヒーローロボットなどと呼ばれることもあった。
スーパーロボット/リアルロボットという種別の区分概念として使用されたのは、テレビゲーム『スーパーロボット大戦』が最初である。
『スーパーロボット大戦』において『マジンガーZ』などのヒーロー的ロボットはスーパーロボットと呼称され、軍や企業に所属する軍事的兵器の意味合いを持つロボット(『機動戦士ガンダム』のモビルスーツに代表されるような兵器型ロボット)は「リアルロボット」 と呼称される。
すなわち、『ウルトラマン』などの巨大ヒーローをロボット化し、主人公との一体感を作品の主軸にしたロボットをスーパーロボットと呼称した。これが今日までに一般化したと思われる。
本概念の先駆けとなった作品は、横山光輝の『鉄人28号』とされており、この作品は日本における巨大ロボット作品すべての原点ともいえる。実写版とアニメ版がTV放映されたが、アニメ版は「鉄腕アトム」と人気を二分した。無線操縦式で武装を持たず肉弾戦専門である。当時の初出の漫画作品では、大日本帝国が起死回生を狙って製造した決戦兵器と言う設定で、鉄人を操るリモコンの争奪戦、リモコンの使用者によっては正義にも悪にもなるという当時としては画期的なテーマで、今日的な視点で見た場合、当時の鉄人28号は、スーパーロボットというニュアンスよりはどちらかというと「リアルロボット」的な設定だったのが特徴である。後にアニメ作品などが製作されるにあたり、いわゆる「正義の味方の主人公の良き相棒」という設定が前面に出され、スーパーロボット的作風が確立したという経緯を持っている。従って、本作は上記の様な独特の作風である事もあり、識者の間ではいわゆる「スーパーロボットの元祖」という感覚ではあまり語られない場合も多い。
次に、同じ横山光輝原作の「ジャイアントロボ」が実写版で製作されている。音声による無線操縦式でスーパーロボット初の超兵器装備ロボである。ロケット弾、バズーカ砲、ミサイル、熱戦、レーザー光線、果てはマジックハンドまで、実に多種多様な武装を誇る。巨大ロボットアニメで初めて超兵器を装備したのは『マジンガーZ』であるが、スーパーロボット全体で見ると「ジャイアントロボ」が先である。
この二作品は、主人公の持つリモコンによって操縦される遠隔無線誘導型のロボットであったため、ロボットと主人公の一体感やロボットの擬人化の感覚は薄いものとなっている。余談ではあるが、『ジャイアントロボ』に関しては最終局面に、いささか唐突ではあるものの上記の主人公との一体化、擬人化の感覚…といった要素が注目されることとなり、それ故に本作は後世に大きなインパクトを残すこととなる。
後に、永井豪原作の『マジンガーZ』の登場により、巨大ロボットに人間が乗り込むという手法が確立し、この作品の登場によって主人公とロボットの一体感、擬人化がなされた。そのほか、超兵器の装備、新兵器を追加してパワーアップを図る等、ロボットアニメの様々な基本フォーマットが『マジンガーZ』により確立されている。これらの設定によって今日のスーパーロボットの形の基礎が出来上がった。
『マジンガーZ』以外のスーパーロボット物の代表的な作品として、『ゲッターロボ』・『勇者ライディーン』・『戦え!!イクサー1』などが挙げられる。
合体変形ロボットが最初に登場したのは、特撮ヒーロー物作品『ウルトラセブン』であり、現在でも人気のある敵対ロボット「キングジョー」がそれである。これは侵略宇宙人ぺダン星人が操縦する4機の円盤が合体して巨大ロボットになる。後に合体の組み合わせで能力が変わると言う画期的設定のロボット『ゲッターロボ』が登場する。地球製ロボットとして初の合体変形ロボットである。(キングジョーは地球外の技術で作製されている)『勇者ライディーン』は決め技と言うべき必殺技で敵を倒すという必勝パターンを作り出し、『イクサーロボ』は史上初の女性型主役スーパーロボットであった。
『機動戦士ガンダム』の登場まで、ロボットアニメといえばスーパーロボット物を指していたと言ってもよい。
[編集] スーパーロボットの種類
一言にスーパーロボットといっても、その機能形態は、背景となるストーリー設定で様々である。
これは、その作品のスポンサー(主に玩具会社)の意向で玩具として面白い作品になるよう設定される場合が多い。
リアルロボットの場合、設定にある程度現実的感覚、いわゆる「リアルっぽさ」を求められるが故に、ミリタリーモデルのような雰囲気や嗜好性で玩具化される場合がほとんどであるが、リアルロボット出現までのロボットアニメは、ロボットの機構的な遊びとしてのセールスポイントがそのロボットの背景設定という形であったと言える。
以下に、上記に基づいた玩具製作に基づく機能形態を基準とした、それぞれの区分と特徴を挙げる。
[編集] 無変形単体型
人が乗り込んで操縦する元祖系。操縦者は一人または複数。
[編集] 合体型
複数の小型メカが合体して、1体のロボットになる形態のものである。複数のメカが合体するもの、複数のロボットが合体するものなどがある。
- ゲッターロボシリーズ
- ガイキング
- ダイアポロン
- コン・バトラーV
- ボルテスV
- ダイラガーXV
- ゴライオン
- ゴッドマーズ
- ダンクーガ
- ザンボット3
- ダイオージャ
- バクシンガー
- ダンガイオー
- 勇者シリーズ
- エルドランシリーズ など
- 太陽戦隊サンバルカン以降のスーパー戦隊シリーズ
- 『超星神シリーズ』
- 「超星神グランセイザー」のダイセイザー
- 「幻星神ジャスティライザー」の幻星神
- 「超星艦隊セイザーX」の流星神3体(シャークリーガー以外)
[編集] 変形型
変形機能を持つもの。基本形態がロボット型のものと、そうでないものがある。
- ライディーン
- 勇者シリーズ
- グロイザーX
- ダンガードA
- ダイターン3
- ダイモス
- ブライガー
- サスライガー
- サイバスター
- 電子戦隊デンジマンのダイデンジン・・・スーパー戦隊シリーズ初の変形タイプのロボット。尚本作以降にも変形タイプの機体は、特に2号ロボ、或いはそれ以降の機体としてしばしば登場している。
- 『超星神シリーズ』
- 「超星神グランセイザー」の4大超星神(ガルーダ・ドルクルス・ガンシーサー・リヴァイアサン)
- 「超星艦隊セイザーX」の流星神シャークリーガー、ドリルアングラー など
[編集] 無線操縦型
「鉄人28号」のような、主人公が間接操縦を行う形態のものである。
[編集] アタッチメント型
コアとなるメカ、ロボットにオプションパーツを追加して強化していく形態の物
[編集] リアルロボット型
リアルロボット[2]の登場以降、スーパーロボットにリアルロボットのテイストを加味した新世代タイプのロボット。作品によってはリアルロボットに分類される場合もある。近年のリアルロボット型スーパーロボット作品には、設定のリアリティさの他に、宗教学や心理学、哲学、はては芸術論まで内包した、その物語の制作者側のメッセージを代弁、具現化するような設定のロボットも登場するまでになっている。
[編集] 自律型
自律型[3]とは、自ら人間と同様の意志を持つロボットという形態のもの。設定的にはロボット自体が自我を持つ事が特徴であるが、機能形態においては上記のスーパーロボット同様多岐にわたる。
- 勇者シリーズ
- トランスフォーマーシリーズ
- マシンロボシリーズ
- 超電子バイオマンのバイオロボ(バイオマンが操縦するが、初登場時などに自我を持つ描写はある)
- 光戦隊マスクマンのギャラクシーロボ(自ら意思を持ち、後にはオーラパワーをも身につける)
- 鳥人戦隊ジェットマンのテトラボーイ以降の、自立型ロボット
- 大鉄人17 など
このように、実に様々なアイディアでスーパーロボットは制作されており、又、それらが玩具として世界中を席巻している。 これらの延々と築かれてきたロボット物のアイディアは日本エンターテイメント界の貴重な財産と言えるだろう。
[編集] 脚注
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